ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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以前、西遊記の要素を取り入れたいと言いましたが……こんな形になるとは
σ(^_^;)?



第3三十八席でたらめの歌、合唱するのこと

 五湖を撃退して、諷陵に戻ってきた劉備軍とゲッターチーム。それから2ヶ月が経過した。その後も仗助達は更なる内政の充実を図りながら、西方、南方からの侵略に備えていた。

 仕入れた情報では、北方を拠点とする曹操は、その勢力をより磐石なモノとする為に西方に手を伸ばしていて、東を拠点とする孫策は、南下政策を行っているらしい。これでしばらくは両勢力とのぶつかり合いは避けられると思われた。そんな予測を基に彼らは行動を起こす。南蛮制圧。南征の決定である。

 

朱里

「現在、曹操さんと孫策さんは、自分達の勢力を広げる事に腐心しています。これは来るべき決戦に備えての事でしょう」

雛里

「既に大陸の趨勢は、終端に向かって突き進んでますからね」

朱里

「今、この時機にどれだけ多くの領土を手に入れられるか。その一点こそが勝利の分かれ道かと」

桃香

「それで南征?」

愛紗

「はい。前の闘いでも分かるように、五湖が控えている西方に手を伸ばすのは、得策ではありません」

卑弥呼

「精強かつ、鬼と組んどる五湖兵と事を構えるには、時間がなさ過ぎるという事じゃな」

「かといって、東には孫策。北には曹操……あたし達が領土を増やそうとするなら、必然的に南になるもんなぁ」

鈴々

「でも、南にある南蛮って国の事、鈴々は良く知らないのだ。どんな国なのだー?」

朱里

「未開の地……と言っても過言ではないでしょうね。暑くて、虫が一杯いて、密林が生い茂っているところです」

蒲公英

「うぇ~……虫が一杯って。そんなとこ行きたくないよぉ」正に苦虫を噛み潰したような顔の蒲公英に対して、

れんげ

「虫いっぱいなん?ウチ、せーあつ終わったら虫採りしたいのん♪」目を輝かせるれんげ。

蒲公英

「えゲェ?!れんちょん虫好きなの~?」

れんげ

「好きなん!」

仗助

「……そりゃ良いけどよ、前みたいにタランチュラとか採ろうとするの止めろよ」

桃香

「たらんちゅらって?」

仗助

「……こぶし大の蜘蛛だ」

「うげっ!」

卑弥呼

「それは些か、悪趣味じゃな」

「お主が言うな」

「いそうね。タランチュラ……」

愛紗

「忍。れんげの手綱はしっかり取っていてくれ……」

桃香

「ははは……(苦笑)れんげちゃん、先にお仕事の話をしてからね……それで仗助さぁん」

仗助

「ん、なんだ?」

桃香

「鈴々ちゃんの言う通り、南蛮についての情報が少な過ぎると思うんだけど」

仗助

「確かにな。けど南方の村が頻繁に襲われている今、悠長に時を費やしてる場合じゃねえ」

桔梗

「仗助の言う通りだな。近頃、南方の村々では桃香様に対する不満が出ていると聞く……このままでは不味い」

「民の不満を霧散させる為に、南蛮を制圧せねばならんか……」

紫苑

「しかし勝ち目はあるのでしょうか……?」

雛里

「敵勢の情報が不足している今、勝ち負けを予想する事は出来ません。だけど……多分、大丈夫だと思います」

「ええ。ゲッター抜きでもあちし達は強いわ……曹操、孫策の次ぐらいには」

「……(コクッ)」

「ただ、己の力を過信するのも良くないわ……考えられる状況を整理して、可能な限り対応出来る葉に準備してから出陣しましょ」

桃香

「そうだね……じゃあ朱里ちゃん、雛里ちゃんは忍さんの方針を基に出陣準備を整えてね」

朱里・雛里

「「了解です」」

桃香

「愛紗ちゃん、星ちゃんは軍部のまとめ役を……蒲公英ちゃんもちゃんと出陣してくれるよね?」

蒲公英

「当然!れんちょんにカッコ悪い姿は見せられないもん」

れんじゃ

「別に虫嫌いでも良いんよ?」

蒲公英

「うっ!……こんな小さい子に諭されるとは……」

桔梗

「何を言っとる。れんげは幼くもげったあを駆ける身。只の孺子(こぞう)とは違うぞ?下らん矜持に拘る前に、さっさと出陣準備に向かえ」

蒲公英

「はーい……」

桃香

「じゃあ桔梗さん、私達も準備にいこっ♪」

桔梗

「うむ」

桃香

「じゃあまた後でね、仗助さん♪」

 

 桃香達と別れたゲッターチームは、自分達も出陣準備の為に、城の外に出て新たなゲットマシンの動作確認から始める。彼らをパイロットと認めたらしいコスモゲッターは、南蛮へ向かう時初めて乗って一旦降りると、3つの勾玉に変化した。以降はゲッターチームの意志に合わせて、いつでもゲットマシンとして展開出来るようになっていた。

 展開したゲットマシンを一機ずつ、3人で異常がないか調べてみる。故障箇所は今まで見つかってない。

仗助

「まぁ仮に壊れてもよ、クレイジー・ダイヤモンドですぐ直せっけどな」

「そうね。足りないパーツはあちしが、ジャック・バウアーで取り寄せれば良いんだし」

仗助

「しっかし、何かこういうの弄ってると妙にテンション上がるよなぁ」

「そうかしら?れんちょんはどう……って、聞くまでもなかったみたいね」やはりハイテンションだったのか、れんげは不思議な歌を口ずさんでいる。

 

れんげ

「♪ゆ~かいな仲間と旅をすっれば~、何となく~歌が出るん~♪」この歌は仗助も忍も知っている、現代日本の懐メロだった。ナゼか合唱する3人。

仗助

「♪お前が作ったでたらめの歌~♪」

「♪あちしの作ったでたらめの歌~♪」

仗助・忍・れんげ

「♪☆ちゅりゃりゃ~、りゃりゃ。よひょひょひょ~お。ヴダァ~、ヴダヴダ~♪」

仗助・忍・れんげ

「♪※ゆ~かいな仲間と旅をすっれば~、何となく~歌が出る(ん)~♪」

「♪アンタの作ったでたらめの歌~♪」

れんげ

「♪ウチの作ったでたらめの歌~♪」

仗助・忍・れんげ

「♪ちゅりゃりゃ~りゃりゃ。よひょひょひょ~お。ヴダ~ァ、ヴダヴダ~♪」

※繰り返し

れんげ

「♪おっちゃんの作ったでたらめの歌~♪」

仗助

「♪俺の作ったでたらめの歌~♪」

☆繰り返し

 

「何歌ってんだか」気持ち良く歌う3人の側にいつの間にか詠と月が立っていた。

「アラ、詠ちゃん?それに月ちゃんも。いつからそこにいたの?」

「ついさっきです。ご出陣があると聞いたのでお手伝いをしに……」

仗助

「オウ、そうか……いつもありがとよ」

「えへへ……これが私のお仕事ですから」褒められて嬉しそうにしながらも、月は謙遜の言葉を紡ぐ。この控えめなところを、ゲッターチームは気に入っていた。あの時、助けて良かったとしみじみと感じている。

「ところで。何?さっきの変な歌……」

れんげ

「変なメガネに言われたくないん」例の一件以来、詠とれんげはあまり仲が良くない。

「誰が変なメガネよ!」

仗助

「……れんげ。変なのはメガネじゃなくて、かけてる本人だからな」

「助け船になってないわよ!」

「詠ちゃん。そんな風に突っかかっちゃダメだよ……」

「アンタ達もからかうんじゃないわよ……詠ちゃんも軍師なんだから、こんなトコで油売ってる場合じゃないでしょ?」

「わ、分かってるわよ!……それじゃ行くけど、月に変な事したら承知しないからね!」

れんげ

「早く行くん!」普段以上のジト目を詠に向けるれんげ。膨れっ面でその場を去る詠。

「れんげちゃん……まだ詠ちゃんの事、怒ってるの?」

れんげ

「今は仕返しのネタを考えてるん。それをやるまで許さないん」

仗助

「ネタってお前ぇ……」

「さて……ゲットマシンに異常はないわね。2人共、他のみんなの手伝いをしに行くわよ。月ちゃんも一緒に行きましょ」

「はい。お供します」

 

 数日後、南方の制圧に乗り出す劉備軍とゲッターチーム。彼らの領域に入っていく様子を、南蛮族の子供3人が目撃していた。

 彼女達はいずれも、虎の毛皮のような露出度の高い衣服を身にまとっていた。正確には着ぐるみに近い格好で、現代日本ならコスプレと称するであろう。そのコスプレ娘3人組、トラ、ミケ、シャムが南蛮の王である孟獲にその様子を報告する。その孟獲も頭にネコ耳、手足に肉球グローブを付けたコスプレ風の姿をしていた。

ミケ

「みぃさまー!なんかにぇ~、ショクのひとたちがせめてきたにょ~?」

トラ

「すぐにおいかえすにゃ!みんなトラにつづくのにゃー!」3人の中では一番活発的なトラが交戦の構えをみせる。

シャム

「どうやっておいかえすにょ?」いつも眠そうにしているシャムが問う。

トラ

「がんばってなのにゃ!」

シャム

「へーにゃー」何とも頭の悪そうな会話が繰り広げられている。

孟獲

「敵なら成敗するのにゃ!」

トラ

「せーばいせーばいにゃ!」

シャム

「でもどうやってせーばいするにゃん?」

ミケ

「ショクってひとたち、いっぱいいるにゃ。みぃさまどうするにゃ?」

孟獲

「むー。ならみんなを集めるにゃ」

トラ

「わかったにゃ!」

シャム

「みんなでてきをせーばいにゃ」

孟獲

「成敗して、逆にショクに攻め入って、そんでショクをみぃの領土にするのにゃ!領土が一杯あれば、おいしいものがいっぱい食べられるし、みんなにハハーッて言われるのにゃ!」やはりこちらの孟獲はアホであった。

ミケ

「みぃさまがショクのおうさまになるのにゃ?」

孟獲

「なりたいじょ!」

トラ

「なりたいにゃ!」

ミケ

「みんなでがんばってせーばいにゃ!」

孟獲

「成敗にゃ!みんなで出陣するじょー!」

トラ

「おうにゃー!」

シャム

「ふぁぁぁぁ~……」張り切るトラに、欠伸をするシャム。上がアホなら、やはり部下もアホなのだった。

 

 南蛮へ入った劉備軍とゲッターチーム。その暑さに辟易する仗助。

仗助

「うへぇ~……暑ちぃな、髪が乱れちまう……」肌にじっとりとまとわりつくような熱気。歩いてるだけなのに、毛穴からドッと汗が噴き出してきて、自慢のリーゼントも溶けかけている。

桃香

「暑いねぇ~……ふへぇ~……」桃香もかなり参っているようだ。

「朱里ちゃん、雛里ちゃん。水と食料の確保……大丈夫?」

朱里

「あまり大丈夫とは言えないかもしれません……」

雛里

「この暑さでは兵糧が持たないでしょうね……」この湿気と熱気では腐るのも時間の問題だ。

朱里

「しかもこの辺りの水は毒水と言われ、漢朝の人間が飲むとお腹を壊してしまいます……」

雛里

「恐らく、何かの呪いが掛かっているのかと……」

「そう……それじゃしまっておくわね」

朱里

「しまうって……どこにですか?」

「どこかしら?ジャック・バウアーに渡せば時間経過なしで保存出来て、自由に取り出せるから……保管場所まで気にした事ないわね」

仗助

「……ただのコンビニスタンドじゃなかったのかよ」

れんげ

「冷蔵庫よりスゴいん……」

桃香

「流っ石ぁー!忍さんがいれば、食料問題は解決だね♪」

仗助

「お前ぇ、そんな便利な使い方あるなら早く教えろよなぁ」

「そうは言っても、ぶっつけ本番って訳にはいかないでしょ?何回か、効果を試してみないと……」

仗助

「ウッ!正論だ……」直情型の仗助と慎重派の忍。意外にバランスの取れた2人の話をよそに、れんげが誰にともなく質問する。

 

れんげ

「この先に南蛮があるんなー。ところで南蛮って、どんなトコなん?」

蒲公英

「暑いところぉ~……」 

れんげ

「そんなのは分かってるん」

蒲公英

「それ以外ないもん~……」

「蒲公英。疲れてるんだったら後ろに下がっとけ……だらけた姿を見せられる身にもなれよ。士気が下がる」

蒲公英

「ううっ、お姉様の意地悪……」

「まぁ翠の言う通りだな……将なら将らしく、しゃんと背筋を伸ばしておけ」

蒲公英

「はぁ~い……」渋々と言った風に蒲公英は背中を伸ばす。伸びきってはいなかったが。

れんげ

「それで……南蛮ってどんなトコなん?」

朱里

「そうですねぇ~……まずこの国の住民は家ではなくて洞穴に住んでいるそうです」

雛里

「獣じみた格好をしていたり、見た事もない食べ物を食べたり……」

仗助

「文化が全く違うって事か……」

「敵の規模とかはどうかしら?」

桔梗

「それほど大きな部隊はおらんだろうな」

愛紗

「なぜそう言えるのだ?」

桔梗

「南蛮の人間は部族単位で動く……部族には必然的に口を賄える人数しか居ない」

仗助

「なるほどな」

桃香

「じゃあ……狙い通り、短期決戦で決着を付けられるかな?」

鈴々

「それはムリなのだ。だって地の利は南蛮の奴らが持っているんだから」

桃香

「あ、そっか……うーん……じゃあ長期戦になるかもしれないねぇ」

「こんな密林じゃ、ゲッターも動かしづらいし……」

仗助

「それは覚悟しとかねえとな」

??

「当然なのにゃ!」突如、ここにいる誰かのモノではない声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




作中でゲッターチームが歌っているのは、1960年公開の東映アニメ『西遊記』の挿入歌です。オリジナルから、一人称と二人称を若干変えてます。
原作との違い
・主人公は月と詠に口説き文句めいた発言をして、詠がツンデレる。→れんげが詠と仲良くないので変なメガネ呼ばわりされる。
・南蛮の水を飲料水にしようと、主人公はろ過装置の製作を提案→忍のジャック・バウアーで水と兵糧をしまって保管。
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