ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです 作:越後屋大輔
桃香
「ど、どうしよう~(困)」
桔梗
「これは防ぎようがないのう」諦めモードになっている蜀軍の中、ニヤリとするゲッターチーム。
仗助
「ヨッシャ、試すか!」
忍
「コスモゲッターの初陣ね!」
れんげ
「一回目はウチが行くーん!」3機のゲットマシンが展開され、搭乗する3人。
れんげ
「チェンジ、セントールなん!」ガルーダ号が前足側に、マーメイド号が後ろ足側になり首のない馬を形作る。その上にセントール号が被さり、人型の上半身と化してケンタウルスの姿が現れた。
ゲッターセントールは巨大パヤパヤを、ガッシリと受け止める。最初のゲッターでゲッターGと闘った時はパワーで押し負けたが、ゲッターセントールは力押しでも引けをとらない。
れんげ
「デカさだけじゃないのん!パワーも桁違いなん!」驚いているのは操縦桿を握るゲッターチームだけではない、実は合体した姿を見たのは蜀軍一同も初めてだった。
愛紗
「……あれは人馬か?」
卑弥呼
「げったあすりいとやらとは別の形体じゃな……」一方で、コスモゲッターの巨大さに腰を抜かす孟獲。
孟獲
「な、何にゃ?!あの化け物は……」
桔梗
「あれはこすもげったあと言う。鬼神と呼ぶに値する、我が蜀軍の隠し玉じゃ」
仗助
「オイ!クソ猫!」コスモゲッターから仗助の声が聞こえた。
孟獲
「は、はいにゃ!」コスモゲッターを恐れてか、クソ猫呼ばわりを否定もせず、素直に返事をする孟獲。
仗助
「こいつ、どうすりゃ元に戻る?!」
孟獲
「二本ある尻尾の内、後から生えた方を切れば元に戻るにゃ。けど最初からある尻尾を切ると更に狂暴になるのにゃ!」孟獲の言う通り、確かに巨大パヤパヤには赤と青の尻尾が2本ある。
仗助
「どっち切りゃ良いんだ?!」
孟獲
「わ、分からないにゃ!」
れんげ
「そんなの無責任過ぎるん!」
忍
「どっちにしろ、この場で切るのはムリそうね。海へ誘導するわよ!」
れんげ
「分かったのん!オープン・ゲット!」分裂したゲットマシンは並び順を変えて、再び合体した。
仗助
「チェンジ、ガルーダ!」黒いベースカラーと大きさ以外、ほぼゲッター1と同じ姿になるゲッターガルーダ。パヤパヤを挑発すると海のある方を目指して飛んでいく。パヤパヤは咆哮を上げながら、追いかけていった。
桃香
「行っちゃったね……」パヤパヤとゲッターガルーダが去った密林にポツンと残された桃香達。
愛紗
「海へ行くと言っていたが……朱里。この辺りに海岸はあるのか?」
朱里
「はい。私達の足では遠いのですが、地図の上ではここからあまり離れていない所に海岸があります。げったあならさほど時間も掛からず辿り着くでしょうね」
雛里
「最初のげったあは一刻で約百五十里、進めるそうです。こすもげったあなら、更に早いかと」
翠
「あのデカさだもんなぁ~……」
蒲公英
「蒲公英も乗ってみたいなぁ」
星
「止めておけ。あれは素人が乗ってどうにかなるモノじゃないらしいぞ」
卑弥呼
「確か連中はげったあだけじゃなく、すたんどとか言う不思議な技も使うようじゃのう」
鈴々
「そうなのだ。人を岩にくっ付けて固めちゃったり、書物に封じ込めたり、火を簡単に付けられるモノとかを手に入れたり……他にも色々な事が出来るのだ」忍が炊事用にと、チャッ○マンを取り寄せたのを覚えていた鈴々が、卑弥呼の後に言葉を繋げる。
紫苑
「げったあにすたんど……あの三人がその気になれば、大陸全土を支配するのも容易いハズ……」
愛紗
「そうしないのは彼ら自身の矜持が許さないのだろう」
桔梗
「敵に回せば恐ろしい事、この上ない奴らじゃな」それを聞いた孟獲と子分3人はお互いを抱き締めながらブルブル震えている。尤も全員、少し脅かすぐらいの気持ちで、半ばハッタリを構したに過ぎないのだが。
ミケ
「こ、こわいにゃ……」
トラ
「ト、トラたちはたべてもおいしくないのにゃ……」
孟獲
「ショクのおうさまになるどころじゃないにゃ。逆らったらころされるにゃ……」
シャム
「い、いのちだけはおたすけにゃ……」
桃香
「私達もげったあちいむもそんな事しないから大丈夫だよ♪」泣き出しそうな孟獲達を慰める桃香。どんな時でも優しさを絶やさないのが、彼女が彼女たる所以である。
海にやってきたゲッターチームはパヤパヤを上手く海岸まで誘導すると、再び分離した。
忍
「チェンジ、マーメイド!」今度は忍を先頭に合体した。その名の通り、腰から下は尾びれになっている人魚の姿で、全体的に女性的なフォルムのゲッターだ。フィールドは上空から海中へ移る。思惑通り、パヤパヤは海を渡り始めた。砂に足を取らかれながらも、ゲッターマーメイドを追い続けるパヤパヤ。見事に策に嵌まり、その巨体は海中に沈んでいった。
忍
「ランスのペンチでどちらか一本の尻尾を切るわよ。正しい方を切れば元の大きさに戻るのよね」
れんげ
「間違ってたらどうするん?」
仗助
「そしたら俺がくっつけりゃあ済むこった。狂暴化が進んでも、海中じゃ大して動けねえしな」
忍
「その為に海まで誘導したのよ」
れんげ
「そうなん?あ!」
忍
「どうしたのよ?」
れんげ
「元に戻って、小っちゃくなったら象さん溺れるん!」
仗助
「すぐ引き上げっから心配ねえよ」
忍
「それじゃいくわよ。ゲッターランス!」ゲッターマーメイドの肩から、両方の先端がそれぞれドリルとペンチになっている槍を射出すると、ペンチ部分で青い方の尻尾を切る忍。パヤパヤは断末魔の咆哮を上げたと思いきや、忽ち光に包まれて、元の可愛らしい子象に戻った。
桃香
「あっ、仗助さん達戻って来たよ♪」
孟獲
「パヤパヤは?パヤパヤは無事かにゃ!?」
星
「その心配は杞憂だな」ゲッターガルーダの頭上にはパヤパヤが乗っていた。
孟獲
「パヤパヤーッ!」
パヤパヤ
「パヤッ!」パヤパヤがゲッターチームと地面に下りると、孟獲が半べそで抱きついてきた。
孟獲
「ゴメンにゃ!ゴメンにゃ!もう二度と悪霊を取り憑かせたりしないのにゃ!許してにゃ!」パヤパヤは主の抱擁に抵抗を見せる様子もないので、謝罪を受け入れたようだ。
仗助
「んで、こいつはどうすんだ?」仗助は孟獲の首根っこを掴むとブラーンッと垂れ下げてみんなの前に差し出した。
孟獲一派以外全員
「「「「あ、猫……」」」」全員が声を揃えて呟いた。それに耳をピクンッと反応させた孟獲が、暴れて地面に飛び下りる。
孟獲
「誰が猫にゃ!」
忍
「全体的に?」
孟獲
「猫じゃないにゃー!」再び癇癪を起こす孟獲だったが
蒲公英
「にゃにゃにゃにゃにゃー♪」蒲公英がからかうように、孟獲の口調を真似る。
孟獲
「ぐぬっ……みぃの真似するにゃー!」
蒲公英
「だって可愛いんだもーん、仕方ないにゃ♪」
孟獲
「フシャー!真似したらダメなのにゃー!」
忍
「あー、はいはい。蒲公英ちゃんもあまり挑発しないの……孟獲もあちし達に勝てないのは分かったでしょ?」
孟獲
「猫じゃにゃいもん……」
忍
「ええ。よーく分かってるわ……で、孟獲。素直に降参してくれるかしら?」
孟獲
「いやにゃ!みぃはまだ負けたわけじゃないのにゃ!」確かに直接闘った訳ではないから、負けてないといえなくもないが……。
蒲公英
「……ププッ、さっきまでげったあにビビって泣いてたクセに……」口に手を当てて、笑いを堪える蒲公英と、
仗助
「猫が物覚え悪りぃってのはホントだな。ゲッターを勾玉に戻した途端、強気になりやがって」隣で額に青筋を浮かべる仗助を宥めつつ、穏やかに話を進める忍。
忍
「まぁ……そういうと思ったわ。じゃどんな風になったら自分の負けを認めてくれるの?」
孟獲
「うにゅー……みぃと闘って勝ったら、おまえたちの強さを認めてやるにゃ」
忍
「え?でも貴女は今、あちし達に捕まってるでしょ?どうやって闘うの?まさかまた一騎打ちでもする?」
孟獲
「一騎打ちはいやにゃ。この変な頭、ボコボコ殴るから嫌いにゃ」
仗助
「……俺の頭がどうだってぇ~!手ン前ェ、本気でぶち殺すぞ。ゴラァァーッ!」
忍
「止めなさいよ仗助。それで、どうやって闘うの?」
孟獲
「……みぃを逃がしてくれたらいいのにゃ。逃がしてくれたらみぃは闘えるにゃ。そのときおまえらが勝てば、みぃは降参するにゃ」
仗助
「……っざけんな!」仗助は孟獲に掴みかかったが、忍がその腕を払い除ける。
忍
「良いわ……じゃあ逃がしてあげるけど、すぐに再挑戦しに来てちょうだい」それを聞くと孟獲は笑顔になり、
孟獲
「当然にゃ!そのときはケチョンケチョンのプリンプリンにしてやるにゃ!」
忍
「フフッ。楽しみにしてるわ……仗助、この子を逃がしてあげて」
仗助
「マジかよ?!せっかくボコれるチャンスなのによぉ」
忍
「良い案が有るのよ(地球の孟獲ってさ……ゴニョゴニョ)」
仗助
「
忍
「朱里ちゃん、雛里ちゃんも良いかしら?(……ゴニョゴニョ)」
雛里
「後々の事を考えれば、忍さんの作戦が一番効果があるかもしれませんね」
朱里
「だね。じゃあ忍さんの作戦でいきましょう」
蒲公英
「何の話?蒲公英も混ぜて♪」
れんげ
「ウチも混ざるーん♪」忍は蒲公英とれんげにも耳打ちして、この後の計画を聞かせる。
忍
「……じゃあ孟獲。逃げて良いわよ」
孟獲
「ホントにゃ?!ウソじゃないのにゃ?」
忍
「疑り深いわねぇ……大丈夫よ。逃げてくれて良いわ」
孟獲
「じゃあ……行くにゃ」テコテコと歩き出した孟獲が、数歩進んだところで再び後ろを振り返る。
孟獲
「ホントに行っていいにゃ……?」
忍
「良いわよ」テコテコ……
孟獲
「……」テコテコテコ。
孟獲
「ホントのホントに行って良いニャ?」
忍
「ええ」猫の習性か、孟獲は何度も何度も後ろを警戒しながら、徐々に忍達から離れていく。やがて充分な距離を取ると
孟獲
「バーカバーカ!おまえらなんて次に会うときはギャフンッて言わせてやるにゃ!」可愛い捨て台詞を吐いて逃げていった。
れんげ
「ギャフンって言わせてやるって言っても、ホントにギャフンと言った人は見た事ないのん」
忍
「まぁ……可愛いからいいじゃない」
朱里
「逃がして良かったのですか?」
仗助
「後で思い知らせてやらぁ」
蒲公英
「ちゃんともう一回来るかなぁ?」
忍
「来るわよ。絶対に」
蒲公英
「となると……準備は早い方が良いよね?」
忍
「そうね。孟獲へ仕掛ける罠、一杯作っといて」
蒲公英
「りょーかーい。へへ~、こういうイタズラ、大好きなんだよね~♪れんちょん、行こっ」
れんげ
「あーい!」喜々とした表情の蒲公英がれんげを誘い、一緒にスキップしながら立ち去っていった。
忍
「楽しそうねぇ……」
雛里
「蒲公英ちゃん、天性のイタズラっ子ですから」
朱里
「でも……蒲公英ちゃんのイタズラの標的にされるなんて、孟獲ちゃんが可哀想ですね」
仗助
「俺ぁ、いい気味としか思わねえがな」
忍
「ま、良い薬になるんじゃないかしら……あちし達はじっくり楽しみましょ」
雛里
「クスクスッ……忍さん、酷いですよ」
朱里
「あははっ」話し合いを終えて、忍はこの後の作戦を全員に説明する。当初、孟獲を逃がした事を非難した桃香達だったが、理由を聞くと、みんな、一斉に顔を綻ばせる。
忍
「……みんな性格悪いのね。って、あちしが言う事じゃないわね」そしてしばらくその場に留まり、孟獲を捉える準備に入った。
次回は孟獲対七縦七禽をお送りする予定です。
今回はアニメ版との違い
・孟獲がパヤパヤに悪霊を取り憑かせるのは七縦七禽の罠にかかってから→パヤパヤが元に戻った後、降参させる為に罠を仕掛ける。
・パヤパヤの尻尾は、巨大化する前に、寝ぼけた孟獲に噛まれた痕に気付いた鈴々が切る→間違った尻尾を切っても暴れないよう、海へ誘導して忍が切る。原作、アニメ、オリ展開のミックス回でした。