ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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いよいよ大詰めか?
以前、閑話とした30,5話ですが、読み返して矛盾点をみつけたのでズラしました。


第四十二席朱里、同盟を切り出すのこと

 竜虎相打つ―。

 

 北方より大軍を擁して行動を開始した竜が、暗雲切り裂く稲妻のような勢いで東方の国境線を突破。対する江東の小覇王も、突風のような素早さで全土に総動員令を発し、徹底抗戦の構えを見せる。まさに風雲急を告げる大陸の情勢は、蜀にとっても他人事ではなかった。

 

 ~成都城、会議室にて~

 

「ついさっき、北と東に放っていた細作から急報が入ったわ。2つの大勢力が全面戦争に入ったそうよ」

桃香

「いよいよ闘いの火蓋が切って落とされたんだね」

仗助

「ああ。攻め入った曹魏の兵力は、噂では100万を越すらしいぜ」

蒲公英

「ひゃ、百万?!なにそのデタラメな多さ……」

愛紗

「……対する孫呉の兵力は?」

朱里

「約四十万だという噂です」

「総動員してそれか。圧倒的な差だな」

雛里

「はい。両勢力の兵数はあくまで噂の段階でしかないとはいえ、その差はまさに圧倒的です」

桔梗

「ふむ……それならば今は曹魏より、孫呉の動きが気になるな」

鈴々

「徹底抗戦って言ってるけど……どこまで保つのか分からないのだ」

「鈴々の言う通りだな。いくら孫呉の王が英雄と呼ばれている人物だったとしても、兵数の差ってのは絶対的なモノだ」

卑弥呼

「敵よりも多くの兵を集める。兵法の基本じゃな。そういう意味でも曹魏は兵法に沿い、孫呉は兵法に沿えていない……」

紫苑

「その差を覆すには、何かしらの奇策を用いるか」

朱里

「または兵を増やすか、ですね」

桃香

「兵を増やすって……そんな事出来ないでしょ?今の段階で総動員を掛けてるんだし」

雛里

「自国の兵だけが兵という訳ではありません……それに孫呉には美周朗さん(周瑜のアダ名)がいらっしゃいますから」

仗助

「他国を巻き込む……ってのか?」

朱里

「考えても見て下さい。今の兵力で北方の竜、曹操さんを止める事は不可能です。そして孫呉が敗れた後、曹操さんの矛先が向かう先は……」

「あたし達って事か」

朱里

「そう考えるのが妥当ですね。美周朗さんほどの人物がそこを見逃しているハズがありません」

雛里

「対して、私達もその状況を見抜いてますから……導き出される答えは一つかと……」

仗助

「孫呉と蜀の同盟、って訳か」

「確かに北方の巨人、曹操に対抗するには、劣勢の者同士が手を組むしかないわね。(そうしなければ各個撃破されてしまうのは、歴史を見ていれば分かるわ)」

雛里

「今、ここで決断しなければ、私達は座して死を待つしかなくなるでしょう」

愛紗

「それほどまでに大陸の状況は急を要しているという事か……」

「さもありなん。反董卓連合より続いていた諸侯の割拠も、曹操、孫策、そして我らの三陣営に収束した……後は誰が最後まで立っているかを決定するだけだからな」

桃香

「三人一緒立つ事って……出来ないモノなのかなぁ……」

愛紗

「またそのお話ですか……」

桃香

「私……諦めきれないんだ。皆、やり方は違えど目指すところは一緒なんだから。だったら協力しあえば、きっとこの国の未来はずっと明るくなると思うの」

鈴々

「お姉ちゃんの言う事は分かるけど、人はそう簡単に自分のやり方をまげられないのだ」

「そうだよ……皆、この戦乱の終息を願いながら生きてきた中で……死んでいった奴らの想いを、その背中に背負ってるんだから」

「翠の言う通り。誰しもがその心の中に、誰かの想いを託されているのですからな」

桔梗

「桃香様よ。甘い事を言っていれば、いつかは足下を掬われるぞ」

桃香

「……みんな反対なんだね」

朱里

「いいえ。私は反対じゃないです」

仗助

「朱里?どういうこった?」

朱里

「桃香様のお話を聞いて、色々と考えてみたのですが……一つだけ、方法があるかもしれません」

愛紗

「方法?」

朱里

「はい……先ほど星さんが仰ったように、この大陸は最早三つの勢力を残すのみとなっています」

卑弥呼

「曹操、孫策。そして桃香様じゃな」

朱里

「そうです。その三人の中で、旺盛な領土的野心を持っているのは曹操さんのみ」

「え?でも孫策だって南下して大陸南部を領土に組み入れてるだろ?それってやっぱり天下に野心があるからじゃないのか?」

朱里

「逆ですね。孫策さんは北方の穀倉地帯に行きたかった。でも曹操さんが居るからいけない……だから南部に進出するしかなかった。南方にも小規模とは言え、穀倉地帯はありますし、何より海沿いの土地を手に入れる事で、貿易による収入が大幅に増えます。国を維持する為には、国民の口を賄い、衣食住を整えなくてはいけないのです」

愛紗

「必然にかられて南部に進出したというのか?」

朱里

「はい。ですから覇道を進む為に侵攻している……という訳ではないと思うんです」

桔梗

「しかし孫策は江東の小覇王と呼ばれる英雄だろう?天下統一の志がないとは思えんが」

朱里

「……反董卓連合の頃は天下統一の志を持っていたと思います。でも競争相手の曹操さんの膨張が急激過ぎて、既に太刀打ち出来ないのを悟っていると思うんです」

「天下統一を諦めて……じゃあ孫策は何を考えているのかしら?」

雛里

「王という立場にあれば、天下の次に考えるのは自国の保全……他者に負けない国作りを考えるならば、南方に進出し、人材、兵力、兵糧と軍資金を確保する……筋の通る話ですね」

朱里

「事実、南方を手に入れた後の孫策さんは、北方の曹操さんに突っかかるでもなく、私達に戦を仕掛けるでもなく、ただ時を過ごしていただけでしたから……」

蒲公英

「……でも、それがどうして桃香様の理想の話に繋がるの?」

朱里

「天下統一の野心がない人だからこそ、天下の平穏を願う桃香様の言葉に同調してくれるハズです。但し……それぞれが持つ天下、という事ですけど……」

愛紗

「それぞれが持つ天下……?どういう事だ?」

朱里

「私達には蜀という天下がある。孫策さんには呉という天下がある……そして曹操さんには魏という天下で満足してもらう。互いが互いを見張りながら、不干渉を貫けば、三つの天下の平穏を保つ事が出来るでしょう。これが……私の考えた天下三分の計です」

桃香

「あ……そんな考え方があったんだ……」

「ふむ……漢王朝時代や黄巾の乱の時と違い、今、残っている勢力は、好んで悪政を敷くような国家ではない……つまり三勢力の間で争いがなくなれば、天下も乱れんという事か」

朱里

「この大陸に住む全ての人々を幸せにする……そんな桃香様の理想は、かけがえのないモノですし、素晴らしい理想だと思います。でも、その夢を叶えられないならば、天下を三つに分けて、それぞれの理想に沿った国作りを行う方がより現実的だと思うんです」

仗助

「天下三分の計、か……」地球でも有名な天下三分の計は、確かにこの状況で聞けば魅力的な案と思われる。しかし……

仗助

「その計画で行くにしても、第一勢力の曹操を何とかしねえと、意味がねえな」

朱里

「そうです。その為にも、曹操さんの勢力を削がないといけません……三国の均衡を保つ為に」

愛紗

「その為の蜀呉同盟、か」

朱里

「はい。その同盟を締結する時機も、今をおいて他にないでしょう」

「確かに……孫策が自力で国を守っている時にこの話を持って行っても、歯牙にも掛けて貰えないわね」

仗助

「孫策が危機に瀕している今こそ、この策が燦然とした輝きを放つって事か……桃香」

桃香

「うん……現実と理想。その間にある溝を埋める事は出来ないけど。だけど今、朱里ちゃんの案が一番良いって事、判ってるつもりだよ」

「ありがとう、桃香ちゃん……じゃあみんな。朱里ちゃんの話してくれた天下三分の計。今後はこれをあちし達の基本方針にしましょ」

愛紗

「現実と理想。(わきま)えなければならない立場に居るという事だな……」

「全てを背負いこむ事は出来ん……不甲斐なくはあるがな」

桔梗

「……で、仗助。我らはどうする?」

仗助

「出陣準備をしといてくれ……俺と忍、れんげと朱里は孫策のところへ向かう」

桃香

「じょ、仗助さん達がっ?!ダメだよそんなの!」

愛紗

「そうだ!危険過ぎるぞ!」

「だけど誰かが孫策の下に行って、天下三分の計の話をしないといけないわ」

桃香

「なら私が行く!」

仗助

「却下。お前ぇはこの国の代表だ。呉との同盟が成った後、誰が軍を率いんだ?」

「ならあたしが行こうか?」

「却下。翠ちゃんは桃香ちゃんの補佐をしなくちゃいけないわ」

鈴々

「じゃあ鈴々が行くのだ!」

仗助

「気持ちは嬉しいけどな、多分、鈴々じゃ孫策の弁舌に歯が立たねえよ……交渉ってのは駆け引きが必要だからな」

れんげ

「コスモゲッターで行くから心配しなくて良いのん」

愛紗

「……私は絶対についていくぞ。却下されてもついていくからな」

仗助

「イヤ、そうなると城が手薄に……」

愛紗

「星に任せておけば大丈夫だ」

「……ふっ。まぁやってやろう」

「……判ったわ。仮にも交渉人が護衛もなしじゃあ、格好もつかないしね。愛紗ちゃんは仗助についてちょうだい。後……恋ちゃん」

「……(コクッ)……恋もついてく」

朱里

「……ではすぐに出立の準備をしますね」合わせて6人で呉に向かおうと、話がまとまりかけた時、桔梗と卑弥呼が割り込んできた。

桔梗

「朱里よ。出立の準備は八名分で頼むぞ」

朱里

「えっ?」

桔梗

「げったあちいむの心意気、しかと拝見した。我が命を盾としてお守りしよう」

仗助

「いや、けどよ……」

卑弥呼

「問答は無用じゃ。本来ならこういう場にはワシら、年寄りが出向くモノ」

桔梗

「若い奴らのお守りは紫苑に任せておけば良い」

紫苑

「あらあら。私だって同行したいのに」

れんげ

「それはダメなん。璃々ちゃんもいるから、紫苑おばちゃんは留守番してるん」

紫苑

「ふふっ……はいはい」笑顔でれんげに応じる紫苑。例え一時的でも、幼くして親と引き離すのを憐れに思ったれんげの気遣いを尊重した。何より、れんげ自身がその想いを一番良く分かっている。

仗助

「とにかく。孫策とは話を付けるぜ……みんなは俺達の報せが届いたらすぐに出陣出来る手筈を整えていてくれ」

桃香

「……分かったよ。だけど絶対に……無事に帰ってきてね、仗助さん」

仗助

「ああ。約束する」その言葉は、ただの気休めにしかならない。多分、仗助も桃香も承知しているであろう。それでも言葉を発する事で、自分達に言いきかせている。何があっても仲間達の下へ帰る……と。

 

 こうしてゲッターチームはゲットマシンを展開させず、呉に向かう事にした。それから間もなく軍師として朱里を、更に護衛についた愛紗、恋、桔梗、卑弥呼を率いて呉へと出発した。

 

 

 

 




次回は呉との交渉。孫策が久し振りに登場します。
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