ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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第四十三席蜀呉同盟、結ばれるのこと

 仗助達が呉に入国した頃、孫策の陣営では遊撃部隊隊長にして、隠密の周泰が現状報告を行っていた。

周泰

「孫策様!曹魏の軍勢が江陵(こうりょう)にまで進出してきました!現在、甘寧様、黄蓋様のお二方が防戦の指揮を執っていらっしゃいますが、兵数の差がある為、このままでは突破は時間の問題かと!」これを受けた孫策は新米軍師、呂蒙へ指示を飛ばす。

孫策

「呂蒙!兵二万と共に江陵に進出し、甘寧、黄蓋を助けに向かえ!」

呂蒙

「は、はいっ!」呂蒙は大急ぎで支度を整えて、江陵へ向かった。

孫策

「周泰は引き続き、遊撃部隊を率いて行動。威力偵察を行え!」

周泰

「御意!」周泰も戦地へ戻り、孫策の側には軍師周瑜と妹の孫権だけになる。

孫策

「やるわね、曹操の奴も……」

周瑜

「英雄と呼ばれている人物だ。このくらいは当然の事だろう」

孫策

「そうでしょうね。けど……いかんせん、兵力に差がありすぎるわ。只でさえ、例の化け物に国を襲われて兵力が落ちているのに……反撃のしようがない」この場にそぐわない、落ち着き払った孫策の様子に妹、孫権は興奮気味に苦言を呈する。

孫権

「何を悠長な事を言っているのです!江陵を突破されれば、江夏(こうか)盧江(ろこう)淮南(わいなん)を通り、曹魏の軍勢が呉に到達する事になります!」

孫策

「それぐらい分かっているわ……少し落ち着きなさい、蓮華(れんふぁ)

孫権

「しかしっ!」尚も食い下がる孫権に声を荒げる孫策。

孫策

「落ち着け蓮華!」

孫権

「……っ!!」姉の剣幕に声を詰まらせる孫権だった。妹を叱責した孫策は再び穏やかになり、話を続ける。

孫策

「……焦ったところで曹魏との兵力差は埋まらない。今は手持ちの兵力で、どうやって曹魏を防ぐかが大切なの……一戦一戦の優劣ではなく、もっと大局でモノをみなさい」

孫権

「は、はい……」

孫策

「……と、偉そうに説教してみたものの、曹魏を防ぐ策っていうのが今イチ浮かばないのよね~」肩をすくめる孫策。

周瑜

「こと戦術だけで言えば、今の状況を覆す事は不可能に近い……しかし闘いを戦術面でのみ語るなど愚の骨頂というやつだ」

孫策

「何か案でもあるの?」

周瑜

「ああ……巨大な曹魏の勢力と正体不明の化け物相手に、呉一国で対抗する必要などない」

孫権

「どういう事だ?」

孫策

「あ、なるほどねー」

孫権

「……??姉様は分かったのですか?」

孫策

「まぁね~♪」

周瑜

「つまり……他国を巻き込めば良いという事です、蓮華様」

孫権

「他国を?しかし曹魏や化け物に抵抗出来る勢力など、他にあるのか?」

周瑜

「あります……大陸の西南にね」

孫権

「西南……あ……劉備か!」

周瑜

「そうです。そして劉備も、いや諸葛亮や鳳統も、恐らく私と同じ事を考えているでしょう」

孫策

「私達呉が曹魏に屈したら、次は自分達の番だもんね」

孫権

「つまり……劉備と同盟するという事?」

周瑜

「はい。劉備と同盟を結び、呉蜀で曹魏にあたるのです」

孫策

「そうしなくちゃ、呉に未来はなさそうね」

周瑜

「……残念だけどね。曹魏の膨張があまりにも早すぎたし、化け物を相手に出来るのはあそこしかないもの」

孫策

「……あのおチビちゃんがここまでやり手だったとはね。計算違いも良いとこよ」

周瑜

「愚痴を言っても始まらないぞ、雪蓮……今はどうやって劉備を説得するか、その方策を……」そこへ兵の1人が客の来訪を報せにきた。

兵士(モブ)

「申し上げます!」

孫権

「なんだ!」

兵士(モブ)

「ただいま、蜀よりのご使者が到着されました!孫策様との面会を申し出ております!」

孫策

「あらら……向こうも必死なのかな?」

周瑜

「機を見るに敏、という奴だろうな……流石諸葛孔明だ」

孫策

「まぁこの策……劉備側が考えていたとしたら、施すのは今しかないからね」

周瑜

「そういう事だ……で、どうする」

孫策

「んー……使者に会ってから決めるかな。劉備の本気具合も知りたいし」

周瑜

「本気でなければ並び立つ事は出来ん、か……よし。使者をここへお通ししろ」

兵士(モブ)

「はっ!」

孫策

「どう考える?」

周瑜

「劉備が本気ならば、それなりの地位の人物を使者として寄越すだろうな」

孫策

「そうよね……もし劉備と並び立つ事が出来ない場合はどうする?」

周瑜

「私と雪蓮の頸二つと引き替えならば、曹操も呉の降伏を受け入れてくれるだろう」

孫策

「受けた、やっぱそうするしかないかぁ~」

孫権

「何を言っているのです!雪蓮姉様こそ呉の象徴!冥琳こそ呉の柱石!その二人を失って、民は何を支えに生きれば良いのです!」

孫策

「曹操を支えにすれば良いんじゃない?……呉という国の枠が必要なんじゃない。呉に住む人々、そして孫家の血を後世に残す事が重要なのよ」

孫権

「そんなの……曹操が孫家の血族を皆殺しにする可能性だってあります!」

孫策

「ないわ、そんなの。曹操はもう一つ上の人間……孫家の血を絶やせば呉の大地がどうなるか。ちゃんと分かってるわよ」

周瑜

「だからこそ強敵なのですよ、曹操は」

孫権

「しかし……」

孫策

「問答はこれでお終い……今はまだ、私達の頸を差し出すって決めた訳じゃない。あくまで劉備が頼みにならなかった後、曹魏に追い詰められた時っていう、限られた条件を設定した上での仮定の話よ」

孫権

「仮定の話でも、ご自分のお命を粗末に扱うような発言、しないで下さい……私と小蓮にとってはたった一人の大切な肉親なのですから……」

孫策

「……ごめん。心配してくれてありがと」

 

??

「あら?兵士さんにこっちに行けって言われたんだけど……来ちゃマズかったみたいね?」

??

「取り込み中か。なら待たせてもらおうぜ」

周瑜

「ん?貴様は……」

仗助

「劉備からの使者だ。俺は東方仗助、こっちは藤崎忍」

れんげ

「にゃんぱすー。ウチ宮内れんげなん」

「……反董卓連合の軍議の時以来ね」

周瑜

「ああ」

孫策

「東方仗助に藤崎忍って……あの?」

仗助

「どのかは知らねえが……一応、天の御遣いなんて言われてる3人だ」

孫策

「ふーん……」

れんげ

「ウチだけ名前言われなかったん……」

「まぁまぁれんちょん。で……えーっと、孫策さんってどちらに居るの?」

孫策

「孫策は私……で、こっちが周瑜。こっちは妹の孫権よ」

「これはご丁寧に。よろしく」

仗助

「よろしく」

孫権

「……」

仗助

「うわぁ……(露骨に警戒されてんなぁ)」

周瑜

「ふむ……で?我らの陣にやってきた理由は?」

「……お分かりでしょ?」

孫策

「何がかな?」

仗助

「今の状況だ……分かってねえっていうなら、俺達は帰らせてもらうぜ?」

周瑜

「……ふ。我らの腹を探るつもりか」

仗助

「当然だ」

孫策

「食えない連中ね」

「お褒めに預かり光栄の至り……で。どうする?話してくれるかしら?」

孫策

「……そうね。腹の探り合いをしてる場合じゃないものね」

周瑜

「そうだな……察するところ、同盟の申し込みに来たというところか」

仗助

「……まだ腹を割る気はねえか?」

孫策

「……」

周瑜

「……食えない奴らだな、本当に」

「こっちもそれだけ必死なのよ」

周瑜

「ならば言い直そう。同盟の提案をする為に、我らのところに来たというのだな?」ここでずっと黙っていた朱里が口を開いた。

朱里

「そうです。曹魏に対抗する為の唯一の手段……蜀呉同盟を組む為に来ました」

周瑜

「ん?お前は……?」

朱里

「諸葛孔明……劉備様の軍師です」

孫策

「貴女があの諸葛孔明?……稀代の軍師とかはわわ軍師とか言われてる」

朱里

「はわわ……はわわじゃないですもん……」

周瑜

「驚いたな……あの諸葛孔明がこのような少女だったとは……」

「見た目は可愛い女の子だけど、この子は正真正銘、諸葛孔明よ」

孫策

「そうなんだ……こんな小さな子が、あの名軍師諸葛孔明とはねぇ~」

朱里

「はぅ……」珍しそうな視線を受けて、朱里は恥ずかしそうに仗助の背中に隠れてしまう。

仗助

「おい、朱里。隠れちまったら話が出来ねえだろ。ほれ」

朱里

「は、はい……」おずおずと前に出てきた朱里が、

朱里

「えと……曹操さんの勢いを阻止するには、蜀と呉が同盟を組み、共同戦線を張らなければならないと思うんですけど……どうでしょう?」

周瑜

「……うむ。それはこちらも考えていた……やはり孔明もそこまで見通していたのだな」

朱里

「現状を考えれば、その答えにしか行き着きませんから……」

孫策

「蜀と呉、二国で同盟を組んで曹操や化け物に当たる。それしか方法がないのは分かるけど……」

仗助

「何か懸念があんのか?」

孫策

「貴方達を信じて良いのかしら?」

仗助

「これだけは信じて貰うしかねえな……いくら言葉を尽くしたところで、それが真実かどうかを証明する方法なんてねえんだしな」

「ただ……あちし達はあちし達の信じる真実を伝えて、あちし達が信じる行動をとる……それだけよ。けど、もしあちし達が信用に足らないと判断したのなら、同盟を破棄して、曹操についてもらっても構わないわ」

孫策

「へぇ?そこまで言っちゃうんだ」

仗助

「俺達は裏切らねえって自信があるからな」

孫策

「ふーん……」そんな呟きと共に、孫策は仗助の目をジッと見つめる。心の奥底を覗き見ようとするその視線を、仗助は怖じけずに見返した。やましい事は何もないのだから。

 

 するとその背に、フワッと浮かんでいるモノに気づいた。

仗助

「おい!孫策。背中のそれっ……」

孫策

「あら、見えるの?……周瑜にも孫権にも見えなくて、話しても信じてくれなかったのに」

れんげ

「当然なん。ウチらも持ってるん!」

「貴女にも見えるでしょ?あちし達はこれ(・・)をスタンドと呼んでるわ」仗助、忍、れんげは自分達のスタンドを披露する。

仗助

「俺のは『クレイジー・ダイヤモンド』破壊されたモノの修復やモノとモノを融合させられる」

「これは『ジャック・バウアー』異界の品を購入したり、時を止めた状態で保管する事が出来るわ」

れんげ

「C&Cファクトリーなん。偽物なら何でも作れるのん。後、人とかに色付けたり本に封印出来たりするん」

孫策

「みんな名前を付けてるのね。私は……何てしようかな?」

孫権

「姉様。それより……」話に夢中になっていた孫策は孫権に嗜められると、

孫策

「ゴホンッ」と咳払いを1つ吐いて

孫策

「良いわ。劉備と同盟を組みましょう。私達にも余裕がある訳じゃないし」

仗助

「ホントかよっ?」

孫策

「ただし……裏切った時の覚悟はしておきなさいよ」厳しい目でジッと睨み付ける孫策に朱里は怖いのか、俯きがちになる。対してれんげは堂々としていた。

れんげ

「大丈夫なん。ウチらは裏切ったりしないのん!」

孫策

「そう願いたいモノね」

朱里

「状況的に、孫策さんを裏切ったとしても私達には何ら得はありません……今は曹操さんの勢力を削ぐ事こそが重要です」

周瑜

「同感だな……しかし孔明よ。曹操の勢力を削いでどうする?」

朱里

「天下の美周郎さんなら、天下三分……と言えばご理解頂けるかと思います」

周瑜

「天下三分……ふむ。そういう事か」

孫策

「えっ?えっ?どういう事?」

周瑜

「曹操、劉備、そして孫策。天下を三つに分けるという事だ」

孫策

「―あ!……なるほど!そんな考え方があったんだ!」

孫権

「どういう……事です?」

朱里

「つまり……曹操さんの治める魏。孫策さんの治める呉。そして劉備様の治める蜀。この三つをそれぞれの天下とし、力の均衡を保つ事で相互干渉をなくすという事です」

「そうすれば大陸に平穏が訪れるでしょ?」

朱里

「ですが今は曹操さんの勢力が大過ぎて、均衡を図る事が出来ない……その為にも蜀と呉が同盟を組み、曹操さんの勢力を削がないと」

孫策

「そして勢力の均衡を図る、か……良い案だとは思うけどね……劉備はその案に賛成しているのかしら?」

仗助

「賛成してるぜ。桃香……劉備の目指すところは平和な世と人々の笑顔。昔は乱世を鎮め、大陸全土の人達を幸せにするって考えてた」

「でも暴政がまかり通っていた昔と、勢力が集約しつつある今とでは状況が違うわ。曹操も孫策も……良い為政者だってのは重々承知してるの。してるからこそ、もう闘いの連鎖を止めたいのよ。それが民達の幸せに繋がると思うから……」

孫策

「劉備は天下を諦めたの?」

仗助

「元々、天下統一が目的で起った訳じゃねえ。乱世に苦しむ人達を助ける為には、天下統一をしねえといけなかっただけだ。けど今は曹操と孫策がいる……2人の下で暮らす人々が幸せならそれで良いんだ。そして……それは孫策だって同じだと、俺は思ってるぜ」

孫策

「私の心を読んだつもり?」

仗助

「どんなに取り繕っても、スタンドは誤魔化せねえよ」

れんげ

「スタンドは正直なん」

孫策

「ヤダ。これ、不利な面もあるのね」そう言いながら、ニヤッと笑う孫策の顔が、仗助の言葉が当たっている事を雄弁に語っていた。恐らく、王として、公に野心……支配者の理念とも言えるそれを否定する事は出来なかったのだろう。 

孫策

「良いでしょう。あなた達の考えは理解した。私もその考えに賛成よ……天下三分。それが出来るならそれに越した事はないわ」

れんげ

「ありがとなーん」

仗助

「それじゃあ具体的な話に移ろうぜ」

 

 とりあえず、交渉は成功したのでゲッターチームと朱里は孫策達と更に踏み込んだ相談をする事にした。なお余談だが、孫策は自らのスタンドを『浄玻璃の鏡』と名付けたそうだ。

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