ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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原作では報われない華雄が、ナゼかかこちらでは大活躍?


第四十八席話黄蓋、華雄とつるむのこと

愛紗

「お前達!どうしてあんな物言いを許したんだ!」激昂する愛紗。

桃香

「そうだよぉ~。同盟してるんだから、少しは私達の意見、聞いてくれても良いと思う」桃香も不機嫌そうに仗助へ詰め寄る。

卑弥呼

「あ奴ら、ワシらを舐めておらぬか?」

桔梗

「う~む。腹が立つのぉ」みんなの怒りが収まらないとみた忍が、先ほど約束した通り、アレ(・・)と話した事を説明する事にした。

「ん……まず一点。周瑜の発言に関してだけど、これには裏があるの。みんな……近寄って」不審がるみんなを忍が手招きして、陣地の中央に集めると、互いの肩と肩が触れ合うぐらいの円陣を作らせる。ゲッターチームもその中に加わる。

「ここなら誰かに盗み聞きされる心配はなさそうね。良い?周瑜と黄蓋の喧嘩……あれは本気じゃないわ」

「本気じゃない?……ならば芝居か?」

仗助

「オウ。敵を騙す為にはまず味方から……って奴だな」

桃香

「でも……何の為に?」

「曹操にトドメを刺す為よ……朱里ちゃんと雛里ちゃんも気づいてるでしょ?」忍は先ほどから黙り込んでいた朱里と雛里に、説明を促した。

朱里

「はい……恐らく、軍議の席上であのような発言をして喧嘩したのは、その喧嘩……つまり周瑜さんと黄蓋さんの不仲を大々的に喧伝する為だと思います」

白蓮

「喧伝?何でそんな事する必要があるんだ?将の不仲なんて、弱点にしかならんだろ?」

雛里

「普通の場合ならそうですけど……そこが周瑜さんの考えた策だと」

「策ねぇ……何だよ、その策っての」

雛里

「あわわ……そこまでは分かりませんけど……」

仗助

「まぁとにかくだ。あの2人の喧嘩は、多分演技だって事、納得してくれ」何か知っていそうな仗助が説得する。

桃香

「うーん……仗助さん達がそう言うなら、納得はするけど……」と、明らかに納得していない桃香の様子に、苦笑しながら、

仗助

「とりあえず俺達は休憩してようぜ。何か動きがあるにしても、日のある内は起こらねえだろうしよ」

朱里

「何か起こるとしたら夜……皆さん、すぐに対応出来るよう、心の準備だけは怠らないで下さいね」

愛紗

「分かった」

 

 蜀一行とゲッターチームを遠ざけた周瑜は孫策と2人きりになる。未だ難しい顔をしている周瑜に、孫策は半ば呆れたような笑顔を見せる。

孫策

「……派手に罵られたわねぇ~」

周瑜

「……」

孫策

「祭ってば、この時とばかりに好き勝手言っちゃって……ノリノリね、全く」

周瑜

「……雪蓮。私は自分の天幕に戻る……貴女も休んでおいて」

孫策

「了解~」

周瑜

「それにしても、雪蓮の勘の正体が……すたんどだっけ?」

孫策

「フフン。欲しい?……って言ってもあげられないけど。じゃ、お休み♪」孫策もその場を去り、周瑜は1人呟く。

周瑜

「さて……この策……どう転ぶか。天のみぞ知るといったところか……」ほくそ笑む周瑜。

 

 ~その夜~

 

黄蓋

「ふむ。そろそろ頃合いか」コッソリ天幕を抜け出した黄蓋。傍らには周瑜の指示で解散したハズの部隊の兵士が、確認するように彼女に問う。

兵士(モブ)

「はっ。しかし……本気なのですか?」

黄蓋

「当然じゃ……貴様らは儂を信じてついてくるだけで良い」

??

「……黄蓋よ」闇の中から、誰かが声をかける。

黄蓋

「貴様は……?」

沙羅

「劉備軍の華雄だ。イヤ、元劉備軍と言った方が良いか……」

黄蓋

「……ほう。では、貴様も劉備を見限ったと?」

沙羅

「今の劉備様はげったあちいむの言うがままになっている。これ以上は付き合いきれん。黄蓋、お主は曹操に降るのだろう?私も連れていってくれ」

黄蓋

「良かろう」沙羅のこの言葉に側にいた華雄隊兵士の1人が

兵士(モブ)

「華雄様。本当に寝返るおつもりで?」

沙羅

「今はまだ、詳しい事は説明できん……頼む。私を信じてくれ」

兵士(モブ)

「はっ。我ら華雄隊、もとよりこの命は華雄様にお預けしております」

兵士(モブ)

「黄蓋隊も同様です。いかようにもお下知を」

黄蓋

「すまん……では行くぞ華雄」

沙羅

「応っ」

 

 この非常事態に気づいた周泰は報告の為、すぐに孫策の天幕にやって来た。

周泰

「孫策様ーっ!」

孫策

「ん?明命(みんめい)どうしたの、そんな血相かえて」

周泰

「こ、こ、黄蓋様が!」

孫策

「祭がどうしたの?」

 

周泰

「元黄蓋隊の兵士及び、劉備軍の華雄とその配下の兵士を全て引き連れ、陣地を脱走致しました!」

孫策

「なにっ?!」

周泰

「ど、どうしましょう?追いかけて良いのかどうか分からなくて……」

孫策

「追いかけろ!陣地を脱走したのならば、黄蓋は曹魏に寝返ろうとしているぐらい、分かるだろう!合流させるな!」

周泰

「は、はいっ!」騒動の中、詠が呉の陣地にやって来た。かなり焦っているようだ。

周瑜

「お前は……蜀の軍師の一人だったな。確か名は……」

「賈駆よ。それより我が軍の華雄が黄蓋と連れだって曹操に降ったって本当?」

孫策

「間違いないわ。うちの周泰がその目で見たのだから」

「……そう。ならボクは蜀から出す追撃部隊の編成をしておくわ。そっちは?」

周瑜

「こちらも追撃部隊を出す……その指揮は陸遜に執らせる。周泰、呂蒙はその補佐をしろ。蓮華様と興覇は本陣で待機だ」周瑜の指示に頷いた周泰。

周瑜

「それと陸遜にはこう伝えろ。全て分かっているだろう、とな」

周泰

「全て分かっているだろう……了解です!」

孫策

「後、蓮華には良ーく言い聞かせなさい。我が命に背く者は妹といえど厳罰に処す……ってね」

周泰

「りょ、了解しました!あの……蜀の方々には?」

「蜀のみんなにはボクから伝えておくわ。ありのまま、包み隠さず、ね」

周泰

「はっ!では!」周泰は力強く頷き、指示通り陸遜の下へ向かった。

 

 詠から話を聞いた愛紗は驚くのと同時に、呆れてもいた。

愛紗

「黄蓋が脱走しただと?はぁ……言わんこっちゃない……」

「不味いな……この混乱をあの曹操が見逃すハズはない。忍よ。至至急臨戦態勢を整えよう」

「そうね。星ちゃん、愛紗ちゃんを中心に動いてちょうだい」

愛紗・星

「「応っ」」星と愛紗は返事をすると兵をまとめに天幕を出る。

仗助

「……いよいよ作戦決行、だな」

朱里

「これが周瑜さんと考えた策の一端なんですか……?」

仗助

「ああ。正確には孫策へ持ち出した案を、周瑜に通して考えた策だけどな」赤壁の闘いの重要な要素である火計、連環の計、そして苦肉の策。今は、その苦肉の策を実行している状況だ。

「紫苑さん、桔梗さん」

紫苑

「はい」

桔梗

「応っ」

「火矢の準備を頼むわ。呉の動きを注視しつつ、連携して動けるようにお願いね」

紫苑

「ええ」

桔梗

「任せておけ」火矢の用意の為、移動する紫苑と桔梗。

仗助

「よろしくな……桃香」

桃香

「はいはーい」

仗助

「呉勢の混乱を見て、一般の兵達は状況が分からなくて不安になってるハズだ。愛紗達と協力して部隊を統制してくれ」

桃香

「あ、そうだね。じゃあみんなに言ってくる!」元気良くその場を走り去る桃香を見送る仗助と忍。今度は朱里と雛里を呼び出す。

「お願いよ……朱里ちゃん、雛里ちゃん」

朱里・雛里

「「はい」」

「あちし達はこれからどう動こうかしら?」

朱里

「曹操さんに大打撃を与える為の一環として、今の状況が作られたのでしょう。ならば私達が取る行動は一つかと」

仗助

「1つ?」

雛里

「この場で、この状況に乗ってみせる。それも迫真の演技と共に」

仗「……なるほどな」何の為に味方まで欺いているのか、答えは簡単。真の混乱でなければ、曹操を騙す事など出来ないからだ。

「……失敗したわ」

朱里

「何をですか?」

「愛紗ちゃん達に周瑜と黄蓋、2人の喧嘩は芝居だって教えちゃったじゃない。あの娘達に迫真の演技なんて出来ないわよ。多分」

仗助

「みんな正直者ばかりだしな……演技とか、絶ってームリだぜ」急に不安になる2人に雛里のフォローが入る。

雛里

「……案外、忘れているかもしれませんよ」

仗助

「あー……」

「あり得るわね、それ」4人で愛紗達が集まっている場所に視線をやると、

愛紗

「くっ!皆、落ち着け!敵が奇襲してきた訳じゃない!」

「おいこら、馬休、馬鉄!お前らどこ行くつもりだ!突撃命令なんて出してないぞ!」

卑弥呼

「敵か!敵はどこじゃ!ワシの天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)が唸るぞい!」

蒲公英

「ねぇねぇ~……」

愛紗

「ええい落ち着け!落ち着いて隊列を整えろ!」

鈴々

「敵の奇襲なのだ!みんな配置につけー!」

愛紗

「違う!鈴々、違うぞ!落ち着いて状況を確認するんだ!」

鈴々

「敵はどこだー!」

愛紗

「落ち着けというにー!」

蒲公英

「……演技だって仗助さん達言ってたよねー?」

卑弥呼

「邪馬隊整列せい!早くせんかー!」

「だから馬休、馬鉄!撤退じゃないってば!お前らちょっとは落ち着け!」

鈴々

「鈴々の蛇矛が火を噴くのだーっ!」

蒲公英

「……はぁ」案の定、みんな忘れているらしい。全員パニクっている中、ただ1人冷静な蒲公英は大きく嘆息した。

 

 呂蒙を伴って、長江で追撃部隊の指揮を執る陸遜に周瑜からの伝言を告げる周泰。キョトンとした表情を浮かべる陸遜。

陸遜

「全て分かっているだろう、ですか」

周泰

「はいっ!そうお伝えしろと周瑜様が!」気合いの入った周泰の受け答えに対して、

陸遜

「んー……何だろ?」何ともすっ頓狂な返事の陸遜。ヘナッとなる周泰と呂蒙。

周泰

「ええ?!穏様、何も分かっておられないのですかっ?!」

陸遜

「何となーくは分かってるんだけどねぇ~……」

周泰

「うう……では我らはどうしたら良いのでしょう?穏様に従えとの命令なのですが……」

陸遜

「……ま、何とかなるでしょー♪」相変わらずポヤンとした陸遜の一言に呂蒙も呆気に取られる。

呂蒙

「か、軽いですね、穏様……」

陸遜

「だって考えても分からないモノは分からないですし……っておおっ?!」何か閃いたのか、眉間に皺をよせる陸遜。

陸遜

「むむむー?」

呂蒙

「何がむむむですか」呉では珍しい事でもないらしく、嘆息した呂蒙が突っ込む。

陸遜

「周瑜様と黄蓋様、二人の口喧嘩……そして愛の逃避行……?そこから導き出される結論とはっ?!」勿体ぶった言い回しの陸遜に呂蒙と周泰、2人の期待も高まる。

周泰

「結論とはっ!?」

陸「……あー、やっぱり考えても分かり分かりませーん♪」ズッコケる2人。今夜も陸遜は通常運転だった。

周泰

「はぁ~……穏様、しっかりして下さいよぉ」

陸遜

「あははー。まぁまぁ。考えても仕方がない時はちゃちゃっと動くのが楽ですー」

呂蒙

「では部隊を移動させますか?」

陸遜

「うんうん~。黄蓋様を追いながら、迫真の演技で攻撃開始です♪」

周泰

「へ?え、演技ですか?」

陸遜

「もとい!真剣に追撃しちゃいましょう~♪ただし火矢の使用は禁止ですよぉ?」

周泰

「え、でも……火矢を使わなければ、船を止める事は難しいですが……」

陸遜

「良いから良いから。火矢禁止は徹底させて下さいね♪後、帆を狙うのも禁止です♪」

周泰

「は、はぁ……」

陸遜

「火矢を使わず、帆を狙わず、頑張って黄蓋様を止めましょうね、明命ちゃん♪」

周泰

「が、頑張ります!」

陸遜

「頑張って下さーい。ではでは、追撃部隊、出発しんこー♪」普段からポケーッとしたイメージのある陸遜。だがやはりただ者ではなかったようである。




次回、呉を離れた黄蓋の真意が明らかに?
原作との違い
・主人公は、周瑜と黄蓋の喧嘩が芝居だと雰囲気で見抜く→ゲッターチームはアレを使って、芝居に一枚噛んでいる。
・部下を率いて呉の陣営から脱走する黄蓋→沙羅が黄蓋に合流、共に行動する。
・孫策と周瑜が周泰から黄蓋脱走報告を受ける→話に詠が加わる。
・桃香達に事の次第を伝えたのは周泰→詠
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