ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです 作:越後屋大輔
こちらは黄蓋の沙羅が乗る船。兵士が2人に伝える。
兵士(モブ)
「黄蓋様!華雄様!後方から追撃部隊が……!」
沙羅
「何ぃっ?!」
黄蓋
「慌てるでない華雄。で……旗は?」
兵士(モブ)
「月が隠れているので正確には分かりませんが、陸という文字が見えたとの報告が……」
黄蓋
「穏か?ふむ……ならば分かって動くじゃろう……総員戦闘準備!」
沙羅
「戦闘準備だと!」声を荒げる沙羅を静かに制する黄蓋。
黄蓋
「(落ち着かぬか。これも作戦の内じゃ……)そうじゃ。追っ手に対して攻撃を開始せい。ただし回頭はまかり成らん。儂らの行動の本質を忘れるでないぞ?」
兵士(モブ)
「は、はっ!」黄蓋軍兵士は戸惑いながら返事をする。
黄蓋
「状況を見て曹魏の陣に駆け込むぞ。早舟を出して魏に知らせてやれ。儂が降ってやろうとな!」
兵士(モブ)
「了解です!」
黄蓋
「頼むぞ……総員、弓構えぃ!」
兵士達(モブ)
「「「「応っ!」」」」
黄蓋
「追撃部隊の帆を狙い打て!日頃の訓練で培った腕前、とくと見せてやれ」
「「「「応っ!」」」」
黄蓋
「……てぇーーーぃっ!」ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン!弓矢VS弓矢の壮絶な射ち合いの音が曹魏の陣地にまで響く。この光景を曹魏の側から李典と于禁が見ている。
于禁
「ひゃっ?!スゴい音なの」
李典
「本気で闘ってるみたいやな……つか、あいつら誰やろ?沙和、旗見えるか?」
于禁
「旗ぁ~旗ぁ~旗ぁ~……あ、見えた」目をジッとこらして于禁が見た旗は……
李典
「旗標、なんて書いてある?」
于禁
「黄?黄って旗標が見えるの……後、華って……誰?」
李典
「黄……黄……蜀呉で黄が付く名前っちゅーたら、黄蓋に黄忠やな。華は知らんけど」
于禁
「んー……でも蜀って確か緑を基調とした旗を使ってるよね?でも黄の旗は紅いの。呉の方かな?」
李典
「呉の黄蓋?……絶対嘘やー。沙和の見間違いやないのぉ? 」
于禁
「ぶー。じゃあ舞桜ちゃん、自分で見てみりゃ良いじゃんかー」
李典
「ごめんごめん……でも黄蓋言うたら呉の宿将やんか?それが味方に追われてこっちに向かっとるって……信じられへんやろ?」
于禁
「んー……分かんない。そこらへんの判断は、桂花ちゃん達に任せるの」
李典
「まぁそれが無難かぁ……よっしゃ。ほんじゃ陣地に戻ろか。これ以上ここにおったら、戦に巻き込まれてまうわ」
于禁
「りょーかい♪」
その頃─────。
楽進
「華琳様ーっ!」楽進が緊急事態を知らせようと、曹操の下へ走ってきた。
曹操
「ん?凪?どうしたの?」
楽進
「たった今、蜀呉の陣地で動きが!」
曹操
「やっと動いたか!」
楽進
「いえ、それが……」
曹操
「……??どうしたの?」
楽進
「軍事行動というモノではなく、何か混乱しているようなのです……」
夏侯淵
「混乱?」
楽進
「はっ!状況を把握する為、李典と于禁の二人を威力偵察に出しました。おっつけ詳報が届くかと思います」
曹操
「そう……良い采配ね。ご苦労様」
楽進
「はっ!」
曹操
「秋蘭。桂花達を呼んでくれる?」
夏侯淵「御意」
曹操
「春蘭。今の状況に対するあなたの意見は?」
夏侯惇
「はっ。敵はいよいよ決戦を挑んでくるかと!……と言いたいところですが───残念ながら、この状況下において決戦を望むほど馬鹿な将は、蜀呉には居ないでしょう……とすればこの混乱した状況は、蜀呉においても不測の事態と言えるのかもしれません」
曹操
「不測の事態、か……美周朗と伏竜の二人に不測というモノがあるのかどうか」
夏侯惇
「……華琳様。影に怯えてはいけませんよ?」
曹操
「え?……ふふふっ」
夏侯惇
「え?あ、えと……また私は変な事を言ってしまいましたか……?」
曹操
「いいえ。あなたのお陰で目が覚めたわ。ありがとう春蘭」
夏侯惇
「……?はい!」
軍師3人、荀或、郭嘉、程昱が曹操の下へ勢揃いした。あの貂蝉も一緒だ。
荀彧
「華琳様。お呼びにより馳せ参じました」
曹操
「みんな揃っているわね」
荀彧・郭嘉・程昱・貂蝉
「「「「はっ!」」」」荀彧を始め郭嘉と程昱、貂蝉が敬礼の意を示し、返事をする。
曹操
「状況は把握しているかしら?」
荀彧
「御身のお側に至る前に、李典、于禁の二人より報告を受けました」
郭嘉
「蜀呉陣地の混乱は、どうやら将の脱走が原因のようですね」
曹操
「将が脱走?」
荀彧
「御意。状況の不利を悟り、魏に降る為に脱走したようです」
夏侯惇
「脱走とはな……しかし誰だ?その脱走したという腑抜けた将は」
程昱
「正確にはまだ分かりませんが、船に掲げられた旗標から見て、呉将黄蓋と蜀将華雄かと」
夏侯惇
「なにっ?!黄蓋といえば呉の宿将じゃないか」
荀彧
「そう。歴戦の勇士にして呉の宿将……華琳様。この脱走騒ぎ。何か裏があると見るべきです」
郭嘉
「私もそのように思います」
程昱
「……保留?ですねー」
曹操
「保留?」
程昱
「はい。細作からの情報では、呉の大都督周瑜と黄蓋の二人が、軍議の途中、激しく口論したとの事でした。黄蓋の性格は、豪快にして
貂蝉
「確かに。華雄はともかく、孫家に先代から仕えている黄蓋が離反するのは考えにくいわね……」
曹操
「ふむ……」
夏侯惇
「考えるまでもないでしょう……黄蓋の降伏など何かしらの策略。処理するのが得策です!」
曹操
「……いいえ。結論はまだ出さないわ……風。黄蓋達が降伏するというのならば、一度話がしたい。謁見の準備をしておきなさい」
荀彧
「華琳様!それは危険です!」
郭嘉
「桂花の言う通りです!迂闊過ぎます!……風、準備などするなよ!」
程昱
「……二人共少し落ち着いて欲しいモノです。謁見し、人と為りを見なければ真意は見抜けません。また、降ってきた将の言い分も聞かずに処理してしまっては、覇王としての評判が地に落ちるのです」
曹操
「そういう事よ……桂花、稟。最早これ以上の抗弁は必要ない」曹操は二人に強く命ずる。
荀彧・郭嘉
「「は……」」こうなっては黙るしかない荀彧と郭嘉であった……。
程昱
「では謁見の準備をします……華琳様のお側には、常に季衣ちゃんと流琉ちゃん、貂蝉さんを控えさせておいて下さいね」
黄蓋を追い続ける穏の追撃部隊。その脇には音々音、美以とその子分達。そして忍で編成された追撃部隊が並んでいる。
兵士(モブ)
「黄蓋様!曹魏の陣地にて動きが!どうやら我らを迎え入れるようです!」
黄蓋
「釣れたか!……よし!我らは全力で曹魏の陣営に飛び込むぞ!」
兵士(モブ)
「華雄様!我らの左右に位置する軍勢も動き出しました!後方の追撃部隊に対して攻撃を仕掛けるようです!」
沙羅
「黄蓋に続け!何としても追い付かれるなよ!」
黄蓋と華雄に逃げられた追撃部隊。それぞれの船では喧々囂々と言い合いが響く。
周泰
「くっ!後一歩だったのに……!」
陸遜
「あらら~。曹魏の部隊が動いちゃいましたねぇ~……では皆さん、サクッと後退しちゃいましょ♪」
呂蒙
「でも穏様!目の前に黄蓋様がいらっしゃるのに……っ!」
陸遜
「黄蓋様は呉を裏切り、曹魏についちゃいました。仕方ない事ですねー」
呂蒙
「そんなぁ……」
陸遜
「私達はここで兵を減らす訳にはいきません。さっさと後退しましょ♪」
呂蒙
「……は」
陸遜
「では皆さ~ん。怪我した人の手当をしながら後退しましょー♪」
周泰
「はっ!」
呂蒙
「……黄蓋様」
陸遜
「んー……ちょんちょん」呂蒙の肩を指で軽く叩く陸遜。一方、忍達の船では……
美以
「忍
トラ・ミケ・シャム
「「「そうにゃそうにゃ!」」」
忍
「もういいのよ。これで当初の目的は果たしたわ」
音々音
「見事に引っ掛かったのです。これにて作戦終了なのです」
美以
「フシャー!」
忍
「つべこべ言ってないでさっさと帰るわよ。帰ってからプリンあげるから」実は忍、ジャック・バウアーで取り寄せたプリンで密かに美以達を懐柔していた。
美以
「やった!プリンにゃ♪」
トラ・ミケ・シャム
「「「プリンにゃプリンにゃ!」」」
忍
「分かったら帰りましょ」
美以
「帰るにゃ♪」
音々音
「全く。相変わらず甘いですのー」
忍
「プリンだけにね♪音々ちゃんにもあげるわよ」
音々音
「う!べ、別にねねは……プリンなど欲しくは……あるのです」陸遜達の船に話を戻すと……
陸遜
「
呂蒙
「どういう事でしょう……?」
陸遜
「視野が広ければ、余計な心配をしなくて済むって事です♪」
呂蒙
「……??」
陸遜
「……私達の部隊に死人は出ましたか?」
呂蒙
「え?……あ」
陸遜
「出てませんよね。ふふっ……流っ石黄蓋様、気持ち悪いぐらい兵を鍛えてますよねぇ~」
呂蒙
「で、でも死人が出ていないって、その意味は……」
陸遜
「さてさて。それは本陣に戻ってからのお楽しみですよ♪じゃ、さっさと戻りましょ♪」
呂蒙
「は、はい!」
さて、黄蓋と華雄は曹魏の陣地で曹操に謁見していた。
曹操
「お前が黄蓋。そして……華雄か」
沙羅
「如何にも」
黄蓋
「そうだ……魏の覇王、曹操殿。降伏を受け入れてくれて感謝する」
曹操
「構わない。有能な人材を失うのは天の損失……しかし、なぜ降伏を選んだ?」
黄蓋
「誇りの為に……文官風情に罵倒されて黙っていられるか」
沙羅
「……私はげったあちいむに頼ってばかりの劉備にウンザリした。これ以上付き合いきれん」
曹操
「……それだけか?」
黄蓋
「それだけとは異な事を言う。武を生業にし、武に生きる者にとって誇りこそ、己の証明。拠って立つ大地のようなモノ。その誇りを穢されてなぜ尽くせる?なぜ闘える?のぉ。魏武の大剣よ」
夏侯惇
「うむ。良く分かるぞ、その気持ち」
黄蓋
「であろう?そういう事だ」
曹操
「……なるほどね……その言、信じましょう。では黄蓋よ。この私に何を捧げる?」
黄蓋
「我が弓と、我が弓がもたらす全ての産物を、曹孟徳に捧げよう」
曹操
「……黄蓋」
黄蓋
「はっ」
曹操
「前線に赴き、対呉戦の最前衛で指揮を執れ……その真意、背中で語って見せろ」
黄蓋
「御意」黄蓋が持ち場へと姿を消し、曹操と2人っきりになった夏候淵はその気持ちを吐露する。
夏侯淵
「よろしいので?」
曹操
「私は覇王。何かを企む者が居たとて、それを拒む事は出来ないわ。世間に対し、天に対し、常に己の能力を誇示し、器量を見せつける……それが覇王というモノよ」
夏侯淵
「御意……そしてその覇王にまつわる些事を処理するのは我ら家臣の役目……そう考えておいて構わないのですね?」
曹操
「覇道を共に歩むあなたなら、分かってくれていると信じているわ……」
夏侯淵
「はっ。では私と姉者の二人で前線を固めます。華琳様は本陣後方にて指揮をお願いします」
曹操
「分かったわ……天は気まぐれよ。気をつけなさい秋蘭」
夏侯淵
「ありがたきお言葉……では」1人になった曹操は誰ともなしに呟く。
曹操
「例え何があったとしても……覇道を選んだ私には、突き進むしか方法はない……天は我が身に何をもたらすのか……」
ところで華雄はどうなったかと言うと
沙羅
「せっかく重要な場面に登場してのになぁ……後半、台詞が全くないなんて……」やはり報われない、残念な沙羅だった。
次回は赤壁の闘い、クライマックス?