ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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前回、後1、2話と言いましたが、もう少しだけお付き合いしていただきます。


第五十ニ席最後の軍議、のこと

 ダイターン3とコスモゲッターが対峙する少し前の蜀陣営。

仗助

「曹操の様子はどうだ?」仗助は朱里と雛里に問う。

朱里

「現在、敵軍は新夜城へと入城し、防御態勢を整えています」

雛里

「しかし新夜城は大軍を容れておくには狭すぎる城です。最後はやはり野外での決戦となるでしょう」

「野戦で華々しく決戦、ねぇ……」

愛紗

「赤壁の闘いと、その後の伏兵奇襲のお陰で、曹操の軍勢は大幅に縮小している」

「現在の兵力で言えば、ほぼ互角……勝てるかは分からんが、負ける要素もないな」

「後はあたし達の活躍次第か……ふふんっ、腕が鳴るってモンだ」

鈴々

「鈴々の強さを見せつけてやるのだ!」気合い充分な愛紗と星、翠、鈴々に対し、ただ1人、桃香だけは不安気だった。

仗助

「どうした、桃香?」

桃香

「うん……これ以上、曹操さんと闘う意味、あるのかなって思って……」

仗助

「闘う意味、か……確かに、ほぼ互角の兵数になった以上、天下三分の計を実行するのに必要な条件は揃ったつっても良いかもしれねえな。けど……難しいぜ、やっぱり。俺達と孫策達はある程度、意志の統一は出来てる。でも曹操がまだ覇道を進もうって限り、手加減してる場合じゃねえ」

桃香

「それは分かってるんだけど……でもね、私、思うんだ。曹操さんの考えている覇道……それはこの国を思っての事。そして私達が考えている、天下三分の計っていうのも、この国の未来を思っての事。私達それぞれの考えが大切なんじゃなくて、この国の事が大切なんだと思うの。私達が暮らす国……良い想い出、悪い想い出……全てが詰まった、私達の国が大切なんじゃないかな……?」

「そうね……だからこそ、曹操にも納得して貰わなきゃ。この国を守りたいからこそ、いがみ合うのを止めたいって。きっと、この闘いはその為にあると。あちしはそう思うわ」

愛紗

「曹操を納得させる為の闘い、か」

朱里

「闘って、曹操さんの力を弱めて……そうしてようやく曹操さんと対等に会話が出来る……」

鈴々

「同じ机につかないと、話なんて出来ないのだ」

仗助

「そういうこった……そして天下三分の計も、曹操が話し合いに応じなければ成立しねえ……俺達はどうしてもこの闘いに勝って、曹操を説得しなきゃならねえんだ。だから桃香……その優しさ、今は表に出すな。お前の気持ちは尊いと思うけど……理想と現実にはどうしても乖離があんだ」

桃香

「それは分かってるよ……ごめん、ちょっとだけ、これで良いのかなって考えちゃって」

「気持ちは良く分かるわ。鬼に抗っていた時とは違う。今の曹操にとって、あちし達の方が強大な敵になっているんだもの。そんな状況の中、力をなくした曹操を叩く事に桃香ちゃんの心が揺れちゃうのもね。だけど今は、天下三分というやり方が、この国の現状に合ってると思うのよ」

仗助

「天下統一も出来ねえ。かと言って、今の状況じゃ、曹操と心を通じ合わせるなんてムリだ……なら、実力で状況を整えて、緊張と共に勢力の均衡を保つ事で平和を作り出すしかねえよ」

桃香

「……そうだね。うん。ごめん、私、また変な事言っちゃったね」

仗助

「全然変じゃねえよ。そこが桃香の良いところだって俺ぁ思うぜ。誰にでも別け隔てなく優しく出来るのはスゲェ事だ」

「状況が変わって……いつか桃香ちゃんの考えるような国になれば良いと思うわ……だけど、今は目の前の事象こそが現実なのよ。あちし達はその現実に対処しなくちゃ……今の現実から導き出された答えを、実現する為に。だからこそ曹操と闘うの。今はそれだけを考えるべきよ」

 

 同刻、曹操がいる新夜城。

 

夏侯淵

「華琳様。各部隊の出陣準備、整いました」

曹操

「ありがとう……ふぅ」

夏侯淵

「お疲れのようですね」

曹操

「ん……少し、自分の歩いてきた道を振り返ってしまってね」

夏侯淵

「……後悔しておいでなのですか?」

曹操

「後悔などするハズがないわ……だけど、目指す頂きに靄がかかったような、そんな状態になっているのも否めない事実……我が行いは果たして天命にかなっているのか……私はこのまま、突き進むべきなのか……それとも歩みを止めるのか……とね」

夏侯淵

「……華琳様」

曹操

「何?」

夏侯淵

「私はいつもこう思っております。天命は天より至るモノではなく、曹孟徳の行いによって曹孟徳に至るモノだ、と。貴女は貴女の信じる道を、ただ真っ直ぐに進めば良いのです。それこそ、我らが愛しい主の姿……貴女が死ぬのなら、私達も死にましょう……貴女が生きるのならば、私達はそれを支えましょう。何が正しいのか、何が間違っているかではない……曹孟徳の選んだ道が、すべからく正義なのです。我らにとっては」

曹操

「秋蘭……」

夏侯淵

「出過ぎた事を言いました。しかし……そろそろ他者の心に現出する曹孟徳ではない。華琳様の心のままに動くのも、良いのではありませんかな?」

曹操

「……そう出来れば良いわね」

夏侯淵

「いつか……出来る時が来るでしょう。時は進み、世は変わる……常に一所に( ひとところ )止まっている事象など、ありはしないのですから」

曹操

「……ありがとう。その言葉、肝に銘じておきましょう。だけど、今の私は曹孟徳の衣を必要としている……その衣と共に出陣しましょう。最後の闘いに向かって」

夏侯淵

「御意……どこまでもお供致しましょう」

曹操

「ふふっ……では秋蘭。軍議を始めましょう。各将を召集しなさい。それと……例の連中もね」

夏侯淵

「はっ!」

 

 呉の陣営で孫策、周瑜と待ち合わせていた蜀一行。そこには既に孫策改め雪蓮と周瑜が待ち構えていた。

雪蓮

「あっ、やっときた……遅いわよ?」

仗助

「悪りぃ。色々考え事しててな」

雪蓮

「考え事?」

桃香

「天下三分の計。その目指すところについて……」

周瑜

「目指すところ、か……天下三分とは、勢力の均衡を保ち、三すくみの状況を利用し、擬似的な平和を作り出そうとする策。無二の平和など存在はしない。平和の裏には必ず駆け引きが存在する……駆け引きをしながら、最後の一線を越える事に対して、三すくみを利用して自制する心を引き出す。それこそがこの策の真髄だ」

桃香

「うん。それは分かってます……でもね、私、思うんです。駆け引きじゃない。心から分かり合える事は出来ないんだろうかって。だって……私と雪蓮さんだって心から分かり合えたんですから」

雪蓮

「……買いかぶりよ、桃香。私は呉の為なら貴女を裏切る事さえ厭わない……そういう人間。心から分かり合えたって、そう言ってくれるのは嬉しいけど。でも誰もが桃香のように、純粋に、無垢に人を信じている訳じゃないわ」

桃香

「でも……逆に言えば、雪蓮さんは呉に何もなければ裏切る事はしないって事でしょう?」

雪蓮

「……それはまぁ。好き好んで大戦を起こそうなんて気はないけど」

桃香

「なら、曹操さんとだって分かり合えるハズ……曹操さんの目指すところも、私達が目指すところも、同じ頂なんですから」

雪蓮

「うーん……まぁ何かきっかけがあって、一致団結出来るなら、それも可能かもしれないけどね」

周瑜

「しかしそんな事は万に一つもないだろう……劉備よ。そんな甘い考えでは───

桃香

「足下を掬われるぞ、でしょ?分かってる。分かってます、それぐらい。だけど……この気持ちを失いたくないです。いつかきっと……曹操さんとも分かり合えるって、そう信じていたい」

「まぁ……今はムリっていうの、桃香ちゃん自身、良く分かっているわ。けど選択肢の一つとして、持っていても良いんじゃないかなって事よ」

仗助

「今はとにかく、曹操と決戦して、それに勝たねえと……何をどう言おうが、結局力がなければ何も出来ねえっのは、真理だと思うしな」

雪蓮

「そうね。闘って、勝って。それからならば桃香の思いを遂げる事も出来るかもしれない。だけど勝ち負けなんてそれこそ運。今は曹操に勝つ事だけを考えましょ」

「ええ……じゃあ話を元に戻すわね。曹操との決戦は野戦になるっていうのがあちし達の見方だけど」

雪蓮

「そうなるでしょう。籠城では真の勝利は掴めない……曹操が考えている事はただ一つ。私と桃香の頸を取る事」

周瑜

「二つの国の王を排除すれば、劣性を挽回し、攻勢に転ずる事も可能だろう。曹操ならば必ず、そう考えるハズだ」

れんげ

「ゲッターはどうするつもりなん?」

周瑜

「それは分からん。だがお前達は人間同士の戦にげったあを投じる気はないのだろう?」

「……曹操もバカじゃないわ。下手にゲッターを動かせばこの大陸が丸ごと沈む、だからゲッターの参戦はない。それぐらい見抜いているのよ」

朱里

「その推測は正しいと思います。だからこそ、曹操さんは籠城ではなく、野戦での決戦を行うでしょう」

雛里

「でも野戦を行うならば、私達にだって有利な点はありますね」

愛紗

「有利な点?」

雛里

「はい。まず第一に、連携の取れていない混合部隊にならなくて済む事」

朱里

「呉軍を右に配置。私達の軍を左に配置して状況に合わせて別個の動きをするんです」

雛里

「基本的な作戦を共有しつつ、別個の軍事運動を行えば、敵は個別に動く二つの軍を相手にしなくてはいけなくなる……」

朱里

「これが籠城戦ですとそうはいきません。城門を突破する為に、蜀呉の混成部隊が総攻撃を掛けるとなると、不測の事態が起こる可能性が極めて高くなりますから……」

「なるほど。至極道理だな」

「目指すところだけ共有しておいて、後は蜀呉で別々に動く、か……ま、その方が気楽で良いな」

鈴々

「連携の浅い部隊が行動すれば、どこかに穴が出るからなー……鈴々もそっちの方が良いのだ」

周瑜

「私も孔明の案に賛成だ……軍事行動は阿吽の呼吸で動かなければならん。にわか連携など役には立たないからな」

雪蓮

「なら基本作戦はそれでいきましょ……桃香もそれで良い?」

桃香

「はいっ!」

仗助

「じゃ、俺達は左翼を担当するぜ。孫策達は右翼を頼む」

雪蓮

「了解。基本的に曹魏の軍勢を包み込む形で展開するって事で良いわね?」

朱里

「はい。がっぷり四つに組んでの闘いは避けましょう……兵力が五分五分になったとは言え、兵の練度は曹魏の方が上でしょうから」

桃香

「西方討伐。北征……曹操さんのところっていつも闘ってばかりだったもんね~」

「そうね。だけどあちし達だって、今まで結構な修羅場をくぐってきたのよ……負けないわ」

桃香

「うん!負けないよ。この闘いに勝って、それで曹操さんを説得してみせる!」

雪蓮

「ま、勝てたのなら、桃香の好きにすれば良いわ……私は呉の事だけを考えさせてもらうから」

仗助

「それで良いんじゃね。呉は呉の、蜀は蜀の事だけを考える。下手に隣の芝生が目に入るから争いが起きんだ。そんなら意識して隣の芝生を見なけりゃ良いんだ……俺達のいた世界じゃ、声高に平和だ平和だって叫んでた奴もいたけどよ。そういう連中は、結局他人の良心を頼りにするしか脳がねえんだ」

「でもそれって違うと思ってたのよ。この世界に来て、それが間違いじゃないって改めて確信したわ。均衡した力関係から成り立つ見せかけの平和……それこそが真の平和の姿なんじゃかしら?」

れんげ

「みんな仲良しなのが一番良いのは当たり前なん。けど、そんなのムリなん。だったら1人1人が努力するしかないのん……そうやって平和を作っていくしかないんなー」だけど。それでも───。

 桃香の理想を実現したい。ゲッターチームがそう願っているのも否定出来ない事実だった───。そして軍議を終え、それぞれの部隊を引き連れ出陣した。

 最後の闘いに向けて───

 

 

 

 

 

 




次回、コスモゲッターVSダイターン3が遂に激突するかしないか……どっちやねん!
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