ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです 作:越後屋大輔
~れんげ視点~
今日もみんなはお仕事が忙しくて、紫苑おばちゃんもアタフタしてて大変そうだったのん。璃々ちゃんは1人でつまんなそーにしてたから、ウチは遊びに誘う事にしたん。
璃々
「れんげちゃーん」
れんげ
「璃々ちゃん今遊べるん?」
璃々
「うん遊ぼ~」とか話してると、紙の束をいっぱい抱えた紫苑おばちゃんにでくわしたん。
璃々
「お母さ~ん」
れんげ
「紫苑おばちゃ~ん」
紫苑
「あら?れんげちゃんと璃々」
璃々
「それ全部お仕事で使うの?」
紫苑
「そうよ」
れんげ
「……重そうなん」
紫苑
「ええ。それでも以前は竹籤を束ねた書簡を使っていたから、随分軽くなったのよ」
れんげ
「パソコンに入力して一括!って訳にはいかないんなー」
紫苑
「ぱそ……なぁにそれ?」紫苑おばちゃんが興味津々だったから、ウチの一応知ってる事を全部話してあげたのん。
紫苑
「天の国にはそんな便利な物が……あとでお二人を問い詰めないと……」
璃々
「ねぇお母さん。れんげちゃんと遊んできても良い?」ブツブツ言ってた紫苑おばちゃんだったけど、璃々ちゃんにそう聞かれるとハッとして笑顔に戻ったん。
紫苑
「良いけどお城の庭でね。迷子になると大変だから」
璃々
「はぁ~い!」
れんげ
「あ~い!」こうして、ウチと璃々ちゃんはお城の庭の中で遊ぶ事にしたのん。
れんげ
「で、何して遊ぶん?」ウチはその時、璃々ちゃんがサッカーボールを持ってるのに気がついたん。この世界にボールがあるハズないから、きっとしのぶんにジャックバウアーで出して貰ったんなー。
れんげ
「毬があるから毬投げでもするん?」ウチは1個思い出したん。この世界は横文字が通じないん。ボールって言っても璃々ちゃんに分かるハズがないん。だから毬って言う事にしたん。
璃々
「お散歩しよ~」
れんげ
「散歩も良いんなー。じゃあここら辺を……」璃々ちゃんは手に持ってる、自分のボールをウチに向けたん。
璃々
「璃々じゃなくてこの子の散歩ー」
れんげ
「うん?」
璃々
「この子の散歩ー」なるほど、少しレベルの高い話だったんな。
れんげ
「もっと詳しく教えてほしいん」
璃々
「あのね、璃々ワンちゃん飼いたかったけど、お母さんが『璃々はまだお世話が出来ないからダメ』って言われたから、代わりにこの子を飼ってるの」そうなんなー。ボールなら餌も食べないし、お世話が要らないんなー。
れんげ
「そうだったんなー。飼ってるなら名前付けたん?」
璃々
「まだ付けてないー」
れんげ
「じゃあウチが付けてあげるん」うーむむむ……閃いたん!
れんげ
「……お団子」
璃々
「可愛い!今日からこの子はお団子ー!」喜んでくれて良かったん、と思ったけど、璃々ちゃんはいきなりお団子を蹴っ飛ばしたん!
璃々
「ダァーッ‼」
れんげ
「お団子ぉ!?」
璃々
「?(キョトン)」
れんげ
「か、飼ってる子なのに蹴るのはまずいん‼」
璃々
「飼ってるけど、毬だよ」
れんげ
「そ、それもそうなん。ウチとしたことが、取り乱してしまったん」気を取り直してウチと璃々ちゃんはボール遊びを始めたん。2人して夢中になっていたけど、地面を転がってたボールがピタッと止まると、璃々ちゃんは冷静になってこんな事を言い出したん。
璃々
「……なんで毬は転がった後、ちゃんと止まるの?」
れんげ
「いきなりどうしたのん!?」
璃々
「璃々、じっとしてろって言われても出来ないのに、お団子はあんなに転がっても止まる……あんなに……丸いのに……」ウチと璃々ちゃんの間に、しばしの沈黙が走ったん。うん!ウチはお姉さんとして、璃々ちゃんの疑問に答えてあげるべきなん。
れんげ
「確かにこの問題は議論にあたいするんな。この謎、ウチが解いてみせるん」
璃々
「おー!!」
れんげ
「実はこの前、空気抵抗という言葉を知ったん。そしてその後に……摩擦という言葉も覚えたん」
璃々
「まさつ!それ、璃々知ってる‼」
れんげ
「摩擦を知ってるとは、璃々ちゃんも中々……」
璃々
「昨日食べた‼」この言葉にウチは再び固まってしまったん……。
れんげ
「摩擦を食べたん!?」
璃々
「うん。甘くて美味しかったー」
れんげ
「甘いん!?」璃々ちゃんは何を言ってるん?
れんげ
「なんで摩擦を食べようなんて思ったのん……」
璃々
「……秋だから」
れんげ
「秋……だから……?」こ、これはウチにも訳が分からないん……。
れんげ
「ま、まあ良いん。で、その摩擦が……お団子と地面の間に摩擦が起きてお団子が止まるん」
璃々
「違うよ。まさつは地面掘れば出てくるの」
れんげ
「……?……?……?……や、やっぱりこの話は止めとくん。ウチはまだ、摩擦の事をしっかり理解出来てなかったみたいなん」
璃々
「そっか……じゃあなんで毬は投げても下に落ちるの?」
れんげ
「それは……地面が引っ張ってるからなん」
璃々
「え~?地面に手なんかないよ?璃々、そんなの見た事ないもん」
れんげ
「地面、ていうより世界はこのお団子みたいに真ん丸なん。でも引力ってゆー、見えない力で引っ張ってるん。天の国の本に書いてあったん」地球とか現代日本って言っても璃々ちゃんには、てゆーか多分、蜀では仗助のおっちゃんとしのぶん以外誰にも分からないのん。だから地球を「世界」、現代日本を「天の国」と言い換えて説明してみたん。
璃々
「世界もお団子みたいに真ん丸なの?」
れんげ
「そうなのん」ウチが説明すると、璃々ちゃんは手にしたお団子をジッと眺めて、呟いたん。
璃々
「でも……縫い目のトコ、でこぼこしてるから……真ん丸じゃないよ」
れんげ
「ハッ!……でもそう言われると……世界にも山や海があるから、でこぼこのハズなん。という事は真ん丸ではないんー!」
璃々
「じゃあ、本当に真ん丸なモノってなーに?」
れんげ
「これも天の国の本で見た事あるん。どんなにつるつるなモノでも、顕微鏡ってのを使って見たら、でこぼこしてるん。それは蟻の脚より細く、砂1粒より小さいん」
璃々
「じゃあ璃々、本当に真ん丸なモノ見た事ないの?」
れんげ
「そういう事になるん……」
璃々
「丸って、何なんだろう……?」またしても、ウチと璃々ちゃんの間を沈黙が駆け抜けていったん……
沈黙に呑まれてウチが璃々ちゃんとボーッとしてたら、桔梗おばちゃんがこっちに向かって走ってきたん!
桔梗
「おっと。れんげに璃々。奇遇じゃな」ぶつかりそうになったけど、桔梗おばちゃんは、サッと躱してくれたから、ウチも璃々ちゃんも怪我しないで済んだのん。流石なんなー。
れんげ
「ボーッとしてたん。ゴメンなのん」
桔梗
「なに。ぶつからなければ、どうという事はない」そう言って豪快に笑うおばちゃんが手に持っていた物を見て、ウチは首を傾げたん。
れんげ
「救急箱なんか持ってどうしたのん?誰か怪我でもしたん?」
桔梗
「いや。今、中庭で翠と蒲公英が手合わせをしているのを、儂を仕事を終えて紫苑と見物しておってな。もしもの時の為に用意しておこうと、ひとっ走りして取ってきたという訳じゃ」
れんげ
「そうなんなー」
桔梗
「で、お主達は何をしておったのじゃ」
璃々
「あのね。この世に真ん丸なモノはないって話してたの」
桔梗
「……はっ?」
れんげ
「詳しくは仗助のおっちゃんか、しのぶんに聞いてほしいん」
桔梗
「まあ良い。ボーッとしているならお主達も、見ていかぬか」
璃々・れんげ
「行くー(ん)♪」
そんな訳で、桔梗おばちゃんと一緒に中庭へと移動したん。
翠
「ほら、どうした!そんなモンか!」
蒲公英
「まだまだーっ!うりゃーっ‼」そこでは翠姉とぽぽたんがお互いの槍を手に、派手に打ち合っていたんよ。紫苑おばちゃんはそれをニコニコしながら眺めていたん。
桔梗
「紫苑、待たせたな」
紫苑
「遅いじゃないの。何して……あら、璃々とれんげちゃんも一緒だったの?」
れんげ
「桔梗おばちゃんに誘われたん」それはそうと、さっきから璃々ちゃんがご機嫌斜めなのん。紫苑おばちゃんの膝に乗っているチビっ子が、その原因なんよ。
美以
「ふはは!しおんは母様のような匂いがして落ち着くのにゃ!」更に紫苑おばちゃんにしがみついたり、もたれかかったり、背中をよじ登ろうとしているチビっ子が3人居たん。
ミケ
「ははしゃまはすべすべなのにゃー」
トラ
「はははぬくぬくなのにゃー」
シャム
「かあ様はふにふになのにゃー」そして、そんな4人を引き剥がそうとしているチビっ子が1人居たん。
璃々
「お母さんは璃々のなのー!とっちゃめー!!」璃々ちゃんは怒りながら、どうにかミケを引き剥がして、続けてトラに手をかけるん。だけど、トラを引っ張ってる内に、ミケがまた紫苑おばちゃんにしがみついて……、トラを引き剥がした璃々ちゃんが、今度はシャムを引っ張るけど、やっぱりその隙に、またトラが飛び付いて……これじゃキリがないん。
翠
「ったく。こっちは真面目にやってるっていうのに、外野は気楽なモンだよな……」
蒲公英
「隙あり~っ!!」翠姉がウチらを気にして、ため息を吐きかけた時、ぽぽたんが襲いかかったん。
翠
「はっ!」翠姉はアッサリぽぽたんの一撃を躱して、反撃したん。
翠
「せっかく隙があっても、叫んだりしたら気づかれるのは当然だろ」
蒲公英
「むぅ~っ……」
れんげ
「やっぱ翠姉の方が強いんなー」
桔梗
「かもしれぬ」
紫苑
「でも、油断は禁物ね」どういう事なん?
翠
「ほら。どこからでもかかってこいよ」
蒲公英
「………あっ!仗助さんが美以を押し倒してるっ!」
翠
「なにぃっ!?」ぽぽたんの一言に動揺した翠姉はバランスを崩したけど、どうにか攻撃を防いだん。
翠
「ひ……卑怯だぞ蒲公英!」
蒲公英
「こんな手に引っかかる方が悪いんだよ~っだ」クスクス笑うぽぽたん。そこにおっちゃんとしのぶんがやってきたん。
忍
「翠ちゃん」2人共、仕事が終わったみたいで、翠姉の側に来るとため息を吐きながら言ったん。
忍
「仗助が大の猫嫌いだって忘れたの?そんな事する訳ないじゃない」
仗助
「ったりめーだ!殺すんならいざ知らず……」
れんげ
「イヤイヤおっちゃん、流石に殺しちゃダメなんよ?」とか3人でバカな話をしていたら、璃々ちゃんのグズる声がしたん。
璃々
「どいてよー!そこ璃々が座るのー!」
美以
「座りたければ、力ずくでどかしてみるがよい」
ミケ
「どかしてみるがよいにゃー」
トラ
「みるがよいにゃー」
シャム
「よいにゃー」
仗助
「そうか……力ずくでどかせて良いんだな……」おっちゃんの目がバトルモードに変わったん!
C・D
「ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラーッ!」
美以
「うにゃ~~~~っ!?」
ミケ
「大王しゃまー!」
トラ
「だいおー!」
シャム
「だいおー様!」おっちゃんのクレイジーダイヤモンドで猫ちゃんはボッコボコにされて、庭の向こうへ飛んでいったん。そしておっちゃんは璃々ちゃんを抱っこすると
仗助
「ホレ璃々。紫苑の膝、空いたぞ」そう言うと、紫苑おばちゃんの上に璃々ちゃんを乗っけたん。
璃々
「ありがとー。仗助お兄ちゃん」
仗助
「よしよし。璃々は良い子だなぁ……」なんかウチをチラッと横目で見ながら璃々ちゃんの頭をなでなでしてたん。
忍
「紫苑さんも……美以ちゃん達を可愛がるなとは言わないけど、璃々ちゃんの気持ちももう少し汲んであげないと」
紫苑
「は、はい……」しのぶんは紫苑おばちゃんに軽くお説教をかましてたん。そんで翠姉とぽぽたんの事をみんなすっかり忘れてて、いつの間にか決着がついてたん。
翠
「勝負ありだな」
蒲公英
「うぅ~。ずるいよお姉様。最後、本気出したでしょ」
翠
「本気を出さなきゃ、ズルズルと長引きそうだったからな。ま、それだけ蒲公英も強くなってきてるって事なんだから、自信持てよ」
蒲公英
「むぅ~……」いまいち納得がいかないって顔で、ぽぽたんがむくれてるん。翠姉は、ぽぽたんの頭をくしゃくしゃに撫でると、みんなの方を向いたん。
翠
「さてと。これだけ暇人が集まってきてるんだから、あたしと一戦やり合おうって奴は居てくれるんだろうな?」
忍
「あれだけやり合っておいて、もの足りないのね。そんじゃあちしが付き合うわ」
翠
「あ?忍が?」
桔梗
「あちしじゃ不服かしら?」
翠
「そういう訳じゃないけど、足技と槍で闘うのは……」
忍
「それ以上は口にしない方が良いんじゃない?負けた時に、余計な恥をかく事になるわよ」
翠
「……言うじゃないか。分かったよ。やろうぜ」
忍
「そうこなくっちゃ」にやりと笑ったしのぶんが、スタンドを出現させて翠姉の側に近づいていったん。
桔梗
「くっ。忍に先を越されるとは……」
仗助
「なんだ桔梗。お前ぇも身体が疼いてんのか?」
桔梗
「お前もという事は、仗助もか?」
仗助
「おう。良い勝負を見せられたからな。少し身体を動かしてえ。それに巴郡の一騎討ちじゃ、まだお前ぇとちゃんと決着つけてねえしな」
桔梗
「ならばちょうど良い」
仗助
「行くぜぇ……」豪天砲を構えた桔梗おばちゃんとスタンドを出したおっちゃんが、広い場所に移動していったん。
蒲公英
「え?ちょっと……みんなやるの?だったら蒲公英だって消化不良だし……」辺りを見回すぽぽたん。けど猫ちゃんは吹っ飛ばされたし、紫苑おばちゃんは璃々ちゃんが離してくれそうにないんな。
れんげ
「だったらウチが相手するーん」実はウチもさっきから闘いたくなってきてたん。これって、きっとゲッターに乗ってる影響だと思うん。
蒲公英
「よ~し。れんちょん、手加減は一切しないからね!」
れんげ
「望むところなのーん!」こうして、璃々ちゃんと紫苑おばちゃんが見守る中でウチらは激しいバトルを、日が沈むまで繰り広げたん。めでたし、めでたしなん。
のんのんびより原作との違い
・れんげと遊ぶのはしおりちゃん(ときメモとは一切無関係。念の為)という、近所に住む年下の子→璃々。
・お団子はどちらかといえばバスケットボール→サッカーボール。
・丸について議論しているところに通りがかったのは夏海→桔梗。この先から恋姫ベース。
・紫苑と桔梗、美以達以外で、翠と蒲公英の試合を見ていたのは愛紗、星、恋、鈴々、魏延。後から白蓮も合流→仗助と忍。
・翠VS蒲公英の試合の後、バトルのカードは翠VS桔梗。愛紗VS星。鈴々VS恋。蒲公英VS魏延→翠VS忍。桔梗VS仗助。蒲公英VSれんげ。その他原作のセリフ等はかなり端折ってます。