ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

272 / 282
残留編を久しぶりに投稿しました。ネタ自体は半年ぐらい前に考えたのに、文にするのに一苦労でした
(⁠・⁠–⁠・⁠;⁠)⁠ゞ


第6話中秋の名月、のこと

 ある秋の日。夏侯姉妹は蜀に逗留していた。この日姉の春蘭は翠と蒲公英を相手に剣の鍛練を行っていたが、昼下がりになって、一休みすることにした。

 小腹が空いた蒲公英は一旦2人と別れ、オヤツを貰おうと城内の厨房を訪れた。

 厨房に来ると、他に人が居らずテーブルの上には団子が乗った皿があった。皿を手にして2人が居る部屋に持っていく蒲公英。

春蘭

「おう蒲公英、何か食い物あったか?」

蒲公英

「ん?厨房にお団子あった」口をモグモグさせながら蒲公英は答える。

「コラ蒲公英!一人でつまみ食いするな!」と言いつつも自分も団子に手を伸ばす翠。春蘭も負けじと団子を頬張る。

「へえ、中に入ってるのカボチャの餡?」

蒲公英

「これはお茶が進むね~」

「最近、魏はどうよ春蘭?」

春蘭

「何?魏の話を聞きたいのか?」

「イヤ別に」

春蘭

「だったら何で話振った!?」とか何とか雑談しながら3人で団子を全て平らげてしまった。

蒲公英

「イヤァ、結構量あったけど一気に食べちゃった。翠姉様、春蘭、この後どうする?」

春蘭

「おう。鍛練の続きでもやるか?」コンコン。誰かが部屋の戸をノックする。ゲッターチームの影響を受けてこんな今までになかった風習が、蜀では少しずつ当たり前と化していた。

 部屋を訪ねてきたのは鈴々と璃々。夏侯姉妹の妹、秋蘭と忍だった。

秋蘭

「おや?姉者も居たのか」

「あれ、みんなどうしたんだ?」

「ええ。今用事がある訳じゃないんだけど……」

璃々

「あのね、今日みんなでお月見するの♪」

鈴々

「今宵は中秋の名月なのだ!で忍お兄ちゃんが作った月見団子や、お酒の肴もでるからお夕食は控えめに、って言いに来たのだ……って話してたらお団子食べたくなったのだ~」

璃々

「璃々も早くお団子食べたーい」

「2人とも夜まで待っててね」

秋蘭

「それじゃ私は失礼しよう。姉者、また夜にな」

「あちしも行くわ。みんなくれぐれも厨房のお団子食べちゃダメよ」

春蘭

「おう、分かってるって」

「そうか、お月見かぁ」

蒲公英

「楽しみだねー」忍達がその場から去ると、冷や汗を流しながら顔を付き合わせる3人。

 

 

春蘭

「どうすんだよ!?団子全部食っちまったぞ」

「どうしよう……お茶と一緒に美味しく頂いちまったんだけど……」

蒲公英

「ヤバいんですけど……!特に璃々ちゃんとかメッチャはしゃいでたんですけど……!」

「そもそも蒲公英のせいだからな!」

蒲公英

「何で!?」

春蘭

「お前が厨房から団子持ってきたんだろうが!」

蒲公英

「二人だってバクバク食べてたクセに!」

「待て!ここで喧嘩しても意味がない。今、私達が考えなければならないのは……」

春蘭

「どう誤魔化すか、か?」

「イヤ。ここはちゃんと謝った方が良い」

蒲公英

「うん、そうだね。春蘭も一緒に謝ろ。ジタバタしたってしょうがないよ」

春蘭

「わ、分かった……」

「良いか、話からして団子は忍が作ったんだ。だからまず忍に許しを乞う」

蒲公英

「忍さん許してくれるかな?」

「分からねえけど……とにかく土下座でもなんでもして謝る!忍さえ許してくれりゃ、あとはどうにかなる」

春蘭

「分かった……で、謝るのは良いがあいつ今どこに居るんだ?」

蒲公英

「多分げったあの整備しているよ。すぐこっちに戻ってくると思うから、土下座待機していよう」

春蘭

「しかし……大人はともかく、璃々やれんげみたいな子供の目の前で土下座するのも情けないな」

「この際だ。つまらん矜持は捨てようぜ」

蒲公英

「そうそう。あとで怒られるよりマシだって」そして忍が帰ってきたら真っ先に目につくよう、城門に面した縁側に正座して土下座の準備をする翠、蒲公英、春蘭。

 

??

「いやあ、今宵は中秋の名月か。月見酒の宴席を設けるとはお主も粋なことを考えるのう」

??

「そういや、ずっと何だかんだでこっちじゃ月見なんてしてる暇なかったしなぁ」

「まあ、ここ最近みんな忙しかったでしょ。たまには息抜きも必要じゃないかと思ってたのよ」

??

「お月見なんて久し振りね」忍と一緒に戻ってきたのは桔梗だった。しかも……璃々の手を引いた紫苑も一緒に居る。

翠・蒲公英・春蘭

「「「土下座じゃ済まない人達来ちゃったー!」」」ヤバい!マズい!どーするよ!?と互いに目を合わす3人。 更に愛紗と桃香、仗助。星にれんげと璃々もあとからついてきた。

れんげ

「翠姉にぽぽたん。ハルルンも一緒に何してるん?」因みにハルルンとはれんげが春蘭につけたニックネームである。更に余談だが秋蘭はアッキーと呼ばれている。

「こ、これは、その……亀ごっこだ!」

蒲公英

「そ、そうそう。亀の三兄弟だよ!」

春蘭

「ちょっ……!お前ら何を!?」

「蒲公英!春蘭!甲羅干ししに行くぞ!」土下座待機の姿勢のまま、匍匐前進(ほふくぜんしん)で元いた部屋に帰っていく3人。忍達の後ろから、首を出してその様子を見つめていた紫苑と璃々。

紫苑

「あの三人、何してるのかしら?」

「バカじゃないの……?」

れんげ

「……ダメだこりゃ、なんなー」

仗助

「後半しゅっぱーつ!」

「ドリ○かっ!」

璃々

「翠お姉ちゃん達面白ーぃっ♪」

 

 さて、翠の部家に戻った3人だったが……

春蘭

「どうすんだよ!?紫苑や桔梗怒らせたらタダじゃ済まねえぞ!?」

蒲公英

「蒲公英に言われたって困るよ~(涙目)」

「良いじゃねえか。子供達の前で土下座しないで済んだんだし」

春蘭

「子供達に亀の物真似見せちまったじゃねーか!土下座より情けねえよ!」春蘭は頭を掻き乱しながら翠と蒲公英に言い放つ。

春蘭

「もういい!お前らは米練ってろ!」

蒲公英

「そういう春蘭はどこ行くの?」

「まさか一人だけ逃げようってのか!」

春蘭

「ンなことはせん!私は何とかみんなの高揚感を下げてくる……そうすりゃ後が楽だからな」そう告げると春蘭はそそくさと翠の部屋を出ていき、みんなが集まる広間に向かった。

 

春蘭

「よ、よお」

仗助

「オウ、春蘭」

春蘭

「み、みんな楽しそうだな……」

れんげ

「あんなー、今夜お月見しながら桔梗おばちゃんとウチで笛吹くん」

桔梗

「いやぁ笛なぞ若い時以来でな。少し気恥ずかしいが、まぁちょっとした余興じゃからな」

春蘭

「そ、そうか。しかし今夜は……あまり天気が良くなさそうだぞ。ホラ、雲も出てるし」

璃々

「え〜?」不満気な声を出す璃々だったが

仗助

「ありゃ一時的なもんだ。今夜は満月が良く見えるぞ。雲の様子を見てきたから間違いねえ」ゲッターは元々宇宙探索のために作られている。蜀でも田畑の収穫を目前としたこの時期、向こう数日分の天候は欠かせない。闘いがなくなった平和な世にもゲッターの需要はそれなりにあるらしい。

「それなら安心ね。そうとなればお団子を仕上げちゃいましょ♪」焦りからか、春蘭の顔から脂汗がダラダラと流れる。

春蘭

「ちょっと待て忍!」厨房に体を向けた忍の肩を掴んで強引に振り向かせるも

「ジャマよ」すぐに踵を返して、先へ進む忍。今度は足にしがみついて意地でも厨房へ行かせまいと粘る春蘭。

忍 

「は〜な〜し〜な〜さ〜いよぉ〜!」

春蘭

「行〜か〜せ〜る〜も〜ん〜かぁ〜!」しかし紫苑や鈴々、璃々がその脇を通り過ぎて行き、観念したのか俯きがちになりながら後をついていく。そして厨房には……同じく調理台の真ん前で項垂れる翠と蒲公英がいた。

蒲公英

「糊になっちゃった……(沈)」

「やっぱりあたしらって料理向いてないんだな……(沈)」その様子をポカーンとした顔で眺めていた鈴々や秋蘭。しかし忍だけは顔色一つ変えず、調理台に近づく。

「ホラ。翠ちゃん蒲公英ちゃん下がって」2人を優しく払い除けて糊と化した櫃の中の米をみつめると、

「丁度いいわ。五平餅を作りましょ」

れんげ

「五平餅っ!?食べたいん♪」

春蘭

「なぁーんだ。じゃ問題ないじゃん。イヤぁ実は翠と蒲公英の三人で団子全部食っちまってどうしようかと思ってたんだよな〜」

「……」

桔梗

「……」

紫苑

「……」

その他全員

「……………」

春蘭

「アレ?問題……ない、よね?」

 

 やがて日が完全に落ちて、月が顔を出す。その下で桔梗の横笛とれんげのリコーダーが美しい音色を響かせていた。

鈴々

「五平餅、お代わりなのだ!」そんな中、月の美しさにも笛の音にも心あらずといった様子で五平餅をパクついていた鈴々が既に食べ終えた平らな串を忍に差し出す。

璃々

「りりも〜」

「はいはい。ちょっとアンタ達、五平餅のお代わり焼いてちょうだい!」

「はい、喜んで!」

蒲公英

「少々お待ち下さい!」3人で七輪を囲み、中腰の姿勢で五平餅を焼かされるハメになった翠、蒲公英、春蘭。普段から身体を鍛えてはいるがこの体勢は意外にツラい。

秋蘭

「姉者、私の分も頼む」

仗助

「俺も俺も」

春蘭

「承知致しやしたーっ(泣)」他の面子が夜空の月を愛でる中、ひたすら炭を仰いで五平餅を焼く翠、蒲公英、春蘭。何とも情けない姿を晒していた。

 

 いつの間にか喧騒から離れていた仗助と桃花。地面の傾斜に腰を下そうとした桃花の下にさり気なくハンカチを置く仗助。ある意味成長したものだ。

 いざ2人っきりになると、急に気恥ずかしくなって会話も進まず、間が持たない2人。先に口を開いたのは桃花だった

桃花

「つ、月が綺麗だね(照)」

仗助

「おっ、オウ。なぁそれって・・・(照)」

桃花

「えっ、な、何!?(焦)」

仗助

「イヤ、何でもねぇ」実は桃花の言葉は、かつての明治の文豪夏目漱石が『I Love You』の和訳として使ったモノだが、それを説明しかけて慌てて呑み込む仗助。この世界で2人が結ばれるにはもう少し時間が必要なようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。