ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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今回はオリエピもあります。詳細はあとがきにて


第4話沖縄料理を食べた

夏海

「♪決まったんなら、海行ってきても良い?」

一穂

「あー良いよ。行っといで」

れんげ

「海!ウチも海行くん!」

「あ、私も行きまーす!」

夏海

「よーし。みんな水着に着替えようー」

億泰

「仗助、忍。部屋へ戻ろうぜ」意外なところで奥泰が気を利かせる。

仗助

「俺らも着替えて海行くか」

「そうね♪」で、ナゼか卓はさっきから微動だにせず黙り込んで扉の前に立っている。

仗助

「何やってんだテメーは!」

「さっさと出ていくわよ!」

億泰

「こっちに来い!」仗助に小突かれ、忍に叩かれ、更には奥泰に耳を引っ張られて部屋から追い出された。

 

 海を楽しむ一行。このみ、蛍、花桜梨の水着は派手すぎないビキニ。夏海はスポーティーなタンキニ。小鞠とれんげは露出少なめのセパレーツで繰り出していた。どうでもいいが、男子4人は普通の海パンである。

このみ

「花桜梨ちゃんってスタイル良いねぇ♪やっぱりダイエットとかしてるの?」長身にスラリと伸びた足を持つ花桜梨。しかも出る部分は出ていて、引っ込むトコはしっかり引っ込んでいる。

花桜梨

「え?そんなのした事ないよ」花桜梨のスタイルは日頃から踊っている賜物である。あまり知られてないが、バレエはかなりハードなスポーツでもある。

このみ

「ウッソ~!?羨ましぃ!」そういうこのみも結構スタイルは良い方だ。一方、蛍は小学生とは思えない抜群のプロポーションを備えている。小柄な小鞠はそれにやや嫉妬気味のようだが、蛍は気がつかない。

 そんな女子達に対して、無言のままナゼか納得するように頷く卓。仗助はどうやらこのみに気があるようだが本来の純愛タイプの性格に加え、三国志世界での恋も忘れられず、先へ踏み出せないでいた。

「仗助アンタ、まだ桃香ちゃんの事……」

仗助

「ああ。まだ引き摺ってんだ……格好悪ぃよな」

「……分からなくもないわ。あちしもあっちに好きな娘居たもの」

仗助

「マジかよ!?それで?」

「それでも何もないわよ。想いを伝えてすらいないわ」

仗助

「……そっか」1800年の時を越えた彼らの恋。恐らくはお互いの他には、誰も理解出来ないだろう。

 そんなしんみりとした雰囲気は、第3の男にぶち壊される事になる。

億泰 

「イヒヒッ、海貞子ぉーっ!何つって……♪」たまたま流れてきた海藻を頭に被り、大して面白くもない一発ギャグをかました奥泰。そして無言の仗助に殴られ、同じく無言の忍にも蹴っ飛ばされる。

 

 海を満喫した一行はしばらく各自の部屋で休む。やがて陽が落ちて夜の7時になったので夕食を摂ろうと、あおいに言われた通りロビー横の食堂に向かった。

 テーブルには沖縄の郷土料理がズラリと並んでいた。

れんげ

「♪ごはーん!」楓は女将に、飲み物をどうするか聞かれて、一穂と自分のビールグラスを2つ注文した。

「♪なんだか見た事のないおかず、いっぱいありますね」

夏海

「これ美味しいけど、何だろう?」配膳しているあおいが答える。

あおい

「それは落花生で作ったジーマーミ豆腐です。その横のにあるのが車エビ焼きで、その横が豚肉を煮込んだラフテーです」

このみ

「どれも美味しそう~♪」

「あおいさんっていつもお料理のお手伝いされてるんですか?」

あおい

「あ……私は料理作ったりはしてないんですけど。朝、お客様が外出した後のお部屋のお掃除とか、洗濯を手伝っている事が多いです」

小鞠

「へぇ~……」と話していると、夏海がグラスを倒してテーブルの上に中の水を溢した。

小鞠

「何やってんの夏海~?」

あおい

「あーっ……今布巾持ってきますね」小鞠が呆れていると急いで踵を返し、台所に向かうあおい。

ひかげ

「ホンット、夏海と同い年には見えないよな」

小鞠

「宿題もちゃんとやってそう……」

夏海

「えぇ……?」夏海は台所の方を向く。そこで両親の仕事を手伝うあおいが居る。夏海はあおいからしばらく目が離せなかった。

 

 食事中、一行の近くのテーブルについていた親子らしき2人連れ。母親とおぼしき中年女性はメタボ一歩手前といった、いわゆるデブ。対して歳は10才ぐらいか、娘の方はやたらガリガリでろくな食事を摂っていなそうに見えた。

このみ

(ねえ楓ちゃん、あれ……)

(ああ。児童虐待ってヤツだな)

一穂

(しかし、他所様の家庭の事情にウチらが口を出すのもねぇ……)ヒソヒソと話す、この中では年長の3人。

億泰

(あの子、目が虚ろじゃねえか。絶対ぇ腹空かしてんだろ、ババアに文句言ってやる!)

仗助

(止めろ!そんな事したって根本は解決しねえ。そりゃお前ぇの自己満足に終わるのがオチだ)すると母親から意外な言葉が娘に告げられた。

母親

「あんたは食べちゃダメよ。もうすぐひびきのバレエ団のオーディションがあるんだから」それを聞いて立ち上がったのは、忍と花桜梨だった。

「ちょっとよろしいかしら?」低く冷たい声で母親に話しかける忍。ナゼか仗助とれんげの顔が青褪める。

一穂

「どしたのれんちょん?」

億泰

「何で仗助がビビってんだよ?」2人は知っていた……マジギレした忍が、逆に冷静になる事を。そして今がその時だという事も悟っていた。

花桜梨

「忍君……私にも言わせて……お言葉ですがお子さんはこのままではオーディションには合格出来ません」

「バレエは適切なカロリーを摂らないでいると、身体が潰れてしまうわ。ただ痩せてれば良いというモンじゃないのよ」

花桜梨

「体型を気にしすぎて、拒食や薬物依存になってバレエを続けられなくなった人も沢山居ます」花桜梨が真剣な眼差しで訴えると母親はキッと睨み付けてきて

母親

「は?何であんた達がそんな事いえるのよ?」

「あちしら、アンタが娘にオーディション受けさせるひびきのバレエ団の団員よ」

母親

「え?あ、あの……」バツが悪くなり急にオロオロする母親に対し、つい調子に乗ってしまった仗助と奥泰。

仗助

「そんなに言うならまずテメェが痩せろや、ダボが!」

億泰

「イヤ仗助、ありゃもう手遅れだぜ!ヒャッハッハ」

仗助・億泰

「「アーヒャッハッハッハッハ!」」

「アンタ達は黙らっしゃい!」

仗助・億泰

「「……はい」」シュンとなる情けない男達。

 

 それから太っちょ母親は忍にこってりと絞られて、花桜梨は少女を自分達のテーブルに移動させた。そして一穂達の厚意で沖縄料理を心行くまで堪能する。

 

母親

「ゴメンね、お母さんが間違ってた。それでは失礼します」母親は娘へ平謝りし、忍と花桜梨にも頭を下げてから、2人で食堂を後にする。

花桜梨

「忍君のお説教が効いたみたいね」

「てか、元々悪い母親じゃないわ。ただバレエ団に入れたいあまり、気持ちが空回りしすぎちゃったのね。きっと」

れんげ

「あの子、もうお腹空かす事ないんなー。良かったん」

小鞠

「私もバレエ習ってみようかな~?」

「あ、じゃ私も興味あるので……」

れんげ

「柔道の方が面白いんに……」

 

 と、一悶着はあったものの無事に食事を終えて、各自の部屋に戻ろうとした一行。夏海はみんなから放れて、帰り道を逸れる。

小鞠

「夏海ぃー、どこ行くのぉ?」

夏海

「自販機とかないか、探してくる」

小鞠

「分かった。じゃ先に部屋に戻っとくね」そうして1人でぶらぶらしていると、どこかへ駆けていくあおいを見つけた。気になった夏海はその後を追う。

 あおいは民宿の出口にある石の塀に向かって、壁打ちをしていた。それはバトミントンのシャトルだった。近づいた夏海は落ちていた木の枝を踏んで音を立ててしまった。

あおい

「お、お母ちゃん!?」あおいはその音を聞いて、母親が来たと勘違いしたようだ。その瞬間、跳ね返ったシャトルが頭を直撃する。

あおい

「あ痛タタタ……」

夏海

「大丈夫?ラケット落としたけど……」夏海はラケットを拾い上げてあおいに渡そうとした。

あおい

「ありがとう。おでこに当たっただけだから大丈夫……あ、あれ?何でここに?」

夏海

「ああ。外へ行くの面倒で……」夏海が言いかけると民宿の女将、あおいの母の声が被さってきた。

女将

「あお(⤴️)ー。どこ行ったさぁ?」その声を聞いたあおいは慌てて、ラケットを隠してと夏海に頼む。

女将

「あお(⤴️)ー?あら、お客様も一緒に居たのね。お母ちゃん、アイロンがけあるから、あんた食器洗いやっといてくれる?」

あおい

「は、は~い。分かった~」

女将

「あおいの事だから、てっきりうちの壁使ってバトミントンしとるのかと」実は勘が鋭い女将だった。

あおい

「ま、まさかそんな……」

女将

「じゃよろしく。頼んだよ」そう告げてようやく立ち去った女将。あおいは夏海に手を合わせて詫びる

あおい

「何かゴメンね。変な事に巻き込んじゃって」

夏海

「いや、別に良いけど……」

あおい

「でも咄嗟にラケット隠してくれて助かったぁ」

夏海

「何か身体が勝手に動いた」夏海のこの行動もまた、毎日母の怒りから逃れている賜物である。

夏海

「てか普段はそんな喋り方なの?」

あおい

「お客さんの前ではちゃんと敬語使えって言われてて、あ……言われてまして……」

夏海

「敬語じゃなくて良いよ。同い年なんだし」

あおい

「……ありがとう」そしてあおいは部活でバトミントンをやっていて、家で母親の目を盗んでは壁打ちをしている事、壁が傷つくから練習を禁止されている事、バレたら怒られて布団叩きを手に、追い回される事なんかを夏海に話した。夏海は壁打ちの代わりに、滞在中は練習に付き合うと約束した。

 

~子供部屋にて~

 

小鞠

「はぁーっ、1日目から疲れたー。明日私達はカヤックかぁ。ジャングルみたいなトコなんでしょ?」

「楽しみですねー」

れんげ

「ウチはシュノーケルなん!」夏海も部屋に戻っていて、明日の話をしていると

仗助

「邪魔するぜ」

億泰

「うっす!」仗助と奥泰が部屋に来た。何やらビニール袋を手に下げている。

「お2人共どうしたんですか?」

仗助

「宿の売店でカップラーメン買ってきた。しかも沖縄限定品」と、仗助が『うちなーそば』と書かれたパッケージのカップラーメンを袋から取り出した。

小鞠

「え?さっきご飯食べたばっかりなのにまだ食べるの?」

仗助

「い、良いだろ?食い盛りなんだからよ……ったく。お前らも食うかと思って折角人数分買ってきたのによ」

夏海

「ウチ食べる!」

億泰

「おっ、分かってんじゃねえか(ニカッ)」

「あれ?忍さんは……?」

仗助

「あいつはバレエダンサーだからな。体型維持しなきゃならねえからって、間食はしねえんだよ」

「さっきあのお母さんに怒っていたのにも、そういう理由があったんですね」

夏海

「そういえばご飯は結構沢山食べてたね」

小鞠

「忍さんって、自分に厳しいんだね」

億泰

「仗助の奢りだからな。俺は付き合うぜ」ナゼかハイタッチする不良系男子高校生2人。

れんげ

「おっちゃん。ご飯の後にラーメンなんて食べたら怒られるん」

仗助

「おいおいれんげ。分かってねえな……」

れんげ

「何がなのん?」

仗助

「今この部屋に、怒る大人は居ねぇんだぜ。いわばここでは俺らが法律。ラーメン食おうが夜更かししようが、俺らの勝手なんだぜぇ……それでもれんげは食わねえのか~!?」不敵な笑みを浮かべ、悪魔の誘惑を仕掛ける仗助。そしてその誘惑に引き込まれるれんげ。

 

 数分後……みんなしてカップラーメンを食べていた。

れんげ

「ラーメン美味しいーん!」

夏海

「美味っ!」

奥泰

「そうだろそうだろ」

れんげ

「流石おっちゃん。自分に甘いん」

仗助

「……それ褒めてねえだろ。まあ良いけどよ」

小鞠

「もうー。仗助さんも奥泰さんも、れんげを変な道に引き込まないで下さいよぉ」

「そういう私達も食べちゃってますけど……」

夏海

「じゃあこのラーメン食べたら、トランプしようよ」

れんげ

「なっ……!もう9時なのにまだ起きてて良いん!?」

夏海

「良いのですっ!」

れんげ

「スゴいーん!」こうして仗助と奥泰、れんげ達は夜中近くまで一緒にハシャイでいた。

 

 日付が変わる前に騒ぎはお開きになり、仗助と奥泰は自分達の部屋に戻っていった。れんげや小鞠は既に自分のベッドで眠っている。夏海と蛍はそれぞれのベッドで隣り合わせになっていた。

夏海

「ふぅー。姉ちゃんもれんちょんも寝ちゃったし、ウチらも寝る?」

「そうですね。私も泳いだせいか、眠いですし……」

夏海

「明日、何時起きだっけ?」

「えっと……確か朝ごはんが8時で」

夏海

「オッケー。じゃお休みー」

「アレ?何か引っ掛かる事があったんですけど……何だったかな?」

夏海

「まあ、思い出せないなら明日で良いじゃん。電気消すよー」

「はーい」消灯して、夏海も蛍もやがて眠る。

 

 しばらくして、ほぼ存在を忘れられていたひかげが、暗い部屋でムクリと起き上がる。

「何で私だけ床なんだよ!!」




原作、アニメとの違い
・女子達の着替えに微動だにしない卓は次のカットでは立ち尽くしたまま、部屋を出ている→仗助、億泰、忍に追い出される。
・デブ母とガリ娘の話は存在ごとオリエピ
・カップラーメンを買ってきたのは夏海→仗助

次回は3チームに分かれてのイベント?になります。


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