ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

29 / 282
八重さんが登場しますが原作とはほぼ別人です。


第26話実録ロッドバルド

 ~二年前の悲劇~

 その年の12月、今度の舞台で主役(プリマドンナ)に選ばれた高校1年生の八重花桜梨は最高に幸せだった。その日のレッスンの後、先生にも励ましの言葉をもらえて気合いも入る。

 「これで有頂天にならず尚一層の研鑽を重ねなくちゃ」心に固く誓いその晩の床につく花桜梨。だけどその幸せは長く続かなかった。

 翌日、花桜梨が意気揚々とレッスンスタジオにくると既に四人の生徒が着替えを済ませていた。室内は適度に暖まっていたが先生はまだ来ていない、実は道路の渋滞で遅くなるとスタジオの入っているビルのオーナーに連絡があったのだ。オーナーがスタジオの鍵を持ってくるまで四人は寒さに震えながら外で待機していたらしい、オーナーは鍵を開けるとあまりの寒さにすぐにエアコンのスイッチを入れたそうだ。

 四人の内三人はこっそり持ち込んだチョコをパキッと音を立てて割り食べながらお喋りに興じている、もう一人は彼女らを尻目に自主トレに勤しんでいた。

 「ねぇ、貴女もチョコ食べない?」三人組は自主トレをしている娘に声をかけるが相手は断りを入れる。

 「結構よ」それを苦笑しつつ見やる花桜梨だったが自分の練習用シューズをロッカーから取り出すと何者かの手でズタズタに切り裂かれていた。そこにちょうど先生も到着し、スタジオは騒然となる。昨日レッスンが終わった夜は先生とレッスン生が一斉に帰宅したから身内の犯行なら昨晩から今日のレッスン前の間に行われたのは確かだ、当然花桜梨より早くきていた四人に嫌疑がかかる。それにこの事が世間知れたら最後、舞台そのものが中止にせざるを得なくなってしまう。

 「他の人には言いません、犯人は手を上げて名乗り出て下さい」先生はみんなにそう告げる。しばし沈黙が続くと全員目を開けるように促される、手を上げなかった者は誰もいなかった、結局この事件をきっかけに花桜梨は人間不信に陥り主役の座も自ら降りてバレエも高校も辞めてしまった。

 

 それから二年後、他のみんなより一年遅れで復学した花桜梨だったが元の学校にはどうしても馴染めないので両親の薦めですぐにきらめき高校へ転校した。それでもしばらくは殻に閉じ籠ったままだったが秋に転校してきた佐倉楓子とひょんな事から打ち解け、やがて虹野紗希や藤崎詩織、美樹原愛、高見公人、早乙女好雄と親しくなり例の事件の顛末を打ち明けるまでに心を開き始めていた。

 

 ~詩織視点で語られる忍の推理~

 八重さんの悲しい過去を聞いた私、本人はもうどうでもいいなんて言っていたけどどうも後味が悪いわ。そういえば忍ちゃんも昔、バレエを習ってたわね。もしかしたら何か知ってるかも、それにあの子意外に勘が鋭いし最近じゃミステリーにハマっているらしいしおあつらえむきよね。

 「と、いう訳なの。何か分かる?」八重さんとメグを連れて週末、忍ちゃんの家へやってきてここまでの話を聞かせると嘆息して私達にこう語りだしたわ。

 「少なくとも鍵が開くまで四人でいたっていうのは嘘ね。オーナーも否定しなかった以上おそらく共犯じゃないかしら、多分以前から犯行を企てていて、先生がいないその日を千載一遇のチャンスと見て実行したのよ。後の三人も何だかの事情があって口裏を合わせたんだと思うわ」アレ、忍ちゃん、素で話してない?

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ちょっとしたミステリーになりました、解決編は次回で。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。