ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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第30話沙織大暴走

 本格的に寒くなる12月、あちしら陸上部は今日も練習中。足は(かじか)み手にはアカギレができるけど秋の大会での悔しさを思い出すと音を上げてもいられない。来年度は最上級生だし、高校最後の大会では全国レベルまで行きたいわ。さて、今日も気合い一発!走り込みから始めるわよ。

 

 とはいえ部活ばかりもしていられないのよ、バイトもあるし期末テストも近いからね。そんな訳で日曜日の午後あちしは今、光ちゃんの家に来て彼女と絶賛試験勉強の真っ最中。誤解がないよう言っとくけど2人っきりじゃないわよ、水無月さんと純と彩ちゃん、美帆ちゃん美幸ちゃんに高坂も一緒よん。

 他のみんなが黙々と勉強に励む中、

 「ホェ~美幸ぃ頭爆発しそうだよぉ」美幸ちゃん音を上げるの早いわね、そこに水無月さんが怖い流([注釈1])し目を向けている。こっちに飛び火したらたまんないわね、クワバラクワバラ。

 「私、飲み物とってくるね」全員が一段落したところで光ちゃんが席を立った、そしてナゼか手ぶらで戻ってきた。

 「ゴメンね、冷蔵庫見たらお茶もジュースも入ってなくて」今からコンビニで買ってくるというのであちしもお供する。

 

 「えっと、琴子が緑茶で白雪さんがミルクティーでしょ。後寿さんがイチゴ牛乳…あ、置いてない」美幸ちゃんついてないわね、いつもの事だけど。

 「純と高坂は○クエ○アスだったな、俺はコーヒーにしとくか。光はどうする?」

 「私は…忍君と一緒がいいな」そうなの?光ちゃんはてっきりオレンジとか選ぶと思っていたのに意外ね、全員分の飲み物を購入して光ちゃんの家に帰る。

 「ねぇ、君は今年のクリスマスイブ予定あるの?」途中光ちゃんがあちしに聞いてきた。

 「前の日はバイトだけどイブ当日は何もねえよ」今年は伊集院家のパーティーには行けそうにもないモンね。

 「じゃあさ…」光ちゃんが何か言いかけた時、あの人がまたも突進してきた。

 「忍ちゃ~ん‼」片足を上げてつっかえ棒よろしく沙織さんをくい止めるあちし。

 「あ~ん、忍ちゃんのいけずぅ」

 「殺す気ですか?マジで今、命の危機感じましたよ!」

 「え?え?!ヒ、ヒト?」光ちゃんは口をあんぐりしている、確かに人間のスピードの限界越えてたわよね。

 「スマン光、人の皮被った化け物だ」

 「し、忍ちゃんが酷い!」

 「悪いのはお姉ちゃんでしょ」後から着いてきた詩織ちゃんが沙織さんを呆れ顔で睨む。

 「ふぇ~ん、妹まで冷たい~」半泣きの沙織さんを無視して詩織ちゃんに話を振る。

 「で、わざわざひびきの(こっち)に何か用か?」

 「これよ」詩織ちゃんは伊集院家のクリスマスパーティー招待ペアチケットを取り出した。

 「私達去年、あんな事したのに。参加できるの?」光ちゃんの疑問は尤もね。

 「ええ。さしもの伊集院君も自分が悪いって認めて反省したみたいよ」その時あちしらの立っていた歩道脇の駐車場に見覚えのあるデカい自動車(くるま)が停まったわ、中から出てきたのはやっぱり伊集院妹ね。

 「なんだ貴様らここにいたのか」そりゃいるわよ、住んでるんだから。

 「ちょうどいい、これをやるのだ」そう言って差し出してきたのは同じパーティーペアチケット、まあありがたく貰っておきましょ。でもこれ、一枚で2人入れるのよね。あちしが思案してると

 「カワイ~!」気がつくと沙織さんが伊集院妹を抱き締めていた、離れようと必死にもがく伊集院妹。

 「小っちゃくて可愛い!もうずっと愛でていた~い」

 「な、何なのだ、こいつは?咲ノ進、早く追っ払うのだ!」命ぜられた三原さんは拳銃を沙織さんに向けるけど

 「貴方は可愛くないから、ダ~メ」掌底一発であっさり吹っ飛ばされ星になる三原さん。

 「「いい加減にしなさい!」」あちしと詩織ちゃんは沙織さんの頭をどつく。

 「いいもん、じゃあ詩織ちゃんと忍ちゃんを愛でるから」あちしは蹴りで、詩織ちゃんは持っていた竹刀で(きっと部活帰りだったのね)沙織さんをはねのける。

 

 「ス、スゴい人だね。沙織さんて」あの後復活した三原さんは伊集院妹を自動車に乗せると逃げるように運転して去っていった、光ちゃんはひきつった笑顔を浮かべている。

 「今年も行くか?」あちしがそう聞くと

 「ウン。ホントは2人っきりで過ごしたかったけど

 「どうかしたのか?」

 「な、何でもないよ」変な光ちゃん。

 

 と、いう事で今年のクリスマスも伊集院家にお邪魔するわよ。




[注釈1]ジト目です。
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