ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

37 / 282
第34話2001年の夜明け

 2000年の12月31日も間もなく終わろうとしているわ。あちしは来年に思いを馳せる、つっても後一時間もないけど。不意に電話がなる、相手はこの間の早乙女好雄だったわ。

 「な、突然だけど明日初日の出を見にいかないか?」イヤよ、何で正月から早起きしなきゃならない訳?大体なんで公人を誘わないのよ。

 「しょうがねぇだろ、あいつ詩織ちゃんと北海道に旅行行ってるし」アラやだ、あの2人いつの間にそこまで進んでたの?それはさておき…

 「断る!」

 「まあそう言うなって。今から終電に乗れば間に合うから」意外に強引な男ね、予備っぽい扱いには腹立つけど悪気があるとも思えないし。仕方ないわ、付き合ってあげますか。

 

 「よう、明けましておめでとさん」全くいい加減眠いわよ、アラ光ちゃんと赤井も一緒?

 「明けましておめでとう、忍君」

 「おめでとう、光」

 「オッス!おめでと、藤崎」

 「ヨ!おめでとう、赤井」

 「そろそろ陽が昇るぜ」好雄に言われあちしらは東の地平線を見る、正に初日の出が昇る瞬間だった。

 「うゎぁ!綺麗だね」

 「こういうのも風情があるよな」光ちゃんが素直に感激している、赤井も珍しく物思いに耽っている。確か初日の出って気温が低いせいで空気中の微生物が死滅してその分透明度が上がるから綺麗にみえるんじゃなかったかしら?でもそんな科学的な理屈はこの美しさの前では無意味ね、今年は何かいい事ありそうな気までしてきたわ。

 

 初日の出を満喫したあちし達は元旦から営業しているサ店でお茶と軽い朝食を摂っているとよく知った顔を見つけた。

 「おーい、高坂」クリスマスに続きまた佐倉さんと一緒ね。

 「おう、明けましておめでとう」

 「明けましておめでとう、エヘ♪」あちしらも当然のように新年の挨拶を返す、好雄だけは複雑な顔をしていた。どうしたのかと尋ねたら

 「佐倉さん、付き合ってるヤツいたんだな…」アンタ、赤井とはいえ一応女の子連れなんだからそんな露骨にショック受けなくてもいいじゃない?

 「オイ、藤崎何が言いたい?」

 「何でもねーよ」ヤバッ、声に出てたのかしら?

 

 年明け最初のバイトの日。おじちゃんがいつもの仕込みに加え小豆を煮ている、普段はやってないのに珍しいわね。

 「お早うございます、何してるんですか?」

 「忍君か。こいつは毎年正月にだけ来店するお客のお気に入りでな」手伝っていた若店主が言葉を足す。

 「じいさんが唯一得意な菓子だからな」

 「ナマ言ってんな、バカ孫が!」

 「バカはないだろ!」相変わらず仲いいわね、そんなやり取りをしてると茜ちゃんも出勤してきて今年初の異世界食堂が始まる。

 

 新学期になり冬休みから段々と通常運転に戻っていくあちし達、去年と違うのは3年生が引退しただけ各部活の部員が少ない事くらいね。そうそうあちしら仲良しグループの内水無月さんと純、美帆ちゃん、美緒ちゃん、彩ちゃん、高坂は部長職を引き継いだらしいわ。陸上部は男子と女子で分かれるからあちしが男子陸上部部長に光ちゃんが女子陸上部部長に就任したのよ、因みに美幸ちゃんは別の同級生に座を明け渡したみたい。

 

 その引き継ぎの件でこんな話があるわ。部長就任の際に生徒会に申請しに行った時の事、あちしと光ちゃんは必要事項を書類に記入して赤井に渡したの。あいつ目を通すなり

 「えーっ!」な、何事よ?一体!

 「あ、これ」赤井は光ちゃんの書いた書類を指さして口をアングリさせている。

 「アレ?何か不備があった?」光ちゃんも自分の書いた書類を確認している、あちしも見せてもらったけど問題なさそう。

 「『ヒノモト』の『モト』って元気の元じゃなかったんだ」ズルッ!あちしは勿論赤井以外の生徒会全員、 光ちゃんまで一同せーのでズッコケた。つーか生徒会長なんだから名前くらいちゃんとおぼえておきなさいよ!!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。