ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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原作で光を連れていくと心が痛みます。


第36話天使のブランコ

 すみれちゃんとの約束を果たす為詩織ちゃんを連れてサーカスを見にきたわ、彼女も生で観た事はないそうで楽しみにしているそうよ。ひびきの広場に設営された(タケヒロサーカス)と書かれたテントが見えるわ、あれが会場ね。

 中は全て自由席になっていたからあちしと詩織ちゃんは適当な場所に座る、やがてドラムロールが響き公演がスタートしたわ。

 

 熊の玉乗りや火の輪潜りとか幾つかのプログラムを楽しんだあちし達、最後にこのサーカスの目玉である空中ブランコが始まるとアナウンスが知らせた。

 「アラ?」天井近くにスタンバイしている人影に気付いたあちしは詩織ちゃんの肩を叩く。

 「ホラ、あの娘よ」

 「チケットをくれたって娘ね、あんなトコから大丈夫かしら?」あちしらを含めて客席は緊張に包まれる、ブランコを手にしたすみれちゃんが安全地帯から足を離す。

 

 ゆあ~ん、ゆよ~ん、ゆやゆよん

 

 この前国語の授業にでてきた中原中也がナゼか頭によぎる、こういうのみてると妙に全身がモゾモゾするのよね。

空中ブランコは見事に成功、とりあえずホッとするあちしら二人。

 

 全てのプログラムが終わりあちしは詩織ちゃんを連れて控え室へ挨拶しに行く。すみれちゃんはすぐ見つかった、中年男性と一緒にいるけど誰かしら?

 「あっ藤崎さん、来てくれたんですね」

 「すみれ、こちらはどなたかな?」

 「パパ、この前話したでしょ。デイジーに親切してくれた…」あ、お父さんだったのね。

 「ホウホウ貴方でしたか。で、お隣の女性は?」

 「こっちはあちしの従姉妹で…」

 「藤崎詩織です、ヨロシクね。すみれちゃん」あちしの紹介を遮り自ら名乗り出る詩織ちゃん、いいけどさ。

 

 その後しばらく雑談していたけどすみれパパことストレリッチアさん(芸名よね、本名はたけひろさんじゃない?)が恐縮しつつあちし達に提案する。

 「その、もしお二人さえよろしければすみれを町に連れ出していただけませんかな?」

 「えっ?」すみれちゃんがキョトンとしてあちし達とストレリッチアさんの顔を交互に見渡す。

 「すみれ、片付けは私達でやっておく、お前もたまには遊んでくるといい」と、いう訳であちし達はすみれちゃんと遊園地に行った。

 

 ジェットコースターやお化け屋敷を満喫して観覧車に乗る、上空から見下ろす町は中々に絶景ね。ゴンドラが高くなると例の広場が一望できるわ、タケヒロサーカスのテントが目に入るとそれまでずっとはしゃいでいたすみれちゃんの表情が不意に曇る。

 「どうしたの?」あちしが問うと

 「いえ、何でもありません」そうは思えないけどあちしも深追いはしない、詩織ちゃんも気付いたのか彼女の顔を覗き込む。女の子同士の方が気安いのか、すみれちゃんはやっと重い口を開いた。

 「今日、お客さん少なかったですよね」確かに空席はチラホラとみえたけどあちしには相場が分からないから何ともいえないわ。

 「昔と違って今はゲームとか娯楽が沢山あります、サーカスなんて今時流行らないんです!」切実な話ね、目を潤ませて語るすみれちゃんを詩織ちゃんはそっと抱きしめて

 「辛いのね、ここには私達しかいないから我慢しなくていいわ」その途端溜まっていた涙が溢れだし泣きじゃくるすみれちゃんを抱きしめたまま優しく頭を撫でる詩織ちゃん、あちしにはかける言葉がみつからなかった。

 

 散々泣いてスッキリしたのか遊園地を出る頃にはすみれちゃんに笑顔が戻った、今後も苦労とか絶えないでしょうけど頑張ってほしいわね。二人でストレリッチアさんの元に送り届ける、タケヒロサーカスはまた来年もこの町にくるというのであちし達は楽しみにしてますと伝えてサーカスのテントを後にする。

 「すみれちゃんって可愛いわね」勘ぐるようにあちしへ話を振ってくる詩織ちゃん。

 「何が言いたいのよ?」

 「光ちゃんという人がいるんだから。浮気しちゃダメよ♪」

 「ちょっ!からかうんじゃないわよ!」いい年齢して鬼ごっこするあちし達、陽も西へ沈み間もなく夜になろうとしていた。

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