ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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第1話プロローグ

 ある日、目覚めたあちしは自分が赤ちゃんになってるのに気づいたわ。その時は何が起きたのか全く理解できなかった、ただそれから後の2、3年程の記憶はスパッと抜け落ちてるの。未だに信じられないけどあちしは比喩的な意味じゃなくて実質的に生まれ変わったみたい、前世、つまり自分が赤ちゃんだと気づいたあの日より前の出来事の記憶も段々おぼろげになってきているわ。元に戻る手段は分からないし戻りたくなるような人生でもなかったし(あんまし覚えてないけど)、こうなりゃ文字通り第2の人生エンジョイす~るわよぉ~。

 

 まず自己紹介。あちしは前世の名前を…何だったかしら?確か盆暮れとかいうフザけた名前で呼ばれていたのは覚えてる、でも本名は忘れちゃったのよね。あちしが新しく生まれたこの世界の日本という国においての名前は藤崎忍(♂)っていうの、別にこれといった特色もない両親と弟の4人家族だけどそれなりに幸せな人生を送ってるわン。

 

 そんなこんなであちしは8才になったわ。ここは以前いた世界に比べるとかなり平和ボケしている、居心地はいいけど物足りない気もするのよね。あ、因みにオカマであるのは隠しているわよ、どうもこの国では過度な自己主張は不道徳とされるふしがあるみたい。

??

「忍ちゃん、一緒に帰ろう」あちしに声をかけてきた女子がいた。名前は陽ノ下光、その名の通り太陽みたいな女の子でご近所さんよ。そして可愛い、アラ?あちしってばひょっとして恋してるのかしら?オカマのあちしが女子に恋なんてあり得ないと思うけど。

「♪おーてーてぇーつーなぁいでー♪」あちしの手を握り上機嫌な光ちゃんに敢えて苦言を呈する。

「光ちゃん、そんなの幼稚園の歌だよ。あちし…じゃない僕達もう小学2年生だよ」

「いーの!だって忍ちゃんと一緒だもん」あちしと一緒じゃなかったら警察にでも捕まるのかしら?ってそんな訳あるかい!まあこんなのが現世におけるあちしの日常よ。

 

 ある日、光ちゃんにお祭りに誘われたわ、神社で待ち合わせて色々見て回った。これも一応デートっていうのかしらね、そういや前世じゃデートなんてした事なかったのよね。

「ねえ、光ちゃん。あれ見て」ン?光ちゃんたらさっきから露店の前に座り込んじゃって何してるのかしら?まあ指輪、勿論オモチャだけど。光ちゃん欲しそうにしてるわね。よし、あちしも男よ(オカマだけど)!

「それ欲しいの?」

「ウン」

「じゃあ僕が買ってあげる」

「え、いいの?」これでお小遣いはほぼ0円ね。

「ゴメンね」

「いいよ、欲しかったんだろ?」この時ばかりはいつもより男っぽい話し方になっていたわ、ナゼか自分でも理解できないけど。

 

 お祭りの日からしばらくして光ちゃんがウチを訪ねてきた、隣にいるのは近所に住む5才上の麻生華澄ちゃん。前世を含めればあちしの方が年上だけど今は子供だから普段は『華澄おねーちゃん』と呼んでるわ。

「今日、遊園地行こー」光ちゃんが話を切り出す、華澄おねーちゃんが保護者としてあちしらを連れてってくれるらしい。

華澄

「オバさんに頼まれてるの、忍君も行くでしょ?」遊園地?勿論どわあーい好きよぉーン!マズい、危うく本性出そうになったわ。このあと3人でメッチャ楽しんだ。帰る時間になってもまだ光ちゃんとあちしは遊び足りない。けど華澄おねーちゃんも双方の親からあちしらを預かってる立場があるのよね、少し苦笑いしながらあちしらに提案する。

華澄

「じゃあ最後に写真撮ろうか」そしてあちしらは3人並んで写真を撮った。これからもずっとこんな日々が続いていく、そう思い始めていたわ。そう、この日までは。

 

 家に帰ったあちしは母に今日の楽しかった出来事を伝えようとした、しかし母は切なげな笑みを浮かべあちしに非情な現実を告げた。

「えっ引っ越し?そんなのヤだよ」とりあえず駄々をこねてみるがそれでどうにかなるモンじゃない、大体親にだって都合がある。あちしは前世で一度大人を経験しているから理解はできる、でも感情が追い付かない。素敵な日から一転、最悪な夜を向かえたあちしは朝まで泣き通した。

 そして引っ越しの日がやってきたわ。光ちゃんは目に涙を貯めてあちしとの別れを悲しんでいる、華澄おねーちゃんも光ちゃんを慰めながらも自分も泣き声になっている。

「光ちゃん、バイバイ」あちしは精一杯涙を堪えて声を絞りだして言えたのはそのたった一言だけ。やがて引っ越し屋のトラックがあちしら家族と家財を乗せて走り出す、窓から顔をつきだして後ろを振り向くと光ちゃんが走って後を追ってくる。けど生身の脚力でトラックに勝てるハズもなく、足がもつれて転倒する光ちゃん。それでも手を伸ばし最後まであちしとの別れを惜しんでいた、この時だけは前世で得ていた化け物じみた力が復活してくれないかと無茶な事を願ったわ。

 

 それから7年、親がまた引っ越す事になった。場所はひびきの市、かつて光ちゃんや華澄おねーちゃんと過ごした街。そう、あちしが再びあの街の土を踏む日がやってき~た~ん~ぬぉ~よぉ!

 

 

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