ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです 作:越後屋大輔
3月下旬にあちしら一家はひびきの市に戻ってきた、前の家は既に不動産屋に売ってしまったのでそこから少し離れた新築一戸建てに住む事になったの。あそこだったら学校も近くて便利なんだけど愚痴っても仕方ないわね。来月からあちしも高校生、心機一転頑張りますか。
4月8日、あちしは今日からひびきの高校に通う。まずは出かける前に身だしなみチェックからね、ブレザー、スラックス、シャツにシワはない。ネクタイも綺麗に結んだ、髪に寝グセもついてないし最近生えてきた髭も目立たない。ALL OKよぉン、じゃあ行ってきます。
高校についたあちしは入学式の前にクラス表を見ておく。後回しにしたら教室が分からなくなってパニクっちゃうモンね、1年生のクラス表を確認していると早くも1組に『藤崎忍』とある。その1つ手前には懐かしい名前を見つけた。
「陽ノ下光ってもしかして…」ドン!その
「忍ちゃん!」
「もしかして、光か?」
「ウン!」
「小学生の時以来だね」
「馬鹿、あの日急に引っ越しちゃって。私、スゴく悲しかったんだから」
「えっと、ゴメン」
「ウウン。私の事、ちゃんと覚えていたから許してあげる」
「あ、予鈴。講堂へ急ごう」
「ウン!」こうしてあちしは光ちゃんと7年振りの再会を果たした。あ、高校生になったし本性を隠す意味も含めて呼び捨てに変えたわ、心ン中じゃ今でもちゃん付けだけど。
講堂の新入生席は光ちゃんと隣り合わせになったわ、確かに『ひのもと』と『ふじさき』五十音順通りだけど普通はまず男女で分けるモンじゃないの?とか思ってたらいつの間にか校長先生のご挨拶に進んでるわ。
「新入生の諸君!入学おめでとう!あー、ワシがこの高校の校長、爆!烈!
「我が高校のモットーは自由!生徒の自主性を重んじ、その手助けをする事こそ使命!諸君も勉強にスポーツに遊びに恋愛、悔いのない高校生活を送ってほしい!」スゴいトコ来ちゃったわね、勉強にスポーツに遊びに恋愛か…アラ?光ちゃんと目が合っちゃった。
「以上!」あ、終わったのね。
式の終了後、今日から使う教室に入るあちし達。
「忍君」あ、光ちゃんだわ。
「エヘヘ、同じクラスでよかったね」
「光と一緒で何だかホッとしたよ」これは本音よ、実際引っ越してきたばかりで不安だし。
「分からない事があったら何でも聞いてね」教室の戸が開かれたわ、担任教師がきたみたいね。
「あ、先生。じゃあね」この後高校生活の心得とか散々聞かされたわ、この担任の話ときたらお定まりの堅苦しい事ばかり。校長先生は自由がモットーって言ってたのに、なぁんか矛盾してるんじゃないかしら?腹立つから録音してやるわ。実は
「忍君、一緒に帰ろ」
「ああ、帰ろう」テープレコーダーをこっそり校長先生の机に置いて教室に戻ったあちしはそ知らぬ顔で光ちゃんと下校する。
「忍君、変わってないね。君って」現世のあちし、顔は自分で言うのもアレだけどわりと
「そ、そうかしら?」
「かしら?」しまった!女言葉でちゃったわ。
「か、か、柏餅旨そう」光ちゃんの背に和菓子屋を見つけたあちしは慌てて誤魔化した。
「もう、ホントに変わってないんだからぁ♪」光ちゃんはちょっと膨れた後クスクス笑う、あー危なかった(焦)。
「と、ところで光は変わった?」
「ウン!小さい頃みたいな泣き虫じゃなくなったよ」
「そういや昔よく泣いてたよな」
「あー泣かしたのは君なんだぞ」
「えっ、そうだっけ?」
「もう!」2人の間に沈黙がよぎる、けどそれも一瞬。
「「アハハハハハハ!」」あちしは光ちゃんと楽しく下校したわ、さあ明日から本格的な高校生活スタートよぉーん!
[注釈1]録音機能付きの携帯のない時代でした
[注釈2]今ならイケメンというでしょう