ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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第50話スキーと誘拐騒動 後編

 「まあ、まずは落ち着けよ」デイジーに宥められてとりあえず深呼吸するあちし、大声上げたモンだから光ちゃんも起きちゃった。

 「何でサルが喋ってるの?忍君の知り合い?一体何の用?」

 「質問は一度に一つ!」デイジーに突っ込みかまされる光ちゃん。

 「それで。すみれちゃんと一緒にいるのは誰なのよ?」

 「あいつは人拐いだ、ご主人を自分の国へ連れ去って金で売り飛ばすつもりだ」何ですって!?久し振りにカチンときたあちし。

 「エテ公!追うわよ!光ちゃんは先に帰ってここに電話!」手帳を一枚破って光ちゃんに渡す。

 「えっ?う、うん!」

 「エテ公って言うな!」

 

 ~すみれ視点(『』は外国語の設定)~

 昨夜、私はパパ達と一緒に九州公演にむけてあれこれ準備してると突然意識を失った。気がつくと見知らぬ外国人風の男性に拘束されていてどこかの駅にいた、その人は私にナイフをちらつかせて脅してきた。

 「逃げようなんて思わないこったな、お嬢ちゃん」私は恐怖で声もだせなかった。

 「ご主人、心配するな。オレが助けを呼んでくるから」デイジーはそう私に囁くと隠れていた懐からこっそり抜け出して走り去る、でもデイジー、あなた人前で喋って大丈夫なの?

 

 『この雪で飛行機は飛べないか。まあいい、どうせ日本じゃ俺の顔は知られちゃいねぇ』空港へ来るとおそらくは自分の国の言葉で何か呟いている、内容は分からないけど飛行機の運航が中止になった事に腹を立てているらしいのは雰囲気で分かる。

 (誰か助けて)私は心の中で祈るけど端から見れば誘拐犯とその被害者とは誰も思ってないみたいで誰もが平然とすれ違っていく。しばらくすると飛行機の運航が再開されたと空港のアナウンスが知らせる、これでもう二度と帰って来られないと絶望していたら

 「失礼、娘を返して貰えますかな?」パパ?デイジーが連れてきたの?でもここ関東だよね、いつの間に移動したの?

 『クソッ!』男は私を抱えてこの場から逃げようと走り出したが一人の女性に道を塞がれる。

 「皆さ~ん!人拐いですぅ!ウチの娘が連れていかれます!」パパが大声を上げると流石に周りがざわつき始めた、男は私を人質にとり尚も抵抗したけどさっきの女性に頭を掴まれた瞬間、《グキッ》って音がして泡を吹いて倒れた。やがて空港警察も駆けつけて男は逮捕、連行されていった。

 

 

 「パパ!」私が駆け寄ろうとするとそこにパパの姿はなくて

 「し、忍さん?」そこにいたのはデイジーを頭に乗せた忍さんだった。

 

 ~再び忍視点~

 エテ公によるとタケヒロサーカスは 南方での公演(話から予測するに九州辺り、サルだから地名とかは分からないみたい)を控えていて準備をしている最中、(くだん)の男に頭を殴られ気絶させられてから連れ去られたらしいわ。

 「チキショー、オレがついていながら」アンタがいたところで何にもならなかったわよ、それよりすみれちゃんをどうやって助けるか考えなくちゃ。

 「忍君!」光ちゃん?!

 「駅から沙織さんに電話したらすぐに行くって」あちしが光ちゃんに渡したの沙織さんの連絡先だったのよね。

 「何でついてきちゃったのよ?危ないわよ、戻りなさい!」

 「忍君だって!もうヤダよ、私だけいつも何にも知らないでいるの!」

 「分かったわ、絶対あちしから離れちゃダメよ」

 「ウン!」男が電車から降りたのを確認するとあちし達も後をつける。あちしらはこの路線一帯乗り降りし放題だから改札([注釈1])を出るのも楽、スキーにくる為に購入した某青春キップが意外なトコで役に立ったわ。

 男がタクシーに乗って更なる移動を開始する、あちしは馬に化けて光ちゃんを乗せて追いかける、バイクにしようとも思ったけど雪の影響で向こうもスピードはさほどだせないからこれで充分なハズよ。インターハイ優勝者舐めんじゃないわよぉ!

 男の乗ったタクシーは空港まできた。あちしは息が乱れてるけどもう一仕事しなくちゃねい。光ちゃんを降ろして今度はストレッチアさんに化ける、これであの野郎も言い逃れようがなくなるわね。

 

 そして事件解決。すみれちゃんは被害者として一応の事情聴取を受けたけどすぐに釈放された、空港には本物のストレッチアさんが迎えにきていて

 「この度は何とお礼を言っていいか…」あちしの手をとって感謝の意を示す。あ、そういえば沙織さんはどうしたのかしら?

 「忍ちゃ~ん!警察の人が帰してくれないよ~」空港警察官数人に取り押さえられてる。そりゃいくら誘拐犯の悪党とはいえ首の骨折ってるモンね、おそらく過剰防衛か何かの罪くらいには問われるハズだわ。

 「あの女性(ひと)私を助けてくれたのに…」すみれちゃんは申し訳なさそうな目を沙織さんに向けるけど

 「いいのよ。あの女性、いつも何かとやり過ぎるから」あちしからフォローしておいた。フゥーッ、これでやっと帰れるわ。

 「ところで忍君」何?光ちゃん。

 「さっきから言葉遣いが…」しまった!興奮し過ぎてずっと素で話してた!

 「まあ、いいけど。詩織さんから聞いてたし」

 えっ?

 

 




※注釈1、Suica.とかない時代でした。
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