ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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新生伊集院レイ

 「伊集院家の新当主、来秋にも襲名か」サラリーマンの高見公人は出勤前の自宅でそんな記事が書かれた新聞を読んでいた。

 「あの(・・)伊集院が跡取りか、時が過ぎるのは早いな」と、ボンヤリ考えていた公人は記事の続きを目で追っていた、そして口をつけたコーヒーに思いっきりむせた。

 「ガッホガホ、ゲホゲホ!」

 「あなた、どうしたのいきなり?!」妻の詩織が家事の手を止めて駆け寄った、公人は新聞の記事を指す。

 「詩織、これ見てみろ」

 「新聞がどうかしたの…って、どういう事?!」その記事には『伊集院家ご息女(・・・)伊集院レイが新当主を襲名か』と書かれていた。

 

 「それでアンタ、あちしに何の用だっつーのよ?」忍は相談したい事があるからと詩織夫妻が暮らす家に呼び出された。

 「伊集院君が女性だって新聞に載ってたでしょ、何で男の子のフリしていたのかとか知りたくて。忍ちゃんなら潜入捜査できるかなぁって」

 「イヤよ!伊集院家(向こう)にも何らかの事情があったんじゃないの?別にアンタにゃ実害があった訳でもないし、そんなに気になるなら本人に聞きなさいよ」正論である。

 「それはそうだけど素直に白状するかしら?それにどうやって本人に会うの?アポとるの難しそうよ」

 「知らないわよ、あちしはきら高出身じゃないモノ。それくらい自分で考えなさい」

 

 伊集院レイの朝は早い。現在は20代前半にしてグループ傘下の会社を幾つか任されている身である故に休む間もない、当然結婚なんぞ夢のまた夢。そんなある日の事、祖父の光輝(ひかりかがやき)からお見合い話を持ちかけられた。

 「悪い人じゃなさそうだけど…」自室でお見合い写真を確認するレイ。相手は40を越した男やもめで自分と大差ない年齢の子供までいるらしい、悩んだ末にお断りしようと決意して祖父に連絡する。

 「あ~ね~う~え~!」妹のメイがノックもなしに部屋へ飛び込んできた。

 「姉上ぇ、お見合いなんてしちゃイヤなのだ!姉上はメイのモノでメイは姉上のモノなのだぁ!」抱きついて腹部に顔を埋めてくる、たった一才差の姉妹ではあるが女性としては長身のレイに対し標準より小柄なメイがそうしていると親子に見えなくもない。

 「メイ、それならお断りしたから大丈夫よ。ホラ泣かないの」既に成人しているハズだが未だに甘えん坊妹の頭を優しく撫でるレイ。

 「ところで何でこの娘、こんなシスコンになっちゃったのかしら?」過去に思いを馳せるレイ、そもそもは伊集院家のしきたりに発端する。『伊集院家の長女は高校卒業まで男として過ごさねばならない』と決められていてレイもまた、男として高校に通っていた、その秘密を知っていたのは両親と祖父の他にはレイ誕生以前から伊集院家に仕えていた使用人達だけである、妹のメイにさえ真実を教えないという徹底ぶりだった。

 卒業後、レイをお祝いするパーティーが開かれた。それは伊集院家にしてはささやかなモノだったがやっと男装から解放された彼女は生まれて初めてきらびやかなドレスを着て登場した、彼女の正体を知らなかった人々は驚きはしたがその美しさに息を呑む。

 「皆さま、(わたくし)の卒業パーティーにようこそお出で下さいました。この伊集院レイ、感謝の念に堪えません」スカートの裾を持ち上げ頭を下げる、妹のメイはその光景に呆気に取られていた。

 「メイ、今まで隠していてゴメ…」

 「お姉様ぁーっ!」恥も外聞も捨ててレイに抱きついた。

 「メイはお姉様が大好きなのだ!例えお兄様でなくても、メイの大切な人には違いないのだぁ!」泣きじゃくるメイを抱き返すレイ、この姉妹にわだかまりなぞあり得なかったのである。

 

 「ところでメイは私の事を知ってたの?」パーティーがお開きになってから自分の部屋にきた妹に問う姉。

 「今日藤崎から電話がきて教えてくれたのだ」

 ~回想シーン~

 「お兄様がお姉様だと?貴様、何をいってるのだ?」

 「信じる信じないはアンタの勝手よ、でもあちしは真実を知ってる。口封じをしようとしてもムダよ、それはアンタが一番よく分かってるでしょ」ガチャン

 ~回想シーン終わり~

 「そう。もう男装はしなくていいから口封じもしないけど、彼は誰から聞いたのかしら?」その頃忍は

 「光ちゃんに告白されちゃったぁ!ウフフ、あちしも大好きよ❤」枕を抱きしめ一人で盛り上がっていた。だが急に何かを思い立ち電話の子機を手に取る、用件を伝えるとボソッと呟いた。

 「まさか伊集院兄が女の子だとは思わなかったわ、化けてみないと分かんないモノよね」そんなのお前ぇしかできねーよ!と誰かに突っ込まれた気がした。

 

 

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