ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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双子酒

 モデルから女優へ華麗なる転身を遂げた鏡美羅。幼かった弟達も成長、独立して今は母と二人で割といいマンションに住んでいる。

 この日ドラマの撮影を終えて夜遅く帰宅した美羅、母が簡単な食事とビールを一瓶用意して待っていた。

 「母さんありがとう、でも無理しなくていいのよ」

 「何言ってんの、おかげさんでいい生活できてんだからこれくらいさせてよ」互いに気を使う母娘、そんな時携帯が鳴る。

 「鏡さん、決まりましたよ」相手はマネージャーだった。

 「えっ、ホントなの?」

 「ハイ!詳しい説明を聞く為、明日プロデューサーの元へ出向きましょう」電話が切られた。

 「美羅、マネージャーさんは何のご用だったの?」

 「母さん!私、オーディションに合格したわ。映画の主役に抜擢されたって!」この映画の監督は海外でも評判が高く名が知られている、ヒットすれば一気にハリウッド女優の仲間入りだってあり得る。

 

 さて、こちらは同じオーディションを受け辛くも落選した白雪真帆。

 「く、悔しい…」ショックにうちひしがれる真帆の隣にそっと寄り添う人がいた、双子の姉の美帆である。

 「真帆ちゃん、残念でしたね」彼女は表舞台に立つ妹と違い裏側の仕事、脚本家として売り出している。

 「うぅ、姉さ~ん」美帆に優しく頭を撫でられながらすがり付いて泣きじゃくる真帆、彼女とて決して売れない女優という訳ではない。イヤむしろ一部の層では鏡より人気ともいえる、今回はたまたま運がなかったのであろう。

 「そうだ!たまには二人で呑みに行きましょう。最近いいお店見つけたんですよ」

 

 美帆が真帆を連れてやってきたのは居酒屋と食堂を兼ねた『越後屋』という店だった、金曜日の夜だけにキャパ20人くらいの店内はこみ合っていた。

 「いらっしゃいませ。二名様カウンターでよろしいですか?」どう見ても未成年のウェイターが対応にでてきた、真帆は訝しく思ったが美帆の方は慣れているらしく案内されるまま真帆を伴い席につく。

 「えっとビールを大ジョッキで二つ、あとレバニラ炒めにラタトゥイユにイカの唐揚げお願いします」普段はのんびり屋の姉が矢継ぎ早に注文する様子に意外そうな反応を見せる真帆。

 (姉さんってそんなに食べるっけ?二人分にしても多すぎないかしら?)それに客を見渡すとキャバクラのホステスらしき女性グループやいわゆるニューハーフの人がやたら多い。

 「ね、姉さん。このお店って?」

 「夜のお仕事の方々ご用達なんですよ、こういうトコで聞ける話が脚本(ホン)のヒントにもなったりしますしね」ウェイターの少年がビールと料理を運んできた、真帆は唐揚げをパクつきながらビールを煽る美帆の姿に脱力する、今日まで二十年以上抱き続けてきた姉の清楚なイメージがこの十数分でガラガラと音を立てて崩れていった。しかしそれで却ってオーディション落選のショックから立ち直る事ができた、心機一転し、次のチャンスをモノにしようと吹っ切れたところで自分もレバニラに箸を伸ばす。

 「やだ、これスッゴく美味しい!」ニラ特有の歯に感じる異物感が全くない、唐揚げのイカも下処理がしっかりされていて柔らかい。ラタトゥイユの野菜も皿の上では煮崩れず形をしっかり残しながら口に入れた途端にホロホロと蕩けていく、そんなこんなで酒もいつの間にか日本酒やウィスキーにとって代わり最初は多すぎると思ってた料理も平らげてしまった。

 

 帰り際に女装姿の男性、ここの店主の熊実に頼み事をされた。

 「白雪真帆さんですよね、サイン頂けるかしら?」色紙を二枚渡される。

 「二枚?お店に飾るなら一枚でいいんじゃ…」

 「もう一枚はアタシが個人で欲しいの、我が儘言ってゴメンなさいね」

 「いいえ。もう喜んで!」酒の勢いもあり上機嫌の真帆はサインした色紙を熊実へ手渡すとにこやかなまま帰途についた。

 

 「ウフフッフのフ~」芸能人のサインをゲットして嬉しい熊実は自然と鼻唄交じりで次の客から注文された料理を作る、一方大輔は

 「女優のサインとかそんなに嬉しいのかなぁ、僕はアニメかバラエティーしかみないからドラマに興味ないし。ま、声優や芸人だったら僕も欲しいけど」と考えながらさっきまで双子が使っていたテーブルを片付けると新規のお客に声をかけられたので伝票を手に注文をとりに向かった。

 




美帆ファンの皆さん、イメージ台無しにしてすいません。
m(≧≦)m
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