ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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子育てガンバるぞ!

 30を過ぎて未だ独り身の水無月琴子。同級生で親友の陽ノ下光は既に結婚して二児の母、しかも女子高の教師としてリア充人生を謳歌している。

 そんなある日、光から電話が入った。

 「琴子、久し振りね」

 「光?どうしたのよ?」

 「実は遠縁の親戚が亡くなってね、夫とお葬式に出なくちゃならないんけど子供達はまだ小さいから連れてく訳にいかなくてさ。一日預かってくれるところを探してるんだけど、当てはない?」子供の世話なぞ当然未経験の琴子だが、親友が困ってるとならば放ってはおけない。

 「いいわ、私が引き受ける。一日くらい何とかなるわよ」しかしこれがとんだ安請け合いだったと後で気がつく事になる。

 

 葬式があるという日曜日、藤崎夫妻が子供達を琴子の元へ連れてきた。

 「おばちゃん、こんにちは」長女の蛍は幼いながらもキチンと挨拶するが

 (お、おばちゃん?もうそう呼ばれる年齢(とし)になったの?まだ結婚すらしてないのに…)ショックで顔がひきつる、次女の雪はまだ立つのも喋るのもムリらしく

 「う~あ~」としか発しない。

 

 雪が寝ている隙に蛍を連れて近所のデパ地下にある食料品売場へ買い物に出掛けた琴子、さっきから妙に大人しいのが気になるが騒がれるよりマシだろうとカートを押す。

 「光ってこの子にいつも何食べさせてるのかしら?私、ハンバーグとか作れないのよね。ま、いっか簡単に鮭の塩焼きで済ませましょ」高校時代から今まで和食一辺倒の琴子であった、買い物カゴに鮭の切り身を入れようと視線を下に移すと蛍の姿が見当たらない。

 

 「えっ?ま、迷子?どうしよう!」慌てて辺りを見回しても蛍らしき子供はどこにもいない、そばにいた店員を掴まえて迷子センターに問い合わせるがそこでも預かってないとの返答された。

 「あぁ、私がちょっとの間目を離してる隙に…誘拐とかされてないかしら?大体光にどう釈明すればいいのよ!」悩みながらもデパート中を駆け回り蛍を探し続ける琴子、夕方になり自分の手に負えず警察へ連絡しようと決めたところにさっきの迷子センターからアナウンスが入る。

 「市内からお越しの藤崎蛍ちゃんをお預かりしています、お連れの方は迷子センターへご足労願います」急いで迷子センターに向かう琴子、手続きを済ませると疲れたのか眠っている蛍を起こそうとする。

 「寝かせてあげなよ~」聞き覚えのある声に振り向くと子連れの寿美幸がいた、傍らにやはり子連れの知らない女性を伴っている。

 「美幸、あなたもいたの?」

 「そりゃ日曜日だからね~、旦那に自動車(くるま)ださせてお買い物だよ~」そういやこの娘も結婚してたっけ、ため息を一つ吐いたところで一緒にいる女性を紹介される。

 「私は長岡初美といいます、美幸さんとはいわゆるママ友でいつもお世話になってます」

 「そういえばさ~藤ぴーとヒカリンはどこなの~?」琴子は藤崎夫妻が葬儀に出席している間、子供達を預かっている事を説明する。

 「それじゃあ~送ってくよぉ。琴にゃん家なら通り道だし~、()っちゃんも乗せていくから~」遠慮しようとも一瞬思ったが琴子自身、疲れていたので結局厚意を受け入れた。

 

 「わざわざありがとうございました」美幸のご亭主に礼を述べて自宅に入る琴子。再びエンジンがかけられる刹那、玄関から絶叫がこだました。

 「琴にゃん、どうしたの?うゎぁー」駆けつけた美幸は脱力&呆気にとられた。

 「だぁ、あうぅー。たやや」雪は琴子が家を留守にしている間に相当暴れたようで部屋中グッチャグチャに荒らされていた、最早足の踏み場もない。

 「なんて事してくれんのよぉ!」絶望にうちひしがれる琴子。

 「だぁうぅー」聞いてない。

 「赤ちゃんに文句言ってもしょうがないよ~。美幸も手伝うからさ~、お片付けしよっか~」そんな美幸を制止したのは初美である。

 「この程度私一人で充分です」それだけ言うとテキパキと後片付けを開始し、五分と待たずに元通り、というよりそれ以上に綺麗に整理整頓してしまった。

 「初っちゃんはね~、超セレブなお家でメイドさんのお仕事してるんだ~」

 「ハイ、普段はこの百倍の広さがございます邸宅を毎日掃除しております。あ、伊集院家ではございません」

 「初っちゃん、壁に向かって何言ってるの?」

 「何でもありません」そして二人は美幸のご亭主が運転する自動車で琴子の住まいを後にした。

 

 「琴子ありがとう。大変だったでしょ」夜になって忍と光が子供達を迎えにきた。

 「ええ、あのね光…」

 「なぁに?」

 「私二度と引き受けないわ、子供の世話がこんなに大変だったとは思ってもみなかったのよ」

 「あら、ウチの子達がご迷惑かけたみたいね」後ろをついてきた忍が苦笑する。

 「そうじゃないの、むしろ私が至らなかったわ」今日あった事を二人に話す。

 「大丈夫だよ、琴子も子供産めばきっと育てられるよ」

 「その前にお相手ね」

 「大きなお世話よ、それにオカマはお断りだわ」

 「その憎まれ口が余計なのよ」

 「二人共仲良いね」

 「「良くない!」」同時に声を上げる琴子と忍、ふと顔を見合わすとお互いに笑ってしまった。多分これからもこの三人の関係は一生変わらないんだろうと揃って同じ事を考えていた。

 

 

 

 

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