ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

66 / 282
開店、カフェ『Sunnylight』

 高校卒業後二流企業に就職した美樹原(めぐみ)だが元来の消極的な性格が災いしてOL生活は長く続かなかった、職場に女性が殆どいない為かセクハラ対象になったのも辞職の一因だった。

 

 そんな訳で愛は現在ペットショップでアルバイトをしている、動物に携わる仕事は長年の夢であったので会社勤めしていた頃よりずっと充実した日々を送っている。

 

 ある日、いつものように店番をしながらゲージの掃除や餌やり等の仕事をこなしていると一人の女性が店を訪れた。

 「美樹原さん?久し振り」高校卒業後、日本を発ち今は世界に名だたる某バレエ団に所属する八重花桜梨が来店してきた。

 「八重さん、お久し振りです。そういえば近々日本公演やるんですよね、TVスポット見ましたよ」

 「ありがとう、ところで貴女は何でここに?確かOLやってたんじゃ…」

 「前の会社は辞めたんです、それで今はこのお店で働いてます」元々女性にしては口数が少ない二人、愛は自らの経緯を簡単に話し花桜梨もそれ以上深くは聞いてこなかった。

 

 「あの…それで本題は?」

 「ゴメンなさい、ネコ用のゲージあるかしら?」

 「ええ、ありますよ。八重さんネコ飼ってるんですか?」

 「飼ってるのは前からだけどその子が赤ちゃん産んでね、一気に大所帯。もう大変なの」言葉とは裏腹になんとも嬉しそうな花桜梨、愛も自然と笑顔になる。

 「ただいまぁ。あ、どうもいらっしゃいませ」ゲージを購入した花桜梨と入れ違いにここの店長が戻ってきた。

 「美樹原さん、留守番アリガトね。もう12時だからランチにいってらっしゃいな」

 「あ、はい。では失礼します」

 

 愛がランチを摂りに忍の経営するカフェ『SunnyLight』にやってきた、最近開店したばかりのオシャレなお店である。

 「いってらっしゃい、アラ(メグ)ちゃん。来てくれたのね」

 「うん、遅くなっちゃったけど開店おめでとう」親友の従兄弟であり高校時代から親しかったので愛も彼には『ですます』口調でなく普通に話せるくらい親しくなっていた。

 「アリガト。でもスタートはこれからだわ、ところでご注文は?」

 「じゃ、ミックスサンドと紅茶のセットを」

 「ハイ、少々お待ち下さい」ここだけは丁寧な言葉で対応する忍。

 

 同じ日に如月美緒もこのカフェに来ていた。大学在学中に作詞家としてデビューした彼女は卒業後、本格的に活動を始めた。

 「雨の夜、アドレスを開いて知らない内にあなたの名前、指で追う…サビの部分はこんな感じかしら」ノートパソコンに向かってキーを叩いていると

 「お待たせ。オムレツサンドとコーヒーのセットよ」さっき注文した軽食を配膳しにきた忍がディスプレイの反対側に立ちテーブルの上に置く、

 「ありがとうございます、藤崎さん」美緒はパソコンを閉じてコーヒーに口をつける。

 「ナニ何?新曲の歌詞?誰が歌うの?」朝日奈夕子が美緒の正面の席に座って両ひじをついて手のひらに顎を乗せてジッとこちらを見つめている。

 「朝日奈さん?いつからいたんですか?それと企業秘密ですから勝手に見ないで下さい!」

 「見てないよ、美緒っち声に出しながらキー叩いてたじゃん」自覚がなかったらしく真っ赤な顔になる美緒。

 「アンタねぇ、そういうのは『言わぬが花』ってモンよ。で、ご注文は?」忍が美緒を庇いつつ夕子の注文を取る。

 「コーヒーとシナモントースト。ところで忍店長、まだバイト募集してる?」

 「お客様のプライバシーにズカズカ入り込む人は採用しないわよ」

 「え~、まだ雇われてないしぃ。使ってくれんならそんな事しないからさぁ、ね?お願い採用して~」

 

 そして散々粘った夕子は翌週からここで働く事になった、元々美人だし順応性がある彼女は男性客からそれなりに人気を得て店の看板娘となっている。

 「いらっしゃいませ、『Sunnylight』へようこそ!」今日も元気に接客する夕子、お客も大入りである。

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。