ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです 作:越後屋大輔
5月になり陸上部のハードな練習にも慣れてきた頃、その日の部活を終えて帰ろうとしたあちしを校門にいた1人の女子が品定めするようにジロジロ見る。
「ふ~ん、何だか見映えのしない男ねぇ。しかもジャージのままだし」大きなお世話よ!何だってアンタにそんな事言われなきゃなんないの?別にいいでしょ、校則違反じゃないし。あ、ひびきの高校では運動部所属の生徒は部活のある日に限り学校指定のジャージでの下校が(朝練がある日は登校も)認められているのよ。
「あ、光。こっちこっち」光ちゃんの知り合いなの?
「ゴメ~ン、琴子。あ、忍君。一緒だったんだ」
「それより光、この娘は?」
「彼女は水無月琴子。私の親友」
「はぁ~、光。アンタもジャージ着て帰るつもり?それにしても物好きね」
「こ、琴子?」
「フゥ、もういいわ」
「じゃ3人で帰ろ」水無月琴子ねぇ、光ちゃんとは随分対照的な娘だわ。スポーツ好きで陸上部の光ちゃんに対してこちらは茶道部員の典型的な文化系、けど話してみると結構いい娘ね。あちしも女同士の友情に口を挟むほど野暮じゃないし光ちゃんがよければ別に文句はない、3人で楽しく下校した。
それから一ヶ月後の梅雨真っ只中の鬱陶しいある雨の日、水無月さんが珍しくあちしを買い物に誘ってきた。もうすぐ光ちゃんの誕生日だからプレゼントを選ぶのを手伝ってほしいそう、2人っきりは流石に気まずいからお互いに友達も連れていこうって事になりあちしは純に声をかけた。
「つー訳で買い物についてきてくれね?」あちしはワザと男っぽいぞんざいな口調で純を誘った、学校ではいつもこんな喋り方なのよ。
「ああ構わない」匠?あんな奴誘う訳ないでしょ?
次の日曜日、あちしらは4人でショッピング街に向かった。水無月さんが連れてきたのは演劇部に所属しているすこしポヤンとした感じの娘、白雪美帆ちゃん。何となくだけどどっかで会った気がするのよね、まあそれより今は光ちゃんへのプレゼントを探さなきゃだわ。水無月さんが親指で文具店を指す、そこに入ってみるとガラス製のペーパーウェイトがあった。
「これにするわ」光ちゃんって昔からガラス製の小物とか好きなのよね、ナゼかあちしに勝ち誇ったような顔を見せる水無月さん。あの、あちしは光ちゃんと付き合おうとか全然考えてないわよ、この娘にはいっそカミングアウトしちゃおうかしら?そしたらまた厄介な事になりそうね、黙っておきましょ。あちしもガラス製のアトマイザーを見つけて購入したわ、飾っても使っても良しな一品よ。
そして6月25日、光ちゃんの誕生日。この日は平日だから水無月さんは学校でプレゼントをあげたらしいわ、特に問題もなく無事渡せたみたい。一方あちしはというと
「あ?学校で渡せなくても家訪ねるし」
「家まで行くって、どういう事?!」昼休みにこんな会話をしながら向き合ってお弁当を食べるあちし達。そう言われたってあちしら幼馴染みだし、光ちゃんだって別に一人暮らししている訳じゃないんだから普通にご両親の目の前で渡すわよ。水無月さんって光ちゃんの事となると神経過敏になるのよね、まさかとは思うけどそっち側の娘じゃないわよね?あちしの隣でパンをゆっくり咀嚼していた美帆ちゃんが一言。
「お2人は仲良しなのですね」
「「良くない‼」」同時に否定した。
「し~の~ぶ~!」アラ、匠が頬に紅葉作ってやってきたわ。
「お前騙したな!陽ノ下さんに誕生日プレゼント渡したら平手打ちされたぞ!」な~んの事かしらん?
「匠、何渡したんだ?」純が脱力しながら問う。
「ホラー映画のビデオ」
「それ、光が一番嫌いなモノよ」呆れて言葉を繋ぐ水無月さん。
「だ・か・ら・こいつがぁ」
「お前は『誕生日プレゼント何がいい?』って聞いてきただけだろ?光の誕生日なんて一言も言ってなかったじゃないか、だから俺がほしいモノを教えたんだが」ホントは罠に引っかけてやったんだけど、見事にかかったわねぃ。ガーハッハッハ、ザマーミロ!