ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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側面から見たラブストーリー

 穂刈純一郎は高校生の頃から付き合っていた片桐彩子と留学先のパリで破局し、一人で日本に帰ってきた。

 帰国早々、知らない居酒屋で一人酒を煽る。『越後屋』は忍を始め、友人達に鉢合わせる可能性が高い。できれば彼らと顔を合わせたくなかったのだ、隣の椅子に誰かが席を取る。

 「やあ、穂刈純一郎君だね」こちらは見覚えがないのに相手は自分を知っている、多少不気味に思ったが酔っているのもあり純一郎は警戒心が緩くなっていた。

 「僕は飯塚三流(みつる)、元きらめき高校野球部のエースだ。君の事は高体連の試合でみていたよ、よかったら一杯奢らせてくれるかい?」

 「気持ちはありがたいが、生憎失恋からのやけ酒なんでな。一人にしてほしい」

 「失恋?じゃあ僕と同じだ」

 「何?」

 「僕もかつて恋した女性がもうすぐ結婚すると聞いてね、呑まずにいられなかったんだ」

 「そういう事なら同じ境遇の者同士、仲良く呑もうじゃないか」この晩、純一郎と三流は大いに呑み明かした。

 

 それから何日かして実家の花屋を手伝うようになった純一郎、最近再会した高坂からの近況報告によると忍と光が結婚したらしい。それに比べて俺は何をしていたのかと心の隙間に風が吹き空しさとして広がっていく、お正月にみんなで集まろうかという高坂の誘いも断った。

 

 こちらは片桐彩子、お正月に日本へ帰省して再びパリに戻っていった。純一郎と別れた後、現地の男性と交際し始めたと聞かされた時はビックリしたが

 「現実って残酷ね、でもいくら親友でも男と女の間に割り込むべきじゃないわ。純は松の内が明けた頃にでも慰めてあげましょ」と思う忍だった。

 

 ある金曜日、昼食を摂りに『洋食のねこや』に訪れた純一郎。日替わり定食を頼もうとここで働く元同級生の一文字茜を呼んだ。

 「いらっしゃい穂刈君、ちょっと待っててね。今混んでるから」

 「ああ。急がなくていい」お冷やに手をつけながら待っているとやがて定食が運ばれてくた、それを食べ終えて支払いをしながら

 「明日は休みだろ?もしよかったら一緒に出掛けないか?」産まれて初めてのナンパを試みた、断られるのは覚悟の上だ。

 「えっと、それなんだけどね…」言い淀む茜、流石に事情を説明するのは憚れる。

 「嫌ならいいんだ、ムリを言ってスマン」純一郎は店を出る。

 

 その夜、忍から電話がかかってきた。

 「久し振りね、純」

 「忍か?用がないなら切るぞ」

 「アラ、親友からの電話なのに随分冷たいわね」

 「何が言いたい?」

 「明日は暇なんでしょ、あちしと食事に行かない?」

 「お断りだ」幸せの絶頂にいる奴といたってただ空しいだけ、心に開いた穴が埋まるハズもない。

 「まあ、そう言わないで。迎えに行くから待ってなさいよ」無理やり約束を取り付ける忍に純一郎も仕方なく折れた。

 

 翌日の土曜日、忍に連れられて再びねこやにやってきた純一郎。

 「今日は定休日じゃないのか?」訝しむ純一郎だが

 「いいから、いいから」半ば強引に腕を取り裏口から店内に入る忍。

 

 『洋食のねこや』が『異世界食堂』に変貌した様子を目の当たりにする純一郎。

 「いらっしゃいませ、空いているお好きな席へどうぞ」茜とは別の金髪のウェートレスに促されテーブルにつく。

 「とまあ、こういう事よ。茜ちゃんもアンタを嫌ってる訳じゃないわ」ここが一番大事よと念を押す忍に対し目を泳がせっぱなしの純一郎、そこに『異世界食堂』の常連が扉を開けてやってきて忍に伝える。

 「オムライス、オオモリ。オムレツ3コモチカエリ」二足歩行の大蜥蜴に忍は

 「ゴメンなさいガガンポさん、あちし今はもうここの従業員じゃないのよ」

 「ム、ソウカ。スマナイ」アッサリ引き下がるガガンポ、他には如何にも魔法使い然とした老人がロースカツを肴にビールを呑んでいていいトコのぼっちゃんらしき若者はナポリタンに舌鼓を打っている。やや尖った耳が印象的な美女はプリンアラモードに口角を上げ、ナゼかお公家と侍の姿の二人連れはお好み焼きを挟んであーだこーだと言い争そっている。この時純一郎がどんな反応をしたかは今更言うに及ぶまい。

 

 とにかく食事を終えた二人、純一郎は改めて茜を誘うと

 「来週から土日も大丈夫だよ、アレッタちゃんも大分仕事を覚えたしね」忍は安堵したなかため息を一つ吐いた。

 (これで純も心配ないわね、後は自分で頑張んなさい)その翌年に茜は純一郎と結婚してねこやを退職した。

 

 

 

 

 

 

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