ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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大人と子供の恋愛模様

 美樹原(めぐみ)がバイトから帰宅すると珍しく玄関先に母親が立っていた。

 「お母さんどうしたの?」

 「はいこれ」母はドヤ顔で愛を見つめるとある物を渡す。

 「これ、お見合い写真じゃない」母から受け取ったのは見開き一頁の冊子。中にお見合い写真が載っているアレであった、相手は三才年上のサラリーマン、見た目も悪くない、というより見覚えがあった。

 「アレ?この人って」冊子のプロフィールには名前と年齢、趣味等が書き添えてある、彼は愛が以前いた二流企業の社員だった。

 

 お見合いの日がやってきた。愛と相手の男性、(あかね)烈火(れっか)と実は互いに面識があった。愛と二流企業に同期入社した社員で当時若手最有望株と言われていた青年だったが、直属の上司とそりが合わず今は出世コースからは外されていた。

 「それじゃ後は若い人同士で」最近はあまり見かけないお見合いおばさんが退席すると二人は改めて挨拶を交わす。

 「美樹原さん、ご無沙汰してます」

 「いえ、あの…お久し振りです」男性に免疫がない愛。まともに話せるのは親友藤崎詩織の従兄弟の忍くらいで、他の男性に対しては未だ引っ込み思案なままだ。結局お見合いは中途半端な終わり方になり、帰宅した愛は詩織に相談する事にした。

 「で、メグ。朱さんとは前から知り合いだったのよね」

 「そうだけど。私あの会社にいたのホンの短い間だったし、人となりとかはあんまり…」

 「いいわ。これから出られる?」

 「大丈夫だけど…どっか行くの?」

 「呑みによ、素面じゃ話せない事もあるでしょ?」

 

 この春、中学生の頃から付き合い始めた彼女の朱白夜(びゃくや)と無事同じ高校に入学した越後屋大輔。今日は養父(養母?)の熊実が二人のお祝いをしてくれる事になっている、その為に店は貸し切りという形をとっていた。何せ白夜には両親の他、今年三十路を迎える長男の清明(きよあき)を筆頭に六人も兄姉がいて彼と二才下の長女は既に子供が何人かいる。越後屋はキャパ二十人くらいの小さい店なので通常の営業日だとそれだけの人数が入りきらないからである。

 

 こちらは越後屋にやってきた詩織と愛、入り口の張り紙に書いてある『本日貸し切り』の文字を見ると

 「アラ、珍しいわね。貸し切りなんて」

 「しょうがないよ、詩織ちゃん帰ろう」踵を返す二人を呼び止める声がした。

 「美樹原さん、偶然ですね」朱烈火だった。

 「朱さん、こちらにご用なんですか?」

 「今日は末妹の高校入学祝いに店主さんのご厚意でこの店を我が家の貸し切りにしてもらったんです」

 「えーっと、確かここの息子さんも今年高校生になったんですよね」スッカリ越後屋に通い慣れている詩織が間に入って問い質す。

 「はい、ところで貴女は?」当然詩織とは初対面の烈火、今度は愛が説明する。

 「友人の藤崎詩織ちゃんです」

 「藤崎…忍君のご姉妹(きょうだい)ですか?彼とは呑み友達なんですが」

 「従姉妹です」

 「そうでしたか、もし宜しければご一緒しませんか?」

 「あの…いいんですか?」

 「あとお二人なら何とかなるでしょう。さ、どうぞ」二人をエスコートして入店する烈火、中では熊実が出迎える。

 「いらっしゃい、アラ詩織ちゃん?」

 「すいません、こちらのお二人もお誘いしたんですが」

 「まあ何とかなるわよ」

 「こんばんは熊実さん、大輔君も高校入学おめでとう」

 「ありがとうございます」

 「烈火兄さん、その人誰?」真新しい制服姿の少女が尋ねる、この娘が今度高校生になった末妹と見受けられた。

 「先日のお見合いのお相手とそのお友達だ、近くでバッタリお会いしたんでな」

 「全く。誰のお祝いか分からないじゃないの、烈火」長女の満月(みつき)がからかい半分に苦言を呈する、言葉と裏腹に顔はニヤけていたが。

 「やめてくれ、姉さん」慌てて否定する烈火、愛は真っ赤になって俯いている。

 「とにかく座って下さい、今料理を運んでいきますから」見かねた大輔が仕切り直しを図るが

 「イヤイヤ大輔君、今日は君と白夜が主役なんだから。後は満月達にやらせるよ」清明に制される。

 

 こうして入学祝とは名ばかりの大人達の呑み会は大いに盛り上がった、始めは緊張気味だった愛も酒が入ると段々朱一家打ち解けてきた。

 「メグ、上手くいくといいわね」心の中で親友にエールを送る詩織、その頃主賓であるハズの大輔と白夜はいつの間にか二人っきりで外に出て夜空を見上げている。

 「ゴメンね、騒がしい一家で」大輔に寄り添って呟く白夜に

 「そうかな?大家族って僕は素敵だと思うよ、ウチマスターと二人だし」

 「ねぇ大ちゃん、私がもしあんな家庭を作りたいって言ったらどうする?」

 「ふーん、そうなんだ」

 「大ちゃんニブすぎ!」

 「くーちゃん?」頬を膨らませ店内に戻っていく白夜、この様子をコッソリ覗いていた詩織と熊実は

 「大輔もかなりの唐変木ね、世話が焼けるわ」

 「あのくらいの男子って大抵あんな感じですよ、公人や忍ちゃんも相当鈍感でしたから」

 「ちょっと出歯亀のお二人さん」覗かれていたのに気づいた大輔が突っ込む。

 「「こういうところは鋭いのに」」予期せずハモってしまい、呆れている大輔を尻目に大笑いする二人。

 

 後日、愛と烈火はとりあえずお友達から交際を始めたそうだ。

 

 

 

 

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