ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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ご注文はオカマですか?

 八重花桜梨が日曜日の染井酒店で店番をしていると中学生くらいの少年が訪れた。

 「ゴメン下さーい、越後屋です」ここの近所にある居酒屋兼食事処『越後屋』の養子、越後屋大輔である。

 「いらっしゃい、ご注文の品はこのケースに入っているから」吉彦から言付けを預かっていた花桜梨はビールケースを大輔に引き渡す。

 「ありがとうございます、お代はいつも通り月末にお届けします」自前のバイクに受け取った荷物を乗せてエンジンをかけると巡回中の警察官に呼び止められる。

 「君ぃ、運転免許証を見せてくれるかな?」少年はまたか、と言いたげに嘆息しつつポケットから免許証をだして警察官に提示する。

 「え、二十歳?その顔で?」失礼極まりない警察官の態度に少しムッとした大輔に思わず吹き出す花桜梨。結局お解き放ちになり自宅に戻った大輔だが何せ首から上を見れば小学生と言われても納得される程の童顔、主に女性に羨ましがられるが本人にとってはコンプレックスでしかない。

 

 「ガーハッハッハ‼」数日後、個人でウィスキーを買いにきた忍にこの話をすると大爆笑された。

 「そんなに笑ったら気の毒よ、お巡りさんも仕事だから仕方なかったろうし」

 「あ~笑った、今ので一生分くらい笑った気がするわ」そう言うとウィスキーの箱を抱えて帰っていった。

 

 その日はSunnylightの定休日であり、越後屋も臨時休業していたので忍は穂刈純一郎と佐倉賢を呼び出し宅呑みと洒落混む事にした。

 「それじゃ我らの盟友、穂刈純一郎君の新たなる門出を祝って」

 「「「カンパーイ‼」」」純一郎と一文字茜の結婚が正式に決まった祝いの盃を交わすかつての親友達。この日の為に先日忍が買ってきたウィスキーをまずは賢と純一郎の二人で呑み始める、その間台所でアテを用意していた忍も皿を並べて参加する。

 「まずはこれ、鮪とアボカドのカナッペよ」

 「旨い、醤油系もパンに合うんだな」

 「レンズ豆入りのチョップドサラダ、梅と大葉の挟みカツもあるわよ」

 「こりゃ、酒が進むな」それからしばらく無言で飲み食いする三人。

 「いやあ、これで俺達三人共無事片づいた訳か」賢がしみじみと口火を開く、彼も半年程前に結婚して妻の籍に入っていた

 「しかし、忍が最初に結婚したのは意外だったな」

 「そうよね。結婚どころか光ちゃんを好きになるなんてビックリしたわ、てっきり自分はホモだとばかり思ってたもの」

 「でもオカマなんだな」

 「世の中色んな人種がいるのよ」酔ったせいもあり大笑いする三人だった。

 

 この日の夜、越後屋熊実は自分の店と財産を全て養子の大輔に残す為に、弁護士事務所に行って手続きを済ませてきた。その大輔は大学のサークル旅行に出掛けて留守にしていた、熊実は帰っても一人ならと古い友人がやっている喫茶店兼バー『ラビットハウス』を訪ねる事にした。

 「カプちゃん、こんばんは。一杯いいかしら?」

 「くまか。今日は店どうしたんだ?」ここのマスターであり、熊実の友人の香風タカヒロがグラスを拭きながら顔を向けずに尋ねる。

 「ちょっと用事があってね、臨時休業にしたわ」

 「財産分与の件だろう、大輔君には話していないのか?」

 「下手に知らせない方がいいのよ、万が一バカ兄貴達が嗅ぎ付けても困るもの」熊実の兄弟は父親が創業した越後屋を潰して駐車場か何かを造るつもりらしい、それを阻止する意味もあって大輔に全てを譲ろうというのだ。

 「ホント親不孝な連中よね、カプちゃんだってお父さんの後を継いだんならそう思わない?」

 「確かにな、俺は親孝行しようと継いだ訳でもないが」

 「可愛げのない息子じゃな」ふと誰かの声がしたが今、店内にはタカヒロと熊実以外にだれもいない。イヤ正確にはもう一人ならぬ一匹、この店の飼いウサギのティッピーがいた。

 「…まさかね?」タカヒロが差し出したハイボールを呑みながら床を跳ね回るウサギを見つめて熊実は首を振った。

 

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