ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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四人で漫才?だゾ 前編

 「白雪さん、バラエティ番組に出演しませんか?」この日ドラマの収録を終えてマネージャーから打診された白雪真帆、その発言に些か気分を害する。

 (何でよ?私、これでも女優なのよ!)腹わたが煮え返りそうなのを抑えて笑顔を繕って断る。

 「遠慮しておくわ、私が出演しても面白くならないでしょうから」控え室でメークを落としながらそう告げて自宅へ帰る、今は実家をでて姉と二人でマンション住まいをしていた。

 帰宅すると双子の姉、美帆がパソコンに向き合って頭を抱えていた。

 「何やってるの姉さん?」

 「あ、真帆ちゃんお帰りなさい」考え事で頭がいっぱいになり、真帆の帰宅にも気付かなったらしい。

 「今度ね、バラエティ番組の脚本(ホン)を書く事になって色々面白い話を考えていたんですよ」は?と言いたげな顔になる真帆、高校時代に演劇部へ所属していた姉の脚本は奇妙な内容の作品が多かった。しかしあれは受け狙いというより彼女自身の独特な感性によるモノであり、美帆が意図して面白い話がかけるタイプの作家じゃない事は真帆が一番よく知っている。

 「姉さん、明日二人で出掛けよう。今回は私が気分転換させてあげる」実は現在収録中のドラマのスポンサーである破嵐万丈から日本中のビートルズマニアが集い、名曲を演奏するトリビュートコンサートのチケットを二枚貰っていたのだ。その開催日がちょうど明日で真帆の仕事もオフ、美帆は元から在宅ワークだから休日は大して関係ない。

 

 翌日、コンサート会場に着くと思いの外盛況であった。真帆はチケットを頂いたスポンサーに挨拶してくるから指定座席で待っていてと美帆に伝えると、V.I.P.専用の座席に向かっていった。

 美帆がロビーで寛いでいると丸刈りに太い眉、全体的にジャガイモみたいな顔をした五才くらいの男の子がお尻を振りながら駆け回っている。

 「そこのおねいさん、オラと音楽について語り合わな~い?」白雪美帆、生まれて初めてナンパをされた。しかも相手が五才児…複雑な心境でその子に愛想笑いを返すと彼の頭にゲンコツが落ちた、ジャガイモ君よりは一回り大きいがこの子も八才程に見える。兄弟か何かだろうか?

 「母ちゃんのゲンコツより痛い…

 「バカな事してんじゃねえよお前ぇは。ホラ、とっとと万丈さんと合流するぞ!すみません、ご迷惑をおかけしました」八才児は美帆に体を向けて礼儀正しく頭を下げると、五才児の襟を掴んで引きずりながらホールに入っていく。

 「万丈さんって、あの破嵐万丈さん?今日のチケットを下さった!あの子達スゴい人と知り合いなんですね」

 

 その内に開演時間が近づいてきたので合流した真帆と一緒にホールへ入場する。ところが開始時間から五分経っても十分過ぎても一向に始まる気配がない、客席が次第にざわつき始めた。

 「ギャリソン、何かトラブってるみたいだ。様子を見てこよう」万丈が席を立とうとするのと同時に誰かが舞台に上がろうとしついる、さっき美帆をナンパしていた坊主頭の子供だ。

 「オラ、野原しんのすけ五才!好きな遊びは鬼のいないかくれんぼと死体ごっこ」会場は一転して失笑に包まれる。

 「何やってんだあいつ!万丈さん俺、しんのすけを引きずり下ろしてきます」幸太は舞台を上ってしんのすけを抱えて降りようとしたが

 「幸太君、開演がかなり遅れそうだ。すまないが目処がつくまで君としんのすけ君で場を繋いでくれ」万丈から普通ならこの喧騒で聞こえないくらいの小声で伝えられる、しかし30キロ先の一円玉の音も聞き分ける程の聴覚を持つ幸太にはバッチリ聞こえていた。

 (マジっすか?)焦る幸太に対して全く物怖じしていないしんのすけ。

 「まあまあ、幸ちゃん餅ついて」

 「落ち着いてだろ!誰のせいだと…」

 「ウホォーッ、さっきのおねいさ~ん」割りと前列の席にいた白雪姉妹、美帆はしんのすけと目が合ってしまった。

 「ねぇねぇ、おねいさんもオラ達と語り合わなぁい?」

 「他人(よそ)様まで巻き込むんじゃねえよ!」

 「ええ、いいですよ」ナゼか承諾した美帆まで舞台に上がってきた。

 「姉さん?!」慌てて美帆を追いかける真帆、結局舞台には四人が上がっている。

 「オイ、あれ女優の白雪真帆じゃないか?」

 「えっ、嘘?なんでここに?」今度は別の意味で騒ぎが広がる。

 (あ~、どうしよう。こんなの絶対週刊誌に書き立てられるわよぉ)

 (チキショー、もうどうにでもなれ!)困り果てる真帆とヤケクソになっている幸太、あまり深く考えてない美帆としんのすけ。女優と脚本家の双子姉妹&幼稚園児と小学生の従兄弟同士による前代未聞のトークショーが今、始まろうとしている。

 

 

 

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