ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです   作:越後屋大輔

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前回が重い話だったので今回はギャグっぽい展開にします。


サンドイッチ戦争 前編

 ~アレッタ視点~

 私がその騒動に出くわしたのはこの異世界食堂で働きだしてしばらく経った頃でした。7日に一度の『ドヨウの日』に訪れる常連のお客さん達は皆さんそれぞれの大好物があり、どなたもそれこそがこのお店で一番美味しいと思っていらっしゃいます。そしてどっちがより美味しいかと話題になれば大抵は口論となる、今回はたまたまそんな日だったんです。

 「何よ!朝までじっくり寝かせてソースが染み込んだパンとカツの味も知らないくせに!」

 「それはこっちのセリフだ小娘!貴様こそ何も分かっていない、シュライプとタルタルソースの組み合わせは冷めても揺るぎないというのがな!」言い争っているのはトレジャーハンターという仕事をなさっていながら気品のある女性『メンチカツ』ことサラさんと立派な身なりをした公国の騎士だとおっしゃる『エビフライ』ことハインリヒさんです。

 

 ~茜視点~

 今日は土曜日、旦那が子供を連れて出掛けたからお昼は外食で済まそうと結婚と同時に退職してからずっと足が遠退いていたねこやに久し振りにやってきた。関係者以外は知らないけど、ここは週に一度異世界食堂として文字通り異世界からのお客さんを招き入れている。騒ぎにならないように表向きは定休日にしてあって普段の入り口も鍵をかけてあるけど元従業員でその事を知っているボクは裏口から来店した、そこで言い争っている若い男女に気づいたから仲裁に入る。

 「二人共、いい加減にしなよ。大体どうして喧嘩なんてしてるの?」ボクは首を双方に向けて問い質す、答えはこの二人からじゃなくてアルトリウスさんから返ってきた。

 「サンドイッチにした時、どちらがより旨いからという事らしいの」く、下らなすぎる…。

 「サンドイッチ?パンに料理を挟んで持ち帰りができるアレか?」タツゴロウさんも話に加わってきて、一緒に喧嘩を仲裁してくれた。

 「これこれ、若者達よ。あまり言い争うでない」

 「ここは食事を楽しむ場、少々ならば程よいスパイスになろうが過ぎれば料理の味を損ねるぞ」異世界一の大賢者と噂に名高い伝説の侍、この二人から注意されたら流石に黙るしかないよね。

 「まあ、言いすぎたわ。エビフライも美味しいのは確かだし…」

 「イヤ、こちらも悪かった。謝罪しよう、人それぞれ好みがあるからな」そうそう。お通夜程とは言わないけど、食事をする時は最低限のマナーを守らないとね。

 

 ~視点なし~

 サラとハインリヒを諌めながらアルトリウスとタツゴロウは先代店主が生きていた、この店が自分達の世界に通じて間もない頃を思い出していた。

 (懐かしい、思えば我々もどの料理が一番旨いかよく口論をしたモノだ)

 (先代メンチカツもコロッケの奴とどっちが旨いかでよくモメておったわい、やはり血は争えんな)

 「まあ、確かにメンチカツもエビフライも旨いがな」

 「やはりサンドイッチにするならば…」ここで二人は全く同時に別々な言葉を口にした。

 「ロースカツ」

 「テリヤキ」

 「「サンドであろう!」」次の瞬間、互いに顔を見合わせる。

 「おぬし、ライス派ではなかったか?そもそもパンにテリヤキを合わすのはいかがなモノかの?」

 「そっちこそ。普段はパンなぞ目もくれずロースカツにビールばかりではないか、ナゼ故パンに挟むという話までロースカツになる?」古株同士まで口論を始めた。

 「イヤイヤ、ワシャ月に一度はロースカツサンドを持ち帰っとる。野菜は入れず、カツとソースとマスタード。これにバターを塗ったパンに挟んで冷めたのを食う、それが絶品なんじゃ」

 「それなら言わせてもらうがテリヤキはパンにも合う。甘辛いタレをたっぷりつけたテリヤキチキンに新鮮なキューレと生のオラニエ、これをバターと辛子を塗ったパンに挟むと…これが不思議とよく合う。大体、この異世界ではテリヤキを挟んだパンは大人気と聞いたぞ」茜はアチャーと額を押さえる、更にこの争いが別のお客にまで飛び火した。

 「その…サンドイッチでしたらわたくしは生クリイムに果物を挟んだフルウツサンドが一番だと思うのですが」帝国の麗しき姫、アーデルハイドが最近ハマっているホイップクリームたっぷりの甘いサンドイッチについて語り出すと

 「フルーツサンドにするならカスタードの方が合うと思う。あっちの方がこってりしていて甘味が強い分、果物やパンの味に負けずによく馴染む」プリンをこよなく愛する公国の魔女姫ことヴィクトリアは味も材料もほぼ同じカスタードクリームを挟んだモノを推す。

 

 この争いに更に参戦するお客もいた。アルフェイド商会のうら若き御曹子、シリウスは

 「サンドイッチなら僕はコッペパンを使ったナポリタンドッグですね。この店のナポリタンはパンに挟む時、濃いめに味を作るんです。そうするとパンに挟んだ時、しっかりとした具になってまさに最高なんです」

 「そちらのお若い方はまだ蒼くていらっしゃる、パンに挟む麺なら焼きそばでしょう」

 「貴様に同意するのは不本意だがその事に関しては賛成でござる」西大陸にある海国の陰陽師と山国の侍は焼きそばパンこそ至高といって譲らない。その間、茜の堪忍袋は緒が切れるどころか爆発寸前まで膨れ上がっていた。さてこのサンドイッチ戦争の行く末はいかに?

 

 

 

 




溜めてるわりに大した事は起こらないので過度な期待はなさらぬよう。
(゚人゚)
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