ボンクレーが『ときメモ2』の世界に転生したようです 作:越後屋大輔
舅が建てた大きな家で夫の兄妹やその家族と暮らす
ある日愛を訪ねて朱家にやってきた詩織はその巨大な家に圧倒される、呼び鈴を鳴らすと愛が一番下のまだ離乳したばかりの双子をあやしながら応対に出てきた。
「メグも大変ね、それにしても大きな家じゃない」ため息を漏らしながらそう溢す詩織。
「ええ。朱家は代々多産な家系らしくてお
その後リビングでしばらく談笑しているとやがて玄関からドタバタという音がけたたましく響く、小学生組の
「めぐ叔母さん、ただいまぁ」ザッと見ても10人以上はいる、そんなわらわらと押し迫る子供達を愛は軽くいなす。
「みんなお帰り、三年生は今日テスト返されたよね。見せなさい」
「ハーイ」手渡された答案をチェックする愛、全員まずまずの点数だったらしく
「いいでしょう。後でそれぞれのお母さん達にも見てもらうから預かっとくわね」
「おやつー」
「ハイハイ。ちゃんと人数分あるから手を洗ってらっしゃい」
「「「「ハーイ!」」」」
「あのメグが…」引っ込み思案な高校時代からは考えられない肝っ玉振りにしばし固まる詩織。
「詩織ちゃんどうかした?」
「え?あ、そのメグ変わったわよね」
「そうかな?毎日がこんなだからもう慣れちゃったよ」詩織は腰を浮かせて立ち上がる。
「お忙しくなりそうだから私帰るわね。今度また、ゆっくり話しましょう」
「ええ、今日はありがとう」愛は詩織を玄関先で見送る、詩織が戸に手をかけるとその前に誰かが外から開けた。
「愛姉さん、越後屋白夜ただ今帰りました」朱家七兄妹の末っ子、愛の義妹の白夜がナゼか嫁ぎ先から帰ってきた。
「あ、藤崎さんいらしてたんですか」頭を下げる白夜だが一つ忘れている。
「詩織ちゃんも結婚して姓が変わってるのよ、今は高見さん。くーちゃんだって今は違うでしょ」
「そうなの?」詩織はやや驚いた。
「姉さん達も旦那の稼ぎが少ないのか、未だ同居してますよ。私は文字通りお嫁に行きましたけど」そこへ長女満月が帰宅して白夜の耳を思いっきり引っ張る。
「アンタって娘は!
「痛っ!痛いイタイ、お姉ちゃん許してぇ」
「あの…お義姉さん、そのくらいで」
「愛さん。甘やかしちゃダメよ。今日という今日はみっちりお説教してやるから」
(ああ、色々やらかしてるのねこの娘)苦笑いしながら朱家を後にした詩織であった。
「ただいま。おや満月、白夜の奴また何かしでかしたのか?」朱家七兄妹の長子、晴明は末妹が正座させられている姿を見て
「行動は起こしてないけど暴言がね、兄さんからも言ってやって」満月から事情を聞かされた晴明は白夜に向き合う形で自らも正座すると
「満月、俺からも叱っておくから。お前はもう休め」そう言って満月を寝室へ下がらせる。
「さて、白夜。そもそも何で帰って来た?大輔君と喧嘩でもしたのか?」穏やかに問う長兄に白夜はポツリポツリと話し出す。
「あのね、お店にヤミ金の連中が来て借りてもいないお金を返せってイチャモンつけてきたの。それで私…」
「そいつらを半死半生の目に遭わせたという訳か、それでバツが悪くなって飛び出してきたんだな」あの温厚な大輔が『出ていけ』とか言うとは思えない、おそらく独断であろう。
Trrr、電話が鳴る。愛が受話器を取る、家中予想通りの相手だった。
「もしもし。あ、大輔君?くーちゃんならここにいるよ」
「愛さん、電話を繋いでくれるかな?」清明は愛から受話器を受けとると
「スマない大輔君、毎度愚妹が迷惑をかけるな」
「いいえ、僕はそんな風に思ってませんから。それより無事で何よりです、明日迎えに行きますね」清明は電話を切ると
「大輔君が寛大な青年で良かったな。お前みたいなじゃじゃ馬、他に誰も貰ってはくれんだろう」ため息と共にそう漏らす清明。
翌日、大輔が朱家へやってきて白夜を引き取っていった。
「一人で出ていったらダメだよ、くーちゃん」
「大ちゃん、私の事嫌いにならない?」
「なる訳ないよ」実はこの二人、新婚である。
「我が妹ながら気色悪い」大輔に対して甘えん坊モードになる白夜に鳥肌が立つ烈火と昴。
「ねえ兄さん、白夜って私達と同じ両親の子かしら?父さんか母さんが鬼とかゴリラと浮気してできたんじゃ…」
「鬼は知らんがゴリラと人間じゃ子は成せんぞ」
「この人達、自分の妹に酷すぎる!」反射的に突っ込みを入れる愛がいた、彼女も大分この家に毒されてきたようである。