私の足を舐めなさい!   作:足でされたい

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お母さん

私は無事何事もなく病院を退院した。そしてついに今日は紅葉さんとの話し合いの日。

 

「顔が緊張してますって顔してるけど本当に大丈夫?」

 

「大丈夫。昨日、今日学校休んだ意味がなくなっちゃうもん。それにお姉ちゃんがついてるし」

 

「ならいいけど……辛くなったらすぐ行ってよね」

 

心配そうな顔で私に言ってくるお嬢様。そんな顔しないで下さいよ。これ以上お嬢様に迷惑かけてたら私が嫌になるもん。

 

「うん」

 

ピンポーン

 

来たっ……!

 

「はい、月村ですが。お待ちしておりました。今お開けしますので」

 

お嬢様モードのお嬢様だねこれ。なんだかんだでお嬢様も緊張しているのが丸わかりだった。

 

そして……

 

「この間は突然ごめんなさい。しっかりとした話し合いの場を作ってくれたことに本当に感謝します」

 

「いえ……紅葉さんそこに座ってください」

 

私がお母さんじゃなくて紅葉さんって言うとは思わなかったんだろう、私が紅葉さんと言った瞬間顔がこわばったのがわかった。

 

ちなみにお嬢様には部屋の入り口にたってもらいました。横に座るって言い張ったのを紅葉さんが緊張するかもしれないってことで断りました。

 

「はい、失礼します」

 

私は単刀直入に聞きたかったことを聞いた。きっと今聞かなかったら一生逃げることになると思ったからだ。

 

「じゃあ聞きますね。何で年端もいかない私を月村家に預けたんですか?それとも適当に金持ってそうだからダンボールにでもいれて捨てたんですか?正直に言ってください。今更濁されても困るので」

 

自分で捨てられたとか言うのはほんとにやだな……言うたびに胸の奥がキュッとなるのが分かった。

 

「長くなりますけどそこは勘弁してくださいね。まず私は楓の父にあたる人と18の時に楓を出産しました。その父はその時無職で21の大学生でした。私も高校3年生でお腹の中に赤ちゃんがいることにその時はとても驚きました。いわゆるできちゃった婚です。両親に相談することも出来ずその時はどうしよう、どうしようって気持ちでいっぱいでお腹に赤ちゃんがいるってその人に相談したらそれっきり連絡がつかなくなってね……気づいた時にはその人は住んでいた家から引っ越した後でした。1人取り残された私はその事を両親に涙ながらに話したのを覚えています。父からは何も考えずにそういう事をするからだと怒鳴られ元から口数の少ない母親は完全に無視でした。それで私は堕ろすか産むかの2択の決断を父親から強いられました。堕ろすんなら家にいていいが産むなんて言ったら金輪際家の敷居は跨がせないと……まぁそれはそうでしょうね……橘家の面汚しとしかその時父親は思ってなかったでしょうし。私は1週間という短い期間で答えを出しました。『お腹の子を産んで育てる』って。1つの命を絶やした罪を背負って生きるのが怖かった……それだけが理由でした。家を追い出された私はある友達の家に居候をしながら仕事を探して楓を育てることにしました。その友達と言うのがエレナお嬢様の母親のカリナ様だったんです。彼女とはたまたま中学時代部活の大会で仲良くなって高校に入ってもマメに連絡を取っていたんです。彼女に1番にこの事を相談したら「え?ほんとに……実は私もなんだよね……彼氏に避妊無しで無理やりされちゃってさ……良かったらうち来ない?今1歳になる娘がいるし色々と教えられるから」って。その時にお嬢様だったんだってことも知りました。私はそんな彼女の優しさにつけこんで月村家に居候する事を決めました。ですがやっぱりカリナ様のお母様はそれを歓迎してはくれませんでした。それはそうですよね。由緒ある家柄の月村家。それに娘さんまで子供がいて大変な時期ですし。そんな生活を初めて1年になった辺りでした。カリナ様のお母様から楓をうちのメイドとして育てたいと。それに応えてくれるなら金銭面の補助を全てしてやると。楓が大きくなってからのお金の補助は全て見てやると。もちろん私の生活費です。ただし条件として私が家から出ること、1週間以内に返事を出すことでした。ただでさえ仕事も楓が寝てからコンビニの夜勤をしていたぐらいでお金に余裕のない私は今後の事を考えたら悩んでる暇はありませんでした。この子の幸せを考えたらそれが1番かな……って。月村家のメイドさんは皆明るくて優しくて、きっと悪い風にはしないかな?って思えましたし。そして私は家から出て月村家のお屋敷からそう遠くない一軒家に引っ越しました。それからは陰ながら楓を見守る日々が続きました。カリナ様からも育児の様子などの写メで貰って楓の様子もわかりましたし。ですが不慮の事故でカリナ様とカリナ様のお母様が亡くなって楓の様子がわからなくなってしまって……連絡の手段がカリナ様しか分からなかった私はただただお屋敷の外から祈るばかりでした。そしてあれは確か楓が13歳になった頃でした。立派に成長した楓が家事をやっていて月村家のメイドさん達がちゃんと育ててくれたんだな、と。それからも私は楓が家事をする時間に合わせてこっそり見守ってきました。でもやっぱり見てるだけじゃ我慢出来なくて一昨日声をかけてしまったという訳です。本当に迷惑をかけてごめんなさい。もう母親でもなんでもないのにね……話は以上です」

 

知らなかった……紅葉さん、ううん、お母さんがそんな境遇の中で生きていたなんて。捨てられたって言われてたけど捨てられてなかった……確かに世間的には捨てられた。って言い方が正しいかもしれない。でも私はそうは思わなかった。見守ってくれていた。その事実がわかっただけでも嬉しかったのだ。

 

「楓?涙が……」

 

「え?嘘……」

 

お嬢様が私の変化に気付いてぼそっと呟いた。これは何の涙なんだろ……悔し涙でもないし悲しくて泣いてる訳でもない……

 

そっか。

 

嬉しかったんだ………私は嬉しくて泣いてるんだ……それを実感してすぐに私はお母さんに返事を返した。

 

「お母さん……冷たく当たってごめんなさい。今でもちゃんと見守っててくれたんだね……ありがとう……うぅ、お母さーん!!会いたかったよぉ!!!」

 

私は思いっきりお母さんを抱きしめて泣いた。

 

「楓、ごめんね、悲しい思いをさせてほんとにごめんね……」

 

お母さんもそれに合わせるように思いっきり私を抱きしめてくれた。

 

しばらく私とお母さんは泣いていてそれを止めたのはお嬢様だった。きっとこのままだと永遠に泣いてしまうとでも思ったのだろう。

 

「一件落着ね。紅葉さん。楓はもうあなたの事を許していますよ。今後は見守るだけじゃなくて普通に会いに来てみてはどうですか?流石に楓を連れ戻すのはやめてくださいね、私がめちゃくちゃ困りますので」

 

「いいんですか?普通に会いに来ても」

 

「いいも何も母親じゃないですか。断る理由がありませんよ」

 

「ありがとうございますエレナ様。お心遣いに本当に感謝します」

 

「楓もそれでいいわね?」

 

「うん、後お母さん、早速だけど報告したいことがあるんだ」

 

「ん?何かしら」

 

私はお嬢様の元へと歩み寄ると……

 

「ん……」

 

お嬢様の唇を強引に奪った。

 

「へ?」

 

お母さんからはさっきまで真剣な話をしていたとは思えない間抜けな声が聞こえました。

 

「ちょ!ちょっと楓!?」

 

「お母さん。私ね、今真剣にエレナさんと交際しているの。やっぱり同性同士だと変に思われるかもって思ったから先に話しておきたくて……

お母さんは反対かな?こういう関係」

 

実はそれだけが理由じゃなかったりもする。お母さんに私の自慢の恋人を紹介したかったのだ。

 

「楓が幸せならなんだっていいと思うよ、それにこんな素敵な彼女さんなら私も安心だよ、絶対逃がしちゃダメだからね!」

 

お母さんは今まで見せたことをなかった笑顔を見せながら冗談交じりに答えてくれた。

 

「うん!」

 

私もその笑顔に応えようと全力の笑顔を返した。

 

「はぁ……ほんと丸く収まって良かった……紅葉さんそろそろ時間も遅いのでこの辺で。後これを。私と楓の携帯番号とメールアドレスです。いつでも連絡して貰って構わないので」

 

「そうですね、今日は本当にありがとうございました。わざわざありがとうございます」

 

「あともうひとつ、私に敬語なんていりませんよ。いずれお義母さんって呼ぶことですし」

 

それってつまりその……プロポーズ!?え!?嬉しいけどそのまだ心の準備っていうかその……

 

「わかりました。じゃあエレナちゃんでいいかな?楓が顔真っ赤になってるじゃない今の発言で、じゃあ後はお2人で楽しんでね」

 

「はい、ありがとうございます。それではおやすみなさいお義母さん」

 

「おやすみエレナちゃん、楓」

 

「お、おやすみなさいお母さん」

 

こうしてお母さんは帰っていった。

 

「いきなりなんてこと言うのお姉ちゃん!心臓止まるかと思ったじゃない!」

 

「ふふ、顔真っ赤にしちゃって可愛いわよ楓」

 

「もー誤魔化さないでよ!」

 

「ふふ、それじゃ私達も寝ましょ」

 

「なんか腑に落ちないなぁ……」

 

なんだか流されるままに寝室まで来てしまった……

 

「それじゃおやすみなさい」

 

「ん、おやすみ。お姉ちゃん」

 

「ん?」

 

「今日は側にいてくれてありがと。多分お姉ちゃんが近くにいてくれなかったらあんな風に最後まで話聞けなかったよ」

 

私は横で寝ているお嬢様の手を握りながら話した。

 

「お礼なんていらないわよ。彼女が困っていたら手を貸すのは当たり前でしょ」

 

ホントにこのイケメンは……狙って言ってないんだろうからほんとに困る。

 

「それでもありがと……これからも宜しくねお姉ちゃん」

 

「うん…それじゃおやすみ」

 

「おやすみ」

 

私はお嬢様の手を握りながら眠りについた。

 




第2章完結です。

第3章ではエレナと楓が大学生に進級します。
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