「ではこれより、第49回聖チェリチョウ大学の入学式を開催します、新入生入場」
司会の大学の先生の一声により私達は入学式の場所となる体育館へと入場した。お嬢様は新入生代表の挨拶があるため、先頭での入場が決まっていた。この学校も高校と同じように、お嬢様とメイドの組み合わせがほとんどなので、お嬢様の後ろにはそのメイドが入場する事が決められていた。つまり私は2番目に入場するのだ。自分でもわかるぐらいに心臓がドキドキしていた。
「緊張しすぎよ、しっかり私の後についてくれば大丈夫よ」
お嬢様はそう言うと体育館へ向けて歩き出した。ほんとカッコイイなぁ……新入生代表まで務めてるのに私の事まで見てくれてるなんて。
よし!行こ!
私もお嬢様の後に続いて体育館へと入場した。歩いている最中にお母さんがこっちに手を振っているのに気付き、私はそれに対して笑顔で返した。
「はぁ……緊張した」
「もうやめてよ、楓の緊張がこっちにまでうつっちゃうじゃない」
「うぅ、ごめんなさい。あんまり慣れてなくて」
新入生全員が入場したことを確認すると司会の先生がまた声を上げた。
「新入生着席!では、改めて、これより第49回聖チェリチョウ大学の入学式を開催する、では最初に校長先生お願いします」
横からトントンと肩を叩かれ振り向くと、綺麗な青髪の女の子が私の事を見つめていた。
「あ、あの何か?」
「いやぁ可愛い子だなぁと思って。席順的に隣の黒髪の女の子のメイドさんでしょ?」
「えと、ありがとうございます。そうですね」
「そこの地味なお嬢様より私のとこおいでよ。メイドの仕事なんてしなくていいからさ、どう?貴方可愛いから私のメイドにしてあげる」
地味……?お嬢様が?何を言ってるんだろうこの人は。相手にするのも馬鹿馬鹿しいと思い私は無視を決め込むことにした。それに今は入学式。私語をする場所でもないしね。
「ちょっとむしー?あっそぅ……」
やっと諦めてくれたか。と思ったのだが……
「キャ!ちょっとどこ触ってるんですか」
「え?大きなおっぱいだなぁと思って。ふーんその反応はまだエッチしたことなさそうだねぇ……ますます欲しくなっちゃうなぁ」
私も我慢の限界だった。どこのお嬢様か知らないけど流石に失礼すぎる。
「ちょっといい加減に「ジェシカ、あんた私にまた潰されたいわけ?」
「お嬢様……?」
お嬢様が私の発言を切って横から助け舟を出してくれた。それにその口ぶりだと知り合いなのかな?ってか目が怖いですってお嬢様。ナンパ事件ばりの目してますって!
「げ!月村!?なんであんたがこんなとこに!私より歳下のはずでしょ!?」
「どっかの馬鹿に飛び級しろって言われて渋々来たのよ。それで?私が地味?挙句の果てに楓へのセクハラねぇ。どうしよっかなぁ。中学の時に二度と私に逆らうなって言ったはずなんだけど?忘れちゃったもしかして?」
「あ、えっと……ごめんなさい。メイドさんも……もう二度と舐めた口効かないので許してください」
「ふん、最初からそう言いなさいよね」
「あ、あのぉ……横の方とはお知り合いですか?」
「まぁね、そろそろ私の出番だしその話はお屋敷戻ってからよ」
「はい、頑張って下さい」
校長先生の話が終わって在校生代表の挨拶が終わりいよいよお嬢様の出番になった。
「それでは新入生代表月村エレナさん。壇上までお越しください」
「はい」
お嬢様が立ち上がった瞬間周りの雰囲気が変わった。あれが有名な月村家の当主?だとか綺麗な人だとか感想はもろもろだった。隣のジェシカさんは悔しそうにそれを見つめていた。
「新入生代表月村エレナです。この度は新入生代表としてここに立てることをとても嬉しく思います」
お嬢様のスピーチはそれはとても見事なものでした。周りの人から見て歳下のはずなのに堂々としていて、聞いている人を虜にしてしまうんじゃないかと思うぐらいのカリスマ性でした。上級生の席辺りからは絶対うちにサークル入れる!って言った声も上がっていました。
「それでは新入生退場!」
お嬢様のスピーチが終わると入学式の全行程が終わったみたいだった。
「はぁ……疲れたわね、早くお屋敷帰りましょ」
「一応後は自由下校ですけどサークルとか見なくていいんですか?」
「はぁ?入るわけないでしょめんどくさい」
「まぁですよね……お迎えの車校門に待たせておきますね」
「車?そんなものいつのまに用意してたの?」
「お母さんが来てくれてます。歩くのも面倒ですし乗っけてくれるなら乗っちゃいましょ」
「そーね」
まぁ案の定体育館の出口にはお嬢様を自分のサークルに迎え入れようとした先輩の集団に囲まれて簡単には帰してもらえなかったが……
「あーもう!めんどくさいわね!」
「まぁまぁ……まぁよく耐えたと思うよ」
サークル勧誘からなんとか逃げ切ったお嬢様はお母さんの車に乗り込むと毒を吐き散らしていた。昔のお嬢様なら……ううん。考えるのやめよ。悲惨なことになってた気がする。
「なんで入らないって言ってるのにあんなにしつこいのかしら……」
「それだけお姉ちゃんが魅力だからだよ、そーいえばジェシカさんのお話聞かせてよ」
「あーそーいえば言ってなかったわね……えぇと確かあれは中学二年生の頃だったかしら、ほら、まだ3人ぐらいメイドが残っていた時よ」
◇ ◇ ◇ ◇
「お嬢様、ロシアからの留学生の方がお見えになっているのですが……通してよろしいでしょうか?」
「はぁ?いやよ。なんでせっかくの日曜にわざわざ面会なんてしなきゃいけないのよ。めんどい、出ない」
「は、はぁ……では体調が悪いと言うことにしておきますね……」
「ふん」
全く……なんでわざわざ日曜の昼間に私が出なくちゃなんないのよ。ロシアのぼんぼんになんて興味ないわよ。どーせ月村って名前に噛み付いてきただけでしょうが。
「いや、ですが!困りますよそれは!いえ!しかし!わかりました、少々お待ちください……」
なんだか玄関の辺りが騒がしい。全くまだ追い返せていないのかしら。使えないわね。
「楓ちゃん言ってきてよ、私これ以上怒られたくないよ」
「えぇ!?私ですか!?勘弁して下さいよ……」
「お願い!今度何か奢るから!」
「もー……今回だけですからね」
コンコンコン
「失礼します、お嬢様宜しいでしょうか」
「なによ楓。まだ追い返せていないの?」
「い、いやぁそれがその……」
「なによ、はっきりしなさいよ。私がそういうの嫌いってわかってるでしょ」
「わかりました。言われたことをそのまま伝えます。決して私達の言葉ではない事をわかってください。ゴホン……『どんなやつかと思って来てみれば私に会うのが怖くて出てこれないのね!月村の名も落ちたもんじゃない、この引きこもり!後10分待って出てこなかったら、全世界に月村がこの私、ジェシカ・バッティから逃げたって伝えてあげるんだから!!』とのことです……」
その瞬間私の中で何かが弾けた。
「あっそぅ……ここに連れてきなさい」
「宜しいので?」
「いいから早く。二度と日本の地踏めるなんて思わなくさせてやる」
「は、はいぃ!今お通しします!」
随分舐めた口聞いてくれるじゃない。誰に向かって口聞いてると思ってんのよ。私は月村エレナよ?
「全く大人しく最初から通してくれればいいのに。どーも。私はジェシカ。ジェシカ・バッティよ」
「あんたの名前なんてどうでもいいわよ。さっきの文章は何?今すぐに発言を取り消してくれたらこのまま帰してあげるけど?」
「あっそ、日本の引きこもりお嬢様の癖に反論ぐらいは出来るのね、って何?何で無言で近付いてくるの!?っていったぁぁぁ!!あんた何すんのよ!国家反逆罪よ!私はロシアの姫なのよ!?」
気が付けば私はジェシカとやらの青髪に関節を決めヘッドロックで意識を落としていた。
「はぁ、汗かいちゃったじゃない。ジェシカのメイドはいないの?」
「はい、私ですが……」
「あんたのお嬢様がヨダレ垂らして気絶してる写真ばらまかれたくなかったら、二度とこの家に来ないで。わかった?」
「は、はい!本当にこの度はご迷惑をおかけしました!失礼します!」
それだけ言うとジェシカのメイドは気絶するジェシカを引きずり家を後にした。
◇ ◇ ◇ ◇
「あー!あの時の人!思い出した!」
「まさかまた会うことになるなんてね。クラスとか一緒だったらそれこそ面白いんだけど。私の奴隷にしてあげるわ」
目が笑ってないよ……この人本気だ……
「ま、まぁジェシカさんも反省してる事だと思いますし……」
「どーだか。まぁいいわ。お屋敷ついたらゆっくりしましょ。お母さんも一緒にどう?」
「あー嬉しい提案だけど佳奈と約束があるのよごめんね」
「順調そうで何よりです。じゃあ楓、帰ったらお茶入れてもらえるかしら?」
「りょーかい」
こうして入学式はちょっとした騒ぎもあったが無事に終了した。明日は、クラス発表に講義とかを決めたりで私はとても楽しみだった。
新キャラですよ。外人さんです。ジェシカさんにはまた出てもらうことになると思います笑
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