「んん……あぁ……もう朝か……って!?もう後30分で一限始まるじゃん!エレナ!起きて!もう間に合わないよ!」
私はカーテンから差し込む光で目を覚ました。時刻は8:30。一限開始が9時。どう足掻いても間に合わない……初講義から遅刻ってどーなのよ……
「ふぇ?何言ってるのよ時間割見なさいよ」
「え?時間割?」
私はiPhoneに保存してある時間割の写メを確認した。火曜日、1限✕……え?ないの?
「あーよかった……私あるものだと思ってたよ」
「ちゃんと確認しないからよ、あれ?私達昨日着替えて寝なかったっけ……」
「いつも通りだよ……エレナ毎回こーじゃん」
私は行為の後、しっかりシャワーを浴びて着替えて寝たが、お嬢様は毎度の如くイった後気絶するケースが多く、制服のまま眠ってしまっていた。こりゃアイロンっていうよりクリーニング出さなきゃ……
「自覚はしてるんだけど……楓が上手すぎるのが悪いわよ!」
「いやいや……とにかくお風呂入ってきなよ。私ご飯作っておくから」
「そーさせてもらおうかな。制服はクリーニング出しておくわね」
「うん」
そういうとお嬢様は寝室を出て浴室へと向かった。
◇ ◇ ◇ ◇
一通りの支度を済ませて私とお嬢様は大学へと向かった。二限からっていうだけでこんなに楽なんだなと実感した。高校で8:30起きなんてしたら絶対に間に合わないからね。
「じゃあ行きましょうか」
「うん!」
私はお嬢様の手を取り大学の近くまでは昨日と同じように恋人繋ぎをしていた。相変わらずお嬢様は照れていたみたいで、手を繋いでいる時はただ顔を赤くするだけで一言も喋らなかった。
「楓、そろそろ」
「寂しいなぁ……ではお嬢様鞄お持ちしますね」
「うん、ありがと」
私は気持ちを切り替え、メイドとしての自分に戻った。
教室につくと真っ先にジェシカが近付いてきた。
「おっはよー!」
「おはよジェシカ。今日も元気だね」
「まーねー、月村もおはよ」
「おはよ」
綺麗な青髪を揺らして走ってくるジェシカはなんだかとても可愛く見えた。大学生っていうより中学生みたいだなって思ったのは内緒だけどね。
二限が終わりあっという間に私達が取っていた講義の4限までが終わった。
「あー終わった……ほんと座学嫌いなのよね。帰ってゆっくりしよっか」
「そうですね、私も疲れました。お茶したいです」
そう言って私達が帰ろうとした時だった。
「あ、あの!楓、ちょっといい?」
「ん?なに?」
何故か緊張した表情のジェシカが私に話しかけてきた。
「ここじゃなんだしちょっと外でもいいかな?」
「え?別にいいよ?お嬢様少し席外しますね」
「行ってらっしゃい」
私はジェシカに呼び出され校舎の裏へと行った。
「それで話って?」
「その……今日この後暇してないかなって」
「んー、お嬢様に聞いてみなきゃわかんないかな……私一人だけ単独行動ってわけにはいかないんだよね、ごめんね」
「月村なら香織と遊んでると思うよ。昨日香織が月村と遊んでみたいって言ってて、それなら放課後誘ってみたら?って言ったからさ」
「え!?そーなの?ちょっとお嬢様に連絡してみるね」
私はお嬢様に確認の為に電話を入れることにした。ってか香織さんと2人にさせて大丈夫なのかな……
prrrrrrr……prrrrrrr
『あ、いいところに。なんか昨日の金髪の子が教室来てて遊び行こうって誘われちゃってね。それも2人でだって。私は構わないのだけれど楓はいいの?』
構わないんだ……なんか私以外の女の子と二人きりで遊んで欲しくないな……まぁお嬢様がいいって言うならそれでいいんだけどさ。
「あーやっぱり……今ジェシカからも誘われたんですよ。楓と遊びたいって。それでは各自遊んで帰りますか?」
『そーしよっか。帰りは迎えの車で私は帰るから心配いらないから。京都の時の人に車出してもらうわ』
「わかりました。では、それで」
そこで電話は切れた。まぁお嬢様の事だし大丈夫か。
「ジェシカ遊び行けるよ。どこ行きたいとかあるの?」
「ほんとに!?よかったぁ……えっとね、カフェとか行ってお茶とかどうかな?」
「おっけー!私駅前に美味しい紅茶飲めるとこ知ってるよ。そこ行ってみる?」
「うん!楓についてくね」
私はジェシカと一緒に駅前のカフェへと向かった。
◇ ◇ ◇ ◇
「それで、私と楓を離して何する気なの金髪さん」
私は、不審に思っていた。昨日の今日で会いに来て、いきなり私と遊びたいだなんて思わないでしょ。ジェシカは、ここじゃなんだからなんて言って楓連れ出したし。
「い、いやぁあーしは月村ちゃんと遊びたいって素直に思ってるよ」
「じゃあどこ行くのよ?」
「んー、お屋敷行きたい!美味しい紅茶飲ませてよ」
「まぁそのぐらいならいいわよ。いらっしゃい」
「はーい!」
とにかくお屋敷ついて紅茶入れたら真相聞かなきゃ。あからさまにおかしいもん。
私は金髪さんを連れてお屋敷へと帰った。金髪さんが歩くのめんどくさいと駄々をこねたので車を出した。近場なのにほんとごめんなさいね……あんまむやみやたらに呼ぶと迷惑かかると思って呼んでなかったのよね。
リビングに案内すると、金髪さんは玄関からずっと広いなぁ……いいなぁ……と口にしていたが私はそれを無視して黙って案内した。その感想皆言うから聞き飽きたのよね……
「はい、一応家にある中ではそれなりの値段する紅茶よ。砂糖かなんかいる?」
「うわぁ美味しそう……ううん、このまま貰うよ」
金髪さんは1口紅茶を飲むと信じられないといった表情をした。
「うわなにこれ!?すんごい美味しい!ありがとう月村ちゃん」
「このぐらいならいつでも出してあげるわよ。それで本題。なんで私と楓離すような離すような真似したの?」
「しつこいなー、一緒に月村ちゃんと遊びたかっただけだって」
「あっそ……もう一度聞くわよ。なんで私と楓離すような真似したの?これはお願いじゃないの、命令よ」
「はー?だから私が……ジェシカが楓の事好きだからアタック出来るようにあーしが月村抑えとけばなんとかなるかなって」
「そういう事だったのね……もう帰っていいわよ」
「え、あ、お邪魔しました」
「少し悪いことしちゃったかしらね」
私は紅茶に自白剤を混ぜて金髪さんに渡したのだった。あの子の性格じゃ口を割らないと思ったから強硬手段を取らせてもらったわ。それにしてもまさかジェシカがねぇ……楓に限って浮気なんてするわけないと思うし大丈夫だとは思うんだけど……
「彼女を信用出来ないなんて最低だわ私。大丈夫、楓がジェシカに振り向くわけない。信じて待つ。私がやるのはそれぐらいよね」
私はポットにお湯を沸かして椅子へと座り直した。
◇ ◇ ◇ ◇
「どう?」
「うん!すんごい美味しい!私こんなに美味しい紅茶飲んだの初めてだよ」
ジェシカは紅茶を1口含むと太陽のような笑顔をこちらに向けてそう話した。
「なら誘って正解だったね。でもどうしていきなり?びっくりしちゃったよ」
「えっと……その、楓、月村と違って優しいし可愛いし仲良くなれたらいいなって思って」
「え!?いやいや私可愛くなんてないよ、ジェシカの方が可愛いよ。でもありがと、素直に嬉しいよ」
私がそういうとジェシカは照れくさかったのか、顔を真っ赤にしてテーブルに顔を突っ伏してしまった。
「もう、他の人からも散々可愛い可愛い言われてるんだから照れる必要ないでしょ?」
「う、うん、でも楓に言われる可愛いは、その、色々違くて……」
「ん?どうして?」
「いや、その……」
なんでジェシカがこんなに真っ赤になって照れているのか私には全くわからなかった。普通に友達同士で可愛いとか言い合うのに慣れてないのかな?結構うぶなのかな?なんて考えると普段の態度とは180°違って新鮮だな、なんて思っていた時、ジェシカが口を開いた。
「あ、あのね!楓に聞いて欲しいことがあるんだけど!」
「ん?なーに?」
「ここだと、その、あれだから外でもいい?あんまり他の人に聞かれたくないんだ」
「おっけー、相談事とかって事ね、りょーかい」
「ま、まぁそんな感じ!」
会計をする時、私がお財布を出そうとしたらジェシカが一言、「ここに請求しておいて」って言ったら店員が青ざめてたけど一体どこに連絡したのかな……
「ジェシカごちそうさま!私がここ誘ったのに奢って貰っちゃってごめんね」
「ううん、私のが歳上なんだし気にしないで。じゃあ行きましょ」
「行くってどこに?」
「昨日の河川敷。あそこから見る夕焼け綺麗なんだよ!って香織が教えてくれたの」
「わかった、それじゃ行こっか」
私達は喫茶店を後にして河川敷へと向かった。
◇ ◇ ◇ ◇
河川敷への道のりの途中、ジェシカは一言も喋らなかった。よっぽどの相談事なのかな……私に解決出来ることならいいんだけど。
「やっと着いた……」
「結構駅から歩いたね……」
喫茶店があったところから実に20分程歩いて目的の河川敷へと辿り着いた。これならバスに乗っても良かったかもしれない。
「それで楓、話なんだけど……」
「うん、解決策出してあげられるからは分からないけど、私でよければ話しならいくらでも聞くよ」
「うん……その……ごめんちょっと待って!」
ジェシカの顔はみるみるうちに真っ赤に染まっていった。相談事ってもしかして好きな人かな?人から恋愛相談なんてされるの初めてだよどうしよう……
「うん、ジェシカがちゃんと話せるようになるまで待つから大丈夫だよ」
私はジェシカの緊張を取ってあげようと思い優しく語りかけた。
しばらくしてジェシカは覚悟を決めたようで顔を上げてこちらに向き直した。
「楓!こんなに早く言うつもりはなかったんだけど、もうこの気持ちが抑えられないからはっきり言います!私、ジェシカ・バッティは橘楓の事が好きです。ううん、大好き。月村とのことはわかってるけど……でも好きなの!付き合って下さいとは言えないけど、このまま楓を好きな私でもいいですか?」
ジェシカは恥ずかしさで真赤に染めた顔を、こちらに向けていた……
紅葉「ついに50話まで来たのね……ここまで長かったような短かったような感じがします。まあ私が出たのはつい最近だけどね」
佳奈「ここまで作者が書けるとは本人も思ってなかったみたいですよお姉様。誰からも読まれないで自然消滅していくとばかり思っていたみたいですからね」
紅葉「作者はすぐネガティブになるからね……」
紅葉、佳奈「これからも物語はまだまだ続くのでこれからも宜しくお願いします!後、作者。私達の出番を増やしなさい!!」