「エレナ様、なんですかその手紙……」
「見て見ればわかるわよ。貴方も自由にしていいわ」
「は、はぁ……」
お嬢様はそのまま自室へと消えていった。それに自由にしていいよってどういうこと……?
とりあえず私はお嬢様から手渡された手紙を読むことにした。読まないことには全く自体の収集がつかないと思ったからだ。
「やっぱりそーだよね……」
手紙の中身はこんな感じだった。
『エレナ様と楓へ。
こんな形でお屋敷を去りたくはありませんでしたが、エレナ様の横暴な態度に私達は限界です。申し訳ありませんが今日限りで退職させていただきます。楓ちゃんもまだ年齢としては中学1年生なんだから少し考えてみたら?この先ここにいてもいいことないよ?
滝、中村』
「私これからどうしたらいいの……」
私は絶望感のあまり床に座り込んでしまった。ただでさえ馬鹿みたいに広いお屋敷に3人しかいなくて部屋の隅済みまで掃除が終わらないというのにそれを1人で!?無理に決まってるじゃん!プラスあのお嬢様だよ?過労死するに決まってるじゃん。私まだ13歳だよ?どうしろって言うのよ……
「だからエレナ様は自由にしていいわよって仰られたのか……でも私には親もいないし帰るべき家もここしかいない……あーもう!やるわよ!私は逃げない!あの人に立ち向かってやるんだから!そうと決まればすぐに夜ご飯の準備しなくっちゃ!」
私はやけくそみたいになって夕飯の準備を始めた。今思えばここで逃げ出していたらお嬢様と恋人同士になることもなかったし、これで良かったのかもしれない。
◇ ◇ ◇ ◇
月村エレナは悩んでいた。母親の香里奈様から、厳しくメイドはしつけるようにと。習っていたはずなのに、どうしてお母様がいた頃はメイドが減らず、笑顔だったのに私の代に変わってからこうなってしまったのか……
「私だって本当は笑顔で話したいんだよ……お祖母様からメイドと必要最低限以外話すな、って釘刺されてるから無理なんだって……」
祖母の言葉の釘が私の棘の理由だった。月村家は、由緒ある家柄。だから住む世界が違うメイドとは必要最低限以外話さず私物として扱う事。この教訓を小さい時から嫌という程叩き込まれたエレナは、普通の態度が取れなくなっていたのだ……
「多分楓も辞めていくわよね……新しいメイドさん雇わなきゃ……結構可愛いくて好きだったんだけどな……エレナ様!エレナ様!って明るい笑顔で話しかけられてどれだけ表情和らぎそうになったと思ってるのよ。はぁ……ひとりぼっちか……夕飯でも作りに行きましょうかね」
私は、もうメイドはいないものだと思い、部屋から出ようとした時だった。
コンコンコン
私の部屋をノックする音が自室に響き渡った。
「エレナ様!今日のお夕飯なんですけど、あまり冷蔵庫の中がなかったので軽くしちゃったんですけど大丈夫ですか?」
楓?何で?私、自由にしていい?って言ったのに……お金も小学生の時からここで働いているんだからたくさんあるでしょ?なんでまだ私なんかの為に夕飯作ってるのよ……
「私、自由にしていいわよ。って言ったはずだけど」
私は楓がまだいてくれることに安堵して泣きそうになりながらも、いつもの冷たいお嬢様を扉の前で演じた。もう目尻には涙が溜まっていて、今にも流れ出しそうだった。
「何言ってるんですか!私ほどエレナ様の事知ってる人いないんですからね!今後とも宜しくお願いします!私は絶対このお屋敷からいなくなったりしないのでご安心下さい。それでは失礼しますね」
「そ……ありがと」
ありがとの部分は楓に聞こえないように小さく呟いた。
「私もそろそろ変わらなきゃね。楓は頑張ってくれてる。頑張ってないのは、私だけじゃない……あ、もしもし天音?聞きたいことがあるの」
この2年後、現在の優しくて、ちょっと変な性癖を抱えた月村エレナになることをエレナ本人はまだ知らない。
楓「そういう理由だったの!?」
エレナ「そういや言ってなかったわね。あー恥ずかしいところ見られたわ……」
楓「この頃から私の事意識しててくれたんだつて思うとちょっと嬉しいかも」
エレナ「だから言ったじゃない前から可愛いって思ってたって」
楓「エレナ……」
天音「はいはい、そういう流れにしないでね後書きなんだから。結局エレナ変えたの私なんだからね。ってあーおっぱじめないでよ!猿じゃないんだから!えっと!次回は普通に戻ります!それでは次回でまた会いましょう!」