ガバガバでごめんなさい
時は流れて1年後、天音様とさゆりも無事に大学へと進学して、大学にも慣れてきた頃突然の報告が入った。
その日も特に何もなく1日が終わろうとしていた。
「夜ご飯何にする?」
「そーねぇ。確か冷蔵庫にお母さんが作っておいてくれた野菜炒めあったからそれでいいんじゃない?」
「そーしよっか」
こんな風にたわいもない会話をして、また明日がやってくるとばかりに私は、思っていた。
prrrrrrr……prrrrrrr
「ん?電話?お母さんからだ」
「なんだろうね。夜うちに来るとかかな。とにかく出ちゃいなさいよ」
「うん。もしもーし。どうしたの?」
『ちょっと楓とエレナちゃんに大切な話があるから今からお屋敷行ってもいいかな?』
「え?うん、大丈夫だと思うよ」
『わかった。じゃあ30分後ぐらいに行くね』
そういうとお母さんは、電話を切った。なんかそわそわしてた気がするのは気の所為だろうか。
「お母さん何だって?」
「何か大事な話があるからお屋敷来るって」
「うーんなんだろね。嫌な話じゃなきゃいいんだけど」
お嬢様は、少し心配そうな顔をして、お屋敷の扉を見つめていた。
◇ ◇ ◇ ◇
「お邪魔します」
玄関から声がする。どうやらお母さんが合鍵で入ってきたみたいだった。そのままリビングへと足音が近付いてくる。よく耳をすまして聞いてみると足音は2つあるみたいだった。
「ごめんねー急に。ホントに今さっき決めた事で早く楓とエレナちゃんに教えてあげたくてさ」
「あ、佳奈さん」
もう一つの足音の招待は佳奈さんだった。それと、お母さんの表情からして大事な話っていうのは、悪い話では無いということがわかった。
「久しぶりね。あの旅行以来ずっと会ってなかったっけ」
「ですね。やっぱり教師ってあんまり休みとかってないんですか?」
「まぁ、そーね。えっと、紅葉。どう話そうか」
「「紅葉!?」」
私とお嬢様は、同時に声をあげた。それもそのはず、去年の旅行までは、佳奈さんはお母さんの事をお姉様と呼んでいた。それに敬語だったのがタメ口に変わっていた。
「あぁ呼び方変えたのよ。確かに年齢差は少しあるけど恋人同士なんだし敬語もいらないって私が言ったの」
「なるほどね。ごめん話脱線させちゃって。それで話って何?」
「そうだったわね。まぁ畏まって言うほどでもないんだけどその……私と佳奈は、結婚する事にしたの。お互いいい歳だし、そろそろいいかなって昨日の夜にプロポーズして佳奈に指輪受け取ってもらえたってわけ」
「おめでとうお母さん!ホントによかったね!」
「おめでとうございますお母さん、佳奈さん!それなら昨日教えてくれればよかったのに。私、何が悪い話とばかり思ってたわ」
「ごめんねホントに急になっちゃって」
「ううん全然!式とかって挙げるの?」
「うーん。とりあえずは、婚姻届だけだしに行こうかなって思って。それでね、佳奈、自分の口から話したら?」
「そーだね。そーする」
何の話だろうか。突然佳奈さんの顔が緊張を帯びた顔に変わっていた。私の方に近付いてくると一言。
「今日から私も楓のお母さんになるから宜しくお願いします。突然で受け入れてもらえるかはわからないけれど、ゆっくり時間をかけて仲良くなれたらって思うから、それからその……」
私は、思わず佳奈さんの態度に笑ってしまいそうになった。私達が1番最初に会った佳奈さん(校長先生)は、もっと感情を表に出さない人で、滅多に笑わない人だった。それが今の佳奈さんはどうだろう。最初の方は、真顔で話していたのにゆっくり時間をかけて仲良くって言ってるあたりから表情が崩れて、顔を真っ赤にして恥ずかしいがっていた。それに何を言ってるんだろう。もう十分に仲良くなってると思うんだけどな。一緒に旅行だって行ったし、何度もご飯も一緒に食べてるじゃん。
「な、なんかおかしかったかな?」
「ううん。どんどん恥ずかしがってて可愛いなって思って。それにもう十分仲良しじゃん。これから宜しくね佳奈お母さん」
私は、いつも使っている敬語を外して、佳奈さんに言葉をかけた。少しだけお母さんって呼ぶのは恥ずかしかったな。まさか高校生の時は、校長先生がお母さんになるなんて思いもしなかったよ。
「えっとその……宜しくね楓」
「こちらこそ宜しく!」
その日は、夜遅くまで佳奈さんと2人でお互いの事を話したり、お母さんやエレナの話をしていた。ホントに佳奈さんと親子関係になったんだなって思うと、なんだか嬉しかった。でも女の人同士だから子供は出来ないから妹や弟が欲しかったから少し残念かな。
「楓、そろそろ寝ようか。今日は、紅葉から2人で寝ればって言われたから良かったら一緒に寝ない?」
「初めて親子になった日だし記念にもなりそうだよね。喜んでだよ佳奈お母さん」
「それじゃ行こっか」
「うん!」
寝室に入って、大きいベッドに2人で入ると、佳奈さんは私の手を握ってきた。
「佳奈お母さん?」
「子供が出来たらやってみたかったことなの……迷惑だったかな?」
「ちょっと恥ずかしいけど、佳奈お母さんがしたいなら全然いいよ」
「ありがとう。楓も何か欲しいものとかあったら言ってね。エレナに比べれば全然だけど、私だって社会人なんだから欲しいものあれば買ってあげるから!」
欲しいものなんてもうないよ。エレナもいてくれる、お母さんだっている。それだけで私は幸せ。あ……ちょっと無理言ってみたらどうなるか試してみようかな。
私は、少し佳奈さんに意地悪をしてみたくてこんな事を言った。
「佳奈お母さん。私ね、妹が弟が欲しいな……」
「え、えええええええ!!!」
案の定佳奈さんは、顔を真っ赤にして俯いてしまった。きっとお母さんは、毎回こんな感じに佳奈さんをいじって遊んでるんだろうなぁ……
「それじゃおやすみ佳奈お母さん」
「え、あ、おやすみ。ってちょっと、妹や弟なんて無理よおおお!!」
横で悲鳴をあげてる佳奈さんをスルーして私は、眠った。
「そーよね……私だって子供欲しいもん。紅葉に相談してみよ。待っててね楓」
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