「球技大会?」
「そーよ!今年からの試みなんだって!でっかく掲示板に貼りだされてたよ?見なかったの?」
「全然気づかなかった……」
お屋敷のエアコンが治って、秋季休暇開けの講義をだらだらと消化していっている中、突然ジェシカから球技大会楽しみだね楓。と声をかけられて何のことだかわからなかったが、そういうことか。でも球技大会なんて大学でやるものなんだ。文化祭とかは聞いたことあるけど球技大会か。寒い時期に体動かせってことかな。
「なんか1.2年生だけらしいよ?3.4年生は就活やら、家の事で忙しかったりするらしいから。ほら?ここって一応お嬢様学校でしょ?」
「あー……なんか当たり前の事すぎて皆がそういう人だって忘れてたよ……ジェシカもホントはお姫様だもんね」
すっかり頭の中から消えていたが、ジェシカはロシアのお姫様。本当なら私がタメ口なんてきいていい相手ではないのだ。まぁジェシカがタメ口でいいわよ!って言ってくれたからここまで砕けた話し方してるんだけどね。
「まぁそんな事はどうでもいいんだけど」
いや、良くはないでしょ。って突っ込みの言葉をしまい込んてジェシカの次の言葉を黙って聞いた。
「それで1.2年生合同で4チームに別れて2つの競技で球技大会やるって書いてあったよ。多分今日のホームルームで言われるんじゃないかな?同じチームだといいね!」
「そーなんだ。だねぇ。皆で同じチームがいいね」
「皆じゃなくて、私は楓と二人でなら……」
「ん?何か言ったジェシカ?」
「ううん!なんでもないの!あ!先生来たみたいだよ」
ジェシカの言う通り前の扉から私達の担任の先生である濱田先生が入ってくるのが見えた。
「球技大会ね……めんどくさい……」
「お嬢様……」
どうやらお嬢様は、相変わらずのご様子だった。まぁ基本的に動きたくない人だもんね。動かせたらとんでもないぐらいの働きするんだろうけど……
「皆おはよー!掲示板はもう見たかな?見てないって人も居ると思うから説明させてもらうね。冬季休暇前の2日を使って球技大会をやることになりました!なんで突然って思う人もいるかもだけどそれには理由があるの。それはね……私がやりたいから!だらだらと講義受けるだけじゃ面白くないじゃない?そーよね!?って事で早速ではありますが、このクラスから2名球技大会実行委員をやってもらいたいと思います。各クラスから2人出てくるから1年生はa.b.cで6人、2年生もそれと同じだね。ってことでやりたい人!?やってもらう内容としては、競技決めぐらいだからそんなに難しくはないよ」
そんなのやりたい人なんているのかな……お嬢様の方をチラッと見たが、我知らずと言った感じで明後日の方を向いていた。誰もいないんだろうなぁ……って感じで諦めていたら私の前の方で手が挙がったのがわかった。
「はい!私やるわ!」
手を挙げたのは青髪が綺麗な女の子。ジェシカだった。よくやるよなぁ……なんて関心していた時だった。
「ジェシカちゃんありがとー!周りにもういなさそうだし、ジェシカちゃんにもう1人決めてもらいましょうか!もちろんこんな可愛い子に私と……しよ?なんて言われて断る人はいないよね?」
先生も変にテンション高いなぁ……まぁソフィさんとでもやるんじゃないかな。専属のメイドさんだしね。
「え!?いいの!?なら楓!やろ!」
ん?今私の名前呼ばれた気がするけど気のせいだよね?嘘だよね?
「ってことでご指名入りました!橘さん宜しくね!今日のお昼休みに会議室に2人で来てね!それじゃ朝のホームルームはおしまい!」
そう言うと濱田先生は教室を後にした。
「うそでしょおおおおお!!!なんで私!?」
「え?好きな子と2人になれるチャンス使わないわけないじゃん。それに私イベントとか大好きなんだもん。宜しくね楓!」
青髪をぴょこぴょこと跳ねさせながら話すジェシカ。っていうか……
「あの……私が断った意味は……」
そう。私は、ジェシカから以前告白された時にきっぱりと断っている。好きなままでいてもいいですか?と言われ、ジェシカが傷付くと思ったから断ったつもりだったんだけど……
「あーあれ?やっぱりやめた!」
「えぇ!?私が悩んだ意味は……」
「最初は、諦めるつもりだったんだけど、やっぱり楓可愛いなぁ……好きだなぁってなっちゃってもーいいかなって。えへへ、ダメ?」
少し照れながら話すジェシカは、とても魅力的で…って何を言ってるんだ私わ。もういいやなんでも……
「ま、まぁとにかく指名されちゃったからにはしっかりやるけど、私運動は得意じゃないからね?」
「大丈夫!全部私がやってあげるから!あ!そろそろ一限の講義行かなきゃだから行くね!ソフィ!行くわよ」
メイドのソフィさんを連れて、ジェシカは教室の外へと出て行った。ホントに嵐か何かかな……
「貴方も面倒なのに好かれたものね」
「お嬢様……見てらしたんなら止めてくれても良かったんじゃないですか?」
話が終わったのを見計らってか席に座っていたお嬢様がこちらにやってきた。ちょっと前のお嬢様なら楓と二人っきりにさせるわけないでしょとか言ってた気がするけど、何か心境の変化でもあったのかな。
「まぁジェシカに取られるとも思わないし、たまにはあの子にも譲ってあげてもいいかなって思っただけよ。それに彼女が褒められて悪い気はしないでしょ?後なんでメイド口調?今周りに誰もいないわよ?」
最近のお嬢様ホントに甘くなったよね。まぁ優しいお嬢様も好きだからなんでもいっか。ジェシカとも最初は険悪な雰囲気だったけど最近は普通に話してるもんね。
「なるほど……大学ではこっちにしてるんです。変に気付かれても嫌ですからね。それじゃ私達も講義に向かいましょうか」
「そーね。あんまり話し込んでると遅れちゃうかもだし。鞄持って貰えるかしら?」
「もちろんです。失礼します」
私は、球技大会実行委員の事を頭の片隅にいれながら午前中の講義を受けていた。
『球技大会実行委員の方は会議室にお集まり下さい。繰り返します。球技大会実行委員の方は会議室にお集まり下さい』
わざわざ放送流れるんだね。まぁ忘れてる人もいるかもって保険かな。
「ほら楓呼ばれたわよ。行ってらっしゃい」
「行ってきます。お弁当は、鞄の中に入っていますので」
「私の事は大丈夫だからほら、早く行っちゃいなさいな。頑張ってね」
「ありがとうございます」
お嬢様から背中を押され、私は会議室へと向かった。
一方1年a組でわ……
先生「ってことで球技大会実行委員なんだけどやりたい人いるかしら?立候補者いなければおみくじとかで決めちゃうけど」
天音「私やります!後さゆりも!」
さゆり「私もですか!?」
天音「当たり前でしょ!私のメイドなんだから宜しくね!」
さゆり「わかりました……(なんでこうなるの……)」