「ってことで!ドッジボールと野球に決まったわ!球技大会まで残り3週間ぐらいしかないけど皆で協力して優勝しよーね!」
会議室から帰ってきて直ぐにジェシカは、クラスの皆に球技大会のことを話していた。講義の取得の関係でクラス全員が一緒にいることなどほとんどないため、たまたまタイミング良く全員が集まっていた今、ジェシカが皆に声をかけたのだった。
「あれ?ちょっと皆話聞いてる!?」
ジェシカが教壇で話すも、周りの人は聞く耳をまるで持っていなかった。友達と話していたり、本を読んでいたり外を眺めたりとやっている事は分かれているが、これだけはハッキリしていた。球技大会に興味が無いって言うことだけは皆同じみたいだ。お嬢様も窓の外ぼんやり眺めてるし……流石にこれじゃジェシカが可哀想だよこんなに一生懸命話しかけてるのに。よし。私だって実行委員なんだからちゃんとしなきゃ。
「すみません皆さん聞いて頂けませんか!?優勝したら色々特典もあるんですよ!2週間講義に出なくていいみたいですよ!それに、1日目勝てたら、2日目は午後から決勝戦で2時間出るだけで単位貰えるんですよ?お得だと思いません?」
私が声を出してチラッと私の方を見てくれる人はいたが、現状は変わらなかった。
「あ、あのぉ!皆さんそろそろ真面目に……どうしようジェシカ。皆全然話聞いてくれない」
「やっぱり私みたいな小さい子の話なんて聞いてもらえないのかな」
ジェシカも、いつもの明るい表情から一転して悲しそうな顔をしていた。こういう時お嬢様ならどうしただろうか……あれ?お嬢様?そう言えば姿が見えないけどどこ行ったのかな。どうでもいい話だと思って時間潰しにでも行かれたのだろうか。
「ちょっとあんた達!うちのメイドの話聞けないなんていい度胸してんじゃない?言っとくけどこんな調子で勝てるなんて思わない方がいいわよ」
知らない間にお嬢様も教壇へと上がっていた。見兼ねてこちらへ来てくれたのだろう。ホントに優しすぎだよ……
「何よ。飛び級してチヤホヤされてるからって歳上の私達に指図するわけ?別にどうでもいいじゃない球技大会なんて。ねぇ皆?」
「だねー。第1月村当主とかなんだか知らないけど態度デカすぎじゃない?」
「うんうん!そーだよね!」
どうやらこのクラスにもグループがあるらしく、恐らくカースト上位の人達だろう。最初にお嬢様に噛み付いてきたのは、綾小路由紀さんだったかな。結構な所のお嬢様って聞いた。続いて話したのは乾梨花さん。この人は綾小路さんにベタ惚れしてるのかってぐらいいつも一緒にいたと思う。それで最後が宇田恵子さん。この人は、言い方が悪いかもだけど自分の意見を持ってないのかな?って思う時が結構あった。2人が意見を出したらそれにくっついて便乗してるってイメージしかないかな。
それでお嬢様はどうするんだろう……入学してから2年間ほとんど学校では目立つことしてないからなぁ。周りの人がお嬢様をどういう風に思っているのかもわからないし。同学年なら、お嬢様の怖さとかを中学の頃から知ってるだろうけど相手は歳上だからなぁ……
「言いたいことはそれだけかしら?」
お嬢様は、呆れたような顔をして綾小路さん達を見つめていた。てっきりもっと激昴するんじゃないかと思ったけどそうじゃないらしい。
「はぁ!?舐めてんの!?その態度もムカつくのよ人を見え透いたような態度。私に勝てるの?みたいな。ホントにうざい!」
「だよね。美少女だとかおだてられてるけどホントに人を見下してるみたいでうざいよね」
「うんうん!ホントにそーだよね!」
ホントにこの人達は……私もお嬢様をここまで侮辱されて、これ以上は我慢できそうもなかった。
「あの!!!「楓。下がりなさい。これは私の問題よ」
飛び出そうとしたらお嬢様がすかさず右手を出して私を制止させた。
「ですが!」
「心配いらないわ。あんな屑と言い争いした所で何も無いもの。もうこれ以上の争いは不要だわ。あーでも、最後にひとつだけいいかしら?」
「何よ」
「どーやらヤル気あるクラスが1-aと2-aだけみたいなのよね。それで私は、貴方達なんかと同じチームでやる気は無いのよ。貴方達にチャンスを上げるわ。私達は5人チームで野球もドッジボールも出てあげるわ。それ以外の子は貴方達に上げるから私に一勝でも出来たら、この学生生活私をパシリに使っていいわよ。何でも貴方達の事を聞いてあげるわ。3回回ってワンって言いなさいでもなんでもいいわよ。どうかしら?」
「アハハ!!!こいつ何言ってるの!?野球って5人でできるスポーツじゃないんですけど!これでも私と梨花は、中学の時までバッテリー組んでたんだからね?それで勝てるわけないじゃん!もう月村が言ったこと訂正はさせないからね。受けて立とうじゃない。1-aから誰をとるのだけ教えてよ」
「わかってるわよ。私の球にバットがかすれば勝てるかもね。緒方天音と伊集院さゆりだけ貰うわ。それ以外はいらない」
「っ!ホントにイライラする!覚えてなさいよ!貴方に生きてても辛いぐらいのこと命令してあげるんだから!」
そう言うと綾小路さんは、教室の扉を強く閉め、外へと出ていった。
「ちょっと月村!いいの!?」
「そうですよお嬢様!少なく見ても向こうには20人超えてるんですよ!ドッジボールはどう考えても数が多い方が有利ですし、野球に至っては、どう考えても不利ですよ!」
私は声を上げて抗議した。仮に負けでもしたらお嬢様がどうなるかわかったものではない。
「うるさいわよ貴方達。何言ってるの?この学校に私と天音より運動神経いいやつなんているわけないじゃない。それに野球も私と天音に打順が多く回れば回るほどチャンスになるわ。とにかく天音とさゆりちゃんを呼んで貰えるかしら。講義なんかに出る気がなくなったわ。今すぐお屋敷に呼んで頂戴」
「ええと……お嬢様の意思ということならわかりましたとしか言えませんよ……」
「ありがとう。ジェシカもそれでいいわね?仮に負けても責任は全部私が取るから心配しないでちょうだい」
「でも……」
「そんな暗い顔しなくていいのよ。貴方は笑ってた方が可愛いんだから笑ってればいいのよ。そーとわかれば作戦会議よ。貴方もお屋敷に来てちょうだい」
お嬢様は、しゅんとなったジェシカの頭を撫でていた。ここまでお嬢様が心身ジェシカを気遣っているのは初めて見た。教壇で一生懸命に話してたのお嬢様も見てたもんね。
「わかった。でも負けた時は私も一緒になって責任取るからね!お姫様舐めないで!」
「ふふ、安心しないでいいわ。絶対負けないから」
そう言うと外で待機させた詩織さんの車へと向かったのだった。
ハーフシャフトさん評価入れてくださってありがとうございます!もう少し自分なりに頑張ってみますねm(_ _)m
次回は、作戦会議から決戦前夜までになると思います。しばらくイチャイチャはお預けになるかもです。
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