「あんたバカァ!?綾小路さんと乾さんって中学の時の全国優勝した時のバッテリーなんですけど!?」
お屋敷に皆を集めると、すぐに今回のことを天音様とさゆりに伝えた。ちなみに濱田先生にこのことを伝えると、周りの人ヤル気ないし企画倒れしたくないし、なんだか楽しそうだからいいよ!と快く引き受けてくれた。まぁ最後の方が本音だろうけど。
「マジで?」
「マジよ。きっとお嬢様って立場がなかったら高校でも野球の強い有名校に言ってるはずだってメディアが言ってたもの。ちなみに宇田さんもその時の優勝メンバーの1人よ。2番セカンドで打率も4割以上残してるわよ」
「やけに詳しいわね。貴方そんなに野球好きだったかしら?」
「お父様が野球好きなのよ。その影響で小さい頃から私も少しやってたの。それでどーすんの?」
「そうね……」
お嬢様も相手がそこまでの大物だとは思っていなかったのだろう。考え込むように解決策を探しているようだった。
「はぁ……ホントにエレナって直感というかなんというか……バカよね。流石の私も驚いたわよ。とにかく野球の方の作戦は私とさゆりで考えるからドッジボールの方なんとかしてよね。本番までそう時間ないんだから」
「任せたわ。それでジェシカは、ドッジボールやるの初めてなんだっけ?」
「うん。ルールぐらいなら知ってるって感じかな」
「わかったわ。ちょっと自室でまとめてくるから少し待ってて頂戴。それと皆に何か飲み物出してあげて」
そう言うとお嬢様は、リビングを出て、1人自室の方へと歩いて行った。
「わかりました」
「え?楓、月村1人に任せていいの?」
「昔からなんだけど、エレナが自室で何かやる時には、声かけるなっていうルールだったの。今はもう違うと思うけど、あそこまで真剣なエレナの目見たら私達は、逆に邪魔になっちゃうかもしれないからさ」
「わかった」
私は、お嬢様に言われた通り天音様、さゆり、ジェシカに飲み物を配ってお嬢様を待った。天音様達の方も時折、口喧嘩をしながらも着々と作戦を建てているようだった。
「お待たせ。私の方はある程度固まったわ。悪いんだけど飲み物貰ってもかしら」
「そう言うと思って用意しておいたよ」
私は、予め用意しておいたアイスティをお嬢様へと手渡した。
「ありがとう」
お嬢様が自室から戻ってきた。手にはノートを持っていた。きっとあの中に当日の作戦が書いてあるのだろうが、どう5人で戦っていくのだろうか……
「私もなんとかまとまったかなぁ……でも自信あるとは正直言えないよ」
天音様の方もある程度は固まったみたいだった。
「それじゃ天音の方からいいかしら」
「おっけー!まぁポジションと打順ぐらいだけどね。それじゃ……」
天音様がノートを開くとそこには、私達5人のポジションと打順が乗っていた。
1番ショートさゆり
2番キャッチャー天音
3番ピッチャーエレナ
4番セカンドジェシカ
5番ファースト楓
ショートは予めサード寄りに守備位置を置き、セカンドはセカンドベース寄りに守る。ファーストの楓ちゃんは、左打者の時以外はセカンド寄りに守る。極力エレナは三振狙い。
「めちゃくちゃきつそうね……」
お嬢様がボソっと呟いた。それもそのはず。本来野球は9人でやるもの。それを5人でなんてやるなんて有り得ないからね。外野手は0だし、内野を抜かれれば全てランニングホームランになってしまうギャンブル守備だった。全ては、ピッチャーのお嬢様次第と言っても過言ではないだろう。高校の時の球技大会では、三振の山を築いたお嬢様でも、相手が全国レベルとなれば話は変わってくるだろう。
「そりゃそうでしょうよ……まぁエレナが言ったんだから責任持ってピッチャーやりなさいよね。貴方の本気の球捕れるの私ぐらいだろうから仕方ないからキャッチャーやってあげる。後打順は、完全にエレナの前にランナーを置く作戦ね。さゆりも小さい頃私に付き合ってそれなりにやってるはずだし、少しは打てると思う。問題はジェシカと楓ちゃんかな。野球はやったことある?」
難しい顔をしながら天音様は、私とジェシカの顔を見つめた。
「私は、バット握ったことすらないかな……ごめんね。力になりそうもないや……」
ジェシカが申し訳なさそうな顔をしながら話す。
「私も球技大会でやったぐらいですね……」
「なるほどね……でもジェシカには身長って武器があるし、楓ちゃんは、時々すんごいパワー出すじゃない?それに期待してもいいと思う」
「身長?逆に小さすぎて不利になるんじゃ」
「ううん。ストライクゾーンって言うのは人の身長で変わるの。身長が小さければ小さいほど投げづらいものなんだよ。だから最悪ストライク、ボールの判断だけ出来るようになってもらえれば塁に出ることだって難しくはないと思う」
「そーなんだ……わかった!私お屋敷に戻ったら、誰か投げれる人いないか聞いてみる!3週間後の球技大会までにはなんとかしてみるね!」
ジェシカはどうやらいつもの元気を取り戻したみたいだった。その証拠にトレードマークの青髪がぴょこぴょこと跳ねていた。
「私もお嬢様に投げてもらって、少しでもバットに当てれるようにしときます」
「その意気だよ二人とも!それでエレナ。ドッジボールの方はどうなったの?」
「あーそのことだけど」
お嬢様は、そう言うとノートを開いてテーブルの上に置くと……
一同「え?」
「ちょっとどういう事?」
驚くのは無理もない。ノートは真っ白で何も書いていなかったのだ。
「個人のやりたいようにしてれば勝てると思ったのよ。それに今は、野球の方を優先するべきだと思ったの。覚えることは絶対野球の方が多いしね。でも一応は、聞いておこうかしら。まず楓。貴方ならドッジボールの時どんな役割をしようと思った?」
何やらお嬢様には考えがあるように見えた。お嬢様の顔には、悩みなんてなく、自信に満ち溢れたような顔をしていた。
「え?私?元外野のシステムあると思ったし最初誰かが当たるまでは、外野に来たボールエレナか天音様に渡そうとしてた」
「そう。次にジェシカ」
「私は、とにかく逃げようかなって思ってた。野球で身長が武器になるって聞いて思いついたの。私ちっちゃいし内野を駆け回れば少しは相手が混乱するかなって」
「天音は?」
「エレナにボール回しつつ私も倒せそうな子いたら弱いボールでもいいから当てて数減らそうかなって」
「さゆりちゃん」
「私は、メインのお二人を守るように動こうと思ってました。投げた後ってどうしても隙が出来ると思いますし、最悪私がアウトになろうかなって」
「そういう事よ。既に皆綺麗に役割分担出来てるのよ。これなら作戦なんていらないわ」
「月村凄いじゃん!!!」
ジェシカが大きな声を出してお嬢様に飛びついていた。私も正直驚いていた。ここまで人を観察することに長けているとは、メイドの私でも思わなかった。
「あんたねぇ……もしバラバラならどうするつもりだったのよ」
呆れたように天音様が言う。まぁ奇跡に近いですもんねこんなの……
「その時は皆が野球の練習をしてる時に何か手を打とうとは考えてたわよ」
「まぁいいや。とにかくこんな所かな。今日は、遅いし皆帰ろ。各自とにかくやれることやっていこうね!エレナの為にも何としても勝つよ。まぁ負けたら負けたでエレナが犬になってるの見てみたい気もするけどね」
天音様らしい冗談だなと思った。え?冗談じゃないんですか?
「あんたねぇ……まぁホントに迷惑かけてごめんなさい。それじゃまた明日ね」
「楓またね!頑張ろ!」
「うん!」
ジェシカの顔にも笑顔が戻ったみたいでホントに良かった。後は勝つだけだよね。お嬢様の事をあんな風に言った綾小路さん達に絶対負けないんだから!
そして3週間後……ついに球技大会当日となった。
楓「ねぇ!?練習描写は!?おい作者!」
エレナ「面倒みたいね……まぁ適当な作者らしいっちゃらしいけど……って事で次回から球技大会になります。イチャイチャ少ないのは許して下さいね。私の活躍に期待して待っていて下さい」
楓「自分で言わないの。それではまた次回お会いしましょう!感想、評価など宜しくお願い致します!」