エレナがジェシカのお屋敷に泊まりに行った日の翌日に時系列が戻ります。
「ふぁーあ……エレナ起きてる?そっか……ジェシカの家で準備してるんだっけ。どーせなら私も連れて行ってくれれば良かったのに」
日付は12/22日。クリスマスパーティまで残り2日と言ったところだった。昨晩突然エレナが出ていった時は流石にびっくりしたよ。少しぐらい相談してくれても良かったんじゃないかな。まぁいいや。私も私でクリスマスパーティまでに料理の下ごしらえとかもしなきゃだし、やる事やっちゃお。
リビングに向かうと、一足先に詩織さんが起きていたみたいだった。
「おはようございます」
「おはよ。下ごしらえなら私だけで大丈夫だよ?クリスマスパーティに着る服とか決めなくて大丈夫?」
「そうですね……前日でもいいかなって思ってました。あれ?詩織さんって料理出来ましたっけ?」
私の記憶だと詩織さんの料理の腕は壊滅的だった気がするんだけど……
「失礼しちゃうわね。これでも最近自炊してるんだからね?ジェシカのお屋敷に言った時に男っぽい口調出さないようにとかめちゃくちゃうるさかったんだからあの子。まぁとにかく決めてきちゃいなよ。エレナに可愛いって言って欲しいでしょ?」
「そうだったんですね」
にやにやしながら詩織さんは、私に話しかけてきた。エレナなら何着ても可愛いって言ってくれると思うけど、確かにせっかくのクリスマスパーティだし気合入れてみようかな。
「そうですね。うーん……お言葉に甘えて服選んできてもいいですか?前日バタバタしかねませんし」
「全然おっけー!エレナも今頃選んでるんじゃないかな?全身カラスじゃないといいね」
「間違いないですね。エレナったら絶対外行く時真っ黒なんですもん。あれじゃ不審者ですよ」
「確かにね」
詩織さんもエレナの格好のおかしさは分かっているみたいだった。確かに今までお嬢様が外に行く用事がある時は基本制服で、部屋にいる時はジャージやスウェットで過ごしていたため、メイドの私達もお嬢様の私服は全く知らなかった。
「それじゃちょっと服決めてきますね」
「はいはーい。その後も部屋でゆっくりしてていいからね。お腹すいたら言ってくれれば作るからさ」
「ありがとうございます」
なんかお母さん見たいって言ったら失礼かもだけどそんな感じだな詩織さんって。お母さん元気かな。エレナがお母さんも呼んだって言ってたけど。若菜ちゃんも連れてきて欲しいなぁ。ホントに子供って可愛いよね。私もエレナと結婚したらあんな子が欲しいな。出来れば20ぐらいにはしたいよね。でもプロポーズってどっちからしたらいいんだろ……何となくだけどエレナからして欲しいな……私が言うのはなんか違う気がする。
「さてと……どうしようかな。お嬢様のパーティの付き添いで着ていったドレスとかならあるけど。うーん……敢えてズボンもありかなぁ。ううん。やっぱりドレスにしよ!きっとエレナならパーティなんだからダンスぐらい計画してる気がするし。それで一緒に踊りたいなぁ……ちょっと顔を赤くしたエレナとか見ていたい。ホントに可愛いんだよね照れてるエレナ。早く明後日にならないかなぁ……」
タンスを開け、パーティドレスを一通り取り出して、ベットの上に広げ、何を着ようか考えていると、携帯が鳴っていることに気が付いた。エレナかな?連絡寄越してくるなんて気が利くじゃん。
「ん?さゆり?なんだろう」
ディスプレイに表示されていたのは月村エレナではなく伊集院さゆりだった。
「もしもし?」
『あ、楓?今暇?』
「ひまだよー」
『お願いがあるんだけど、天音のクリスマスプレゼント選ぶの一緒に探してくれないかなって。どうも1人だと悩んじゃっててさ……』
なるほど……確かに私も大分悩んだしなぁ。詩織さんに任せちゃうのは少し気が引けるけど付き合ってあげようかな。
「わかった。なら駅前に集合でいい?」
『うん!ありがと!それじゃ後でね!』
「おっけー」
詩織さんに出掛けること伝えてこなくっちゃ。
「詩織さん、少し出掛けてきてもいいですか?」
「大丈夫だよー。さゆりちゃん?」
「ですね。天音様のクリスマスプレゼントに悩んでるみたいなので一緒に選んできます」
「はいよ。行ってらっしゃい」
「行ってきます」
さてと、流石に部屋着じゃ行けないし着替えなきゃだね。私は、部屋着から私服へと着替えると早歩きで駅の方へと向かった。
駅前に着くと、クリスマス前っていう影響もあるのか、いつもより駅前に人がたくさんいた。さゆり見つけられるかなぁ……私にもう少し身長があれば……
「かえでー!こっちこっち!」
さゆりを探していると、丁度声をかけられた。さほど遠い所には居なかったみたいだ。
「見つけてくれて助かったよ。凄い人だね。何かイベントでもあるの?」
「うーん、クリスマス前だからじゃない?それにショッピングモール目の前じゃん?」
「それもあるかもね。それじゃ行こっか。何にしたいとかってある程度は決めてるの?」
「そうね、お揃いの物にしようかなとは思ってるよ。楓は何買ったの?」
「私はお揃いのネックレスにしたよ。プレートに日付と名前彫ってもらうんだ」
「それいいね。ちゃんと思い出にもなるし。うーん……そうだ!私も決まったかも。ついてきて」
「え?ちょっと待ってさゆり!」
私のペアネックレスからアイデアが浮かんだのか、さゆりは人混みを交わしながらショッピングモールの中に入っていった。
さゆりが足を止めたのは小物などが売っているお店だった。お店の中には、小物入れや、雑貨、ぬいぐるみなどがあった。どれも女の子が好きそうな可愛いデザインをしていた。
「それで何を買うの?」
「ぬいぐるみにしようかなって。小さい時に初めて天音と遊んだ遊びって言うのがぬいぐるみ遊びで、お揃いのぬいぐるみプレゼントしようかなって、色違いとかいいと思うんだけど楓はどう思う?」
思い出の品って事かな。天音様って抜けてるように見えるけどそういう所はちゃんと覚えてそうだし、案外最初にぬいぐるみで遊んだよねありがと。とか言いそうかも。
「いいんじゃない?天音様も喜んでくれると思う」
「ならそうしようかな。付き合ってくれてありがと楓。お礼に何か奢るよ。フードコート行って温かいもの飲も」
「ラッキー。それじゃお言葉に甘えて奢ってもらおうかな」
その後、少し悩んでさゆりは、白とピンクの色違いの熊のぬいぐるみを購入していた。
私達は、帰り際にカフェで紅茶を飲んでクリスマスパーティの話を少しだけして帰宅した。クリスマスパーティまで残り2日。早くエレナに会いたいな。