【完結】ピンクの悪魔よ、この忌々しい世界に制裁を!   作:Mk-5

15 / 17
2月中に投稿できなかったなう………((+_+))
でも4月以降忙しくなりそうなので、もう1話くらいは今月中に投稿したいです・・・。
引き続き以下の注意事項があります。
①オリジナルキャラ多数追加
②キャラ崩壊
③設定ブレイカー
④パクリ要素
等といった可能性を大いに秘めています。それでも大丈夫という方のみ
ゆっくり読んでいってね~( -∀-)”ノ


第15話 悪党達の謳歌

ボク達は今、皆して大慌てだ。

特にゆんゆんとめぐみんは、魔王の娘が紅魔の里を襲撃すると聞かされてから半分パニック状態。

お陰で準備が思うように進まないんだよね。

そんな中で一番冷静なのはこめっこ……というより、こめっこの場合は半分くらい「どうでもいい」って感じ。

両親がアレだったから、紅魔族そのものに良い印象を持ってないのかな?

取り敢えず冷静というかドライというか、そんな感じのこめっこを筆頭に他の全員で紅魔族の2人を鎮めてもらってる間に、ボクはポーションを買うため外へ出た。

確かウィズの店に爆発するポーションが売ってたんだよね。

何せ今回の相手は魔王の娘…どんな攻撃をしてくるか見当もつかないから、武器になりそうなものは調達しとかないと。

というわけで、各種の爆発ポーションを調達して店を出たボクだけど………間もなくして後ろから声をかけられた。

 

「急いでる所すまんが、ちょっとええかのぉ……」

 

どっかで聞いたことのある声の方を振り向けば、真っ赤なUFOに乗ったグルグル眼鏡のネズミがボクの頭上に浮かんでる。

プププランドの怪盗団「ドロッチェ団」のメンバー、ドクだ。

 

「……ドク、そんなとこで何してんの?」

「そんなの分かり切ったことじゃろうに。ワシはお前さんに話があって来たんじゃよ…いや、これは頼み事…になるのかのぉ」

 

それよりまず「そんなにフヨフヨ浮いてたら目立つでしょ!」ってツッコみたかったけど…流石にその辺は考えていたのか、よく見ればドクが今いる場所は曲がり角の陰。

しかもかなり目立ちにくい位置に陣取ってた。

一応考えての行動なんだろうね。

 

「頼み事って?」

「お前さん、魔王の娘倒しに紅魔の里へ行くんじゃろう?」

「そうだよ」

「それを承知の上での頼み事なんじゃ。つまりだな…その魔王の娘を、できるだけ里に釘づけにして欲しいのじゃ」

「は?」

「だから、紅魔の里意外に被害が及ばんようにして欲しいんじゃってば!」

「………自分達の『仕事』の邪魔になるから?」

「勿論それもあるが、それはあくまで半分じゃ。ワシらはな、“無関係な者に被害を及ぼさない”というのが信条でな…要するに関係ない奴が被害に遭う様は見たくないんじゃよ……」

 

…………な~んてこと言ってるけど、これどう考えても一方的なお願いじゃなくて取引の類だ。

つまりドクは「そっちが自分達の邪魔をしないなら、自分達もそっちの邪魔はしない」ってことを約束させようとしてるわけ。

当然ボクとしては、そんなことを受け入れる気になんかなれない。

だけど………状況が状況だからな…。

これまでも目当てのお宝に関係する施設の破壊や警備員の被害はあったけど、逆に言えばドロッチェ団が出す被害といったらこれくらいなわけだ。

でも魔王軍襲撃となるとそうはいかない。

アレはどう考えても、ボクが止めてなかったら徹底的に破壊の限りを尽くすことは嫌でも分かるもん。

そうなると、よっぼど値打ちのある物の場合でない限り、ドロッチェ団による被害は魔王軍襲撃に及ばないってことになる。

もしどっちかだけしか防げないとしたら……………悔しいけど、魔王軍襲撃の方を選ばざるを得ない…!

 

「……………くっ…!」

 

今のボクには、歯を食いしばってドクを睨むことしかできなかった。

 

「まあまあ、そんなにいきり立たんでも……頭では分かっとるんじゃろ?今の自分にとって何をするのが最優先なのか」

「………………………………」

「あ~…ワシが言うのも変じゃろうが、魔王軍幹部の討伐を最優先するというのは正しい選択だと思うぞい。あの野蛮共の襲撃に比べりゃ、ワシらの方なんて微々たるもんじゃて…」

「……フン!」

 

考えてみりゃ、今は準備してる途中だったよ!

ドクに言われるまでもなく、そっちを優先すべきだ。

ボクは足早にその場をあとにする。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

ポーション以外に必要なものはっと……。

そうだな、ビン詰めの食糧を幾らか買っておこう。

長期戦になるかもしれないしね。

それら全てをお腹に収めて自宅に戻ってきたけど、例のパニックはまだ続いてるみたい。

玄関入った途端に紅魔族2人の馬鹿騒ぎが聞こえてくるんだもん。

そんな中、こめっこがボクを出迎えるべく曲がり角の陰から駆け寄ってきた。

 

「カービィ兄ちゃん、お帰り~!」

「ただいま~。ってまだ2人は騒いでるの?」

「ううん、ゆんゆんは大分落ち着いたみたい」

「そう…」

 

言葉を続ける暇もなく扉を体当たりで開けたような音と大股で走るような音がしたかと思えば、ゆんゆんが大荷物を肩に担いで玄関を横切ろうとする。

ボクを見て急停止すると、勢い付いていた大荷物が大きな音を立てて辺りに散乱する。

 

「あっ…………!」

「……ゆんゆん、こんなにいっぱい担いで行くつもりなの?」

「い、いや違うんです!こここれはその……」

「何でもいいからさ、もう少し落ち着いてよ!準備が進まないから…というか、よく見たら要らないものばっかりじゃん。魔王の娘と戦うのに、社交術の本や枕なんて要る?」

 

ゆんゆんは顔を真っ赤にしたまま、散らばったものを拾い集めて階段を駆け上がっていった。

こめっこ曰く「あれでも落ち着いた方」って言うんだからすごく心配。

でもってめぐみんはどうしてるかというと…自分の部屋の中をウロウロするばかりでちっとも準備できてない。

結局こんなことが続いたせいで、準備が終わったのは昼前っていうね……。

 

「…まぁ兎に角、準備できたし早速行こうか」

「あの、カービィさん…私が言うのもアレですけど……大丈夫なんですか?そろそろお昼ですけど…」

「ゆんゆん、こんな時に何言ってるのさ!まず里に行くのが先でしょ!!」

「……そ、そうですよね!はい!」

 

何だか知らないけど納得したらしいゆんゆん。

これは、食べ物に関する信頼度が上がってきた…ってことでいいのかな?

それはともかく、気になるのはめぐみんだ。

こめっこに手を引かれながらオドオドしてるけど、何がそんなに心配なんだろう?

両親の無事を祈ってるわけではなさそうだし………単に混乱してるだけ?

なんてことは置いといて、早速ボク達は紅魔の里へテレポート。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

『ドゴオオオオオォォォォォォォォンン……!!』

 

到着した途端の大爆発。

しかも結構近い地点だったぞ今のは。

里の方を見れば………既にあちこちから火の手があがり、モンスターの雄叫びと紅魔族の大声が響き渡ってる。

それを見たゆんゆんとめぐみんは絶句。

その場に荷物を落として立ち尽くしてる。

すると、こめっこがめぐみんの袖をクイクイ引っ張り出した。

 

「ねぇねぇ、家が無事かぐらい確認した方が良いんじゃない?」

「………ハッ、そ、そうでした!というわけで、私はちょっとだけ別行動をとらせてもらいますので!」

「ちょっと待ちなよ!気持ちは分かるけどさ、まずは爆裂魔法が使えるようにしとかないと…」

「何を言ってるんですかカービィ!我が爆裂魔法の対象は魔王の娘ただ1人です。その他に用はありません!」

「ったく……こめっこ、悪いけどめぐみんの援護、頼むよ」

「え~~………………しょうがないな~もぅ!」

 

こめっこは渋々めぐみんに付いて行った。

まぁせめて、こういう時ぐらいは姉妹揃って行動した方が良いだろうから……特にめぐみんにとってはね。

それに言い出したのはこめっこだし。

 

「い、良いんですかカービィさん?めぐみんとこめっこを別行動させて…」

「大丈夫でしょ、こめっこは元々たくましいし結構しっかり者だし。ていうか、ゆんゆんのお父さんって族長でしょ?大丈夫かな」

「そ、そうですね!急いで様子を見に行かないと!」

「よし、じゃあボクは取り敢えず道中の消火活動でもしとこう『オーシャンカービィ』!よっと!」

 

ボクは「オーシャン」を発動させてから、ゆんゆんの頭に飛び乗る。

 

「な、何故私の頭に?」

「だって目線高い方が、火事がおきてる場所を見つけやすいでしょ?」

「おいおいカービィ、それならゆんゆんじゃなくてもいいじゃないか!私の方が身長は高いんだぞ?」

「ダクネスは背高いけど足遅いじゃん」

「なっ!?」

「なら私が適任じゃない!水の女神なんだから…」

「洪水なんか起こしたら被害が更に大きくなるじゃないか!」

「ん~~~~~~…!」

「ホラゆんゆん、早く行こうよ!」

「は、はい!」

 

言うや否や、ゆんゆんは族長の家目掛けて全力疾走。

その間ボクは、燃えてる家々に向けて放水する。

ゆんゆんが実家に向けて走ってることもあり、流石に全ての火を食い止めることはできないだろうけど、何もしないよりかはマシなはずだ。

でもって、族長の家に辿り着いたのはいいんだけど…様子がおかしい。

家自体は被害にあってないようだけど、人の気配が無い。

中を調べてみると、リビングのテーブルの上に1枚の書置きがあった。

族長からゆんゆんに向けてのもので、内容は「陣頭指揮のために家を離れる。自分が居るとしたら多分地下倉庫だろう」的なもの。

それを見たゆんゆんは一目散に地下倉庫へ向かう。

族長の家を飛び出した直後からダクネスの叫び声のようなものが聞こえてたので後ろを振り向けば、ダクネスはかなり引き離されてる状況だった。

しかも「読唇術」スキルで調べた限り、ボク達が飛び出した時点では族長の家にすら辿り着けてなかったらしい。

当然、書置きの内容だって知るわけもない。

とはいえ、今は一刻を争うかもしれないから、ゆんゆんを止めるわけにもいかない。

丁度家が建ってない平原に差し掛かったので、ボクは「エスパー」の念力でダクネスを引っ張ってアシスト。

取り敢えず書置きの内容は伝えておいた。

到着した地下倉庫は、非戦闘員と思しき紅魔族と子供達でごった返してる。

ゆんゆんがその間を縫うように進んで行くと、そう間もなく族長を見つけることができた。

親の無事を確認できて嬉しそうなゆんゆん……はいいんだけど、ボクが頭の上に乗ってることをすっかり忘れてたらしい。

おかげで、ゆんゆんがお父さんに抱きついた勢いそのままに、ボクは前へ投げ出された。

 

「あいたっ!」

「ああっ……ご、ごめんなさい!!頭に乗ってるのをすっかり忘れてましたぁ!!」

「全くもう……それはそうと、どんな状況なの?結構劣勢に見えたんだけど」

「うむ……最初のうちはこちらが優勢だったのだがな…」

「え、そうなの?」

「ああそうだ。魔王軍だけならば…」

「魔王軍だけならって?他にも里を襲うような奴がいるの?」

 

ボクの問いに、族長は静かに話し出す。

爆殺魔人もぐにんにん

紅く輝くモノアイがトレードマークの二足歩行ロボットで、紅魔の里にある謎の施設(後に『ノイズ開発局』という名前だと判明)で作られた。

話を聞く限りじゃシルエットは忍者に似てて、隠密行動に特化した俊敏な動きをし、爆発魔法で攻撃してくるらしい。

となると、着いて早々の爆発は爆発魔法のものか…。

しかもダメージを負うと全力で逃げちゃうもんだから、今という今まで討伐されずじまい。

加えて自動修復機能もあるみたい。

でも族長曰く、問題はそこじゃないらしい。

というのも……もぐにんにんは今まで一度も紅魔族と敵対したことがないんだって。

それが急に、魔王の娘が襲撃してきて間もなく襲い掛かってきた………ってことらしいんだけど、多分流れ弾が当たって暴走しちゃったって感じじゃないかな?

それはともかく、現在紅魔族達はその両方に対処しなくちゃいけなくなって困ってるらしいんだ。

 

「で…そのもぐにんにんだけどさ、紅魔族を襲ってるって話だけど本当に紅魔族“だけ”なの?」

「何?……………そうだな……少なくとも、魔王軍と手を組んでいる感じには…見えなかったな」

「そうか……どうせだから試してみようかな?」

「試すって…何をですか?」

「決まってるじゃん、もぐにんにんが本当に紅魔族だけ狙ってるのかどうかだよ!」

「あ~やっぱり…でも一体どうやって?」

「まぁ、まずは様子見からだね。作戦はその後考えよう」

「はあ……」

「こめっこも行く~!!」

 

振り返れば、こめっこがいた。

時間差でめぐみんも。

息が荒いあたり、ついさっき到着したみたいだね。

両親は無事だったらしい。

取り敢えず簡単に今までのことを話してから、もぐにんにん探しを開始。

爆発魔法を使うってことだったから爆発をたよりに探してみようと考えてたら…思ったより早く発見。

話の通り、確かに忍者みたいな黒い衣装で紅魔族みたいにモノアイが紅く輝いてる。

しかも闇雲に爆発魔法を撃ってるみたい。

……紅魔族だけ狙うのなら、こんな事はしないだろう。

普通に探索して、見つけ次第攻撃ってやり方が一番効率的だ。

となるとやっぱり、シンプルに暴走してるだけだなこりゃ。

とここでロボットの詳細を知ろうと「フォーメーション・バニル」を発動。

 

「…どうだカービィ、何か分かったか?」

「え~とまず…もぐにんにんって紅魔族の命名でしょ?正式名は『ハーレムバスターP-3号』っていうらしい。背中に結構大きく書いてあるし」

「ハーレム…ばすたー?」

「ぴー3ごう?」

「そう…何故かは知らないけどアレ、“女に囲まれてる男”ってのを積極的に襲うよう設計されてるみたいなんだ。PはPrototypeのP、要するに『試作品』って意味だよ。最初と2番目に作られたのが完全な失敗作で、3番目に作られたアレがマトモに動いたって感じらしいよ」

「な、なるほど……ってちょっと待った。そうなるとカービィ、お前も場合によってはアイツの攻撃対象になるかもしれないってことじゃないか!」

「だね、ボクが本当に“男”だったら…」

「あれ?カービィ兄ちゃんって男じゃないの?」

「こめっこ…実を言うとボク、自分が男なのか女なのか、よく分からないんだ。なにしろ物心ついた時から一人だったからね」

「そーなんだ…」

 

とここまで聞けば単なる戦闘ロボットみたいだけど……実際のところP-3号の主な製造目的は、改造人間たる紅魔族の改造計画が順調かを観察することらしい。

そして十分に改造計画が成功と言えると判断した時、ノイズ国にデータを送信するように設計されてるみたい。

 

「でもって肝心のとこはっと………うん、ぶっころりーの『カースド・ライトニング』で故障して、見境なく攻撃してるみたい」

「何ですと!?あんの腐れニート!!余計なことばかりして全く!!」

「ちょっと、そんな大声出したら……ホラ、見つかったじゃないか!」

 

めぐみんの大声に気付いたかのようにこっちを向いたP-3号は、確実にボク達の方へ近づいて来てる。

何時でも爆発魔法を撃つ気満々だ。

しかも「爆殺セヨ」とか連呼してるし。

 

「…まいっか。取り敢えず作戦通り、アレを魔王軍のとこまで誘導しよう」

「おい、そんな作戦は聞かされてないぞ」

「まぁ言ってないからね。だって誘導に必要な『デコイ』持ってるのはボクとダクネス。でもダクネスの場合、本来の目的を忘れて攻撃されに行くだけで終わるって可能性高いから」

「ぬうぅ……」

「それにアクアの場合はカエルとアンデッドにモテるってだけだし…」

「だからモテてないってのに!!」

「そうだよ!アクアは単にナメられてるだけだよ!」

「ちょっと!?」

 

それはともかく、こめっこの鋭いツッコミが入ったところで作戦開始。

 

「『エスパーカービィ』!」

 

やっぱり素早く回避するならコレが一番だと思う。

 

「『デコイ』!」

 

そしてクルセイダーの囮スキルを発動してから、P-3号の真横にテレポート。

すぐさまP-3号がボクの方を向いた。

本当はちょっとした攻撃で気を引くつもりだったんだけど…まいっか。

 

『爆殺セヨ!』

 

P-3号の爆発魔法が発動する直前にテレポートで回避。

これを幾らか繰り返してるうちに、分かったことがある。

まずP-3号は大体3~5秒間隔で爆発魔法を撃てること、そして自分の目の届く範囲であれば何処にでも、結構正確に爆発魔法を撃ち込めることだ。

つまり一旦敵を見つけたら、何よりもまず爆発魔法で倒すことを優先し、敵が見えなくなってから探索もしくは追跡をするって感じの行動パターンなんだよね。

これはちょっと、今までの方法じゃ誘導しづらい。

ならこれはどうだろう?

 

「『テレポート』!」

 

ボクが移動した先は………P-3号の背中だよ。

見えなくなったと思ったら自分の背中に張り付いてた…って感じの状況になった時、P-3号がどう対応するのかを試そうと思ったんだ。

今思えば、テレポートが使えないと結構危険な賭けになるだろうね。

ボクがいなくなって暫くの間、P-3号は辺りをキョロキョロと見回してから適当に向きを変えて動き出した。

けど1メートルくらい移動した時、突然後ろを振り返った。

そして再び辺りをキョロキョロ。

何で急に後ろを見たんだろう……もしかしてこのロボット、魔術的な何かでボク達と同じ…所謂「第6感」ってやつを持ってるのかな?

暫くするとまた急に後ろを振り返る。

そのまま暫く動かなかったけど…今度は普通に移動を始めた。

気のせいだと思ったのかな?

バレなかったのは良いとして、現在のP-3号の進行方向は、魔王軍がいると思われる地点から大分外れてる。

仕方ないので、ボクはP-3号の後頭部を思い切り殴った。

 

『ガァァァン!』

『!!??』

 

何が起きたのか分かってないみたいで、P-3号は闇雲に辺りを見回し始める。

…まぁ今までの流れから分かってたことだけど、P-3号は頭を人並みにしか動かせない。

どっかのアニメみたいな360°回転とかはできないわけ。

そのせいで、背中に張り付いてるボクが今も見えてない。

一応後ろに手を回したりしてるけど、背中までは届かないみたい。

でもって今度は、手を後ろに回したままメチャクチャに暴走。

自分の体重を利用したりして軌道修正してはいるんだけど、何しろ本当に何処へ行くのか予測できないから、魔王軍の方に向かわせるのも一苦労。

それでも何とか、魔王軍が見える距離までP-3号を誘導することができた。

因みにパーティメンバーにはそれぞれ任務を言い渡してあるよ。

紅魔族の3人は、ある程度距離を取りながらP-3号を尾行。

アクアとダクネスは魔王軍戦に臨んでもらってる。

P-3号を見るなり魔王軍のモンスター達はビックリ仰天。

 

「お、おい見ろ!あの機械野郎こんな所まで来やがった!」

「いやいやいくら蹂躙するったって早すぎるんじゃね!?」

「てゆーか、このまま進んでいいのかよ!?」

「今からでも帰ろうかな……」

 

こんな声がそこかしこから聞こえてくる。

そんなに厄介なのかなP-3号って……。

とはいえ、あの反応からして魔王軍とP-3号には特に関係があるわけじゃないっぽい。

作戦の一部として組み込んでたと思われる発言があったけど。

 

『爆殺セヨ!!』

 

どうやらP-3号は背後のボクより魔王軍討伐を優先するみたい。

何の迷いもなく爆発魔法を撃ちまくるP-3号。

勿論魔王軍の方も負けじと魔法や弓矢で遠距離攻撃を仕掛けるけど………流石にダメージを受けるとすぐ逃げるというだけあって的確に攻撃を躱してる。

ところで、例の3人は大丈夫かな?

チラッと後ろを見てみると…大丈夫そうだね。

3人そろって瓦礫の陰に隠れてる。

…いや、爆裂魔法を撃ちたがるめぐみんをゆんゆんが必死に止めようとしてるみたい。

自分で魔王の娘以外には撃たないとか言ってたのに……あの大軍を見て我慢できなくなったのかな?

まぁボクが許可してないから撃てないだろうけど、ゆんゆんにはもう少し頑張ってもらおう。

な~んて考えてたら

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「ったくしょうがない連中ね!ホラどきなさい!!」

 

急に女の子みたいな甲高い声が響き渡った。

魔王軍のモンスター達を押しのけて現れたのは………暗い水色の体に紫色の髪、頭と背中から蝙蝠みたいな翼が生えていて、着ているのは袖なしのシャツ(?)にミニスカートとブーツ…全部黒だ。

おまけに眼は黒くて瞳は白。

もしかして、あれが魔王の娘?

バニルの力で確認してみると…間違いない。

魔王の娘は、P-3号を憎らしげに睨んでる。

と思いきや、突然右手を前に出して手のひらに何やらエネルギーのようなものが集まっていく。

そして黒いもやみたいなエネルギー弾(?)を、P-3号目掛けて発射した!

流石にあれはマズイと思ったボクは、とっさにP-3号から手を放して真後ろに大きく後退。

その直後、エネルギー弾が直撃したP-3号は大爆発して木端微塵に。

 

「『ハイパーレールキャノン』!!」

 

すかさずボクは魔王の娘に向けて破壊光線を放つ。

半分ダメもとだったんだけど、魔力込めなくても普通に攻撃できるみたいだね。

威力は低いだろうけど…。

しかも爆炎で視界が遮られたから、結局魔王の娘に当てることはできなかった。

それでも意表を突くことはできたらしく、混乱したような声が聞こえてくる。

この隙に、とボクは大砲のチャージを開始。

ただ思った以上に早く爆炎が晴れちゃったもんだから、チャージ途中で魔王軍に見つかっちゃったんだよね。

 

「み、見ろ!カービィがいるぞ!!」

「何ぃ、あのピンク玉が!?」

「さっきの攻撃はアイツか!?」

「てゆーかアレ…レールガンじゃねーか!」

「あいつが持ってるって本当だったのか!!」

 

モンスター達はこんな感じのことを口々に言いながら、完全に逃げ腰になってる。

でもまぁ、魔王の娘が黙ってるわけもないよね。

 

「あーもう!揃いも揃って何よそのへっぴり腰は!?ここまできて今更後戻りできるとでも思ったの!?我々に前進以外の選択肢は残ってないわ!!」

 

その後も魔王の娘はモンスター達に渇を入れ続ける。

……まだチャージが終わってないけど…何故だか撃った方が良い気がしてきた。

もういいや、どうにでもなれ!

 

「ファイア!!」

「えちょっ」

『チュドドドドドドオオオオオオオオォォォォォォォォ……………!!』

 

王都の時と同じように薙ぎ払う感じで撃ち込んだ。

前の方にいたモンスターはあらかた倒せたけど、肝心の魔王の娘は結構な高さのジャンプ回避を披露。

反射神経が凄いのか、それとも何となく予想してたのか…どっちにしても厄介だねこりゃ。

 

「チィィ、よくもやったわねコノォ!!」

 

そう言うと、さっきのエネルギー弾を連続で発射してきた。

 

「『ミラーカービィ』!『リフレクトフォース』!!」

 

ボクは咄嗟に鏡をばら撒きにかかる。

今のアレはどう考えても狙いを定めてない。

となればボクへのダメージ以前に里の被害がとんでもないことになるだろう。

ボクは覚悟を決めて身構え、慎重に鏡の位置を調節していく。

そして一発一発……全神経を集中させて次の攻撃が来るタイミングや位置を見極めながら、確実に鏡の中へ吸い込んでいく。

魔王の娘がその光景を見て呆気にとられ、攻撃の手を止めたのにも助けられてか、何とか全ての攻撃を鏡の中へ。

そしてそれを、魔王の娘目掛けて一気に開放!!

 

『ズドオオオォォバゴオオオォォズガガアアァァドガオオオォォチュドオオォォォンン……………!!!』

『うぎゃあぁぁぁぁぁ……』『どわああぁぁぁぁ……』『ひぎょええぇぇぇぇぇ……』

 

爆発が起きるたびに、モンスター達の悲鳴が響き渡る。

 

「コンンンンチキショオオオオオォォォォォォ!!!」

 

とここで、爆煙の中から魔王の娘が飛び出してきた。

よく見ると、両手の爪が長く伸びてるぞ。

まるで野獣みたい……な~んて考えてる場合じゃないねこりゃ。

 

「『アニマルカービィ』!」

 

ボクは対抗策としてこのコピー能力を選んだ。

目には目を、爪には爪をってね。

それに…野生の本能なのか、素早く動くものに敏感に反応するようになるんだよね。

その甲斐あって、魔王の娘とボクのカギ爪は互いに牽制し合う。

 

『ガキキッ』『ジャキイィィィンン…!』

 

まるでチャンバラしてるかのような音が、互いの爪がぶつかるたびに響き渡る。

そんなボク達の戦いを見てか…モンスターもゆんゆん達も、何というか出るタイミングを失ってる感じなんだよね。

………あれ?

そういえば、こめっこの姿が見えないけど…。

と思いきや、いつの間にかボクのすぐそばにある草むらに隠れてた。

大丈夫かな…と一瞬思ったけど、そんなに気にする必要も無いように思えてくる。

初めて魔王軍幹部と対峙したせいなのか、こめっこはまるで狩りの機会を窺う野獣みたいな目で魔王の娘を睨んでるんだもん。

まぁこういう時のために今まで魔法を教えてきたわけだし、そう簡単にやられるようなことは無いと思う。

というか、こめっこにばかり気を配るわけにもいかない。

こうしてる間だって、ボクは魔王の娘と刃……じゃなくて爪を交えてるんだから。

 

「ガウッ!」

「な!?」

 

ボクは野獣の真似事をしながら大きくジャンプする。

魔王の娘が面食らったのを確認し、ボクは能力を変更した。

 

「『メタルカービィ』!」

「!!?おわわわわわわっ」

 

突然のプレス攻撃に、魔王の娘は慌てながらも大きく後ろに飛びのいた。

ボクに背を向けるのはマズイと思ったのかな?

ま、それはボクにとっても好都合なんだけど。

 

「『バーニング・カッター』!!」

 

ボクは両手剣を出しては投げ、出しては投げ、出しては投げ………………兎に角投げまくる。

投げられた両手剣から放たれ続ける斬撃飛ばしは、いつものごとく上級魔法が付与されたもの…といっても、流石に「アースクエイク」は付与してないよ。

アレ使うと地割れやら何やらで後始末が面倒だし。

それに、ボクとしてもこんな適当な攻撃で魔王軍幹部をどうにかできるとは思ってない。

これで何とかできるのはせいぜい魔王軍のモンスター達だけ……まぁそれが目的なんだけどさ。

すると、魔王軍の混乱を見てゆんゆんが動き出した。

 

「『ライト・オブ・セイバー』!!」

 

魔王軍のモンスター達はボクの攻撃に気を取られて、ゆんゆんが放った光の斬撃に対処できなかった。

この攻撃で魔王軍は完全にパニック状態。

それを見た魔王の娘は悔しそうに顔を歪める。

 

「チィッ!!」

 

魔王の娘は大きく舌打ちしてから暫くボクを睨みつけていた………けど、その視線は何の前触れもなく別の方に向けられる。

 

「……っゆんゆん!!!」

 

残念ながら遠いせいで、ボクの声はゆんゆんに届かなかったらしい。

ボクは咄嗟に「ガーディアン」で阻止しようと思ったけど、魔王の娘の動きは思ったより速かった。

今までで一番と言っていいくらい速い!

それじゃあ今まで本気で戦ってなかったとか……いや、今はそんなことどうでもいい!

早くゆんゆんを安全な場所へ……!!

その時だった。

 

「『バースト』!!」

 

声の主はこめっこ。

突然爆発魔法を放った…それも、魔王の娘の頭へ。

偶然か作戦通りなのか分からないけど、この時ボクはゆんゆんの元へ走り出してたので、爆発に巻き込まれなかった。

 

「『エスパーカービィ』!」

 

間髪入れずに「テレポート」でゆんゆんをボクの方へ移動させる。

そしてこめっこも一緒に回収っと。

 

「『バースト』!!」

 

とほぼ同時に、こめっこが再び爆発魔法を放つ。

そして状況を察してか、めぐみんも合流。

 

「ふう…ナイスタイミングだよ、こめっこ」

「うん!だってゆんゆん姉ちゃんが危なかったもん!」

「ええ!?それってどういう…」

「その話はあとだよ、ゆんゆん!」

「そうです、今は早くトドメを刺しましょう!カービィ、詠唱は既に完了してます、使用許可を!!」

「おっとそうだね!それじゃ爆裂魔法の使用を…ってマズい!!」

「ウガアアアアアアアァァァァァァァァァ!!!!!」

 

魔王の娘が唸り声をあげながら、野獣みたいな顔で突進してくる。

しかも両手には例のエネルギーが既にチャージ済み!

 

「『スパーク・スパーク』!!」

 

咄嗟にボクは電磁シールドを展開!

と同時に

 

『ドパパアアアァァァァンン………!!』

「デュボッ!!??」

 

3つの緑色の星型弾が魔王の娘に直撃。

……どっかで見たことあるなアレ。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

『シュタッ』

「おやおや、オレの助太刀は必要無かったようだな…」

 

…やっぱりだ。

赤いシルクハットを被って、赤いマントを纏ったネズミ………と言ったらもう…。

 

「…何となく来そうな気がしてたよ、『ドロッチェ』」

「フッ、それは光栄だ」

「あ、あの~カービィさん…彼は何者なんですか?多分ですけどプププランド在住」

「いや、違うよ。彼はドロッチェ、色んなところを渡り歩いては。『大いなる力』を持つ宝を探し回る怪盗一味“ドロッチェ団”の団長だよ」

「オイ、誤解されがちなのは認めるが、お前には再三言ったはずだぞ!?オレ達は盗賊団だ」

「ねーねーカービィ兄ちゃん、その“かいとー”って何?とーぞくとどう違うの?」

「えっとね…まぁ“ものを盗む”って意味ではどっちも同じなんだけど、怪盗の場合はそれを『常識では考えられない手段と神出鬼没さ』を持って行う奴らのことさ」

「へ~そうなのかー」

「オイちょっと待て、何故そこで怪盗についての解説を入れるんだお前は!?」

「じゃあ聞くけどさ、キミは盗みをやる時にどういうことに気を使う?『見つからないようにする』以外で」

「うん?………そうだな。となると『やり口』…かな。やはり目当てのお宝が、守り手とのいざこざで傷付いてしまうのは避けたい。それにオレにだってプライドってものがあるからな、あまりモタモタと時間をかけるのはらしくない。やるならそう…スマートに事を運びたいね」

「それはつまり…“盗みの美学”みたいな?」

「ん?まぁそうなるかもな」

「ほ~ら、やっぱり怪盗」

「と・う・ぞ・く、だ!!誰が何と言おうとこれだけは絶対に譲らんからな!!!」

「分かったよ、全くもう……それで、何でまた助太刀なんかしに来たわけ?」

「恩返しに決まっているじゃないか、魔王の娘を足止めしてくれたようだしな」

「『くれたよう』って何!?キミがドクに伝言させたんじゃないの?」

「いいや、それは違うぞい!」

 

いつの間にか、ドクがドロッチェの頭上で待機してた。

 

「…カービィさん、あの人は何者です?何か浮いてますけど」

「あれ、ゆんゆん…なんかちょっと落ち着き過ぎじゃない?」

「今までが今まででしたから…何か、ここまでくると『驚いたら負け』のような気がして……」

「……まいっか、彼はドク。ドロッチェ率いる怪t」

『ジロッ』

「…ハァ、盗賊団に所属してる科学者だよ。アイツがアクセルでボクに『魔王の娘をできるだけ長く足止めしてくれ』とか何とか言ってきたんだ」

「ああ、そういうことらしいな。だがオレはそんな指示など出してはいない。ドクが勝手にやったことだ」

「そうじゃ。何しろ時間がなくてのう…」

「時間が、ね……あ!そういえば魔王の娘は!?」

「「「あ!!」」」

「おお、そういえばすっかり忘れておったのう……じゃが、問題は無いぞい!ほれ」

 

ドクの視線の先には……ドクが展開した電磁シールドの中に閉じ込められた魔王の娘が。

何とか出ようと必死に拳を打ち付けてる。

拳が打ち込まれるたび、シールドは金属が軋むような音とともに振動する。

 

「おっと、どうやらあまり長くは持ちそうにないの…」

「ふむ、ではそろそろ続きといこうか。悪いが、君達は下がっていてくれたまえ」

「え、何で?」

「言ったはずだぞカービィ、恩返しだと。それに、そいつの実力がどの程度か…もとい、魔王の血を引く存在と名乗るにふさわしい存在なのかを、この目で確かめてみた」

「させませんよそんなこと!!」

「オイお前、せめて言い終るまで待っていられないのか!?」

「喧しい!私は騙されませんからね!どうせ口ではそんなこと言っておいて、私の手柄を自分のものにしようとしているのでしょう!?」

「「『私の手柄』~?」」

 

友人と妹にジト目で睨まれて、冷や汗ダラダラで縮こまるめぐみん。

そうこうしてるうちに、魔王の娘がシールドを突破して突進してきた!

その状況に慌てる様子もなく、堂々と睨み据えるドロッチェ。

 

「…フッ、この時を待っていたぞ!」

『シュッ…』

「「「…き、消えた!?」」」

「違うよ皆、あれは…」

「『ジャンピングクロー』!」

『ズバシュッ!』

「ぐえ!?」

「…見ての通り、素早くジャンプしただけだよ」

 

この一撃で意表を突かれた魔王の娘は数歩後退。

ドロッチェがこれを見逃すはずはない。

 

「今だ、ストロン!!」

『ホゴオオオォォォン!!』

「お~~っしゃあ!!」

 

ドロッチェの掛け声で、ドロッチェ団一の力持ち「ストロン」が現れた……それも地面から。

ストロンってこんな特技あったっけ!?

いやそもそも、一体何時から地面の下に隠れてたわけ!?

そして派手に土煙上げた割に、トレードマークのバンダナや眼帯が全然汚れてないけど………。

謎が多すぎる。

な~んて考えてる間に、魔王の娘はストロンの強烈なアッパーを食らって上空に飛ばされた。

 

「野郎ども、かかれ!!」

『チュ~!!』

 

今度はたくさんの「チューリン」達が、木の上や岩陰からわらわらと集まってきて、上空目掛けて一斉に爆弾を投げ始める。

 

「バカにするなああああぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

魔王の娘はそう叫ぶと、「カースド・クリスタルプリズン」を発動。

爆弾を全部氷漬けに。

 

「ならばこれはどうかな?『ドロッチェフレアボム』!」

 

ドロッチェは、魔王の娘の着地点目掛けて真っ赤な爆弾を転がす。

それが爆発すると、同時に巨大な火柱が猛スピードで上昇する。

 

「!!??」

 

魔王の娘も、流石にこれには対処が追い付かず飲み込まれてしまう。

…でも魔王の血を引くだけあるな。

幾らか焦げてはいるけど、まだ余裕がありそう。

 

「おっと、折角の衣装が台無しになってしまいそうだな。よし!」

 

するとドロッチェは力を溜め始めた。

一体何をする気かな?

魔王の娘は着地の体制に入りながらも、ドロッチェから一瞬たりとも目を離さない。

 

「『ワイド・アイスレーザー』!!」

 

ドロッチェは魔王の娘が着地するのとほぼ同時に、強力な冷凍光線を発射。

けどさっきみたいに上手く行くはずもなく、「ファイヤーボール」で蹴散らされた。

……とはいえ、流石は魔王の娘といったところか。

他のアークウィザードは別として、少なくともゆんゆんの「ファイヤーボール」とは大きさが全然違う。

大きさだけでいえば4倍以上だろう。

でもドロッチェは気にしてない様子。

 

「スピン!出番だぞ!」

「……ぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!」

 

俊足自慢の「スピン」が目にも止まらぬスピードで突っ込んでいく。

魔王の娘も応戦するけど、スピードを全く緩めずにジグザグ走行する上にスキあらば手裏剣を投げてくるスピンの戦法に終始翻弄されてる。

…ていうかよく考えたら、この世界における“飛び道具”って魔法か矢ぐらいのものだから、そもそも手裏剣なんて見たことないんじゃないかな?

だとすると「ニンジャ」で意表を突くって作戦も有効だったかもね。

ついでに愛用のサングラスが以前より輝いて見えるのは気のせい?

 

「あ~もう鬱陶しいわねコノコノコノォッ!!!」

「やっ、はっ、とおっ!けっ、ウスノロの分際でオレに盾突くんじゃねぇよ!さっさとくたばっちまえ!!」

「避けることしかしてない奴が何言ってんのよ、ウリャアッ!!」

「や~い、ヘタクソ~!!」

「うがああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

……口の悪さは相変わらずだね、スピンは。

そうこうしてるうちに、ドロッチェをはじめ他の皆が総力戦の準備に入ったみたい。

ドクはレーザー砲や爆弾投下装置の最終チェック、ストロンは巨大なハンマーを担ぎ、ドロッチェは…何故か身だしなみのチェック。

そしてチューリン達も、再びわらわらと集まり出した。

てかさっきも思ったんだけど、このチューリン達って何時からそこかしこに隠れてたのかな?

そしてこの様子を見ていためぐみんがサラッと一言。

 

「………今更ですけど、相当な大所帯ですね」

「そうだね…少なくとも下っ端のチューリン達がどの位いるのか知らないから、ひょっとしたらもっと多いかもね」

「……じゅるり」

「こめっこ、お腹空いてるのは分かるけど我慢して。彼等は食べ物じゃないんだから。ビン詰めの食料品買ってきてるから、終わったら食べようね」

「分かった」

 

あそうそう、ウィズの店でポーション買ったのを忘れるとこだった!

火に触れると爆発するポーションに、凍らせると爆発するポーション。

 

「ゆんゆん、このオレンジ色のポーションは火に触れると爆発、こっちの水色のは凍らせると爆発するから、ボクの合図でこれ目掛けて魔法を放って」

「は、はいっ!」

『うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!』

 

…遂に総力戦が始まったか。

いやちょっと待って、ちょっと見ない間に何が起きたの!?

ドクの周辺が何かとんでもないことになってるんだけど!?

いつの間に、クラッコをモチーフにした「メカクラッコ」とヤドカリ型メカ「ヤドガイン」を持ってきたんだ?

しかも見たところ、ドクが乗ってる飛行メカから遠隔操作できるように改造したらしい。

ドクがマシンの中でせわしなく機械を操作し、それに応じてか、ヤドガインは熱線、メカクラッコは電撃を放つ。

勿論ドク自身もレーザー砲で応戦してる。

ていうか…皆して遠距離戦に徹してるな。

接近戦専門ってイメージが強いストロンまで、大岩をハンマーで打ち飛ばしてるし。

…いや、明らかに嫌そうな顔してるから、ありゃ無理して遠距離戦やってるね多分。

大方ドロッチェの作戦なんだろうけど、まぁ理にはかなってるね。

魔王の娘は、大量のチューリン達が四方八方から投げた爆弾をまとめて凍らせるほどの範囲攻撃ができるわけだから、無暗に近づくのは得策じゃないってことなんだろう。

でも…現実はそう甘くなかった。

 

「ンヌガアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」

 

魔王の娘は今までで一番大きな咆哮をあげ、同時に全方位型の衝撃波と思しきものを放つ。

ドロッチェは瞬間移動、スピンは猛ダッシュ、ドクはバリアで何とか凌いだけど、その他は被害甚大だね。

チューリン達は一部を除いてダウン。

ストロンは逃げるのを諦めてチューリンを守ることに徹した。

まだ戦えるかは分からないけど、取り敢えず動けはするみたい。

ドク及びその近くにいたチューリン達はバリアのおかげで助かったけど、メカクラッコとヤドガインはもう使い物にならないね…。

ドロッチェは被害状況を確認すると、感心したように薄笑いを浮かべてる。

 

「フッ……魔王の血筋はダテじゃないということか」

 

対する魔王の娘は…何というか、怒りと喜びが混ざったような感じ…の顔に見える。

 

「散々バカにしてくれちゃって……もう終わりよ!覚悟しなさい!!」

「『ガーディアンカービィ』!!」

 

魔王の娘が右手にエネルギーを集中させ始めるのとほぼ同時に、ボクは「ガーディアン」を発動。

間髪入れずに駆け出した。

自分が受けるはずのダメージを対象とする能力の性質上、他の人を守るにはその人がある程度近くにいる必要があるはずだ。

だとすると、今の状況じゃ距離がありすぎる。

何とかしてもっと近づかなきゃ…!

でもエネルギーの収束具合から、もう時間が無いと直感。

その瞬間、ボクは無我夢中で思い切りジャンプした。

するとどうだろう、十分に近づけたからなのかボクの思いが通じたのか……どっちか分からないけど、盾のついてる左腕が念力でも使われてるかのようにボクの体を引っ張り、結果的にはあり得ないほどの長距離横跳びをしたような感じに。

おかげで魔王の娘が放ったエネルギー弾を防ぐことに成功した。

 

「ほほう、攻撃を勝手に防いでくれる盾か……それは装備品か?それともお前の能力か?」

「新しいコピー能力さ!」

「そうか…となるとそいつを手に入れるのは無理だな」

「そんなの今はどうでもいいでしょ!兎に角、仕上げはボク達が引き受けるよ!こめっこ!!めぐみん!!“もういいよ”!!」

 

ボクの呼びかけでこめっことめぐみんが動き出す。

 

「ゆんゆんもね!!」

 

そう言ってボクはポーションを放り投げた。

ゆんゆんはすかさず魔法を放つ態勢に。

 

「今だ!『リバースシュート』!!」

「『バースト』!!」

「『エクスプロージョン』!」

「『インフェルノ』!『カースド・クリスタルプリズン』!」

『――――――――――チュバグアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァンンン…………!!!!!』

 

ボクとこめっこ、そしてめぐみんは今使える最大威力の攻撃を放った。

同時に、ゆんゆんの魔法を受けたポーションは大爆発。

それらが互いに混ざり合って…その爆発はまるで、高性能な爆弾を使ったみたいな感じになってる。

勿論のことだけど、この一撃で魔力切れのめぐみんはダウン。

こめっこも魔力切れらしく、膝から崩れ落ちた。

ゆんゆんがめぐみんに肩を貸し、ボクがこめっこを頭に乗せた時、騒ぎを聞きつけたのかダクネスとアクアが走ってきた。

 

「ハァ…ハァ…カービィ、遅れて済まない。敵の攻撃が思いのほか気持ち……あいや、ゴホン、激しくてな…対処するのにかなり時間を食ってしまったんだ」

「……まいいや。アクア、紅魔族達の被害状況は?」

「少なくとも死者はゼロよ。その前にこの私が完璧に治療してあげたからね!これで私の」

「~~~~~~~っ!くっそぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

アクアが何か言い切る前に、魔王の娘の怒鳴り声が響く。

まさかこれでも倒れないなんて……!

すぐにでも攻撃再開したいけど、こめっこがいるからどうにも……。

 

「覚えてなさいよ~~~!!!」

 

幸いなことに、魔王の娘も戦える状態じゃなかったらしく、「テレポート」で姿を消した。

ふと後ろを見れば、ドロッチェ達が仲間の介抱をしてるところだった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

終わる頃にはすっかり日が暮れてたので、ボク達はドロッチェ団と一緒にたき火を囲んで夕食をとることに。

大きなビン詰めをたくさん買っといてよかった。

結局お昼は食べそこなったし、何より今回は大食漢メンバーにストロンが混じってるしね。

皆それぞれ、思い思いの食べ方で黙々と食べ進めてる。

皆疲れ切ってるんだろうね。

ボクはビーフシチュー似の料理が入ったビン詰めを、沸騰したお湯の中に瓶ごと浸けて温め直してから中身を口の中へ流し込む。

周りを見れば、ゆんゆん達をはじめ、多くはフォークで中身をかっ込んでるし、ストロンに至っては一旦中身を自前の大きな器に入れてから、これまた大きなスプーンで食べ進めてる。

かと思えばチューリン達は、キャンプファイヤーよろしく生の野菜や肉の塊を串に刺して、焼ける匂いを楽しみながら齧りつく。

何か知らないけど……不思議となごんでくる。

でもってボクは、偶然にもドロッチェと隣同士になったので、気になってたことをこっそり聞いてみた。

 

「…ねぇドロッチェ、今回は一体何処で何してたわけ?」

「ん?ああ、今日の仕事はアルカンレティアで、な」

「アルカンレティアだって!?」

 

ボクはちょっと心配になって、“親玉”に視線を移す。

……よかった、どうやら聞いてないみたい。

ドロッチェはその視線に気付いたらしく、ボクと同じ方を見てから、恐る恐るといった感じでボクに問いかけてきた。

 

「……なぁカービィ、ひょっとしてあの水色の髪の女は…」

「……女神アクア。アルカンレティアを仕切ってるアクシズ教徒達の親玉だよ」

「…やはりそうか。噂には聞いていたが、まさか事実とはな……小声で正解だった」

「だろうね。多分聞いたら発狂するだろうし……それで一体、何が狙いだったの?」

「今回狙ったのは主に2つだ。1つは奴らが溜め込んでいる蓄財の中にある値打ちもの、もう1つは奴らが他人から…主にエリス教徒から理不尽に、有無を言わさず奪い取った品々だ。無論主目的は後者。奪ったものに関しては、既に元の持ち主に返還済みさ。おお、そうだ。情報筋によれば、魔王の娘は紅魔の里を襲撃した後アルカンレティアを襲撃する予定だったらしい。まぁお前が紅魔の里に向かおうとしてるという情報も掴んでたのでな、俺はお前に全て任すつもりだったんだが、ドクはどういうわけか不安に駆られたようで、だからあの時お前に足止めを依頼したんだろう」

「なるほどねー」

 

そう、ドロッチェ団は単なる怪t……盗賊団じゃない。

時にはこうして、「弱きを助け、強きをくじく」というモットーの元に義賊として活動することもあるんだ。

とはいえ、アクアがいる時にこの話を長くするのは危険だろうから、お互いにこの件はこれまでってことに決めたわけ。

その後はゆんゆん達と幾らか雑談をして、その日は終わり。

後に「救いようのない・この世の終わりの化身たる・人でなし集団」の親玉が発狂することになるけど、それはまた別のお話。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

翌日アクセルのギルドに戻ってくると、早速受付のお姉さんに呼び止められた。

 

「カービィさん、お待ちしておりました!早速ですが、結果報告をお願いします!」

 

何かものすごく興奮してるみたい…。

今までが今までだったから、今回も討伐したと思ってるのかな?

 

「取り敢えず里の被害は抑えられたね。魔王の娘には逃げられちゃったけど……」

「…え……そうなんですか?」

「だってしょうがないじゃん!ボク一人だけならいざ知らず、パーティメンバーが何人かダウンしてたんだもん!見捨てるわけにはいかないでしょ!!?」

「あ、いえ、そのようなつもりは……言い方がよろしくなかったようですね、申し訳ありません…」

 

やっと冷静になってくれたお姉さんは深く頭を下げた。

とはいえ、魔王の娘である以上、魔王の城に逃げ帰ったことは何となく分かるから、魔王の城の場所さえわかれば問題は無いね。

とここで、お姉さんが再び口を開く。

 

「あそうそう、忘れるところでした!カービィさん、こちらを…」

「ん?この紙は?」

「中を見ればわかると思いますが、女神エリス様からです。今朝起きたら、枕元に置いてあったもので…」

 

なるほど、確かに内容はエリス様からボク宛みたい。

なになに……アクセル近郊の別邸に住む「カレン」という名の貴族が神器を悪用しているらしいだって?

一体何をしたんだろう?

と思ったら今度は、別の受付の人がやってきた。

 

「カービィさん!たった今、あなたに討伐の依頼が来ました」

「へ?ボクに?」

「はい。とある貴族からの依頼で、屋敷周辺に強力なモンスターが湧き出したとのことです」

「貴族から?…………ひょっとしてその依頼主、『カレン』って名前だったりする?」

「!よく御存じですね……」

「………『フォーメーション・バニル』!」

「!?」

 

ボクは依頼の紙を受け取ると、早速探りを入れてみた。

……当たりだね、証拠をつかんだぞ!

 

「…何か分かりましたか?」

「うん!エリス様が言ってた神器の悪用は本当らしいよ」

「「ええ!?」」

「どうやらそのカレンって人は、ランダムにモンスターを召喚できる神器を不正所持してるみたい。それで適当にモンスターを召喚して、気に入らないのをポイ捨てした結果だよ」

「それでモンスターが溜まり過ぎたから討伐依頼を出したと?」

「そうみたい」

「な、何て身勝手な……!」

「まぁ怒ってもしょうがないよ。どっちみち今は証拠が無いんだから。そのためにも早いとこ神器を回収しないと…『神器不正所持・不正使用取締役』としてね!」

 

というわけで、まずは目的地である屋敷まで一気にテレポート。

屋根の上に着地して辺りを見渡すと………こりゃひどい。

そこら中にモンスターがひしめき合ってるよ。

でもまずは、神器を回収してモンスターがこれ以上増えないようにしないと。

神器の在り処を「神器感知」スキルで特定してから再びテレポート。

円盤状のそれは…武器庫の隅にひっそりと飾られていた。

今までのもそうだったけど、神器って割と地味な見た目のものが多いね。

こういうところに紛れ込んでると分かり辛いったらないもん。

念のため手持ちのリストで確認を取ってから回収。

そしてまた屋根の上に「テレポート」で移動してから「エンジェル」を発動して討伐にかかる。

 

「『セイクリッド・ライトニングブレア』!」

 

白い稲妻と光の奔流が全てのモンスターを包み込み………そして消滅。

やっぱり王族スキルは強力だね。

残ってるモンスターがいないかどうか確認してから、次に屋敷の中の確認にかかる。

3回ノックすると、応対に出たのは赤毛の女の子。

ついさっきまで屋敷の周りがモンスターだらけだったってのに、怯えるどころかまるで無警戒。

そこは左右の安全確認ぐらいしてもよさそうだけど……。

 

「あら、もう討伐終わったわけ!?」

「勿論」

「あ~よかった!依頼出した甲斐あったわね!」

 

……なるほど、彼女が依頼主だったのか。

 

「ああ、依頼主の『カレン』ってキミか~」

「ええそうよ、ドネリー家の当主なの!あ、因みにこれは別荘よ。どう?凄いでしょ。家柄だけが取り柄のダスティネス家なんかとは格が違うのよ」

 

それボクの前で言う!?

言っとくけど、そのダスティネス家のマゾヒストがボクのパーティにいるんだけど。

…まさか知らない?

 

「それでね~、出来ればうちの専属でモンスター討伐お願いできないかな~って。またさっきみたいな事態になったら色々面倒だし」

「………まぁそれに関しては検討するとして。カレンさん、『神器不正所持・不正使用取締役』って知ってます?」

「…へ!?神器ふせい……何ですって?」

「神器不正所持・不正使用取締役…女神エリス様の命により不正に所持又は使用されている神器の回収を行う存在です」

「…あぁ、そういえばそんなのがいるとか聞いたことあるような………ま気にすることも無いでしょ。あくまで単なる噂だろうし」

「……いいえ、ただの噂じゃありません」

「?何故そう言い切れるわけ?」

「何故なら………ボクが『神器不正所持・不正使用取締役』を命ぜられた存在だからです!」

「!!??」

 

ここでボクは、予め回収しておいた神器を目いっぱい高く掲げる。

 

「見ての通り、一連の事件の証拠たる“ランダムにモンスターを呼び出す神器”は回収させていただきました!」

「ちょっちょっと!?」

「そして、これらの件に関してはボクの方から直々に領主及びエリス様にお伝えしておきますので。では失礼!!」

「ちょ、待てええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ………!!!」

 

こうして一連の事件は幕を閉じ、カレンさんにはダスティネス家から重い罰が下ったそうです。




次回予告
カービィがやって来てから2度目となる夏が到来
しかし、休みもそこそこにトラブルが勃発
更には魔王軍との戦いの最前線へ赴くことに
そこで待ち受けるものとは一体!?
次回「我儘と王と前線と」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。