【完結】ピンクの悪魔よ、この忌々しい世界に制裁を! 作:Mk-5
少なくとも現時点では魔王と娘の見た目は完全なる想像のものであり、実際のアニメに登場する際は全く違う見た目になるでしょうが、私は“完結させる”ことに重点置いてますから、まぁいいでしょう。
引き続き以下の注意事項があります。
①オリジナルキャラ多数追加
②キャラ崩壊
③設定ブレイカー
④パクリ要素
等といった可能性を大いに秘めています。それでも大丈夫という方のみ
最後まで、ゆっくり読んでいってね~( -∀-)”ノ
ここはプププランド。
今ボクは、もの凄く忙しく動き回ってる。
魔王との戦いが近いってのもあるけど、その魔王が大変なことになりそうだからってのがメインの理由だね。
スージーのお父さんが生きていて、しかも「星の夢」をまた作っちゃうなんて……!
まぁゲインズさんからすれば、ボクに負けたかと思えば、気が付いたら知らない世界に飛ばされてて、訳も分からず協力させられてって………色んな意味で地獄だねこりゃ。
これじゃ折角記憶を取り戻しても、二度と家族には会えないって気が狂ってもおかしくないな。
とはいえ、一度はプププランドを機械化しようとした張本人だから、協力してと言ったところで大抵皆渋るばかり。
結局はいつもの感じになっちゃうんだよね全く…。
それでも、メタナイトの全面協力を得られたのは大きい。
新しい「ハルバード」はとうに完成してるらしいし、期待できそうだね。
シャドーやランディアは今回初めて対峙するわけだけど…まぁ大丈夫でしょ。
というかこれ以上の協力は得られなさそうだから、ボクは昼食を済ませて、一旦館まで戻ってきた。
「あ、お帰りなさいカービィさん。協力要請はどうでした?」
「う~ん…事情が事情だから、あんまりって感じだね。シャドーとメタナイトは全面的に協力してくれるから大丈夫そうではあるけど…」
「めた……何ですか?」
「?…あ、そういえばメタナイトのことはまだ話してなかたっけ」
というわけで、皆を集めてメタナイトの説明(ついでにこめっこ達のためにシャドーの説明)をすることに。
間もなくしてメタナイトとシャドーが館を訪ねてきたので、ボク達は王都に移動。
アイリスに頼み込んで空き部屋を貸してもらい、ちょっとした会議を開いた。
といっても、ボク達3人以外は静観を決め込んでる感じだけど…。
「さてと……分かっているだろうが、状況的には非常に危険…そう言わざるを得ない」
「だろうな。個人的にゃ機械と合体した魔王ってのも一見の価値ありそうではあるけど」
「いや無いと思うよ、ボクは」
「その通りだ!それにこれ以上、ゲインズ・インカム・ハルトマンが魔王に加担しないよう、一刻も早く救出せねば!」
「おいおい、救出ったってどうすんだよ?そもそも魔王の城って一体何処にあるんだ?」
「…そう、問題はそこなのだ」
「何だよ、分かってねぇのかよ!なぁカービィ、こん中じゃお前が一番この世界に詳しいだろ?何かないのかよ!?」
「それがさっぱり……ギルドでは他の冒険者の会話にちょくちょく耳を傾けてるんだけど、そういう話は一度も聞いたことがないんだ」
「マジで!?じゃあどうすんだオイ!」
「取り敢えず、王都で情報収集してみるよ。この王国の首都なんだし、1人くらいは場所を知ってる人が…………あ!!」
「んん!?どうした、カービィ?」
「そうだ、マルクがいる!」
「「マルク?」」
「ホラ、いつだったかプププランドを自分の物にしようとしたアイツだよ。今はエルロード国で宰相やってるけど…」
「ちょ、ちょっと待ってくれカービィ!!一体どういうことなんだ!?」
おっと、そういえば2人はマルクのことを知らないんだった。
というわけで、まずはマルクの現状についての説明をば。
ついでにエルロード国のことも説明しとかなきゃ。
「……そんなことがあったとは」
「ふはっ、人生って分かんねぇもんだなぁ!あはははは!」
「おい、笑い事じゃないぞ!!」
「これが笑わずにいられるかってんだ!世界を自分のものにしようとした奴が、こっちの世界じゃ悪の権化への嫌がらせで満足してんだぜ!?ひゃはははは!マジで正義って何だろうなぁ?つーかよぉ、もしオメーが思ってるような感じだったらさ、カービィが黙って静観してるって有り得なくね?」
「…………………………」
「…ま、まぁメタナイト…そういうことだから、今のところは大丈夫だよ。定期的に探ってはいるし」
「定期的にだと?一体どうやってだ?」
「ああ、それも言ってなかったね『フォーメーション・バニル』!」
というわけで、この能力についても簡単に説明することに。
…まぁ今更だけどバニルって結構な奴だったんだな。
メタナイトは仮面越しからでもドン引きしてるのが分かるし、シャドーは興味津々だし…
「フハハ!お前マジでそんな野郎を相手したのかよ!?てゆーかよく相手する気になったもんだ!ハ~ハハハハハ!もう笑うしかねぇ」
「……………………………………………………」
「んでお前は何時まで黙りこくってる気だ!?つーか魔王はどうすんだよ結局」
「………ん、おお!そうだった!」
「忘れてんじゃねぇよ!!」
「まぁまぁ……何にしても、ボクは現時点で魔王の城が何処にあるのか知らない。だからまずは魔王の城を探さないと」
「んで、場所がわかったらその後どうすんだ?」
「少なくとも、スージーには同行してもらう必要があるね。スージーはゲインズさんと連絡が取り合えるから、それをもとにゲインズさんの現在地を確認。あとは城の結界を破壊して『エスパー』でゲインズさんを城の外に出すつもり」
「なるほど…では『星の夢』は?」
「それは行ってみなきゃ分からないよ。前と同じ方法で倒せるかすら分からないのに……」
するとここで、スージーが口を開く。
「…兎に角、まずは王都の冒険者ギルドに行ってみませんか?」
「ん?冒険者ギルドに?」
「はい。ここは王都、冒険者の数は一番多いでしょう。となれば、もしかすると魔王の城へ『テレポート』可能な魔法使いがいるかもしれませんわ」
「うん、それがいいね。それじゃ城探しとゲインズさんの救出を優先、『星の夢』は成り行き任せってことで」
「成り行き任せってオイ…まいっか」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
というわけで、ボクとスージーは早速ギルドで情報収集。
他の皆は手分けして、王都中をしらみつぶしに探すつもりらしい。
初めのうちは効率悪そうとか考えてたけど、結果的には正解だった。
というのも一番に情報を手にしたのは…めぐみん。
偶然、同じ紅魔族の男とバッタリ会って話し込んだ結果らしい。
ボクとゆんゆん、ついでにこめっこが、その人に付き添う形で魔王の城までテレポート。
紅魔族の人はすぐに帰っちゃったんだけど、ボクはここで予想だにしない人物と再会することに。
「あれ、カーくんじゃない」
「あ、アド!?」
そう…どういうわけか知らないけど、アドが魔王の城をデッサンしてたんだ。
しかもよく見ればリボンちゃんまでいるし。
「ど、どうしてここに?」
「折角こうして未知の世界に行く方法が分かったから、この世界を1枚くらいは絵に描いて残したくてね。それで印象に残りやすい珍しい場所を聞いて回るうちに、偶然にも魔王の城の場所を聞けちゃったから、こうしてデッサンしてるの」
「まぁ、それは分かるけど……何でリボンちゃんも一緒なの?」
「リボンも1回くらいはこういう世界に行ってみたかったの!」
「いやいや1回だけと言ってもここは…」
「危ないって言いたいんでしょ、カーくん?大丈夫。魔王はこれまで城から出たことが無いって聞くし、これを描き終わったらすぐ戻るつもりだから」
その言葉通り、アドとリボンちゃんはそう間もなくプププランドに戻った。
それにしても…まさか絵を描くためだけにこんなところまで来るなんて、アドって思ったより度胸があるんだな…。
それはともかく、各自テレポート欄に魔王の城を登録し終え、すぐさま王都まで戻ってきた。
それからは各自、急いで準備を進める。
ボクとメタナイトはスージーと一緒にマシンの最終調整、ダクネスには王都で買い物してもらってる。
アクセルの銀行から降ろそうかとも考えてたけど……実を言うと、エルロード国のカジノで儲けた分を預け忘れてたんだよね。
そんなわけで、資金はボクのお腹の中から。
今思えばアクセルの銀行には、グリフォン討伐の時に見つけた財宝を売ったお金が詰まってるから……ある意味ラッキー。
でもって日が暮れる頃には、全員が城に戻ってきた。
買い物に出したダクネスは最高級のマナタイトを背中にしょって…。
2000万エリスのマナタイトが40個、計8億エリス。
念には念を入れてと多めに渡したのはボクだけど…何も全部使い切る勢いで買い占めて来なくてもいいのに…まいっか。
多いに越したことはないだろうということで、この件はおしまいっと。
今夜はペンドラゴン国王の勧めで、城に寝泊まりすることに。
皆準備で忙しく動き回ってたし、今は休息をとるのが最善策……だよね?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
そして迎えた決戦の日。
皆それなりに表情が引き締まってるんだけど………何というかこう……微妙に引き締まってないというか。
よく見ると、若干目が泳いじゃってるんだよね。
今まで散々魔王軍幹部と対峙してきたとはいえ、これが最後ってのはやっぱし実感湧かないものだ。
しかもそれが、ボクとメタナイト以外にとっての“未知なる力”によりパワーアップしかねないっていうから尚更だよね。
とにもかくにも、陣頭指揮はボクがとることになり、皆に説明する。
「え~と…時間が勿体ないし、取り敢えず作戦の確認からやるよ」
『はいっ!!』
「最初にやることはゲインズさんの救出ね。これに関してはボクとスージーでやる。魔王の城に到着次第、スージーがゲインズさんの居場所を特定。その後ボクが結界を破壊して、『テレポート』でゲインズさんを城の外へ。でもってゲインズさんから『星の夢』の場所を聞いて、あとは全員でそこまで一点突破!…とまぁこんな感じ。分かった?」
『はいっ!!』
「但し、『星の夢』はハッキリ言って、キミ達の力だけでどうにかなるような代物じゃない。だから最悪の場合、キミ達には先に脱出してもらって、後はボクやメタナイトが片を付けることになる。まぁその可能性も含めて下準備してきたわけだけど………というわけだから、皆しっかり頼むね!」
「「はいっ!!」」
「長かった…本当に長かったわ!でも遂に終わりを告げるのね!オッシャ、やってやろうじゃないの!!」
最後の最後で口々に色んなことを言い出した。
最後までブレなかったのはアイリスとゆんゆんだけ。
アクアは……そういえば魔王を倒すまで帰れないとか言ってたっけ。
それで興奮してるのかな?
「遂にか……今更だが遂に来たんだな、魔王との決着をつける時が!フフフ…待っていろ魔王、今こそその攻撃を…………う、受けてみよ!!」
バレてるよダクネス。
ごまかしが無理やりすぎるよ…。
「フン、待ちくたびれましたよ。これでようやく…我が身に宿りし新たな力を解き放てるのですから!」
「…?新たな力?」
「『スーパーエクスプロージョン』に決まってるでしょうが!!」
「『ポンッ』あぁ、あれね。完成したんだ」
「何ですかその薄いリアクションは!?私がこれを完成させるのにどれだけ苦労したと」
「で、どうやったの?」
「………!そうですね、時間がありませんものね……。簡単なことでしたよ、『数は力なり』です。つまり、複数のマナタイトから一気に魔力を吸収、そして開放するわけですよ!」
「複数のマナタイトから!?なんか凄そうな……ってちょっと待って。まさか、それの練習のためにダクネスが買ってきたマナタイトを」
「使ってません!!流石にそんな勿体ないことはしませんよ!!あくまで魔力の吸収・放出の過程を練習しただけです!」
「なるほど、つまりぶっつけ本番だと…」
「ええ、昨日やっとまともに扱えるようになったばかりなもんで」
「…まいいや、兎に角その魔法は最後まで取っておいてよ」
「当然!魔王以外にぶち当てるつもりは毛頭ありません!!」
そう言って胸を張るめぐみんの傍らで、やれやれといった仕草をするこめっこ。
まぁボクとしては余計な場面で魔法を撃ちまくって、いざ魔王を倒すって時に魔力切れ…な~んてことにならなきゃ別にいいけどね。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「それじゃあ皆、そろそろ行こうか!」
『はいっ!!』
「カモン!ロボボアーマー!」
ボクはロボボアーマーに乗り込み、
「『エスパーモード』!」
これを使って全員を“付き添いテレポート”させる。
因みにメタナイトとランディアは先に魔王城へ向かった。
何か独自調査で場所を特定したらしいよ。
ボク達が到着した時には、全員準備万端。
「それじゃスージー、手筈通りに頼むよ」
「ええ……」
スージーがゲインズさんと交信を始めた。
よく見ると、アンテナの先端が淡く光ってる。
でも分かるのはそれだけ…一体今、どんなことを話してるんだろう?
間もなくして交信が終わり、スージーがボクの方を向く。
「ゲインズさんの居場所は分かった?」
「はい!ここから見て一番左側にある塔の中にいますわ!」
スージーが指差す先には、明かりの灯ったトンガリ屋根の塔が。
ていうか魔王の城は基本的にどの部屋にも明かりがあるのに、何故か塔だけは左右両端を除いて暗いままなんだよね。
何でだろう?
おっと、それより早くゲインズさんを連れ出さなきゃ!
「『テレポート』!」
ボクは城の結界の上に降り立ち、
「『クラッシュカービィ』!」
『ドガオオオオオオォォォォォォォォォンン…………!!』
大爆発を起こした瞬間、何かが割れるような音がかすかに聞こえたと同時に、結界が消えてボクの足場がなくなった。
すかさず「エスパー」で元の場所まで戻り、間髪入れずに塔に向けてテレポートを発動。
うまいことゲインズさんだけを移動させることが出来たわけ。
…まぁスージーもそうだったけど、ゲインズさんもあの時から全く変わってないみたいだね。
少なくとも見た目は。
「………スザンナ」
「………お父様っ!」
スージーはお父さんの無事を見るや否や、涙を流して思い切り抱き付いた。
そんなスージーを、複雑な顔で抱きかかえるゲインズさん。
「…済まない、スザンナ…お前には、随分と迷惑をかけてしまったな」
「やめて!そんなこと思い出したくもない!」
「しかし、スザンナ…」
「いいから!お父様は何も言わないで!」
スージーの悲痛な叫び声で何かを察したらしいゲインズさんは、静かに目を閉じてスージーを優しく抱きしめた。
とはいえ、そろそろ本題に入らないと。
「あの~…悪いんだけど、そろそろ『星の夢』について聞かせてくれないかな?」
「…ハッ!い、いかん!」
「そ、そうでしたわ!お父様、『星の夢』は?」
「…最終調整に入っている。もうじき…完成するだろう。場所は地下室…私が閉じ込められていた塔の丁度真下に位置する所に、地下室に唯一通じる階段がある」
その場にいた全員に緊張が走る。
こりゃ最悪の事態を想定した方が良いね。
メタナイトも同じ考えだったらしく、部下に戦艦の起動を命令していた。
ボクはロボボアーマーに乗り直す。
「それじゃ皆、地下室に急ごう!予定通りに一点突破だ!いっくぞ~~~~!!」
ボクがそう叫ぶと、周りにいた皆が一斉に雄叫びを上げる。
手始めに「ハイパーレールキャノン」で城門に大穴をあけ、ロボボアーマーを「ホイールモード」に変形させて城の中に突入。
他の皆もそれに続く。
あ、メタナイトとランディアを除いて、ね。
ランディアはそもそも城の中じゃ上手く動けないし、メタナイトは戦艦内で指揮をとらないといけない。
というわけで、両名は城から出てきた敵を叩く役に回ることに。
……結論から言うと、これ結構な痛手になってるなこりゃ。
早く地下室に行きたいけど、モンスターの強さがこれまでの比じゃないんだよね。
王都襲撃の時に見かけるようなモンスターばかりなのに、何でここまで強いの?
まぁいいや、相手が強いなら…
「『バーニング・カッター』!!」
こっちも攻撃を強化するだけさ!
剣を投げる度に放たれる属性魔法付きの斬撃飛ばし。
レベルが上がったせいか破壊力が上がってる気がする。
ふと後ろを見れば、真っ先にダクネスを視界にとらえた。
しかもその剣戟は、それなりにだけどちゃんとモンスターに当たってる!
どうやらバルターさんの言った通り、結果は出てたらしいや。
ていうか個人的には、知らないうちにスージーも前線に立ってたことの方がビックリ。
専用メカ「リレインバー」を操作しつつ、ビームガンで敵を狙い撃ちしていく。
その様に、ボクは思わず一言。
「スージー……キミ何時からそんな技能を習得したの?」
「あら、『備えあれば憂いなし』ですわ。というか、アナタだって同じようなことをしているじゃありませんか」
いやそういう問題じゃなくてさ……あーもういいや、今は地下室に急がないと!
能力を「フォーメーション・バニル」に変更して地下室に通じる階段の場所を把握。
城の雰囲気に全く合ってない急ごしらえの階段を駆け下りて、扉を突き破ってみると………そこには巨大な機械と、よく似た見た目の親子。
1人は勿論、魔王の娘。
そしてもう1人は…考える必要も無いね…魔王だ。
ちょっと予想はしてたけど、ここまで似てるなんて……背丈や服装、髪の長さ以外は全くと言っていいほど同じなんだもん
「うっげぇ、アイツまた来たよ!!」
「…ほぅ、奴がカービィか。だがもう遅い!『滅びの予言』は、今ここに、覆されるのだ!!」
魔王はそう言って機械を操作し始める。
いやちょっと待って…滅びの予言?
……………………あ、思い出した!
そういえばベルディアがそんなこと言ってたな。
魔王お抱えの予言者が、ボクが魔王を滅ぼす的な内容を、結構具体的に予言してたっけ。
でも、少なくともここに来るまでには見かけなかったな。
ひょっとして、入ってすぐの時点で既にモンスター達の中に紛れてたとか?
…ってマズイ、こんなこと考えてる場合じゃなかった!
早く皆を退避させないと…!
「うふふ、哀れな人達ですこと…」
「ちょっ、スージー、いきなり何!?」
「大方あの2人、『星の夢』を意のままに操って自分達に都合のいい世界でも創ろうとしているんでしょうが……恐らくそのようなことにはならないかと」
「どうして?」
「あの時は時間が無くて言いそびれてしまいましたが、さっきの通信の時にお父様はこうも言ってました。『せめてもの仕返しに、制御装置のことは言わなかった』と」
「っ!……制御装置!」
そうだった…そもそも「星の夢」が暴走した原因って、スージーが制御装置を抜き取ったからだった!
「ちょっとスージー!それって下手したら」
「承知してますわ。確かにあれが魔王を取り込めば、以前より強力な存在と化すでしょう。ですがその代わり、世界が作り変えられるなどといった被害は避けられます!そもそも、こういう事態を想定して、ロボボアーマーに“あの機能”を追加したんじゃないですか」
「………………………………」
「それに、今回はメタナイトさんをはじめ、頼もしい仲間がいるじゃありませんか。ですからワタクシは、多少の危険を伴っても被害を最小限にとどめられる方が良いと」
「もういいよ!過ぎたことをとやかく言っても仕方ないしそんな時間も無い!『エスパーカービィ』!!」
ボクは自分を含めた全員がいることを確認すると、ロボボアーマーの「テレポート」で城の外まで移動させた。
移動する瞬間、勝手に動く機械にどう対処していいのかわからず右往左往してる親子の姿が見えたのは…多分見間違いじゃないね。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「『ハルバードモード』!!」
ボクとパーティメンバー、そしてスージーを乗せたロボボアーマーがゆっくりと上昇する。
メタナイトの戦艦とランディアが合流して間もなく地面が揺れ始め、魔王の城は見る見るうちに崩れ去っていく。
そして地面を突き破り姿を現したのは……猫みたいな顔を持つ巨大な球体。
暴走状態の「星の夢」だ。
『ギニャアアアアアアアアァァァァァァァァァァァ…………………!!!』
魔王と娘を取り込んだ影響か、全体的に黒光りしてて表情も邪悪なものになってる。
鳴き声もこれぞラスボスって感じに仕上がってるし…。
勢いよく空に舞い上がったのを確認したボク達は、急いで後を追う。
宇宙空間まで辿り着いたところで、ボクは「プペポフォン」を取り出し、発信ボタンを押して分身達を呼び出した。
この場を彼らに任せて、ボクは上部ハッチへ急ぐ。
そこが待ち合わせ場所だからね。
「それじゃリボンちゃん、覚悟はいいね?」
「勿論!」
さて、何でリボンちゃんがここにいるのかというと………実はロボボアーマーを変形させる直前に、ボクの背後から飛びついてきて「自分も戦いたい」って言い出したんだ。
聞けば、以前自分の故郷を救ってくれたお礼をしてなかったとかで、ボクの力になるなら今しかないと思ったらしい。
流石に無謀すぎるんじゃないかとも思ったけど、既に覚悟を決めてることが嫌でもわかったので渋々オッケーを出したわけ。
まぁ、「プペポフォン」を持ってなかったら断ってたかもだけど。
それはともかく、ボクはハッチを開けて宇宙へ飛び出した。
「『クリスタルカービィ』!」
リボンちゃんと合体した時のみ発動できるコピー能力で、ボク達は「星の夢」目掛けて突き進む。
でも、間もなくして異変が起こった。
それも以前…この世界に来てから2回くらい経験したあの感覚……そう、新しいコピー能力を得た時の、あの感覚…。
でも何で?
新しい力を得るきっかけなんて無かったはずなのに………
「~~~~~~~~~~~~~………!」
一瞬意識が遠のき、気が付くと……すぐに異常に気付いた。
まずリボンちゃんと合体したままなのに、左腕には丸い盾がはまり左手にクロスボウ、そして右腕は大砲になってる。
しかも背中の…じゃなくてリボンちゃんの翼は、本来クリスタルと同じく角張った形のはずなのに…見れば巨大な天使の翼みたいな形に変化してた。
まさかと思って頭に手をやると……間違いなく天使の輪が。
そしてボクは確信した……今、「クリスタル」「エンジェル」「ガーディアン」「ハイパーレールキャノン」が同時に発動しちゃってるよ!
リボンちゃんも気が付いたらしい。
「ちょ、ちょっとカービィ!これどういう状況なの!?」
「ボクも初めてのことだからよく分からないよ……分かってるのは、4つのコピー能力が同時に発動してるってことだけ」
「4つが同時に!?それじゃあ、『ミックスコピー』とは違うの?」
「もしくは、その上位版なのかもね。名付けるならそう…………『エンジェル・クルセイダー』…かな?兎に角急ごう!」
気付いたら皆から随分離れちゃったし、向こうでは既に戦いが始まってるみたい。
空間が歪んでトンネル状になってるから、遠くからでもすぐ分かる。
ボク達は大急ぎで皆に追いつき、行動を開始。
まず「星の夢」が放ってくるレーザー光線やミサイル、無数の小惑星の中から、ボク達の方に来たものだけを盾で受けて衝撃を溜める。
そしてロボボアーマーの近くにある小惑星を「リバースシュート」で粉砕し、それをロボボアーマーに吸収させる。
今回も頼みの綱は、ロボボアーマーの「プラネットバスター」だ。
スージーと一緒に追加した「あの機能」を活用するためにも、できるだけエネルギーを溜めといて欲しい。
まぁロボボアーマーを操作してるのはボクの分身だし、エネルギー無駄遣いするようなことは無いだろうけどね。
おっと、ボクの方もできるだけ魔力を温存しとかなきゃ。
となると、属性魔法を追加する攻撃は控えないといけないな…。
そういう意味でも「ガーディアン」の盾は重要だね。
おかげでロボボアーマーへのエネルギー供給は順調だ。
結構頻繁に「プラネットバスター」を発射してるけど、今のところ問題はないみたい。
こういう時ってプペポフォンの存在が、ものすごく大きく感じるんだよね。
繋ぎっぱなしだとリアルタイムで艦内の状況が分かるもん。
因みに操縦席にいるのはレッドで、イエローとグリーンは周辺機器を操作してるよ。
『ピシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウ!!!』
「うわっとと!」
危ない危ない、ロボボアーマーに気を取られ過ぎてた!
もう少しで「オレンジ色の数字」に当たるところだったよ。
「い、今のは何?でっかい数字みたいなのが飛んできたけど!?」
「『デッド・エンド・コード』………遂にカウントダウンが始まったか…」
「へ!?カウントダウンって何!?」
「悪いけど説明してる時間は無さそうだ。終わったら話すよ!」
ボクはクロスボウを脇に抱え、プペポフォンを取り出した。
「レッド、聞こえる?分かってるとは思うけど」
《知ってるよ。『デッド・エンド・コード』でしょ?かなりヤバいね》
「だけどカウントが0になったらおしまいだ!それまでに何とかして倒さないと!」
《分かってるけど、魔王と合体したせいか妙に頑丈なんだよアイツ。おっと、『風見鶏』が来る!》
視線を前に戻すと「星の夢」は既に姿を消し、空間の裂け目から巨大な風見鶏が出現した………それも3羽!
しかも明らかに以前見たのより大きいし…結構マズいかもね。
でも、うまくいけばカウンターが決められるかも!
「リボンちゃん急いで!皆より前に出るんだ!」
「え?え?ど、どういうこと?」
「早く!すぐ分かるから!」
「う、うん…!」
リボンちゃんは精一杯力を込めて羽ばたき、遂にロボボアーマーの真横まで来た。
「レッド、キミは風見鶏の破壊を優先して!ミサイルはボクが引き受ける!」
《…分かった。気を付けてね!》
そのままボク達は最前線まで移動。
「『デコイ』!」
クルセイダーの囮スキルを発動したのとほぼ同じタイミングで、風見鶏たちが矢印型のミサイルを発射。
作戦通り、全部ボクの方に向かってるぞ。
「ね、ねえ…さっきミサイルとか言ってたけど…」
「そうだよ、あの風見鶏の矢はミサイルなんだ」
「全部こっちに来てるよ!どうするの!?」
「大丈夫!この盾の力があれば何の問題も無いから!」
ボクは盾を構え、リボンちゃんはボクの背中に顔をうずめた。
飛んできた3発の矢印型ミサイルは、炸裂した直後に爆風もろとも盾の中に吸い込まれていった。
あとはこれを「星の夢」にぶつけるだけ。
恐る恐る顔を上げたリボンちゃんは、何が起きたのか分からず少し戸惑ってるみたい。
「……あ、あれ?ミサイルは?どうなったの?」
「この盾の中さ!まぁ正確には“ミサイルによるダメージ”だけを盾に封じ込めたんだ」
「あんなに大きなミサイルまで!?」
そうこうしてるうちに、「星の夢」が姿を現す。
「今だ!『リバースシュート』!!」
今までで一番の極太光線を「星の夢」に撃ち込む。
流石にこれはかなりこたえたらしく、「星の夢」は大きく怯んだ。
その直後、背後に熱さを感じたと思えば、ボクのすぐ真横を掠めて「ランディア砲」が「星の夢」に直撃。
後ろを見れば、風見鶏は全部破壊できたみたい。
とここで、ボクは閃いた。
もしかしたら「デッド・エンド・コード」も撃ち返せるんじゃないかってね。
間もなくして「4」が放たれた。
ボクは再び盾を構えて囮スキルを発動。
十字に広がっていた「4」は引き寄せられて1列になり、そのまま盾に吸い込まれるように消えていく。
すかさずボクは「リバースシュート」を放ったけど、「星の夢」が姿を消す方が速く、空振りに終わった。
「くっ!一瞬遅かったか!」
「カービィ!また何か来るみたい!」
「おっと、次はえ~と…コンパスだったかな?」
記憶の通り、巨大なコンパスが出現。
しかもまた3つ……次のことを考えると相当骨が折れるなこれ…。
そうこうしてるうちに、コンパスが高速回転してリング状のエネルギー弾を乱れ撃ちしてきた。
…よし、一か八か試してみよう。
ボクはさっきと同様に攻撃の吸収に専念し、「星の夢」の次の一手を待つ。
「あれ?カービィ、撃たないの!?」
「うん。次の『デッド・エンド・コード』ごとぶつけてやろうと思って」
「で、でもその後の攻撃はどうする気なの?」
「あ~…実はこの後が問題でさ、だから今しか無いって思ったわけ」
「どういうこと?」
「すぐ分かるよ…っと来た!」
ボクは「3」を盾の中に封じ込めた。
意外と何とかなってるけど……これは能力のせい?それとも神器だから?
………まいっか。
兎に角、次を警戒しなきゃ!
これまた記憶の通り、現れたのは懐中時計
「うわぁ、おっきい時計」
「油断しちゃダメ!あの時計、噛みついてくるから」
「か、噛みつく!?」
間髪入れず、3つの懐中時計は鋭い牙をギラつかせながら一斉に襲い掛かってきた。
「きゃあっ!」
「っ………!!」
思ったより動きが素早い……こりゃ大変だぞ。
魔力は使いたくないけど、かと言ってこのまま避け続けるのも難しい。
特に翼が大きいからどうしても……よし!
ちょっと強引だけど、やるしかないね。
ボクは襲ってくる懐中時計に、盾で裏拳(?)を叩き込む。
『ガァァン!!』
「ちょっちょっと、何してるの!?」
「何ってそりゃ、時計を弾き飛ばしてるんだよ。本当は後ろに任せたいけど、ボク達狙い撃ちにされてるし、かと言って無駄に魔力は使いたくないし…だからもうこうするしかないわけ!やぁっ!」
『ガギィィィィン!』
「だ、だからって大砲で殴って大丈夫なの!?」
「まぁ何とかなるでしょ、ええい!!」
ボクは真下から襲ってきた最後の懐中時計に、渾身の蹴りを食らわせてそのまま急上昇。
直後に大爆発が起きた。
一瞬下を向いて懐中時計が無いことを確認し、ボクは盾を構える。
「いっけええええ!!!」
『ズババアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァ…………!!!』
その「リバースシュート」は、今までとは比べ物にならないほど凄まじかった。
太さも反動も規格外。
勿論、破壊力もね。
破壊光線が直撃した「星の夢」は、苦悶の表情を浮かべて大きく怯んだ。
しかも顔面に走る沢山の亀裂から光が漏れてて、あちこちショートしてる。
これは多分、「デッド・エンド・コード」の影響だね。
それはともかく、この方法が有効だと分かったわけだし、次も同じ手でいこう!
ていうか、次で決められそう。
ボクは「2」を封じ込め、次の攻撃に備える。
「…今度は電球?」
「あれは近づくと爆発するからね、全部まとめて片付けよう『デコイ』!」
囮スキルを発動した瞬間、あちこちに散らばっていた電球が何かに吸い寄せられるように1ヶ所に固まり、一斉に爆発。
本来は爆発した後に電撃が来るはずなんだけど……来ないな。
もう既に盾の中かな?
よ~し、次で決めるぞ!
ボクは右手の大砲へ魔力を送ると同時に、プペポフォンに手を取った。
「レッド、そろそろトドメを刺そう!」
《待ってました!『ハイパープラネットバスター』発射準備開始っと!》
「(ハイパー?)あ…今更だけど、メタナイト達に連絡とか入れられるんだっけ?」
《メタナイトは大丈夫。ランディアは空気読めるから、特に問題無いでしょ》
「…ならいっか。ありゃ、もう出てきた!」
まだ十分に魔力が充填できてない……けど、これを逃すわけにはいかない!
ボクは「星の夢」に盾と大砲を向けた。
ロボボアーマーとランディアはボクの両サイドに陣取り、メタナイトの戦艦は真上に。
…………さぁ、終わらせるぞ!!
『ドゴオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ………………………!!!!』
『ミ゛ャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛………………………!!!』
ボクの「リバースシュート」と砲撃、ロボボアーマーの全力の「プラネットバスター」、メタナイトの戦艦からの全力射撃、そしてランディアの必殺技「ランディア砲」がほぼ同時に直撃!
断末魔の悲鳴を上げて墜落していく「星の夢」………だけど、まだ完全に破壊できたわけじゃない。
やっぱり、残りの魔力も全部つぎ込んで「アレ」を久しぶりにやるか。
「…リボンちゃん、先に戻ってて」
「え?」
「『星の夢』は完全に破壊できたわけじゃない。だからボクはトドメを刺しに行くんだ」
「ちょっとカービ……ま、まさか『星の夢』と刺し違えるつもり!?」
「そんなわけないじゃないか!単にリボンちゃんが一緒だと、“あのコピー能力”が発動できないからさ『ガーディアンカービィ』!」
「ああ、カービィ……!!」
能力を変更してリボンちゃんから離れ、ボクは「星の夢」へ一直線。
リボンちゃんはボクを引き留めようとしたみたいだけど、直後にメタナイトがそれを止めた。
「め、メタナイト…さん!?」
「…カービィのことは心配無用だ。アイツは必ず戻ってくる!」
ボクの耳にはこれだけが聞き取れた。
思った通り、「星の夢」はボク達に一矢報いようと口から光線を放つ。
ボクは盾を構えて迎え撃つ。
……結局どれくらい時間が経ったのか…「星の夢」の光線が打ち止めになった時には、盾がギシギシと軋んでた。
どうやらこの盾、一度に撃ち返せるダメージには限りがあるらしい。
と言っても、それだけの攻撃を一度に受けることなんてほぼ無いだろうし、やることは1つ!
「『リバースシュート』!!!」
自分でも信じられないくらいの破壊光線をマトモに食らい、「星の夢」の顔面は何時バラバラになってもおかしくない状態だった。
さて、仕上げのコピー能力は…
「『クラッシュカービィ』!!」
これと、残りの魔力全部使った爆裂魔法を食らわせてやる!
……ちょっと待った、今残ってる魔力で何発撃てるんだっけ?
2、3発くらい?それとももう少し撃てるっけ?
あ~もういいや!もうどうにでもなれ!!
「『リミテッド・エクスプロージョン』!!!」
ボクが放った大爆発に、一瞬遅れて「星の夢」が大爆発。
それが見えた直後、ボクの視界は真っ白になった……。
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「…………あれ?ここは?」
気が付くと、そこは宇宙とは別の空間。
でも、ここが何処なのかはすぐに分かった。
ここはアクアと出会った場所…そう、天界だ。
「おめでとうございます、カービィさん」
声がした方を振り返ると、そこにはエリス様がいた。
「長きにわたり人々を苦しめてきた魔王は、貴方の活躍により滅びました。心からお礼を申し上げます」
「…まぁそれはいいんだけど、何でボクはここにいるの?宇宙空間にいたはずなんだけど」
「え?…………あぁ、それはですね、魔王を討伐した人は一旦ここに呼ぶことになってるからですよ」
「そうなんだ。それで、他の皆は?」
「ご心配なく、誰一人として欠けてはいませんから」
「よかった…」
「では約束通り、カービィさんの望みを叶えようと思います。お決まりですか?」
「うん、もう決めてあるんだ!」
そう言って、ボクは1枚の紙をエリス様に差し出す。
「これを叶えて!」
「……………こ、これをですか!?」
「そうだよ、これがボクの願いさ!」
――――――――――――――――――Fin
ここまでご愛読してくださった皆様、ありがとうございました。
暇があれば、別のシリーズも書きたいと思っております。
それと、このシリーズには番外編を用意しましたので、URLを貼っておきますね。
https://syosetu.org/novel/194935/