【完結】ピンクの悪魔よ、この忌々しい世界に制裁を! 作:Mk-5
※ミツルギ関連の設定は大分簡略化してます。
引き続き以下の注意事項があります。
①オリジナルキャラ多数追加
②キャラ崩壊
③設定ブレイカー
④パクリ要素
等といった可能性を大いに秘めています。それでも大丈夫という方のみ
ゆっくり読んでいってね~( -∀-)”ノ
今日のボクはワクワクが止まらない。
何故なら今日は、待ちに待った悪魔討伐の日!
朝ご飯をパッパと済ませてゆんゆん達を起こしに行った。
昨日の晩に大酒をかっ食らっていたアクアがなかなか起きなかったけど、殴ろうとすると瞬時に飛び起きてきた。
ボッコボコにしたのがよっぽど効いたらしいや。
3人が食べている間に、ボクはミツルギさんのもとへ向かう。
「おはようございます!」
「おう、おはよう!準備の方は大丈夫か?」
「うん!『ソードカービィ』!」
「お、何だ、剣を持った姿もあるのか」
「そうだよ。メインはこれにするつもり。状況に応じては変更するかもだけど」
「そうか。期待してるぞ」
「うん!」
しばらくすると、ミツルギさんに同行する他の冒険者たちが続々とギルドに集まりだした。
ゆんゆん達がボクの方へ駆け寄ってくると、紅魔族の2人と以前組んだことがあるらしい冒険者が彼女たちに釘を刺す。
「何だ、またお前らかよ。何かあるとすぐにトラブルの素蒔きやがるんだから…今回は静かにしててくれよ!あんなこと二度とごめんだからな!」
予想はしてたけど、本当に他の人にも迷惑かけてるのか…。
ボクは何故か申し訳ない気分になって、その人の所へ駆けて行った。
「何があったかは分かりませんが、すみませんね。うちの迷惑者が…」
「ん?何だお前?まさかコイツらと組んでるのか!?」
「うん、本当はここにいるゆんゆんだけにしようと思ったんだけど、何故か勝手に…ね」
ボクはめぐみんを恨めしい顔で見た。
それに対して不満そうな顔をするめぐみん。一昨日あれだけ言ったのにまだ反省の色を見せないなんて、どれだけ神経図太いんだろう。
ただ口で反論せず僅かに体を引いたあたり、ボロクソ言われたことはこたえているらしい。
するとミツルギさんが見かねて割り込んできた。
「今回はそんな必要はないぜ。コイツも爆裂魔法が使えるから」
「えっコイツも!?」
「ああ。それにソイツと違って他にも多くの魔法を習得してる。多分ソイツの出る幕はないな」
「へえ、そんなに手練れなのか」
「いや、レベルは1だ」
「い、1!?嘘だろ!?」
「いや、事実だ。このカービィって奴ははとんでもない素質があるらしくてな、これまでに一撃熊1頭に初心者殺し4頭倒してるんだが、未だにレベルが上がらないのさ。もしかしたら悪魔倒しても最悪の場合2にならねーかもな」
「え~、それは勘弁してほしい…」
周りの冒険者たちが期待の目でボクを見ていたけれど、ボク自身は憂鬱になった。
早くレベルアップしたいよ~…。
森の中を進みながらボクは悪魔と出会った時のことを考えていた。
こういう場所で悪魔に会ったとしたら、属性付きの斬撃だと周りへの被害が大きいな。
ましてや炎属性だと更にね。
となると「ソード」より別の能力の方が使い勝手が良いかもしれない。
悪魔に対抗…なら「アレ」を使うか。
大体考えがまとまったところで、ボクはアクアが控えめにしていることに気付いた。
一昨日は悪魔を寄生虫だのゴミ虫だの消えて当然の存在だのと散々言ってたのに…。
あっもしかして迷惑者扱いされたことのショックを引きずってるのかな?
ま、勝手な行動さえしなければボクは満足なんだけど。
なんて考えていたら、すぐ後ろで誰かが叫んだ。
「モンスターが出たぞー!」
見ると小動物型のモンスターが群れを成して向かってくる。
でも、ザコラッシュを幾度も経験しているボクは慌てなかった。
「『百列斬り』!」
モンスターの大半はボクの刃の前に倒れた。
そんな中、ボクは見てしまう。
森の緑に紛れて、大量のスライムが木に張り付いているのを。
「『ファイアーボール』!」
するとゆんゆんが迷わず中級火属性魔法を放った。
こういうのは焼却処分するのがいいのかな?
なんて考えは単純すぎたみたい。
「『ファイアーカービィ』!」
「『インフェルノフレア』!」
ボクは上級火属性魔法「インフェルノ」と既存の技「火吹き攻撃」を合わせた大きな火炎弾を放った。それも3発も。
当然ながら火事になっちゃった。
「おいカービィ、流石にありゃやりすぎだろ!?」
「ゴメン、気合入れすぎちゃった。『ウォーターカービィ』!」
素早く消火作業をしたからそこまで被害は大きくなかったけど、やっぱり森の中で火を使うのはよそう。
すると突然、アクアが地面の匂いを嗅ぎ始めたので何事かと思ったけど…。
どうやらアクア曰く、悪魔には特有の「匂い」があり、それを感知できるらしい。
妙なところでしか神らしく振舞えないアクアに半ば呆れていると、ボクの第6感がささやいた。
死角からくる!
「伏せて!!」
瞬間、ボクはミツルギさんを押し倒した。
その直後、黒い稲妻がミツルギさんの顔面スレスレでかすめる。
やっぱり今のはミツルギさんを狙ったものか!
「『セイクリッド・エクソシズム』!」
悪魔のものだと確信したボクは、すぐさま攻撃が飛んできた方にアークプリーストの破魔魔法を放つ。
直後に悪魔のものと思しき悲鳴があがった。
「フウ、まさか脇から奇襲してくるとは…助かったぜカービィ」
「ケガはないみたいだね、よかった」
「ちょっとカービィ、このアクア様を差し置いて破魔魔法使うってどういうことよ!!」
「攻撃されたら即座に反撃するのは戦闘における常識でしょ?そっちが先に放ってればボクがする必要なかったんだから」
「う…だ、だからって私の見せ場を披露する機会を奪う権利はないと思うわよ!?」
「どんなに強力でも扱う人が下手くそだったり、発動までに時間がかかったりすれば当然当たらない。こういうのを『宝の持ち腐れ』っていうんだよ?次からはもっと素早くね!」
「う~~~……!」
すると、茂みを掻き分けながら悪魔が現れた。
ボクの破魔魔法が効いたのか、右脇腹がえぐれ、そこから煙が立ち上っている。
遂に…「アレ」を使う時が来た…!
「やいやいやいやい!一体どこのどいつだ!?俺様にこんな傷負わせやがって!!」
「ボクさ!『エンジェルカービィ』!」
「「「なっ!?」」」
全身に光の力が行き渡るのを感じる。
やっぱり悪魔やアンデッドにはこれが有効だね!
ボクは翼を羽ばたかせて悪魔の頭上をとった。
「覚悟!『ライト・オブ・セイバー』!」
手始めに光の斬撃を飛ばす。剣に纏った時と違って圧縮されていないはずなのに…大きさも密度もあの時より格段に上がってる!
でもやっぱりスピードがどうしても…。あの悪魔に軽々と避けられたし。
でも後ろにいた人達は驚愕しまくってた。
「何だあの大きな光の刃は!あんな大きいの初めて見たぞ!」
「それにあの子、天使に変身してる!」
「スゲエぞ!天使と悪魔の決戦だ!」
皆称賛してくれてはいるけど、当たらないと意味がないんだよな…。
するとアクアがまた文句を言ってきた。
「何なのよさっきから!破魔魔法を使うだけならまだしも、天使の姿を借りるなんてどういうつもり!?私をバカにしてんの!?」
「能力使う時の姿にケチ付けられても困るよ。それに、文句言う暇があったらアクアも参加してよ!役立たずじゃないこと証明したいんでしょ!?」
アクアがそうだったって顔をした。ホントに考え足らずだな…。ハア…。
おっと、それより悪魔に有効な攻撃方法なかったっけ…。
そう、剣に魔法を纏わせられるなら、矢でも可能かも!
ボクは弓矢に「ライト・オブ・セイバー」を纏わせる。
更にその場の思い付きで、「セイクリッド・エクソシズム」も纏わせてみた。
そして放った。
「『ライト・オブ・アロー』!!」
聖なる光を帯びた矢はボクの予想に反し、悪魔の方に向かって飛び始めた。
木々や枝をぬい、ただひたすらに、矢は悪魔を追いかける。
ボクもアクア達も呆然とその光景を眺めていた。
「うわあああああ!来るな!こっち来るなああああ!!」
悪魔は泣き叫びながら必死に逃げる。
一体どうして矢が悪魔を追いかけるんだろう?
するとミツルギさんが口を開く。
「おいカービィ、お前一体何をしたらこうなったんだ?」
「それを今ボクも考えてたんだけど…多分アレだね。あの矢に『ライト・オブ・セイバー』だけじゃなく『セイクリッド・エクソシズム』も詰め込んだのがいけなかったんだと思う。アークプリーストの破魔魔法がボクの能力と干渉して、悪魔やアンデッドに過剰反応するようになったとかそんな感じだろうと思うんだ」
「なるほど、確かにそれなら悪魔を追い続けているのも納得いくな…」
「ふざっけんじゃないわよおおお!!私の見せ場奪ったうえに超便利な新技まで…っ…私が一体何したっていうのよおおおお!!!」
「「何もしてないから問題なんだ(よ/ぞ)!」」
ボクとミツルギさんの言葉に、近くにいた他の人達は当然のごとく頷く。
そりゃそうだよ。さっきも参加を呼び掛けたのに結局何もしなかったし…。
とうとうボクの放った矢が悪魔に命中した。
最後の力で避けようとしたせいで、ど真ん中に命中したわけではなかったけど、下半身のほとんどが消し飛んでしまって瀕死の状態だ。
ここでトドメを刺してもいいけど…最後くらいはアクアにもチャンスをあげようと思った。
「ほらアクア、グズグズしてないでトドメ刺すよ!破魔魔法を準備して!デッカイのを!」
その言葉に、今まで涙目だったアクアの顔に光が差した。
考え足らずだけどノリは良いみたいだ。煽ててあげればどうとでもなるのかな?
「さあ、同時攻撃でキメるよ!」
「ええ!!」
同時攻撃だと経験値ってどうなるんだっけ…。
まいっか。アクアの実力はこういう時しか見られないからね。
「「『セイクリッド・ハイネス・エクソシズム』!!」」
ボクとアクアは対方向から同時に、最強の破魔魔法を放った。
これが女神の力なんだろうか。アクアの方が威力は上っぽい。
でもそんなことはどうでもいい。悪魔を倒せたという結果の方が大事なんだ。
「やったぞ~悪魔が倒れたぞ~!」
誰かの叫びをきっかけに全員が歓喜の声をあげた。
アクアは他の冒険者に囲まれながら、バカ丸出しの高笑いをしている。
ボクは早速冒険者カードを見てみた。
アレ、悪魔の記載がないぞ。
ってことは、アクアが倒したことになってんのか。
そうだよね。破魔魔法はアクアの方が強力そうだったし。
今日くらいはアクアをねぎらってあげようっと。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ギルドに戻ると、報酬は参加した冒険者に分配されることになり、ボクらは百万エリスほど貰えた。
アクアを探すと、ボクがねぎらう必要はないみたい。
悪魔にトドメを刺したということで、皆からよいしょされて馬鹿笑いしながら浴びるように酒を飲んでいる。
ボクもみんなから称賛されたけど、ゆんゆんが気まずそうにしてたのでお喋りもほどほどにゆんゆんに駆け寄った。
「ゆんゆん、成果の方はどうだった?」
「え、成果?」
「だから~、レベルの話だよ」
「あぁ、レベルですか。はい、結構いっぱいモンスターを倒せてたみたいで、少しずつですけど上がってます!」
「そりゃよかった。上級魔法、早く習得できるといいね」
「はい!」
ゆんゆんが勇気づいてくれると何だか安心する。
これからももっと強くなってほしいな。
すると、ゆんゆんの隣でジュース片手にボーっとしていためぐみんが急に立ち上がると、ボクに杖を向けた。
「やっぱり納得いきません!この世に爆裂魔法に勝るものが存在するなど…!見せて頂こうじゃありませんか!我が爆裂魔法を超えるというあなたの力を!」
突然のことでボクは最初、訳が分からなかったけど…あ、一昨日のアレか。
ボクとめぐみんはジャイアントトードがよくいる平原に向かった。
ゆんゆんもついてきてる。
「さあカービィ、私の全力の前にひれ伏しなさい!『エクスプロージョン』!」
地面を揺るがす大爆発が起こり、大きな穴ぼこができる。
そしてめぐみんはその場に倒れ込んだ。
そして自慢げに言ってきた。
「はふぅ…どうですか…恐れ入ったでしょう」
「全然」
「な!?」
「『クラッシュカービィ』!」
ボクはめぐみんが空けた大穴の中心に向かう。
「ゆんゆん!めぐみん連れて早く離れて!」
「は、はい…!」
ボクに言われるまま、ゆんゆんは動けないめぐみんを背負って駆けだした。
十分離れたと思ったボクは能力を発動した。
「フンッ!」
『チュドドオオオオオオォォォォォォォン…!!』
音を聞けば誰にだって分かる。ボクの爆発の方が上だって。
一応威力は絞ったつもりなんだけど、穴ぼこの大きさが倍以上になっていた。
2人とも顔色を失い、ゆんゆんはめぐみんを背負ったまま立ち尽くしている。
確認すると、ボクはいつもの姿だった。
やっぱり1回限りか。でも今は魔力を消費すれば何度でも使える。
しかもこの世界の魔法ではないから爆発に魔力はいらない。
良いことずくめだ!
…とはいえ、これで倒せない奴が出るかもしれないし、一応爆裂魔法その他との併用は念頭に置いておこう。
「これが…カービィさんの力…す、凄い!」
ゆんゆんが憧れの目でボクを見る。
「あぁ、一応念のために言っとくけど、2人に被害が出ないようにと思って本気は出さなかったから」
「「えええええ!?」」
「ち、因みにどの程度…ですか?」
「う~ん、巻き添えのことしか考えてなかったからなあ…最小限としか言いようがないよ」
「あ、あれで一番弱いんですか!?」
「多分そうだと思う」
「じゃあ爆裂魔法いらなくないですか!?」
「いやいや、ボクの能力と魔法って結構相性が良いらしいんだ。だから万一の時は、今のと爆裂魔法を組み合わせることもできると思うんだよね」
そこまで言うと、ゆんゆんはこの件に関して口を開こうとはしなくなった。
恐ろしいことになりそうとか思ったんだろう。
大丈夫。ボクもそう思うから使うつもりはない。
使う時なんて来てほしくない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
追加で宿代を払って1人部屋4つにしたんだけど…眠れなかった。
何故か知らないけど眼が冴えちゃってる。
「まぁ、こんな日もあるか…」
能力で無理矢理寝てもいいけれど、何となく夜の街を散歩してみたくなり、窓から飛び出した。
そう言えばこの世界に来て初めて飛んだな。
いつものように両手を振ってふわふわと街の上空を遊覧飛行。
こういう世界だから仕方ないんだろうけど、全体的に明かりが少ない。
蝋燭式のランプならしょうがないか…。
しばらく飛んでいると、前方に墓地が見えてきた。
すると突然、男の人の叫び声が聞こえたのでボクは慌てて地上に降りた。
竜巻の様なものが見えたのでそこに向かって駆けだすと、直後に声の主である男の人が飛ばされてきた。
どうやらこの人は「ゾンビメーカー」とかいうモンスターを討伐しに来たらしいけど、そのモンスターがゾンビメーカーとは思えないほど強いんだとか。
逃げた方が良いとは言われたけど、そんなことで怖気づくボクじゃない!
それっぽい黒いローブを纏ったのが路地に入ろうとしていたので、ボクは得意の吸い込みでソイツを引き寄せた。
「キャアアアアアア!!」
どうやら女の人みたいだ。
バランスを崩して転んだけれど、すぐに起き上がった。
「な、何ですかアナタは!?一体私に何を!?」
「キミがゾンビメーカー?」
「だからゾンビメーカーじゃありません!私はリッチーです!!」
「り、リッチーだと!?」
その人は驚愕した。
アンデッドの王リッチー…。聞いた途端ボクにやる気がみなぎってきた。
今度こそレベルアップできるかも!
「よ~し、いざ勝負!!」
ボクが恐れずに向かってきたのが意外だったのか一瞬怯んだリッチーだけど、すぐに迎え撃つ構えをとる。
「…無駄な争いは避けたいんですが、仕方ありません!『カースド・クリスタルプリズン』!」
「『ファイアーカービィ』!」
氷属性魔法を火炎で退ける。
けど退けられたそばから新たな氷が形成されるために鼬ごっこだ。
ごり押しでもいいんだけど、ここはひとつ…。
「埒があきそうにないな…よし!『バーニングカービィ』!」
「!!??」
全身が炎で覆われたのを確認して、ボクはリッチーを睨みつける。
「いっくぞ~~!」
ボクは低空飛行でリッチーに突撃する。
「か、『カースド・クリスタルプリズン』!」
同じ攻撃は通じない!
ボクの炎に触れた途端、氷は一瞬で蒸発する。水になる余裕さえ与えない。
「『カースド・ライトニング』!!」
悪魔のと同じ漆黒の雷はボクの炎にはじかれる。自分のこととはいえ、ここまでとはね…。
「『トルネード』…!!」
目の前に大きな竜巻が現れた。さっきの竜巻は彼女が出したのか。
と思いきや、何とリッチーはその竜巻に飛び込んだ。
まさか、あの竜巻を使って上に逃げるつもり?
ボクは竜巻に飛び込み、真上を見ればリッチーが!
勿論やることは1つ!ボクは真上に向かって飛んだ。
「ヒィッこ、来ないで!『カースド・クリスタルプリズン』!!」
「リッチー覚悟~!!」
ボクは迷わずリッチーにホールドをかける。
「アアアアアアアア!!」
ボクの炎に焼かれたリッチーは断末魔の声をあげてるけど、当然離すつもりはない。
今度は真下に飛んで、そのまま地面に叩きつけた。
結構な高さから落としたはずだけど、リッチーは痛がる様子を見せず、ボクの炎にもだえ苦しんでいた。
「イヤアアア゛ア゛ア゛ア゛!!熱い!熱いいいいいい!!」
アンデッドの王なら「エンジェル」で、とも思ったけど強敵ならその隙をついて逃げるかもしれない。
ボクはそのまま燃やし続ける。
「『カースド・クリスタルプリズン』!!」
彼女が最後に放った氷は、その全てがボクに向けて1点集中で生成された。
全力を出してなかったせいもあるけど流石に溶かすのが追い付かず、ボクは氷にはじかれた。
「しまっ…!」
「『テレポート』!!」
リッチーは瞬間移動して逃げたけど…。
「逃がさないぞ!『エスパーカービィ』!」
使えるのはボクも同じだ!
この姿だと、相手のことが何となくわかる。テレポート先はつかめた!
行きついたのはアクセルの裏通り。
目の前には「ウィズ魔法店」という看板が掲げられたお店があった。
調べようとした時、上空から声がした。
「お~い、カービィ~!」
聞き覚えのある声にボクが上を見ると、そこにいたのは…。
「め、メタナイト!?」
「おお、やはりカービィだったか!」
ボクと同じ背格好に蝙蝠の翼、そして白い仮面…間違いなくメタナイトだ!
「どうしてここに?」
「分からん。気が付いたらこの街にいたのだ。すまないが、ここが何処なのか教えてくれないか?」
「あ、うん…」
今までのことを一通り話し終えると、メタナイトは深刻な感じで言った。
「だとしたらマズイことになるかもな…」
「だよね~、プププランドのものの中には危ないものもあるからね」
「まさにその通り。そんなものが悪人の手に渡れば一大事だ」
「そうだね」
「それで、カービィはこんなところに何の用があるんだ?」
「ああ、アンデッドの王リッチーを追ってたらこの店の前に辿り着いたんだ」
「そうか…では調べてみるか?」
「うん!」
再度テレポートを使って店の中に入った。
周囲に警戒しながら慎重に店の奥へと進んでいくと、うっすらと明かりが見える。
その部屋を覗いてみると、黒いローブを纏った茶髪の女の人がいた。
ボクが堂々と入ると、その人は腰を抜かして震えている。
「ま、ま、まさか…こんなところまで!?」
「何なのここは?ここを根城にしてるわけ?」
「根城も何も、ここ私の店なんです!」
「「へ?」」
ボクもメタナイトも、まさかこんな答えが返ってくるとは思わなかった。
「じゃあキミ、ウィズって名前なの?」
「は、はい!」
「何故アンデッドの王たるお前が店など経営しているのだ?」
「そ…それは…」
話を聞いてみると、ウィズは元々は普通の人間で冒険者だったらしい。
だけど「ベルディア」とかいう魔王軍幹部に「死の宣告」をかけられた仲間を救うため、仕方なくリッチーになったんだそうな。
アクセルにいるのは、ここが初めて仲間を作った彼女ゆかりの地なんだって。
話を聞き終わったボク達は彼女を見逃すことに決めた。
帰ろうとして、ふと商品棚の上の方に目をやると、そこには…。
「え?す、スターロッド!?」
「何!?」
近づいて目を凝らしてみると…間違いなくスターロッドだ!
「ねえウィズ、これ何処で手に入れたの!?」
「え?それですか?墓地に落ちてましたけど…それが何か?」
ボクとメタナイトの説明を聞くと、ウィズは驚愕した。
「そ、そんなに大切なものだったんですか…!」
「うん」
「そ、それならお返しします!早くその…『夢の泉』に戻してあげてください…!」
スターロッドを受け取ったボクは、その場でスターロッドにささやいた。
「スターロッドよ、どうかボクに、プププランドとこの世界を自由に行き来できる力をください」
こうすれば、何時でも元の世界に帰れる!
ボクが念じると、空間の裂け目が現れ、その先に見えたのは紛れもなくプププランドだ。
あっちも今は夜らしい。
メタナイトはついでだから自分が戻しに行くと言ったので、ボクはスターロッドを渡すと、ボクの仲間にいざという時には力を貸してくれるように言っといてと言伝を頼んだ。
メタナイトはサムズアップで答えて、プププランドに帰って行った。
ボクはウィズにさよならを言うと、ウィズはお詫びにと「ドレインタッチ」という技を教えてくれた。
そしてボクは宿に戻って眠りについた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
翌日、ボクはアクアが貼った紙の「募集」のところに
《まともに職務を全うできる人限定で》
と書き加えておいた。字が小さい気もしたけれど、気付かない事はないだろう。
その後、受付のお姉さんに呼ばれてリッチーのことを聞かれた。
あの時助けた人が話したらしい。
リッチーがどうなったか聞かれたので、ボクは逃げられたとだけ言ってその場を切り抜け、ミネストローネを注文した。
ここに来て初めてのトマト料理…どんな味がするんだろう?
なんてことを考えていると、マキシムトマトのことが頭をよぎる。
ボクの大好物だけど、アレってこの世界の人が食べても大丈夫なのかな?
あと元気ドリンクも…。
無敵キャンディーは絶対来てほしくない。
ミネストローネを飲みながら何気なく掲示板に目をやってみると…ない!?
仲間募集の張り紙がなくなっている。
と、オレンジ色の鎧を身に付けた金髪の女の人が目にとまった。
ボクが言えたことじゃないだろうけど、結構目立つカラーリングだな。
しかも右手にはあの張り紙が握られていた。
女の人が周りをキョロキョロと見始めると、ボクは何故か見て見ぬふりをしてスープを口に運ぶ。
何か…何か嫌なものを感じ取ったんだ。
何かは分からないけど…もしかしてあの人もめぐみんやアクア同様まともじゃない?
だとしたら勘弁してほしいよ。
案の定、女の人がボクの方に歩いてきた。
「あ~、食事してるところすまないが、ちょっと話を聞いてくれないか?」
「ん?何?」
振り返って改めてその女の人を見た。紅魔族とは違って青い目をしている。
パッと見は知的で厳格そうなんだけど…。
「この募集はまだ有効なのか?」
その人は張り紙をボクに見せてきた。
「ん、そうだけど?キミは上級職なの?」
「あぁ、私はクルセイダーだ。条件に当てはまる」
クルセイダーって確か、守りながら戦う感じの職業だったな。
でもやっぱり何か嫌な予感がする。どういうことなんだろう…。
一体何が…。
「ど、どうした?何かついてるか?」
「いや、そうじゃないんだ…」
するとそこへ、ゆんゆん達がやってきた。
「おはようございます、カービィさん!」
「おはよー、ゆんゆん」
「あれ、珍しいわね。ミネストローネなんて…いつもは蛙のステーキしか食べないのに」
「あぁ、久しぶりに好物のトマトが食べたくなってさ…」
「何と!肉好きかと思いきやまさかのベジタリアンですか!」
「そうじゃないよ。単にトマトだけ好きなの!あ、あとリンゴも」
「なるほど、それでこちらの方は?」
「何かパーティーに入りたいらしいんだけど…」
その言葉に、めぐみんとアクアは何故か目を輝かせたけど、ゆんゆんはボクの気持ちを察したのか3人の注意がいってないことを確認してそっと近寄ってきた。
「もしかしてあの人も迷惑者ですか?」
「まだ分からないけど、そんな気がしてならないんだ」
ボクとゆんゆんは小声でそんなやり取りをした。
「そういえばまだ自己紹介をしていなかったな。私の名はダクネスだ。よろしく…で、彼女達はお前の仲間なのか?」
「まぁね。こっちにいるのが紅魔族のゆんゆんとめぐみん。ゆんゆんは中級魔法を多用できて、めぐみんの方は爆裂魔法と喧嘩っ早さがウリ…?で、後ろにいるのはアークプリーストのアクアだよ」
「…となると、やはりこのオールラウンダーというはお前なのか?」
「そうですよ!カービィさんは私達の頼れるリーダーですから!」
どういうわけか、ゆんゆんはここぞとばかりにボクを持ち上げようとする。
まぁ、内気が治ってきてるならよしとしよう。
「そうか、カービィという名前なのか。ところでさっき、私のことをジロジロ見ていたが、どうしたんだ?」
「いや~、何というか…キミを見てると何か欠点を隠し持ってる感じがしてね…」
その言葉にダクネスは一瞬ビクつき、冷や汗がひとすじ垂れた。
やっぱり迷惑者の類か…。
ボクが厳しい顔で見ていると、観念したかのように口を開いた。
「じ、実は…私クルセイダーなんだが、剣の扱いが苦手でな、まともに攻撃が当たらないんだ。だが防御には自信がある。私なら優秀な盾としてやっていけると思うんだ。どうだろう?仲間に入れてはもらえないだろうか?」
「ねえダクネス、その張り紙、ちゃんと全部読んだ?」
「え?いや、一通り読んだはずだが…」
「ここも?」
ボクは自分が書き足した部分を指した。
「なになに、『まともに職務を全うできる人限定で』?」
「そう。防御一点張りで、職務を全うしてるって言える?」
「う…」
項垂れるダクネスを、「2人の迷惑者」が必死にフォローしようとする。
「何を言うんですか!彼女は我々の盾となってくれると言うのですよ!何とカッコイイことか!」
「かっこ悪いよ」
「ちょっ何よその言い方は!一体ダクネスのどこが問題だっていうのよ!?」
「問題しかないことに気付かないなんて…キミの知力の低さ、いい加減どうにかしないとな…ハア…」
知力が話題にあがったことで再びアクアが涙目のふくれっ面だけど、以下同文。
「ていうかアクア、キミはこの前悪魔を倒したはずでしょ?レベルアップとかしてないの?」
「レベルアップですって?フン!私ともなれば最初からカンストよ!アップもへったくれもないわ!」
「え~?ってことはさアクア、もしかしてこう言いたいわけ?『バカは死ななきゃ治らない バカにつける薬はない』って…」
自分で墓穴を掘ったクセに、アクアは怒りの表情で睨んでいる。
ボクは気にせず、ダクネスに向き直る。
「まぁそれはさておき、ダクネス、攻撃が当たらないってことはモンスターを倒せないってことじゃないか。それすなわちレベルが上がらないってこと。分かる?キミはこの『迷惑者達』に比べたら中身はまともかもしれない。けどキミと違ってとりあえず限定的ながら攻撃が可能なんだ。だから仕方なく置いてるの」
「「し、仕方なく!?」」
もうこの2人のリアクションには関わらないようにしよう。疲れるだけだから。
「……確かにそうだな。カービィの言うことは正しい。攻撃ができなきゃレベルが上がるわけがない…」
「そういうこと、もしどうしてもっていうんなら、まともに攻撃できるようになってから出直してきてよ」
「あ、ちょっと待ってくださいカービィさん!」
ゆんゆんが割って入ってきた。
何か閃いたんだろうか。
「どうしたの?」
「ちょっと思いついたんですけど、ダクネスさん、とりあえずそばに置くだけ置いとくってのはどうでしょう?」
「置くだけ置いとく?」
「つまりですね、ダクネスさん1人だとホントにまともに攻撃できるようになるか分からないじゃないですか」
「うん」
「だから宿代だけ出して、後はダクネスさんがまともにやってるかどうかを定期的に見るんです。それで改善すべきところがあったら私達で指導する。そうすれば早く剣術が上達するかもしれません!」
「ふ~ん、ま、あそこの宿は安いからね。悪くないかも」
「ですよね!そうしましょうよ!」
「それに以前聞いたんだけど、今とってる1人部屋、必要ならベッド1つ追加して2人部屋にもできるって宿主さん言ってたし、そうすればダクネスの分の宿代が浮くね」
「あ、あのお宿そんなお得なことが!?」
「あるらしいよ。というわけでダクネス、キミはこれからアクアと相部屋だよ」
「え、何で私に!?」
アクアは納得してないようだけど、紅魔族の2人は納得したようだ。
リッチーと戦った晩、ボクの部屋から一番遠いはずのアクアの部屋から寝言が届くんだからたまったもんじゃない。
結局「スリープ」で無理矢理寝る羽目になったんだから。
「それから毎日の食費等は自腹だからね」
「んっ…よ、よろしく頼む」
するとゆんゆんがまた何か閃いたようで、ボクに耳打ちしてきた。
「どうせだから、私カービィさんと相部屋にしたいです」
「え?何で急に?」
「だってそうすれば更に宿代が安く済むじゃないですか。それに、カービィさんともっとお喋りしたいですし…」
どうやらゆんゆんは、思った以上にボクのことを気に入ってるらしい。
ま、ボクは別に構わないけどね。それにアクアの寝言が少しでも小さくなりそうだし…。
そんなわけで、すぐに宿主さんに相談して、アクアの部屋を2人部屋にし、密かにボクの部屋も2人部屋にして元ゆんゆんの部屋については触れないことを承諾してもらった。
宿を出た直後、緊急クエストを知らせる放送が入った。
キャベツの収穫だとか。
どんなクエストかと思ったけれど…「千里眼」で様子を探ってビックリ!
キャベツが飛んでるんだもん。それも地上と空を覆いつくす程の数で。
でも…これはチャンスかも。
ダクネスの腕前を見てみよう。
「よっしダクネス、早速キミの腕見せてもらうよ!兎に角何が何でも攻めまくってね!守備に回っても無意味だから!」
「ん…わ、分かった」
「それと、さっきも言った通り宿代以外は自腹だからさ、しっかり稼ぎなよ!」
ダクネスの返事を待たず、ボクは近くの家の屋根に登ってキャベツの群れを迎えうった。
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恐らくダクネス的には最悪の結果だろう。
あれだけの数いたんだから「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」と思ったけど…現実はメチャクチャ酷い。
何百回も剣を振るったのに1度も当たらなかったんだ。
途中から攻撃してるのか素振りしてるのか分からなくなるくらいだよ。
逆に清々しくなるくらい見事な外しっぷりを発揮したダクネス。
持ち前の防御力でキャベツたちが攻めあぐねていたのも見たけれど、印象が薄れてしまう。
そんな中、キャベツに攻撃されるたびに顔を赤らめて嬉しそうな顔をしていたけれど…もしかしてマゾ!?
だとすれば防御しかしないことにも合点がいく。
これを機に治ればなあ…。
ボクが励ましの言葉をかけると、ダクネスは情けなさのあまり顔を両手で覆ったまま固まってしまった。
「それにしてもカービィさん凄いですね!あれだけいたキャベツを残らず吸い込んじゃうんですから!」
「ボクにとってはあれが日常さ。食べ物を見逃したことなんて1度もないよ」
「ていうかあの勢いは、絶対に他の冒険者も吸い込もうとしてましたよね?」
「するわけないじゃん。仮にそうなら、屋根の上に登る必要ないし」
「そうよめぐみん!リーダーに失礼よ!」
「ゆんゆん…最近は随分とリーダーにベッタリじゃないですか…もしや?」
「もしや何よ?『苦労者』同士で仲良くして何が悪いの?」
「あぁ、もしかしてアレ?付き合ってるとかそんなこと考えてるの、めぐみん?」
「はあ?そんなこと考えてたの?あ、顔赤い!ちょっとホントに!?」
めぐみんの顔は時とともにより赤くなる。
何かいやらしいことでも想像してたのかな?
まぁいいや、そういえば、アレっ…。
「ねえ、アクアはどこ?」
「そういえば、収穫したキャベツを換金してもらうといったまま戻ってませんね」
「何かあったんでしょうか…?」
そんな会話をしているうちにアクアが涙目で戻ってきた。
彼女曰く、キャベツだと思って収穫したののほとんどがレタスだったらしい。
そのせいで大した額貰えなかったとか。
その話を聞いたボクは嫌味まじりにこう言った。
「やっぱり運も大事だよね?」
「くわ――――――!!!」
キレたアクアがボクを掴んで揺さぶってきた。
すると…。
「ん…?『ポンッ』」
「ぶぉふっ!?」
ボクの口から飛び出したものがアクアの顔面に直撃。
それは…キャベツだ。
「あ、まだ3個残ってた~!換金してこよ~っと!」
「あ、ちょっと待ってカービィさん!ストップスト~ップ!」
「何さ?」
「あ、あの…そのキャベツ譲ってくださるかしら?」
「急に何なのその喋り?何で譲んなきゃいけないわけ?」
聞けばこの女神の面汚し、近くの酒場でツケで飲んでいたらしい。
ホントに何考えてるんだよ!
ボクは食べ物に目がないけど、ツケで飲み食いしたことだけは1度としてないぞ!
コイツ、ボクより生活が杜撰なんだな。
という感じのことを散々アクアに怒鳴って、クエストで稼ぐように言ったら今度は泣きついてきた。
「うるさいな!たかがそれだけの額で!このクエストやれば済む話じゃないか!!」
そう言ってボクはギルドの掲示板にあった「浄化クエスト」を指した。
ワニが住む湖が汚れているので浄化して欲しいという内容だ。
アクアは嫌がったけど、ボクは有無を言わせるつもりはない。
ボクはアクアを殴って気絶させて、残りの「迷惑者」達に命じた。
「めぐみん、ダクネス!今のうちにアクアを依頼された場所まで連れて行って、そして逃げないように見張っといて!その間ボクはゆんゆんと生活費稼いどくから!」
ボクが返事を待たずに席を離れると、ゆんゆんは表情を引き締め、無言でボクについてきた。
まずは残りのキャベツの換金から。
今日の依頼は暴走するリザードマンの群れの討伐だ。
ゆんゆんのレベルアップにちょうどいいだろう。
「因みにカービィさん、キャベツでいくら位稼げたんですか?」
「730万くらいかな」
「え、そんなにも!?」
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ボクの予想は大当たり。
ゆんゆんはレベルアップによって上級魔法が使えるようになった。
ボクもいくらか倒したけれど、ボクにとってはあまり足しにならないからね。
で、習得したのが「ライト・オブ・セイバー」。
ボクが「エンジェル」の時に使った魔法だ。
その時のことが印象に残っているらしい。
一方アクア達「3匹の迷惑者」はというと…。
クエストそのものは成功したみたいだけど、ワニへの恐怖からアクアは精神崩壊寸前だった。
今も安全のためにと用意された檻から出ようとしない。
全く…魔王倒すために来たはずなのに、ワニに怯えまくって且つ檻から出そうとするとパ二クって暴れて、冗談抜きで情けない。
とここでボクは閃いた。
「そうだダクネス、今晩はキミもこの中で過ごすといいよ」
「は?何故私が…!!」
「さっき言ったじゃないか。キミはアクアと相部屋だって」
「あ、相部屋といってもなぁ…」
「これで宿代も浮いて、一石二鳥だね!」
「あの…一体これのどこが一石二鳥なんでしょうか?」
「寝言の件」
めぐみんに耳元でささやいて、ようやく納得いったらしい。
紅魔族は知的だといわれてるけど、中にはこういう例外もいるんだな。
まぁ、爆裂魔法しか使えないことを散々イジられても懲りないめぐみんだから当たり前といえば当たり前か…。
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翌朝、アクアの寝言が気にならなかったこともあってグッスリ眠れたボクとゆんゆんは、早起きして檻に向かった。
そこにいたのは、よだれを垂らしながらグッスリと寝ているアクアと、目にクマができたダクネスだった。
でもダクネスはうっすらと微笑みを浮かべている。
やっぱりマゾだこの女。
「ふ…ふふ…カービィ君…やってくれるじゃないか」
「一応聞くけど、何があったの?」
「フフフ…お前は…分かっててこんなことをしたんだろう?コイツの…フフ…アクアの…騒々しさを…」
「まぁそうだね、半分くらいは…」
「ならば残り半分も聞かせてもらおう…」
「まだ正式なメンバーじゃないからだよ」
「ウググ……」
「一応まともに攻撃できるようになったら待遇よくするつもりさ。まぁその必要はなさそうだけど」
「必要に決まってるだろう!何故私がこんな」
「だってキミ、マゾなんでしょ?痛い目にあわされるのが大好きな変態なんでしょ?だから防御一点張りなんでしょ?現に今だってずっと笑顔だし…ほら見なよ、ゆんゆんもドン引きしてるじゃないか」
ダクネスは何か言い返そうとしていたけど、ボクは耳を貸すつもりはないから。
「兎に角、本気でこの状況をなんとかしたいと思ってるなら、態度で示してね。何でもいいからまともに攻撃できるように特訓してよね!」
「わ、分かった!流石にこれは専門外だから特訓させてくれ!!出してくれ!!頼む!!」
やっと観念したダクネスが檻をガタガタさせながら泣いて懇願してきた。
それも檻を壊しそうな勢いで…どれだけ腕っぷし強いんだろう。女かどうかも怪しく思える。
そしてそんなことをされても一向に起きないアクアもまた同じく…。
ただ、特訓の仕方も分かってないらしく、ただただ剣を使って素振りするだけ。しかも無駄に掛け声つけて。
ちょうどギルドにて、薪割りの手伝いをしてほしいという依頼を見つけたので、ダクネスの特訓も兼ねて請けることに。
200本以上割ることになるそうだから、余計に特訓向きだ。
依頼主に事の次第を話したら、冬に向けてのものだからそれまでにやってもらえればいいと、まぁ割とすんなり受け入れてくれた。
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で、早速始めたダクネスだけど…再び清々しい外しっぷりを披露した。
まさか止まっている相手にこれだけ外すなんて…ある意味才能だね。
結局その日だけで割れた薪は僅かに3本だけ。
いや、あの外しっぷりの中、3本でもよく割ったな…。
ダクネスの疲労し切って剣を杖代わりにして歩く様を見るとそう思いたくなる。
で、3日かけても2ケタの本数割れないダクネスの不器用さに、様子をちょくちょく見ていた依頼主からも逆に凄いと言われる始末。
それでも、攻撃できるようになりたいという気があることは間違いないだろう。
終始変態ぶりを一切見せることなく、涙目ながらも真剣な顔で剣を振るうダクネス。
時間はかかるだろうけど、これなら攻撃手にまわれる日が来るだろう…何時かはね。
で、ボクとしても四六時中ダクネスを見張るわけにもいかないので、ゆんゆんと交代で見張ることに。
そういえば最近、ギルドにいる人達が口々にろくな依頼がないと愚痴をこぼしている。
確かに依頼を見ていると、ジャイアントトードなどの雑魚モンスターの討伐依頼がほぼない状態だ。
初心者殺しとかは普通にあるのに…。
蛙は冬には冬眠するから、今が冬だというなら納得いくけどさ。
受付のお姉さんに話を聞いてみたら、この近くに強いモンスターがいるために他のモンスターが恐れをなして隠れてしまったんじゃないかという見解を示した。
確かに筋は通るね。強いモンスターはまぁ、天敵みたいなもんだろうし出会いたくもないよね。
だけど、流石に上級モンスターがいるってだけでここまで極端に減るってことはないんじゃ…。
ん?待てよ…ということはこの付近にいるのってまさか…例の魔王軍幹部?
いやそれはおかしい。だってこのアクセルは駆け出し冒険者の街だもん。
魔王軍幹部が来る意味なんてないはずだ。
だとしたら一体どういうことなんだろう…。
やっぱやめよ。今はそれよりもダクネスの今後を考えなきゃ。
というわけで、初心者殺し討伐をサクッと終わらせて、ダクネスの修行場もとい薪割り現場に向かった。
「ゆんゆん、ダクネスの調子はどう?」
「あ、カービィさん、相変わらずですよ」
「今何本割れたの?」
「2本です」
「うわーお…」
まぁ、まだそんなに日が経ってるわけじゃないからね。
あの清々しい外しっぷりがこんな短期間で直ったら誰も苦労しないよね。
なんて思っていると、突然謎の放送が響く。
「『緊急事態発生!緊急事態発生!冒険者の皆様は至急、街の正門にお集まり下さい!』」
ボク達は訳も分からないまま、すぐに正門まで走った。
次回予告
駆け出し冒険者の街に、突如現れた魔王軍幹部。
狙いはカービィ!?
更にはこの国の首都でも事件勃発!
果たして魔王軍の運命やいかに…。
次回「魔王軍を蹂躙だ!」