【完結】ピンクの悪魔よ、この忌々しい世界に制裁を!   作:Mk-5

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ベルディアは死にます。アイリスとの付き合いはどうしようかな?
5月以降は仕事の都合で投稿ペースが大幅に遅くなると思います♨
引き続き以下の注意事項があります。
①オリジナルキャラ多数追加
②キャラ崩壊
③設定ブレイカー
④パクリ要素
等といった可能性を大いに秘めています。それでも大丈夫という方のみ
ゆっくり読んでいってね~( -∀-)”ノ


第03話 魔王軍を蹂躙だ!

ボク達がアクセルの正門に到着すると、そこから少し離れたところに黒い鎧を纏った騎士のような見た目の奴がいた。

でもただの騎士じゃない。頭を脇に抱えているし、乗ってる馬も首がない。

いわゆるデュラハンと呼ばれるモンスターだ。

そう言えばウィズが言ってたけど、かつての仲間に呪いをかけた「ベルディア」はデュラハンだとか…。

まさか、ホントに魔王軍幹部なの!?

だとしても、どうしてこんな街に…?

 

「フン、全員集合ってとこか…」

 

デュラハンは集まった冒険者たちを見回している。

と、ボクと目が合った途端に動きが止まった。一体どうしたんだろう。

 

「フ、フハハハハ!やっぱりいたのか!『ピンク色で丸い体の伝説の戦士』よ!!」

「え?ボクのこと?」

 

多分この後戦うことになる…!

そう直感したボクはデュラハンの方に駆けて行った。

 

「そうだ!この俺、ベルディアは調査のために来たのだ!というのも、魔王様お抱えの予言者が突然こう叫んだのだ。ピンク色で丸い体をした伝説の戦士が送り込まれた。その者によって魔王一族は滅ぼされるであろう、となぁ!!」

 

相当優秀なんだな、魔王の予言者って…。

でもこっちも負けてないさ!

ウィズから「死の宣告」のことも聞いたんだ。物は試しってことで、手始めは…。

 

「早速で悪いが、我らとしてもみすみす滅ぼされるわけにはいかん!お前には今ここでくたばってもらうぞ!」

「『ミラーカービィ』!」

「お前は一週間後に死ぬ!!」

 

ベルディアの攻撃より先に能力を発動できたぞ!

あとはアレを…!

 

「『リフレクトフォース』!」

 

ベルディアの、呪いという名の黒い光線はボクの鏡に反射してベルディア本人に直撃した。

 

「うぎゃあああっ!?」

 

ま、ベルディアはアンデッドだから死にはしないだろうけど、反応から察するにあの呪い、直接的なダメージもあるのか。

すると、ゆんゆん達も遅れてやってきた。

でも何でダクネスが先頭にいるんだろう。しかも心底驚いてるみたい。

 

「ダクネス、どうして来たの?」

「いや、お前を守ろうとな…。まさかベルディアの呪いを弾き返すなんて…!それが『コピー能力』ってやつか!」

「そうだよ!古来より鏡は魔よけの道具。不思議な力を全てはね返す力があるんだ!」

「バ、バカな…そんなバカなことが…!」

「ああ、カービィさん、来ますよ!」

「分かってるって。皆は離れてて!」

 

ボクの呼びかけに皆は後退した。

…ただ一人を除いては。

 

「冗談キツイわ!魔王軍幹部が目の前にいるのに、引き下がるなんてとんでもない!!」

 

またやらかすつもりだよこの女神の面汚しは…。

 

「ほほう、こんなところでアークプリーストに出会うとはな!だが、駆け出しの奴なんぞに何ができるというのだ?俺様は魔王様の加護により弱点を克服している身だ!神聖魔法への対策も万全!そんじょそこらのアークプリーストなんかに遅れを取る俺様ではないのだ!!ガハハハハハ…」

「『ミラー分身』からの『ミラー斬り』」

 

長話をする幹部を取り囲むように分身を配置し、鏡から斬撃を飛ばす。

 

「え!?どわああああ!?」

「話はもういいからやろうよ…」

「…っとそうだった。俺としたことが話に夢中になりすぎたぜ。だが、まずは俺様の手下の洗礼を受けてもらうぞ!!」

 

ベルディアを中心に、地面を黒いオーラの様なものが丸型に包み込んだ。

と思いきや、そこから鎧騎士のようなのがたくさん出現した。

これって鎧着たゾンビ…みたいなものかな?

 

「さあアンデッドナイト共、そいつを細切れにしてやれい!」

 

へえ、アンデッドナイトっていうのか。

…というか、みんな明後日の方向に走り出したんだけど!?

いや、よく見たら全員アクアを追いかけてる!

ベルディアが何度命令しても聞き入れようとしない。

何だこの光景?

 

「ねえ…何なのアレ?」

「こっちが聞きたいわ!何なんだよアイツは!?いつもなら俺の言うこと素直に聞くはずなのに…ホントに何あんだよアイツはよお!?」

「さあ?普段から蛙によく食べられてるのは知ってるんだけど…まさか蛙だけじゃなくアンデッドにもモテるなんて…ベルディア、モテる男も女も、あんなに大変なんだね…」

「ええい!お前はさっきから何を言ってるんだ!もういいこうなれば」

「あっちょっと待って!閃いた!お~いアクア~!そいつらをこっちまで誘導してよ~!!」

 

ボクは対アンデッド魔法を放ちながら泣いて逃げるアクアに向かって叫んだ。

 

「そんなのできるわけないでしょおおおお!!!」

「いいから!!こっちの方に走ってきてくれればいいんだって!!」

 

アクアはヤケクソ気味にボクの方に進路を変える。

それでいいんだ。

あとはタイミングを見計らって「あの能力」で一網打尽の一石二鳥さ!

アクアが通り過ぎた瞬間を見逃すボクじゃない!

 

「『コックカービィ』!」

 

ボクがフライパンをお玉で連打すると、アクアを追ってきたアンデッドナイト達が1人残らず大鍋に収まった。

あとはコイツを…。

 

「ふんふんふふ~ん、ふんふふ~ん♪お塩もいれた~コショウ入れた~♪あとはグツグツ煮込むだけ~♪」

 

ボクが上機嫌でかき回しているのを、ベルディアを含めた皆がボーっと眺めている。

そろそろできたかな?

 

「ホイっと!」

 

鍋からオムレツにスパゲッティ、ハンバーグ。兎に角いろんな料理が飛び出す。

全部出し終わると、ボクは早速食べ始める。

 

「お、おい…一体何をした!?」

「だべううふぁんふぁだだだぼ」

「食べながら喋るな!!」

「ゴクン、だって夕飯まだなんだもん」

「そしてそうじゃない!俺の手下共に何をしたんだと聞いてるんだ!!」

「見りゃわかるでしょ?敵を吸い込んで料理に変えた。それだけだよ。あ、食べる?」

「いるか!!」

 

それじゃ遠慮なく食~べよっと。

 

「ホントに何でもアリなんですね。カービィさんの能力って…」

「そうかもね。これさえあれば食材にならないモンスターでも食べられるようになるしね」

「だったら他のモンスターもそれで倒せばいいじゃなくって?」

「そうはいかないよ。強い敵ほどたくさん料理が出るんだから。蛙とかに対して使っても逆に食べられる量が少なくなっちゃうよ」

「なるほど、そんなデメリットもあるんですか」

「ごちそうさまっと!」

「って早っ!」

「あんなにあったのにもう全部食べたんですか!?しかもちゃっかり皿だけそのまま…」

「フウ、これで1食分食費が浮いたし…ってちょっと待った」

 

ボクはおもむろに冒険者カードを確認する。

 

「あ、これも倒したことになってる!しかもレベルが2だ!レベル上がったんだ!やった~!!」

 

初めてのレベルアップだ!

ベルディアを倒せたらもっと上がるかな?

 

「よ~し、そろそろ本番といこうか!」

 

ボクはベルディアを睨み据えた。鎧を纏ってるし力もありそうだ。

とはいえ、本当にアンデッドには打撃とかは効かないのかな?

倒せないにしても、弱らせることはできないだろうか…。

よし、確認の意味でもまずはあの手でいってみようか。

よく考えたらまだ戦闘に使ったことなかったし…。

 

「畜生め!よくも…よくもこの俺をコケにしやがったな!もう許さねえ!!」

 

ベルディアは剣を握りしめ、怒り心頭で突進してくる。

 

「『ファイターカービィ』!」

 

ボクはベルディアが振り下ろす剣を拳で弾き、その腕に飛び乗って駆け、そして胸にストレートパンチを見舞った。

 

「ぐはあああ!!??」

 

直後、ベルディアの胴体だけが遥か後方に飛ばされ、頭だけがその場に残った。

ボクはその頭を華麗にキャッチする。

 

「お、おいちょっと待て!一体どこにそこまでのパワーが…!」

「ちょっと黙っててくれないか…なっ!!」

 

ボクはベルディアの頭を締め上げる。

すると金属がひしゃげたようなミシミシという音が聞こえた。

 

「ぐぎゃああああああ!!!!」

 

なるほどね。死にはしなくても痛みとかはあるんだ。

ボクは更に力を入れる。

 

「ぎぃやおぇぇぇえええええええええ!!!!!」

 

金属がひしゃげる音は大きく、そして不気味になる。

よく見れば、ベルディアの頭は見る影もないほどひしゃげてる。

流石に力みすぎたかな…。

 

「あ…あが…あ…」

 

最早まともに喋れないでいるベルディア。

そして胴体がこっちに駆けてくるのが目に入った。

そろそろアレの出番かな?

ボクはベルディアの頭を真上に放り投げた。

 

「あ゛!?何を…」

「『サマーソルトキック』!」

「ぎゃうっ!!」

 

ボクが蹴ったベルディアの頭は胴体の腹に見事命中。

そのままいくらか吹っ飛んだ。

 

「からの、『エンジェルカービィ』!」

 

ボクは間髪入れず、弓に矢をつがえる。

勿論「セイクリッド・ターンアンデッド」を纏わせてね。

今回は手加減なしでいく!

 

「『T・ライト・オブ・アロー』!!」

 

ボクは矢を3本同時に放った。

悪魔の時と同様、全ての矢がベルディア目掛けて飛んでいく。

ベルディアの方はさっきの一撃が原因なのか迎え撃つことができず、全ての矢が突き刺さると同時に神聖魔法と光の斬撃がベルディアの全身を駆け巡る。

 

「グアアアアアアガアアアア!!!!」

 

でもやっぱり致命傷とまではいかないか…。

流石に魔王軍幹部だと時間かかるな。

アクアの後輩の女神エリスはアクセルでも世界一の女神ともっぱらの噂だ。

ボクもエリス様みたいに強力な神聖魔法が使えたら…。

と思ったその時!

 

(『セイクリッド・ターンアンデッド』!)

 

今の攻撃はボクの背後からだ!

振り返ってみると…そこには銀髪の女の人が宙に浮いていた。

体は半透明で、光に包まれている。

そしてどういうわけか、アクアと同じような「違和感」が感じられる。

もしかして、この姿の時に感じるこれって…神様か否かが何となく区別できてるってこと!?

女の人はボクと目が合うと、優しい声で語りかけてきた。

 

(私は女神エリス。私を呼んだのは貴方ですね?)

「え?いや…別に呼んだわけじゃなくて、『ボクもエリス様みたいに強力な神聖魔法が使えたら』って考えただけなんだけど…」

(え、そうだったんですか?それにしては私を求める力が凄まじかったんですけど…)

 

女神さまのこと考えただけで呼び出しちゃうなんて…自分のことながら「エンジェル」凄すぎ!

何故かアクアがあわあわ言いながら震えてるけど、何なんだあの女神もどき…。

一方のベルディアは、しばらくエリス様の神々しさに目を奪われてたけど、割とすぐ我に返った。

 

「な、何だったんださっきの攻撃は!?それにお前のその姿…さてはお前、女神エリスの手の者だな!?」

「だとしたら何だっていうのさ?」

 

もういちいち説明するの面倒くさいや。

ここはもう全部周りに調子合わせちゃおう。

ベルディアの言葉を真に受けた自称エリス様の先輩が、自分がいながらどーたらこーたら言ってきたのにも、エリス様のスパイ(?)的なキャラで応戦することに決めた。

 

「キミが不甲斐なさ過ぎるのがそもそもの原因なんだぞ!キミがエリス様の先輩として評価される活躍をしていれば、ボクはこんなことしなくて済んだんだ!!」

 

ボクはエリス様に向き直ると憐みの顔で目を閉じ、精一杯の敬礼をした。

 

「エリス様、ボクは今、アナタに心から同情しております」

(私に…ですか?)

「え…もしかして助手役の天使からは何も聞いてない感じですか?」

(え、えーと…アクア先輩が貴方と共に旅立ったとしか…)

 

仕方ないのでボクはエリス様に、アクアに関するこれまでの経緯を洗い浚い話した。

女神と呼ぶには程遠いバカ丸出しの言動については、特に細かく語った。

ボクが言うまで自称先輩の真の姿を知らなかったエリス様は、明らかにショックを受けている。

誹謗中傷だと迫るアクアを殴り飛ばし気絶させてから、厳しい顔でエリス様の方に向き直る。

そしてボクは…場合によっては天と地がひっくり返るようなレベルの衝撃が世界に走るかもしれない…そんな意見をエリス様にぶつけた。今となってはもはや思わず言ったのかすら分からない…。

 

「ですから、ボクは今ここでエリス様に進言いたします」

(は、はい…)

「女神アクアは…………永久追放すべきだと!!」

「(ええええええええ!!??)」

 

何故ベルディアまで驚いているのかはこの際どうでもいい。

ゆんゆんをはじめとする他の冒険者たちは何がどうなっているのか分からないといった顔をしていた。

多分エリス様の声は彼らに聞こえていないんだろう。

それにしても、仮に演技の才能があったとしても、エリス様とのやり取りで何でここまでスラスラと敬語が出てくるんだろう。ボクとしては、こんな事とは無縁の生活をしてたつもりなんだけど…。

まさか、ボクの能力とエリス様の力が干渉しているの!?

どうにせよ結果オーライだ。このまま続けよう。

 

「エリス様、いきなりこんなことを聞かされて混乱しておられるのはお察ししますが…アナタの先輩の現状は今ボクが話した通りです!このような…見方によっては『邪神より邪神らしい』者を何時までも居座らせておけば、神々全体の信用にかかわります!場合によっては、なし崩し的にアナタの信仰が途絶えてしまう可能性も大いに御座います!ですからエリス様…一刻も早いご決断を!!」

 

ボクはエリス様に真剣な顔で迫った。

当たり前かもしれないけど、エリス様は更に面食らった。

 

(い、一刻も早くと言われましても…)

「エリス様!先輩を大事にしたいというお気持ちはボクにも分かります。しかし、だからといってこの非常事態に目をつぶっていい理由なんてありませんよ!?」

(う、う~~~ん……)

 

頭を抱え、半ば混乱気味のエリス様に、ボクは決め手となりうる情報を教えることにした。

 

「ではエリス様、これもご存じないでしょう、彼女の信者がアナタの方に傾いた時、アクアは信者たちにエリス様のことを何と言ったか…」

(な、何と?)

 

ボクは周りを一旦見渡してから、エリス様に耳打ちした。

 

「アナタが…胸パッドだと」

(な、な、何ですって!?)

 

エリス様はボクの予想以上に取り乱し、そして未だ気絶中の自称先輩に対し怒りをあらわにした。

すぐに笑顔になったものの、明らかに口元が引きつっている。

ボクが小声で今は内緒にしといてと言うと、エリス様は無言で頷いた。

ボクがアクアを殴る態勢に入ると、アクアは飛び起きる。

ボッコボコにしといてよかったな。

 

「ほらアクア、何時までも寝てないで、幹部にトドメ刺すよ!!」

「え、あ、う、うん…」

 

何か言いたそうだったけど、ボクは有無を言わせるつもりはない。

空気になりかけだったベルディアを3人で囲んだ。

そしてボク達は同時に、最強の対アンデッド魔法を放った。

 

「「(『セイクリッド・ハイネス・ターンアンデッド』!!)」」

「うぎゃあああああああああああ!!!!」

 

それが最後に聞いたベルディアの声だった。

あとに残ったのはボロボロの鎧だけ。

少しでも換金できないかと思い、ボクはベルディアの鎧を吸い込んだ。

すると…同じ感じがした。そう、初心者殺しを吸い込んだ時と同じ感じが…。

気が付くと、ボクはいつの間にかベルディアと同じ漆黒の鎧を身に付けていた!

それも、サイズがぴったりな。

 

「す、凄い…やった~!ボク、ベルディアの能力までコピーしちゃったみたい!」

(…ホントに素晴らしいですね!カービィさんの力は)

「…あっそれにボクがベルディアを倒したことになってる!レベル3になったぞ!」

 

今回は直前にレベル2になったせいか、魔法はボクが一番強力だった気がする。

それにしても、まさか魔王軍幹部の力がコピーできるなんて…とんでもなく大きな収穫だ!

こうなったらやることは1つ。他の幹部の力もコピーしよう。

そしてそれを使って今後出てくるであろう強敵を倒そう。

これなら魔王を倒すのもそれほど苦にならないかもしれない。

 

(…アクア先輩の処分については、私1人の判断では決められませんので、帰ったらまずは天使の皆さんと相談したいと思います。あと胸パッドの件は絶対内緒ですからね)

 

ボクにそう耳打ちして、エリス様は天に還って行った。

その辺のことは気絶していて聞いておらず、知力が低い自称先輩は何がどうなったかよく理解できないようで、あたふたするばかり。

アクアをとりあえず落ち着かせるため、ボクは一言、もう終わったんだと言ってやった。

宿に戻る途中、ダクネスにエリス様とのやり取りについて聞かれかけたけど、ボクは厳しい顔で首を横に振った。

アクアの耳に入るとマズイからね。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

翌日、改めて冒険者カードを確認したボクは、テレポート先の登録欄を見つけた。

そういえば、「エスパー」あるのにテレポート習得しちゃってたな…。

とりあえず、ここに登録しておくと今後便利になりそうだから、まずアクセルのギルド前を登録した。

あとはそうだな、昨日手に入れたベルディアの力がどれくらいのものか試してみたいな。

アクセルの討伐対象の中に、グリフォンとマンティコアがいる。

この2体は非常に強力なため、むやみに請けさせないよう報酬が低く設定されている。

この際報酬はどうでもいい。新しい力を試すのにちょうど良ければ何でもいいや。

その時、受付のお姉さんに呼び出された。

 

「ではカービィさん、まずはこちらからどうぞ」

「こちらから?」

「はい、まずは今回のベルディア討伐におきまして、通常の報酬に特別報酬3億エリスを加えた計5億エリスが贈呈されます!」

「「「「「5億ぅ!?」」」」」

 

とんでもない額だってことは誰にでも分かるね。5億だもん。

ギルドの皆が口々に奢ってくれとか宴会だとか叫んでる。

まぁ、これだけあるんだから少しくらいいいよね。

 

「そうだね。そうしよう!ボクも久しぶりに溺れるまで食べたいし…あ、ボクはアクアより酒癖悪いからジュースで乾杯ね」

『伝説の戦士カービィさん、バンザ~~~イ!!』

 

ベルディアの言葉があっという間に広がっちゃったらしい。

既にボクはこの街じゃ「伝説の戦士」で通っちゃってる有様だよ。

何でこんなに広がるのが早いわけ?

噂を広めるプロでもいるの?

 

「それともう一つ!」

 

割り込む形でお姉さんが続きを述べる。

 

「え~、実は今回活躍したカービィさんの腕を見込んで、カービィさんへ直々の依頼が届いてまして…」

「え?ボクに直接依頼が?」

「はい、この紙にも書いてありますが、実はこの街には幽霊屋敷と化している館がありまして、幽霊退治をしてほしいそうです。依頼達成の暁には報酬に加えてその館を無料で提供するそうです」

 

なるほど、また「エンジェル」の出番か。それに屋敷が無料で手に入るなら宿代もいらなくなるぞ!

…っとそれもいいけど、ボクはお姉さんに言いたいことがある。

 

「それはそうと、後でこの依頼も請けたいんだけど」

「これって…マンティコアですか!?」

「そ、アレを試すのにちょうど良いかと思って」

「アレって…?」

「これのことさ『フォーメーション・ベルディア』!」

「え、そ、その漆黒の鎧は…ベルディアの!?」

「うん、せっかくベルディアの力が手に入ったからどの程度のものか試したいんだ。特にアレ…『死の宣告』とかいうのを」

「な、なるほど…」

 

そんなわけで、まずは腹ごしらえだ!

普段のボクの食べっぷりから多めに用意してくれてたんだろうけど、それでもボクのおなかは満たされなかった。

で、結局他の飲食店をはしごすことに。

他の冒険者への奢り込みとはいえ、1食で1億エリス近く必要になるなんてね…。

朝から食い倒れたのもそこそこに、ボクは酔いつぶれたアクアを置いて、お姉さんから渡された地図を頼りに幽霊屋敷に向かった。

 

「『エンジェルカービィ』!」

 

館は思った以上に大きい。デデデ城に次いで大きいな。

同時に大量の悪霊の気配を感じる。

でも、問題にはならなかった。

 

「『セイクリッド・ハイネス・ターンアンデッド』!!」

 

この一発で解決だ。一瞬にして悪霊の気配は完全に消えた。

ボクは意気揚々とギルドに戻ってきた。

ダクネスが報酬は銀行に預けた方が良いと進言してきたので、とりあえずそうすることに。

プププランドにも銀行はあったけど、あっちじゃ利用する機会なかったからな…。

ボクの名前で利用登録を済ませて報酬を一旦全額預けた。

 

「さてと、それじゃぼちぼちマンティコア討伐に出掛けるか」

「出掛けるかってカービィ、マンティコアがいるのは西の山の向こうにある岩山だ。徒歩で数日かかる距離だぞ?」

「あ、そうだった…」

 

そうだよ。マンティコアの住処はかなり遠いんだった。

あ~あ、こんな時に使えればなぁ…。

ボクは思わずギルドを飛び出して叫んだ。

 

「『ワープスター』!!!」

 

……な~んて来るわけないよね。

ここは異世界なんだから。

 

「あ、あの~カービィさん、今のは…?」

「あぁ、気にしないで…ついクセで」

 

ここまで言って再度空を見上げてみたら…

 

「え?」

 

空に一瞬光が見えた。

そう思ったら…

 

「…来ちゃったよ!」

 

空の彼方からやって来たのは、間違いなくワープスター。

一体どうやってこの異世界まで飛んで来たんだろう。

あ、もしかしてウィズの店でスターロッドに願ったのが原因?

 

「何ですか何ですか!この如何にも星という感じの形をした物体は!?」

「ワープスター、ボクが故郷で長距離移動に使ってた乗り物さ」

「こんな便利な乗り物を持ってるなんて…カービィ、本当にお前は何者なんだ?」

「ボクは自分が何者かなんて考えたことないよ」

「格好よく聞こえるのが腹立ちますね。そして胸キュンしてる自分も腹立たしい!」

 

ボクの発言がめぐみんの何かに触れたらしい。

でも今はそんなことどうでもいい。

 

「それじゃ、ボクはマンティコア討伐に行ってくるから、ゆんゆんはその間に宿のチェックアウトお願いね」

「は、はい!」

「ダクネスとめぐみんは皆の日用品アクアその他を館に運び込んどいて。どの部屋を誰のにするかは後で決めるからとりあえず全部リビングに。ダクネスはそれが済んだら食費稼ぎのモンスター討伐してていいよ。但し、修業を兼ねた薪割りはサボっちゃだめだからね!」

「…承知した!」

「あの~カービィさん。質問が3つあります。1つダクネスはまだ仮採用なんですか?2つアクアの支援とか回復はどうするんですか?3つ荷物運びが済んだら爆裂散歩していいですか?」

「仮採用だよ。支援と回復はボクも習得してるから大丈夫。爆裂散歩は例の建物だけにしてね!」

 

そう言ってボクは、ワープスターを駆って西の山まで一飛びだ。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

徒歩で数日かかるはずのマンティコアの住処まで、多分1時間くらいしか経ってないな。

山々を見たくて結構ゆっくり飛んでたから、急げばもっと早いだろうな。

 

「『フォーメーション・ベルディア』!」

 

ボクはワープスターの下を注意深く見渡す。

すると、左下に黒い点が見えたと思ったと同時に咆哮が響いた。

 

「グガアアァァァァァ!!」

 

ライオンの様な咆哮の主は、勿論マンティコア。

見た目は背中に翼を生やした黒いライオンといった感じ。

グリフォンは知能が高いらしいけど、コイツはそうじゃないな。

なら当てやすいはずっと。

 

「キミは…3秒後に死ぬ!」

 

ボクはマンティコアに指さして「死の宣告」を放った。

呪いはマンティコアの顔面に見事命中。

そして…ちょうど3秒後に突然マンティコアの羽ばたきが止まる。

地上目掛けて真っ逆さまに落ちていくマンティコアを尻目に、ボクは冒険者カードを見た。

マンティコアを倒し、レベルは4になっている。

この「死の宣告」ってやつ、魔王軍幹部は別としても上級モンスターにとっては反則級だろうな。

相当腕の高いアークプリーストじゃないと解除できないらしいし。

反則以前に凶悪すぎるな…なるべく使うのは控えようっと。

帰りはまぁ、記念にマンティコアを運んだとはいえ、全速力で飛ばしたから昼前にギルドに戻ってこれた。

マンティコアを運んできたボクを見て、ギルドにいた全員がビックリ!

 

「伝説の戦士のお帰りだぞ~!」

「スッゲェ!もうマンティコア倒してきたのか!?」

「しかもここまで運んでくるなんて…!」

「ねえお姉さん、これって食材とかにはならないの?」

「残念ですがそれは…」

「じゃあさ、どっかでこれ剥製にできないかな?せっかく館が手に入ったし、どっかに飾っとこうと思って…」

 

受付のお姉さんはすぐにそれが可能な剥製士を探してくれた。

王都とかいう街在住のその剥製士はマンティコアを見るなり歓喜の声をあげ、快く制作を承諾してくれた。

昼ご飯を食べ終わって間もなく剥製が完成し、代金40万エリスは報酬からそのまま支払ってテレポートで館に運んだ。

館は屋根裏部屋も含めて地上4階地下1階。しかも屋上バルコニーと天文台付きだ。

中庭もあり、左側には墓地があった。多分悪霊達はここから出たんだろうと思い、とりあえず手を合わせて冥福を祈ることに。「エンジェル」になる必要はなかったと思うけど雰囲気って大事だよね。

大きな館だけあって扉も大きかったから簡単に運び込める。とはいえ、ガラスケースに入ってるから慎重に。

中にいた皆は驚愕、特にこれから外に出ようとしていたダクネスは腰を抜かした。

 

「うわあああ!か、カービィ!?ったく、脅かすんじゃない!腰が抜けたじゃないか!!」

「一瞬マンティコアが腹いせに攻めてきたのかと思いましたよ!!」

「てゆーか何なのよ、そのガラスケースに入ったマンティコアは!?」

「これ?せっかく倒したからと思って剥製にしてもらったんだ♪」

「倒しただけでは飽き足らず…お前は本当に私達の予想の斜め上をいく行動に出るな」

「でさ~、どっかに飾りたいんだけど、展示スペース的なのってある?」

「すみません。荷物運びの後はしばらくリビングで談話してたので見てません…」

「チェッしょうがない。自分で探すか」

 

探す前に「クリーン」でパッパと清掃を済ませる。

2階中央部は館のデザイン上、窓がないので日に当たらないだろうと思ってまずはそこへ向かう。

するとたまたま、美術品を飾るためなのか壁の一部が凹んでいたので、そこに置くことに。

奥行きはピッタリで長さには余裕がある。ちょっとした絵画1枚位なら追加で飾れるだろう。

1階でリビングとして4人が使ってた部屋だけど、話し合いの結果、応接間として利用することになった。

リビングについては、2階にダイニングキッチンとつながった大部屋があったのでそこに決定。

部屋割りだけど、とりあえず1階はアクアとダクネス、2階はめぐみん、そして3階はボクとゆんゆんが利用することに決まった。部屋は有り余ってるから、その多くが物置になりそう…。

因みに3階には大きな浴室もある。各階トイレ完備なのはうれしい。

家具その他は応接間以外不足気味だった。

自分の部屋の家具とダイニングキッチン用品くらいはボクの中のもので済ませられる。

応接間にあったボクの荷物も自室に運び終えてリビングに戻ってくると、皆そのことを話し合っていた。

 

「なあカービィ、部屋が決まったのは良いが今のままだと殺風景だ。家具とか色々用意したいと思う。お前はどうするんだ?」

「どうするもこうするも、ボクはもう一通り済ませてあるよ」

「「「「ええ!?」」」」

「あ、そういえば貴方、おなかの中に歯ブラシとか色々溜め込んでるんだったわね?」

「うん、それとダイニング用のテーブルとイス、キッチン用品もちょうど良いのがあったから配置したよ」

「カービィのおなかにはそんなにも!?」

「一体どうなってるというんだ、お前のおなかの中は!?」

「ボクも知らないよ。確かめてみる?ア~ン」

「結構だ!ハッ…まさかとは思うがカービィ、私が正式に要らない子になったら食料にするつもりか!?」

「そんなわけないって。キミが食べ物に見える幻覚でも見ない限り大丈夫だよ」

「マズいです!カービィを空腹にさせるのは非常に危険です!」

「そ、そうね!私達の身の安全のためにも借金とかは厳禁ね!カービィの胃袋で一生を終えるのだけは御免被るわ!!」

「それよりダクネス、薪割りはどうしたの?」

「…ああ、そうだった!これから行こうとしてたんだ!マンティコアのせいですっかり忘れていた!」

「それと食費稼ぎもね…」

 

ボクが呆れ気味にそういうと、ゆんゆんがボクに耳打ちしてきた。

 

「カービィさん、食費稼ぎなんですけど…そろそろ私達も同行しませんか?ほら、ダクネスさん手持ちが少なくなってるせいでやつれ気味ですし、少しぐらい手を貸しても…」

「……しょうがないなぁ」

 

そんなわけで、ボク達はダクネスのレベル上げのために初心者殺しを討伐することに。

あくまで弱らせるだけだ。

まずは戦闘経験を積ませるためにもゆんゆんに弱らせる役をさせた。

リザードマンとの戦いが実を結んだのか、結構間合いの取り方が上手い。

そしてうまい具合に隙を作って「ライト・オブ・セイバー」で動けなくする。

で、トドメをダクネスにやらせたわけだけど、薪の時と大差ない。

結局トドメを刺せるまで結構な時間を要した。

いや、薪割りの時を考えたら割と短時間か…。

一応レベルは上がったようだけど、スキルポイントは攻撃が当てやすくなるものに回すよう釘を刺した。

これ以上防御を上げたって何の意味もないからね。

そんなことしたら即刻クビさ!

そんなことが続き、最低限の家具等が揃って数日後のある朝ボクはこう言った。

 

「ホントにボクに合う剣ってないのかな…」

「いきなり何ですか?」

「だってボク、素の状態の武器って背中に背負ってるコレだけだし…」

「確かに…ナイフとしては長い方だが、流石に剣として扱うには短いな」

「でしょ?それにこういった武器がボクの能力に何か良い影響与えてくれないかも気になるし」

「言われてみればそうね。能力使ってる時って背中のナイフが消えてましたし…何らかの影響が出てもおかしくないかも」

「フム…おっそういえば…」

「どうしたのダクネス?」

「実はな、私の友達でクリスっていう盗賊の子がいるんだが、彼女が腰に差してるナイフはカービィが剣として使うのにちょうど良さそうな長さだったんだ。名前は確か…『マジックダガー』といったかな…」

「ふ~ん。てかダクネス、キミは聖騎士なんでしょ?盗賊なんかと仲良くして大丈夫なの?」

「まぁ心配はいらないだろう。エリス様のおかげなんだから」

「エリス様の?」

「あぁ。というのもな、私は今までまともに友達付き合いする機会がなくてな、それで友達が欲しくて毎日エリス様に祈りを捧げていたんだ。そしたらある時、そのクリスって子と友達になれたってわけだ」

 

エリス様…願いを叶える相手を完全に間違えてるよ。叶え方もそうだけど。

聖騎士って言うくらいだから、どう考えてもこれが公になったらマイナスイメージじゃないか。

しかもダクネスはマゾなんだからさ、もし相手方がこのこと知ってるとしたら…不憫すぎるよ。

ボクだったら何が悲しくてこんなのと友達に…ってなるよ絶対!

……これ以上ブルーになっててもしょうがない。とりあえず話を戻さなきゃ。

 

「で、その『マジックダガー』ってのはどこで売ってるの?」

「あ~すまない。どこで手に入れたかまでは知らないんだ」

「な~んだ…」

「だが望みがないわけじゃないぞ。王都に行ってみればあるかもしれない」

「王都?」

「そうだ。この国の首都だからな。武器とかだって豊富に取り扱ってるはずだ」

 

首都か…そういえば、あの剥製士も王都に住んでるとか言ってたな。

 

「それで、王都にはどうやって行けばいいの?」

「王都はここからだと遠いからな、転送屋を利用することに」

「いやいや、方角さえ分かれば飛んでいけるよ」

「おいおい、ベルディアの報酬もあるんだからケチることないだろう…」

「何言ってんのさ、キミ達にとっては千載一遇のチャンスでしょ?キミ達は知りたくないの?鳥やドラゴン、グリフォンにマンティコアが、普段どんな感じで街や大地を見ているのか」

「…確かに、それはちょっと気になりますね」

「ちょっと待ちなさいよ!貴方はそれでいいかもしれないけど、私達は飛べないんだからね!?」

「そうですよ!あのワープスターじゃ乗り切れませんし…」

「なら全員乗れるのを呼ぶから良いでしょ?」

「何?他にもあの手の乗り物を持ってるのか!?」

「うん」

 

ボクは館の外に出て叫んだ。

 

「『ドラグ~ン』!!」

 

少し経つと、風切音とともに虹色の翼を輝かせた「ドラグーン」がやって来た。

これなら皆で飛べそうだぞ。

 

「おお、こりゃデカいな。力も強そうだ!」

「ドラゴンみたいな見た目を想像してたんですが、どちらかというと鳥に近いですね」

「さ、早速行こうよ!」

「待て待てカービィ、お前は少しせっかち過ぎる」

「へ?どういうこと?」

「王都は広いんだ。武器屋を回るためにも宿をとっといた方が良い」

「その場で泊まるんじゃダメなの?」

「それは無理だ。王都の宿はな、基本的に予約なしの宿泊ができないんだ。私に任せてくれ」

 

といわけで、ダクネスが宿を予約し、明日出発することに。

聞くところでは、王都には定期的に魔王軍が襲撃してくるんだとか。

もしそうならレベルアップの機会に恵まれるってわけだ。

何となくダクネスの薪割りがいつもより気合入ってるように見えた。

いつものごとく外しまくりだったけど…。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

そして翌朝、ボクはドラグーンの準備を早々と済ませて他の皆を待っていた。

 

「カービィさん、お待たせしました!」

「忘れ物はない?」

「はい!」

「よ~し、ゆんゆんとアクアはボクの後ろに、ダクネスとめぐみんは翼につかまっといて」

「ダニィ!?」

「何故私達だけ!?」

「後ろのスペースが足りないんだもん。それに2人は腕力あるんだし、つかまってるくらい余裕でしょ?」

「それならカービィさんが翼につかまればいいでしょう!」

「何言ってるのめぐみん、そんなことしたら誰がこれを操縦するのよ!」

「あ…」

 

てなことがあって、めぐみんはしぶしぶ翼につかまった。

 

「ダクネス、王都はどっちの方向にあるの?」

「確かあっちの方だ」

「それじゃ早速、しゅっぱ~つ!!」

 

ボクはドラグーンをダクネスが指さした方向に転回させて、大空へ飛び出した。

 

「「「「うわああああぁぁぁぁ!!!!」」」」

 

やっぱりドラグーンは上昇力が段違いだね。

あっという間にアクセルの街が小さくなっちゃった。

雲に大分近づいたところで水平飛行に移る。

 

「すっご~い!飛んでます!ホントに飛んでますよ私達!!」

「どう?空中移動も悪くないでしょ?」

「ええ、でも…やっぱりこれだけ高いとちょっとコワ~イ!」

「大丈夫だよ。無茶はしないからちゃんとつかまっとけば問題ないって!」

「ちょっと~!私ちょっと危なくない~!?」

 

胴体部の一番後ろに座っていたアクアが文句を言う。

めぐみんの杖と帽子を背中に括り付けた状態で重いのかな?

 

「しっかりつかまれば落ちることはないってば!」

「もし落ちたらどうするのよ~!?」

「ロープ持ってきてるから『バインド』で落ちないようにしとく~?」

「いいわよ!それなら自分でつかまってた方がマシ!」

「そう?ダクネス、めぐみん、そっちはどう?」

「あぁ、景色を上から見下ろすってのも、悪くないな!」

「どうもこうも、言ったところで状況は変わらないんでしょう?こうなったら死に物狂いでしがみ付いてやりますよ!!」

「よっし!それじゃあ加速するよ~!」

 

やっぱり風を切るって気持ちいいな!

たまたま同じ方向に飛んでいた渡り鳥の群れを悠々と追い越して、迷いなく一直線に飛んでいく。

その光景を楽しんでいるのは、ボクの他にはゆんゆんとダクネスだけ。

アクアは何時落ちるのかと気が気じゃないみたいだし、めぐみんはしがみ付くのに必死で景色を見る余裕はないみたいだ。

そのうちに少しずつ雲が濃くなってきた。

 

「カービィ、このままだと王都を通り越す可能性がある!すまないが雲から出てくれ!!」

「オッケー」

 

ボクはドラグーンの機首を下げて雲から出た。

すると、遠方にもかかわらず目立つ、高い塔が見える。

アレってお城かな?

そしてその下には大きな街が広がっている。

 

「ねえダクネス、あれが王都?」

「間違いない、王都だ!」

「なんか着いてみたらあっという間でしたね!」

「さあ、一気に行くよ!」

「ちょ、ちょっと待」

 

ボクはそのまま一直線に王都の正門まで突っ切った。

で、正門前に着陸すると、門番と思われる兵士の人が随分驚いた様子だった。

ボクは気にしたら負けだと思ってそのまま行こうとしたけど、ダクネスが文句を言ってきた。

 

「まったく…いいかカービィ、お前がどんな生き方をしてきたかは知らないが、むやみに空を飛んだりするのは控えとけ!」

「何で?」

「ここらじゃなぁ、空を飛べるのはドラゴンなど一部のモンスターだけだ!つまり我々はイレギュラーなんだぞ!」

「何なのその凄まじい今更感…ボクに言わせればダクネスの変態ぶりだの、アクアのバカさ加減だの、めぐみんの爆裂魔法への異常すぎる固執だの、そっちの方がよっぽどイレギュラーだよ!あ、あとダクネスに関しては攻撃の清々しい外しっぷりも。今みたいなセリフ言いたいならさ、まず自分のイレギュラーさ加減を直してからにしないと説得力無いよ?冗談抜きで」

 

そうさ。ボクのイレギュラーはダクネスのと違って人に迷惑をかけるものじゃない。

こういうイレギュラーなら別に誇示したって何の問題もないじゃないか。

人の振り見て我が振り直せ、岡目八目ってホントだな。

特にダクネスのソレの影響は深刻だ。

特にゆんゆんはボクと同じく、ダクネスの外しっぷりを飽きるほど見ているから激しく同感している。

モンスター討伐しようものなら、惜しげなく変態誇示して守りにまわろうとするし、それによる周りのモチベーションの低下の方をダクネスには是非とも認識してほしい。

何か言い返したそうに唸るダクネスを無視してテレポート先の登録を終えると、ボク達は王都に入った。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

やっぱり首都だけあってアクセルの何倍も大きい街だ。

しかも出店がいくつも並んでいる。ダクネス曰く、王都はいつもこんな感じらしい。

どうしてダクネスはこんなに詳しいんだろう。

宿の件もそうだけど、ダクネスだけが周りを見ようとしない。

まるで手に取るように知っているかのように宿までの道案内をする…。

ダクネスってもしかして、王族とか貴族と関係があるのかな?

いやいや、だとしたらクルセイダーとして冒険するはずがない。

あ、待った。ひょっとしてこういうことかな。

ダクネスは高貴な生まれだったけど、勘当されて今の生活をしている。

うん、この線が現時点では一番濃いな。

あの変態ぶりが知れたら家の恥になることは間違いない。

勘当する理由としては十分だと思う。

宿はかなり大きなもので、ホテル並みの豪華なものだった。

ダクネスはホテルの従業員らしき人と話をしてるけど…。

何だろう、あの人妙にダクネスの顔色を窺っている。

まさかとは思うけど…勘当されてない?

あ、そうか。思えばダクネス、初めて会った時も変態さ加減は見せていなかったな。

要するに「猫かぶり」が上手いわけだ。

となると、ダクネスは親にも変態ぶりを隠してる可能性が高い。

もし会う機会があったら化けの皮剥がしてあげた方が良いかな…。

あの変態さ加減は流石に目を背けていいレベルの話じゃないし。

話が終わり、従業員はボク達を部屋に案内した。スイートルームっていうらしい。

部屋が広いのは言うまでもないけど、何よりベッドが大きくて物凄く柔らかい。

思わず飛び跳ねちゃった。

デデデ大王のベッドとどっちが柔らかいかな?

帰ったら確かめてみようっと。

お昼になったので、ボク達は宿付属の小さなレストランで食事しながら今後について話し合う。

 

「カービィ、この後どうするつもりだ?」

「どうするもこうするも、武器屋で武器探し以外考えてないけど…ダクネス、何かおすすめとかないの?」

「ん?どうしてだ?」

「だって、この街のこと知りつくしてる感じだったからさ。じゃなかったら街の様子に目もくれずに案内なんてできないでしょ?」

「…お前、意外と目端が利くんだな。確かに王都には何度か足を運んだことがある。だが、そこまで詳しいわけじゃない。さっきだってお前に合う剣を取り扱ってる店を聞いてたんだ」

「あぁ、それで長話してたのか~」

「それで、何かわかりましたか?」

「目星は付いたが…確実にあるとは言えないな。まぁそれでも、覘くだけ覘いてみよう。ひょっとしたらあるかもしれない」

「そう…」

 

ここでも望み薄か…。

まぁいいや。しばらくは現状維持ってことで…。

 

「カービィさん、そんなに落ち込まないでくださいよ!今のままだって十分強いじゃないですか!みんな、カービィさんを頼りにしてますよ!」

「心配してくれてありがとう。勿論そのことも考えてるさ。まだまだ使ってない能力はあるからさ。必要ならそっちを多用するまで!」

「これ以上何が出るんだか…」

「アクア、考えるだけ無駄だと思いますよ?カービィさんの力は我ら紅魔族の頭脳をもってしても解析不能なことは目に見えてます」

 

わけのわからない会話を展開するアクアとめぐみんはほっといて、ボク達は宿の外に出た。

すると、けたたましいサイレンと同時に大音量の放送が。

 

『緊急事態発生!緊急事態発生!魔王軍接近!魔王軍接近!全王都騎士団、出撃せよ!全王都騎士団、出撃せよ!王都にいる冒険者の皆様、街の治安維持のため、モンスターの侵入に十分警戒して下さい!高レベル冒険者の方は、魔王軍撃退にご協力お願いします!』

 

魔王軍が来たの!?

ボクが宿の上まで登って「千里眼」を使ってみると…。

いた。黒い絨毯みたいに、大量のモンスターが王都になだれ込もうとしてる。

後ろの方には、指揮官らしき連中の姿もある。

 

「あ、いたいた!あんなところに!」

「おいカービィ、今の聞いたか?」

「聞いたよ!だからこうして位置確認してるの!」

「どうやらカービィさんの見ている方にいるようですね」

「それじゃあ先に行ってるね!『エスパーカービィ』!」

「ちょっ」

「『テレポート』!」

 

ボクは指揮官達の真上に移動し、落下する間に準備を整えた。

 

「『クラッシュカービィ』!」

 

これだけ離れてるんだ。手加減の必要はない。

ボクは力を溜め、指揮官達の中に降り立った。

 

「な、なんだおま」

「『ブラスト・バースト・エクスプロージョン』!!」

『チュバアアアアアドドドドドオオオオォォォォォォ……』

 

爆発系の全魔法を加えた全力の大爆発。

しばらくは濃い煙で何も見えなかったけど、ボクはいつも通り元の姿に戻ってて、穴ぼこの大きさは…計り知れないねこれは。

見た感じ、魔王軍は半分近くやっちゃったみたいだし…。

結構な魔力を消費しちゃったけど、ボクは気を緩めるつもりはない。

 

「『レーザーカービィ』!」

 

ボクはレーザーで周りのザコ敵の掃討にかかる。

そのうちに、見上げるほど大きなゴーレムがボクの目の前に来ていた。

ゴーレムはボクを叩き潰そうとしたみたいだけど、動きが遅いし単調だったから余裕でかわせる。

ボクはゴーレムが振り下ろした腕を伝ってゴーレムの頭に接近する。

ゴーレムはボクを振り払おうと反対の手で叩こうとした。

ボクはその直前に高くジャンプして、レーザーを最大出力にした。

 

「発射!!」

 

いつもの連続照射型じゃない、単発発射型のレーザーを受けたゴーレムの頭は大爆発し、体は大きな音を立てて崩れ落ちる。

見れば、奥に同じゴーレムが2体見える。

 

「よ~し、ここはミックスコピーの出番だ!『ストーン・ストーン』!」

 

普通の「ストーン」だと動けないけど、これは別さ!

頭の分、向こうが高いけど大した差じゃない。

ボクは周りのザコを蹴散らすと、ゴーレムに殴り掛かった。

ゴーレムの腕はボクのパンチ一発で砕け散る。

しかも向こうは完全にパワー負けしてる。

ボクは相手してた方をもう一方のとこまで引きずっていき、互いの頭をゴッツンコさせて砕いた。

もうゴーレムは残ってない。

ていうかさっきの爆発のせいなのか、魔王軍のモンスター達は王都の方に向かってない。

それどころか、逃げようとしてる奴もいる。

 

「逃がさないぞ!『トルネードカービィ』!」

 

ボクは「トルネード」を加えた巨大な竜巻を10個くらい作ってバリケード代わりにした。

指揮官が全滅した魔王軍は途端に混乱状態に陥る。

 

「『エスパーカービィ』!」

 

そんな連中を、ボクは念力で王都側に押し出していく。

魔法を加えたせいなのか、能力を変更しても竜巻は消えない。

これは良いことだ。

今度はスーパーコピーを試そう!

 

「『ギガトンハンマー』!」

 

巨大なハンマーを何度も振り下ろし、敵をまとめてペチャンコに。

基本的に「ハンマー」って隙ができやすいけど、これだけ多ければまず当たらない事はない。

まさかとは思うけど、ダクネスだったらこの状況で外すってことは…ないと思いたい。

おっと、そろそろ竜巻が消えそうだ。

モンスターたちの戦意をもう少し削がないと。

となれば…「アレ」しかないよね!

 

「『マイクカービィ』!」

 

ボクは熱唱した。何を歌ったかは覚えてない。

兎に角その場で思いついたのを熱唱したんだ。

ボクの歌を聞けば誰でもボクにひれ伏すんだ…何故か知らないけど。

現に魔王軍だって、ボクが歌い終わると、その多くがひれ伏し戦意喪失してる。

自分の歌をこんなことに使うのは良い気しないけど、今は緊急事態だから仕方ない!

 

「『スパーク・カッター』!」

 

電気の刃に「カースド・ライトニング」纏わせ、斬撃飛ばしを常時発動状態で振り回して敵を倒してた時、ようやく他の人達の声が聞こえた。

 

「おい何なんだ、あのピンク色の奴は!」

「見たこともない武器で戦ってるぞ!それも1人でだ!」

「まさか、さっきの大爆発も奴が起こしたのか!?」

「いやそれより、俺達何時までもこんなとこにいていいのか?」

「そうですよみなさん、このままでは手柄を独り占めされてしまいます!」

 

最後にめぐみんの声が聞こえた。

ボクは何故か嬉しくなって声を張り上げた。

 

「めぐみ~ん!遅すぎだよ~!!そろそろバトンタッチしてよ~!!ボクも疲れたからさ~!!」

「とてもそうは見えませんよ~!!」

 

今度はゆんゆんだ。

そんなやり取りとめぐみんの爆裂魔法でやる気が起きたのか、それまで棒立ちだった騎士や冒険者達が一斉に突撃を開始した。

ボクは最後くらい皆に合わせようと思い、「ソード」で締めくくった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

結果的に魔王軍はほぼ壊滅。

一部に運よく逃げ延びた奴はいたみたいだけど、魔王軍全体からすれば微々たるものだ。

そしてボクのレベルはこの戦いで一気に8となった。

敵を逃がさないようにしたのが功を奏したんだ絶対!

久しぶりの快挙らしくて、参加した冒険者全員がお城へ向かう道中で称賛を受けたけど、ボク達が先頭にまわされてる。

まぁ、戦うことも先頭に立つことも慣れてるから別にいいんだけどさ。

 

「みんなどうしたのさ。いつもなら一目散に駆けつけるとこじゃないか!」

「悪いな。こういった高レベル冒険者が多くいる街だと低レベルの者達はなかなか参加が許可されなくてな…」

「なるほど、それで足止めされちゃったわけね」

 

上手く濁したつもりなんだろうけど、ボクはもう分かってるからね。

キミが貴族階級を悪用して先頭に立とうとした変態だってことはバレてるんだよ。

すると、白いスーツを着た女の人がダクネスに近付いてきた。

誰だろう?

 

「ダスティネス卿、無理を言われた時は不安だったが、無事で何よりだ」

「余計な心配をさせて申し訳ない。だが、彼の実力が本物だと分かっただろう?」

「ええ、あの大爆発にはアイリス様は勿論、私も腰を抜かしそうになったが…確認だがカービィ殿、あれは貴方が?」

「うん、そうだよ。てかダクネス、キミやっぱし貴族だったんだ」

「あぁ…隠しててすまなかったが、何処で私が貴族だと知ったんだ?」

「王都に来てからずっと疑ってたよ。街を一切見ずに案内に徹してるあたりからね。で、ホテルの従業員がやけに下手に出てたのも気にはなってた」

「ほほう、実に素晴らしい洞察力をお持ちですな。あれだけいた魔王軍を一方的に蹂躙したその実力もさることながら、頭脳もまた優秀のようで!」

「ところでキミは誰なの?急に出てきたけど」

「おっと、これは失礼。私の名はクレア。騎士として、王女アイリス様の護衛をしております」

「ふ~ん、だからダクネスと対等に話してたわけか」

「おいカービィ、もう少し言葉遣いを」

「何さ言葉遣いって!クレアが言うならまだしも、ダクネスが言えるタチじゃないじゃないか!」

「ふむ、流石に肝が据わってますな。ダスティネス卿が貴族と知ってなお態度を一切変えぬとは…」

「クレアもクレアで何言ってるの!?当然のことじゃないか!冒険者やってる以上、出身地や家柄なんて関係ないよ!関係あるのは実力の有無だけさ!」

 

ボクの一言にクレアは一瞬驚いた様子だったけど、顎を撫でて一言。

 

「…確かに、言われてみればその通りですな」

 

この後クレアは今回の戦いに参加した冒険者全員を激励し…え~、まとめると報酬は十分にあげる的なことを言ってた。

そんな中、お姫様と思しき服装の女の子がボクの目にとまった。

あれがクレアの言ってた王女アイリスかな?

明日お城で宴が行われることを聞き、ボクが胸を膨らませていると

 

「カービィ殿並びにその配下の者達は残ってもらいたい。アイリス殿があなた方の話を聞きたいそうですから、今日は城にお泊まり下さい。皆様の荷物はこちらでお運びします」

 

と言ってクレアがボク達を呼び止めた。

デデデ城より大きくて立派なお城。当然だけど中も豪華絢爛だった。

応接間らしき大きな部屋に通されると、そこには見るからに高価そうな壺やら絵やらが飾られている。

中央には大きなテーブルをはさんで2つの長いソファーがあり、ドアから離れた方のソファーの真ん中に例のお姫様と思しき服装の女の子が座ってる。

やっぱりあの子がアイリス王女か。

ボクはアイリスの正反対の位置に陣取った。

ボクの近くから順に右側はダクネスとアクア、左側はゆんゆんとめぐみんが座ってる。

 

「皆さん初めまして、私がベルゼルグ王国の第一王女アイリスです」

 

王族だけあってお辞儀もきれいだな。

 

「ボク、カービィ。よろしくね!ところでアイリス、話を聞きたいってことだけど、何を聞きたいの?」

「こらカービィ!こういう場ではもっと敬意をもってだな…」

「私は構いませんよ。自然体で話をして下さる方が嬉しいですし」

「ボクとしてもそっちの方が良いよ。堅苦しいのは性に合わないし」

「えっと、まずはそうですね…カービィさんの特別な力についてお聞きしたいのですが」

「あぁ、コピー能力のこと?そうだな、簡単に言えば『吸い込んだ敵や物の能力を吸収する』能力なんだよ。まぁこっちに来てからはどういうわけか、魔力を消費して好みの能力を自由に発動できるようになってたんだけどね」

 

するとここで、ゆんゆんが割り込んできた。

 

「そうそうカービィさん、私も確認したいことが!」

「何?ゆんゆん」

「カービィさんが起こしたあの最初の大爆発。あれ、本気でやりましたか?」

「うん、あれは全力だよ。あれだけ離れてたら加減する必要はないと思ったから。あ、ついでに言うと炸裂魔法・爆発魔法・爆裂魔法をいっぺんに使って威力アップさせたよ」

「そ…それは本当なのですか?爆裂魔法は非常に大量の魔力が必要になるというのに…!」

「その点がボクにとっても不安要素だったんだけど、割とどうにかなったし。指揮官達が固まってるところが分かってそこにテレポートできたのが大きかったね」

「あれ指揮官を狙った攻撃だったの!?」

「うん、メインはね」

「端から見たらとてもそうは思えないぞあれは。その攻撃で魔王軍はほぼ半滅だったんだからな」

「そこからも一方的でしたよね。3体いたゴーレムも1体は光線で頭を粉砕し、残りはゴーレムに変身して粉砕し、逃げようとした奴らは竜巻のバリケードで退路を断たれ、何か不思議な力で後退させられ…」

「念力だよめぐみん!ほら、手を触れずに物を動かす超能力の!」

「そう、その念力で無理矢理退路から引き離され、巨大なハンマーで潰され、本人より遥かに長い武器で薙ぎ払われ…あれでよく疲れたとか言いましたね!結局ほとんどあなたが倒しちゃったじゃないですか」

「そうだね。あ、因みに石像に変身したアレは『ミックスコピー』っていう2つの能力をミックスして発動する能力でなれる『ストーン・ストーン』ってやつなんだ。長い武器のほうは『スパーク・カッター』。で、デカいハンマーは上位版の『スーパーコピー』で発動できる『ギガトンハンマー』だよ」

「聞けば聞くほど、どの能力も強力そうですね…。私達の味方であったことを心より感謝します…」

「確かに敵に回すと恐ろしいな…今からでも魔王を倒せるんじゃないか?おお、そういえばカービィのレベルはどうなっているんだ?」

「ん?レベル?あぁ、今回は沢山倒せた甲斐あって、4から8まで一気に上がったよ」

「「8!?」」

「まだそんなところなんですか?」

「そうだよ…ってアイリス信じてなさそうだな。ホントに8だよ!ホラ」

 

アイリスに冒険者カードを見せたら、言うまでもなく驚愕の表情だった。

何度もボクとカードを交互に見てくる。

 

「ほ、本当にレベルは8で…しかもこれほどまでに多くの魔法やスキルをお持ちとは…!」

「あぁ、魔法やスキルはほとんど初期ポイントで習得したから」

 

ボクがそういうとアイリスは更に驚いた。

 

「何でそんなに驚くの?素質がある人は初期ポイントが多くてレベルが上がりにくいものなんでしょ?」

「それは知ってますけど…よもやここまでとは…!それに今気付きましたけど、カービィさん、マンティコアを倒したのですか!?」

「何と、あのマンティコアを!?」

 

ボクのカードの討伐一覧を、クレアも凝視する。

ここでダクネスが何かを思い出したようだ。

 

「そうそう、言い忘れていたな。マンティコア討伐はベルディアに関係する『ある実験』も兼ねていたんだ。そうなんだろう、カービィ?」

「うん」

「実験って…一体何のです?」

「実はボク、ベルディアみたいな魔王軍幹部の能力もコピーできることが分かってさ、その力がどの程度のものなのか確かめたかったんだ。そのためにマンティコア討伐をやったわけ。こんな風にね『フォーメーション・ベルディア』!」

「おお…その漆黒の鎧はまさしくベルディアのもの…!」

「何だ、クレアも知ってたの?」

「勿論知ってますとも!魔王軍幹部の容姿ぐらい把握しています!」

「そう、で、『死の宣告』を試したの。マンティコアに向かって3秒後に死ぬって叫んだら、時計で測ったみたいに3秒後に死んじゃってさ、流石にアレは凶悪すぎて使うの控えることに決めたよ」

「いやそうじゃないと困る!あんなもの多用されたらこっちだってたまったもんじゃない!…あぁそれとな、カービィに言いたいことがもう1つある」

「何?」

「マンティコアを討伐したことは勿論評価されるだろうが、冒険者にとって一般的な称号は『ドラゴンスレイヤー』だ。即ち、ドラゴンを討伐すること」

「ふ~んそうなんだ。王都のギルドにはドラゴン討伐ってあるかな?」

「そういえば確か、エンシェントドラゴンの討伐依頼があったような…」

「それホントなの、クレア!?」

「ええ、ですが高レベルでないと断られるかも」

「それなら私が直々に推薦状を書きましょう!そうすれば請けられるはずです!」

「ありがとうアイリス…あ、そーそー、ボクもダクネスに聞きたいことがあるんだった」

「何だ?」

「ダクネスは貴族なんでしょ?何で冒険者なんかしてんのさ?ていうかダクネスって偽名なんでしょ?本名は?」

「ん…私の本名はダスティネス・フォード・ララティーナだ」

「そうなんです。ダスティネス家は王族の懐刀と言われるほどの貴族です」

「ふ~ん、で、冒険者してる理由は?」

「それは勿論、民をモンスターから守りたいと思ったからだ」

「え?そんな理由だったの?ボクはてっきり親に勘当されたのかと思ったよ」

「かっ!?」

「いやアイリス、そういう顔したくなる気持ちは分かるけどさ、ボクはダクネスと結構長く付き合ったからさ、知ったんだよ、ダクネスの正体…というか本性を。これを聞けばボクの今の発言が気持ちいいくらい納得いくと思うよ?聞きたい?」

 

言おうとしたけどダクネスに全力で阻止された。それも泣きながら。

泣くほど嫌なら早く治しなよ…。

 

「あ、そうだ!」

 

どうせだからこの城をもっとよく見てみたいと思い、飛んで窓から出ようとしたらダクネスに止められた。

 

「ちょっと待てカービィ、一体どこに行く気だ?」

「どこも何も、せっかくの機会だからこのお城をもっとよく見ようと思ってさ、いろんな角度から」

「おいやめろ!何を考えてるんだ!」

「何が?」

「何がじゃないだろう!お前がしようとしていることは立派な犯罪だぞ!」

「犯罪?お城を見ることのどこが犯罪なの?ダクネス、頭大丈夫?」

「お前の頭がどうかしてるんだ!お前がしようとしているのは城への不法侵入だ!逮捕されても文句は言えないぞ!」

「はあ!?何その理不尽なルールは!そりゃ城の中で暴れたとか、泥棒したとかいうならまだ分かるよ!でもボクがしたかったのはあくまで散歩だ!散歩しただけで逮捕って何さ!!どうしてそんな自分勝手が罷り通るわけ!?」

「…それほど城への侵入は重大なことなんだ。カービィ、お前だって子供じゃないんだからそれぐらい分かるだろう?」

「そっちがおかしいんだよ!ボクの故郷『プププランド』にも王様はいるよ。一時はボクが危険な存在となるって予言が下ったとかで意地悪されたこともある。けどね、こんな理不尽なルールを皆に強制するほど自分勝手な人じゃあなかったよ!!!」

 

ボクの発言に周りにいた全員が驚いてたけど、ボクに言わせればそれが当り前さ。

こんな理不尽な世界があったなんて…。意外とこの世界もろくでもないんだな!

するとアイリスが恐る恐る聞いてきた。

 

「カービィさんのところはどうなっていたのですか?その…法律とかに関しては」

「ホーリツ?ホーリツって何?あの理不尽なルールのこと?フン、そんなのがプププランドにあってたまるもんか!!」

 

みんな呆然としてたけど、そんな理不尽、プププランドじゃ絶対あり得ないしそんなことさせるつもりもないよ!

 

「……お前が特殊な地に住んでいたことは分かったが、他人の土地に無断で侵入するのは罪になるんだ。今後はそんなこと考えないでくれ」

「だから何でそんな自分勝手が罷り通るのか説明してよ!!そんなこともろくに聞かされずに『はいそうですか』なんていうバカがこの世の何処にいるってんだよ!!まさかボクがバカだと思ったんじゃないだろうね!?ええ、ダクネス!!!何とか言ったらどうなんだよ!!!」

「まあまあ落ち着いて!」

 

頭を抱えるダクネスに怒り心頭で迫るボクを、クレアはなだめながら引き離した。

そして顎を撫でながら一呼吸おいて喋り始めた。

 

「カービィ殿が言われることはごもっとも。話を聞く限り、彼の故郷は法関連が未熟な地…どころか、そもそも法律という言葉自体存在しない可能性すらある。となれば法律を自分勝手で理不尽なルールと称し、納得いかないのも無理はありません。まずは法律が何なのか、どういう理由で法律が存在しているのか、そこからまずお教えせねば…」

 

クレアはボクに、法律というものについて…なるべく分かりやすく説明してくれたんだろうけど…やっぱり難し過ぎるよ。

 

「説明は以上ですが…お分かりいただけましたか?」

「ったく…何が楽しくてそんな複雑怪奇なことするかな~…もっと簡単に言えばこういうことでしょ?法律って『自分達が弱いから日々の生活とかで守ってほしいルール』ってことなんでしょ?」

 

ボクの発言にクレアは困惑気味だったけど、アイリスがフォローする。

 

「ま、まぁそうですね。最初はそんな感じのとらえ方でも良いかと…」

 

せっかくアイリスがフォローしてくれたけど、ボクのイライラは募るばかりだ。

 

「あ~もう、何なんだよこの国は!おちおち散歩もできやしない!!もういいや!お腹空いたし、おいしいものでも食べて気晴らししよっと!!」

 

ボクがイライラを爆発させて部屋から出ようとすると、アイリスが呼び止めてきた。

 

「あ、待ってくださいカービィさん!」

「何!?アイリス…」

「その…イライラのお詫びと言っては何ですが…よろしければ私がオススメの飲食店に行かれてはどうでしょう?」

「オススメ?」

「はい、私、そこで働く方からカービィさんのことを聞いたんです」

「ボクのことを?」

 

まさか、メタナイトみたいに紛れ込んだ住人が他にもいるの!?

しかも飲食店で働いてるって…。

そこが載っている地図をボクに渡すと、アイリスは続けた。

 

「それと私…まだまだカービィさんと話したいこと沢山あるんです!ですから…またおいでになって頂けませんか?」

 

ボクはしばらく考え、ダクネスを睨んでこう言った。

 

「いいけど、その代わり堅物のダクネスは絶対近寄らせないでね!!」

 

その後は勿論、一目散に飲食店へ一直線さ!




次回予告
アイリスおすすめの飲食店にはアイツがいた!
しかもアイリスは更に大ごとを企んでいた様子!
そしてアクセルにはついにアレが迫ってくる!
次回「再会、戦い、レパートリー」
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