山羊と羊の輪舞   作:山羊厨

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第8話

 

魔導国首都エ・ランテル。

 

 

華やかな首都というより質実剛健といった風情の建物が立ち並ぶのは三国の境目の都市だからか。先日魔導王アインズ・ウール・ゴウンの治める地となった都市は、賑わっている。

 

帝国における魔導王の宣言を聞いて各国から冒険者が集まってきているのだ。冒険者が落とす金を目当てに商人が集まり、商人が持ち寄る品を求めて市民が集う。まさに活気付き始めた都市だ。

こうして賑わうまで紆余曲折あったが、内政における立役者はと聞かれれば彼だと関わった誰もが答えるだろう。

 

字も姓もなく、階級を表す称号名もない。

ある程度以上の地位にあって、ただ名があるだけというのは王国や帝国、法国でもありえないことだが、彼には名しか存在しないそうだ。本人が静かな笑みを浮かべて告げるのだから間違いない。

あえて付け加えるのであれば「階層守護者」という階級がつくそうだが、何処の階層かを知るものは魔導国中枢のみ。

 

魔導王の宣言を受けて、彼の両腕と言われる異形種の絶世美女「守護者統括」アルベドと「階層守護者」デミウルゴスの指揮のもと、ようやくこのエ・ランテルに従来の冒険者とは違う、未知を開拓する本来の意味での冒険者の育成を目的に学院が創られた。

カッツェ平原に向けて出島のように創られた学院は貴賤を問わず、個人の能力により合否が判断されるという。

そのテストとして初年度に百人ほどが採用されることとなったのだ。

 

魔導王の力、財力、智謀。

どれをとっても並び立つ者がないと言える王が直々に創る学院だ、期待しない者などいるはずもない。

苦々しい顔をしながらも王国出身の冒険者すら首都入りを果たし、アルベド・デミウルゴスの両名はそれすら読んでいたのか、宿が溢れて泊まれないといった苦情が未だ出ていない。

優秀さを通り越して空恐ろしさすら感じる智謀の持ち主だ。それが三人も、となると絶望しか感じないと帝国・法国の内政官は戦慄する。

 

そんな智謀の双璧と呼ばれつつある二人の内の一人、デミウルゴスはアインズより誉め言葉をいただいていた。正しく御褒美である。

 

「よくやった、デミウルゴス。素晴らしい成果だ」

「全てはアインズ様より道を示されていたからこそ成ったと考えます。お誉めいただくには及びません」

 

豪奢な部屋の中、窓へと顔を向けつつ背後で跪くデミウルゴスへ労いの言葉をかける。過分な言葉に恐縮するデミウルゴスを見下ろし、一・二度頷いた。さも当然と言わんばかりに。

重々しく頷いてはいるが内心では「ちょっとフラフラ遊びに行ってたら草案どころか学院まで出来てて、あとは客読んだり試験して合否判定するだけとか、どんだけ有能なんだデミウルゴス!」と戦慄してたりするが、おくびにも出さない。

 

そして佇むアインズの側に控えるアルベドも微笑みを絶やさない。

内心ではデミウルゴスが誉められて悔しく、ハンカチを噛み締める心境なのだが。

 

「さて、デミウルゴスよ。この度の成果として褒美を考えているが、何が良い?」

 

褒美については散々悩んだ。

悩んで悩んで悩み抜いたがサッパリ思い浮かばず、苦し紛れの「自分で考え付かないんだから本人に聞くのが一番だよね!」作戦である。

 

だが、これが悪手であることはモモンガ自身も承知していた。

なんせこの悪魔、欲が全くない。実は種族間違ってないかと訪ねたくなるほどの無欲、いやドM極まる社畜精神の持ち主なのだ。

 

尋ねても遠慮され、尋ねても陳謝しながら断られ、「下僕(しもべ)の功績はアインズ様の功績です」と心から笑顔を浮かべて宣う悪魔なのである。

毎回断られるたびにモモンガは思うのだ。

 

「ウルベルトさん、悪魔なのに欲がないとか間違ってます」

 

と。タブラであればギャップに萌えていたのかもしれないが残念ながらモモンガにその属性は備わっていない。

 

幾度も幾度も重ねてきた作戦だが、いつか当たるかもしれないからやめられず、今日も懲りずに聞いてみた。これで断られたら本格的に自分で褒美を考えなくてはならない。脳味噌無いのに頭が痛いとは、これ如何に。

だが今回、極めて稀なことにモモンガに軍配が上がったようだ。デミウルゴスが初めて悩むそぶりを見せたのだから。

 

(あるの?あるのか?珍しい、ここでしっかり労わないと!)

 

これを逃すまいとモモンガは畳み掛ける。

 

「どうした?これまでお前に満足のゆく褒美を与えたことがないのだから、遠慮しなくてよい。言ってみよ」

「はっ。大変申し上げ難いことながら・・・」

「ふむ、なんだ?」

「お暇を頂きたいのです」

(えっ、休日もないほど働きづめだった?そういえばデミウルゴスが前に休みを取ったのっていつだっけ!)

 

超有能エリート、退職のお知らせ。

眉尻はおろか、長耳まで下げて申し訳なさそうに申し出るデミウルゴスに、一瞬退職届を幻視して青ざめる。もっとも青ざめられる血肉がないが。

モモンガの心境も知らず、デミウルゴスは理由を述べ始める。

 

「実は第七階層や牧場の様子が気になっております。紅蓮やプルチネッラから報告は受けておりますが、久しぶりに確認をかねて部下達を見て回ろうかと。そう時間はかかりませんので、是非お願いしたく。」

(あ、退職届じゃなかった。良かった。)

 

誰にも知られることなく滝のように流れ出ていた内心の冷や汗は無事終息し、こっそりと安堵に胸を撫で下ろす。

デミウルゴスに頼りきっている現状、絶対に手離せない社畜エリートなのだ。ごめん、デミウルゴス。

 

「なに、気にすることはない。やらねばならんことは終わっているのだろう?」

「はい、恙無く。あと試験を設け、合否を下すのみかと。」

「では問題ないな。一日と言わず数日休んでくると良い。」

「よろしいのですか?」

「問題ないとも。なぁ、アルベド?」

「はい、アインズ様」

(ほら、アルベドもそう言ってるし大丈夫!なはず)

 

輝く笑顔を浮かべて大きく頷く女淫魔にモモンガは満足げに頷き、彼女が興奮で翼を膨らませていても気付いた様子がない。銀の尾を持つ悪魔は(おもむろ)に眼鏡のブリッジを上げ、彼女に対して注意を促す。

 

「アルベド。アインズ様にくれぐれも粗相のないようにお願いしますよ」

「あら、私がいつ粗相をしたのかしら?」

「具体的には三ヶ月ほど前かと。謹慎を言い渡されたこと、忘れたとは言わせませんよ?」

「ぐっ」

 

顔をしかめて悔しげな女淫魔と苦い顔を隠さない銀の尾の悪魔。同様の智謀を持っているからこそ相手の考えていることも大方読めてしまう。

この女淫魔、最近調子に乗りすぎではないかね?とか、さっさと自分の持ち場に帰れ造物主!などなど言葉を交わさずとも意思の疎通が叶ってしまいそうなのが嫌すぎる。

困ったものですと溜め息と共に呟き、モモンガへと退室の挨拶を述べる。何か問題があった場合は遠慮なく召喚してくれるよう頼み、銀の尾の悪魔は執務室を後にした。

 

「アインズ様!この、ア ル ベ ド が!デミウルゴスよりもお役にたって見せますわ‼」

「あ、ああ。頼りにしているぞ、アルベド」

「くふーっ!!」

「アルベドよ、距離が近い。少し離れてくれないか」

「も、申し訳ありません。アインズ様」

 

少し、早まったかもしれない。

早速デミウルゴスに帰って来てほしくなってしまう。

ダメだ、俺。頑張れ、俺。

いつもデミウルゴスに苦労をかけている分、休暇中ぐらいは頑張らないと。

グッと両手を握りしめ、決意を固めるが

 

「では本日の執務を始めます。持って来てちょうだい」

 

アルベドの呼び掛けに開いた扉から一人、二人と人造人間メイドが持ってくる書類の山に眩暈を覚える。いや、目も存在しないのだが。

 

「こ、これ全てデミウルゴスが片付けていたのか?」

「いえ」

「そうか、いくらデミウルゴスでも」

「まだ三割ほどかと。ご安心ください、午前中には書類が揃う予定ですわ」

(ブラック企業も真っ青なくらいブラックだったわあああぁぁ‼)

 

ごめん、デミウルゴス。

本当にごめんなさい、戻ってきて!

 

心の奥底から湧き上がる罪悪感と共に、決して言葉にしてはならない本音が全身に轟く。

 

デミウルゴスは去った、つい数分前に。

そんな彼を呼び戻して何が最高責任者か。ギルドマスターか。

彼をここまで働かせていながらフラフラ遊んでいた自分が情けなく、ウルベルトさんに申し訳ない。

 

(他の守護者はもうちょっと自由にしてるっぽいのになぁ・・・)

 

吐くことの出来ない溜め息をつきながら羽根ペンを握り締め、笑顔で書類を手渡してくるアルベドに対応しつつ、黙々と書類との格闘を始めた。

 

 

 

 

 

 

彼が御方に暇を告げて向かった先は羊皮紙(スクロール)を管理する司書室。

低位ではあるが職務に使う数々の羊皮紙(スクロール)魔道具(マジックアイテム)を数体の死者の大魔法使い(エルダーリッチ)が管理している。

 

「おはよう、司書長」

「これはこれは。おはようございます、デミウルゴス様。如何なさいましたか」

「アインズ様に暇をいただいてね。久しぶりに守護階層と領域の確認をしたいんだよ」

「それはそれは。守護者として当然の欲と言うべきですかな」

「そう明け透けに言われてしまうと恥ずかしいとしか言いようがないね」

 

苦笑を浮かべる銀の尾の悪魔に司書長は顎骨を開いて笑う。

ひとしきり笑われてから案内されるのは転移の魔法がかかった鏡が置いてある奥の間。司書長へ礼を述べて彼が鏡を潜れば、死の騎士が取り囲むナザリック近くの山小屋へと抜け出る。

 

「お戻りとは珍しいですね。如何なさいました、デミウルゴス様」

「いや、何もないよ。アインズ様にお暇を頂いたんでね」

 

お暇。

ナザリックにおける僕全てが拒否する言葉にユリ・アルファは戦慄する。

体調を崩したのかと心配する彼女に先程司書長へと語った説明と同じ話を語れば、アンデッドでありながら安堵の溜め息をつくユリ。それに笑い、霊廟に向けて歩いてゆく。

第二、第三階層を最短ルートで抜け、シャルティアと恐怖公へと挨拶を済ませ、第四階層のガルガンチュアに顔を出し、第五階層ではコキュートスの住居である大雪球(スノーボールアース)を訪れて近況を話し合う。

 

出された茶は凍っていたが彼にかかれば適温へと戻すのも簡単なこと。

みるみるうちに湯気を立てる紅茶に雪女郎が慌てて下がり、驚かせたことを謝罪するというハプニングもあったが友の近況も聞けて満足し、暇を告げる。

 

ニグレドとニューロスト達にも挨拶と捕虜の近況を聞くべく氷結牢獄を訪れ、彼は牧場に勤める部下の行動を知ることになった。

曰くプルチネッラが数枚の山羊の皮と創造主が残した宝石や装備品の類を持って、縫製の出来る者は誰か悩んでいたらしい。

 

「プルチネッラが?」

「そうよん。牧場で使いたいってん」

「山羊の皮を牧場で?」

「ええん。家事全般スキルを持ってる者が牧場にはいないから困ってたと言ってたわん。私、縫い合わせる(・・・・・・)のは得意よん、手伝ってあげたのん」

「それは、ありがとう。しかし何に使うつもりなのか・・・」

「貴方の指示じゃないのん?創造主様より賜った品も縫い付けたのよん、それなりの防具になったはずだわん」

 

そんな指示はしていない。

しかも自身の創造主が残した品々を使用させるなど、彼にも出来ないことだ。

 

「何かあったんでしょうかね・・・」

「少し気になっただけよん」

 

彼から受けていた報告は平穏そのもの。日夜人々を幸せにする為、部下共々励んでいるという。

羊皮紙(スクロール)の供給量が多少落ちたとあったが、個体数が減った羊を捕獲しようにも丘陵近くを通りがかる機会が減って手に入りづらくなったので、新たな種類の羊を飼うことになったとも聞いている。

 

第七階層を見回ってから牧場へ向かう予定だったが、大図書館(アッシュールバニパル)羊皮紙(スクロール)の供給量を調べてからの方が良いかもしれない。何かあったのであれば供給量でおおよその日にちが判断できる。

貰った情報の礼を述べ、挨拶と共に別れると所定の位置にある転移門を潜った。

 

第六階層のアウラは疑似ナザリックの建設のため不在だが、マーレがいる。

案の定転移門を潜った時点で感知されたようでリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを使い転移してきた。

 

「久しぶりだね、マーレ」

「お、お久しぶりです。何か、あ、あったんですか・・・?」

 

自分が訪れるのは仲間達の警戒を呼び起こすことに繋がるようだと苦笑するしかない。こうも頻繁に同じことを聞かれるのだから。

しかし何度同じことを繰り返されても身内に優しい悪魔は丁寧に経緯を説明し、次の階層へと続く転移門に向かいながら土産話として御方の近況を話す。杖を抱き、目を輝かせて聞くマーレの頬は紅色に染まっていた。

 

そして第七階層。

転移門を抜けると門の上へ被さるように待機していた紅蓮へと声をかけ、労う。うねうねと身体をくねらせて喜びを表現する紅蓮に笑い、羽を広げて飛び立つ。

眼下に見える溶岩の領域。久しぶりの守護領域に胸の内を喜びが占める。

御方の役に立つのは望外の喜び、だがやはり自分の居場所は此処なのだ。

 

無数の悪魔が彼を見上げ、礼を取る。

彼はこの階層を作り上げ、自分達を召還・創造した至高の御方の最高傑作であり階層守護者。この階層の全ては彼の創造主が一から作り上げ、命を吹き込んだ者達で溢れている。

崇拝と忠誠を一身に集めていた創造主が心血を注いで作り上げた彼に従わぬ悪魔は、この階層に存在しない。

噴火を繰り返し、階層の隅々まで絶え間なく溶岩が流れる。悪魔と溶岩が全てを舐め、燃やし尽くし、破壊しつくした世界の奥にある赤熱神殿に彼は降り立った。

 

「お帰りなさいませ、デミウルゴス様」

「戻ったわけではないのだがね。何か変わったことはなかったかい?」

「変わったこと、でございますか?」

 

赤熱神殿を守る三魔将に留守中の労を感謝し、用件を述べる。休暇としての守護領域の見回りと聞いて彼らしいと笑いながら三魔将は異常ないことを報告する。中央に位置する玉座に腰かけて話を聞いていた彼はとても穏やかな微笑を浮かべていたが、嫉妬の魔将(イビルロード・エンヴィー)の言葉で微笑が崩れた。

 

「ほう。プルチネッラが階層を駆け抜ける、ですか」

「はい、彼が駆けるというのは初めて見ましたので。驚きました」

「今では見慣れましたが当初は何があったのかと」

「羊皮紙の納品時ですわ。いつも何を慌てているのかは存じません」

 

やはりおかしい。

隠すつもりがあるのかないのか微妙だが、積極的に告げるつもりはないようだ。もう少し(くつろ)ぎたかったが仕方がない。

部屋には牧場から戻ってから寄ろうと心に決め、三魔将に改めて礼と今後のことも頼んで第九階層に向かう。

 

転移門を出れば一般メイド達が清掃に勤しむ手を止めて、こちらへ向かって次々と頭を下げる。

御方々の為の空間であるロイヤルスイートを清め整える手を己の為に止めさせるわけにはいかないと、手を振って止めさせる。何事かと近づくペストーニャに事情を説明し行く先を告げれば、今度は彼女の口からプルチネッラの名が告げられた。道化師に呼び止められたことが数度あったらしい。

 

「とても何かを言いたそうにしていたのですが、ロイヤルスイートを見回されてから謝罪を受けましたわ。呼び止めて申し訳なかったと」

 

そういうことが数回あり、以降は第九階層を速足で歩き去る姿が度々目撃され、一般メイドに苦言を呈されていると。

 

「それは・・・大変申し訳ないことを」

「いえ、デミウルゴス様の責任ではありませんし気にしておりませんが、これから牧場に向かわれるのであれば彼に伝えていただけないかと思いまして」

「分かりました、必ず伝えましょう」

「ありがとうございます。では、何かあるのでしたら御力になりますのでおっしゃって下さいとお伝えくださいませ」

 

苦言を伝えるのだろうと思っていた彼は呆気にとられ、後に苦笑する。カルマ値が善に偏る実に彼女らしい言葉だ。

感謝の言葉を述べて別れ、御方住まう第九階層に相応しく粛々と歩を進め、やがて訪れる第十階層大図書館(アッシュールバニパル)

 

羊皮紙(スクロール)作成を手掛けているティトゥスに羊皮紙の納品具合を尋ねると、三ヶ月程前に納品量が極端に落ちたが、その後徐々に数を増やして今は多少落ちることがあるものの依然と同程度の納品量に落ち着いているとの言葉を得た。

 

他所の悪魔であれば己の欲望に負けて遊びを優先することもあるだろうが、このナザリックで生まれた悪魔が自分から仕事を放棄することは有り得ない。熟す仕事が御方への忠義になるのだと芯から理解している。

三ヶ月前に牧場で何か重大なことがあった。報告するに値しないと判断したのか故意に隠しているのかは不明だが最近のプルチネッラの態度を鑑みるに、その何かは今も続いている。

すぐに牧場へ飛び、プルチネッラに何があったのか問うべきだ。

 

敵の襲撃か?

シャルティアのように洗脳を受けたのか?

本人の意思があるのであれば隷属か、強制的な支配を受けている可能性もある。

戦力を整えていくべきかもしれない。

私は御方より秘宝を預かっているから洗脳を受けることはないが、連れて行く悪魔達が洗脳されては危険だ。しかも対象が単体とは限らない。

 

様々な可能性を鑑みて、彼はまず自分で様子を確認することに決める。

自分ならば急に牧場へ戻っても問題ない。

連絡を忘れていたとでも急用など如何様にも言い含められる。

 

司書長に礼を述べて踵を返し、速足で向かうのは設置された転移門。転移門(ゲート)羊皮紙(スクロール)を使うには表層まで出なくてはならない。

影の悪魔を何体か連れ、ナザリックの表層へと至る。

己の影に潜ませて羊皮紙(スクロール)を開けば、目の前に開ける転移門。繋がるのは遥か遠くアベリオン丘陵。

 

何があっても対応できるよう最大限の警戒を滲ませて自らの武器である尾を揺らしながら転移門を潜れば、闇の向こう側に存在していたのは、誰一人存在しない大天幕であった。

 

 

 

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