ハイスクールFaiz〜赤い閃光の救世主〜   作:シグナル!

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お気に入りの数が…。
評価も高くて、嬉しい限りです!!
これからも頑張ります。
あと、この巻の途中で書き溜めは終わりますので…。


第3章 月光校庭のエクスカリバー
動いてしまう復讐


 朝の日差しがカーテンの隙間から手招きしてる。

 その細い光が巧の瞼に触れ、眠気が徐々に消えていく。

 

「おはよう、イッセー。 さぁ、朝ごはんの時間よ」

「おはようございます。イッセーさん」

 

 目を覚ました巧が最初に見たのはエプロン姿のアーシアとリアスが自分に向け、朝の挨拶を掛ける姿だった。

 

 

 

 

「どう? おいしいかしら、私の作った朝ごはん」

「私はフーフーしなくていいお味噌汁を作りました」

 

 朝食の際、巧の隣にはアーシアとリアスが腰掛ける形で自らの作った品の感想を巧に求める。

 三人の光景を見て、兵藤夫妻の顔も綻ぶ。

 息子とそして新たに住むこととなった二人の娘と呼んでいい少女たちが仲睦まじくしている事を心から喜んでいるようだ。

 

「不味くはない。というか、リアスくっつくなよ!」

 

 アーシアは巧との距離を開け、質問に応じるが、リアスはその豊満な体を押し付けるような形で質問を投げかける。

 異性にあまり興味のない巧とはいえ、リアスを女性として意識せざるを得ない状況となっていた。

 

「イッセーさん、私のお味噌汁はどうですか!?」

 

 リアスとの接触で顔をほんのりと赤くする巧を見て、ほおを膨らませ、アーシアも自分の体を巧に預けるようにして、味噌汁の感想を尋ねる。

 

「冷まさなくていいのは、だいぶ楽だな」

 

 巧は素直に褒めることが苦手である為、アーシアと向き合った形とはいかなかったが、アーシアはその声を聞いただけで心の中に暖かい気持ちが廻っていくのを感じる。

 五人の暖かい食卓は三人が朝食を食べ終わるまで続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イッセー、お前はどう思う?」

「ああ、是非とも感想を聞かせてくれっ!」

「馬鹿じゃねえか。なんでそんなこと俺がしなくちゃならないんだよ」

 

 巧の呆れたような声が松田と元浜に突き刺さる。

「ぐはぁ!」と鈍い声を漏らし、二人の手に握られていた雑誌はそのまま地面に落下する。

 松田の持つ本にはグラビアアイドルが水着で艶やかなポーズをとる写真があり、元浜の雑誌にはすこし幼さの残る少女の肌を露出させた写真、つまりはエロ本。

 この二人は巧にどちらのスタイルがいいか、決着をつける為にも今日は体育の着替えを覗き、その際に一年の小猫の下着姿を見納めよう! と誘いを持ちかけたものの、巧の単純な否定により、二人は地面に伏した。

 

「な、何故……何故お前には分からないんだ!」

「お前は……誰よりも女体の素晴らしさを理解していたはずではないのかっ!!」

 

 自分の足元にすがりつく二人のゾンビを振り払い、席に座りなおす。

 呻き声を上げながら地面に倒れている二人に目を向ける。

 

 ──なんだかんだでこいつらと一緒にいるよな。

 

 この二人と一緒にいることが多くなることを自覚し、気恥ずかしくなり、二人に気づかれる前に目を反らす。

 ここで巧は前から聞きたかった本音を二人に尋ねる。

 

「お前らどうして俺に関わるんだ」

「んなの、決まってんだろ。 友達だからだろ?」

「ああ、記憶が無くなってツンデレになってもイッセーはイッセーだからな!」

 

 二人の何気ない答えは巧の胸を打つ。

 その答えを聞いて、「おう」と言葉を返し、そっぽを向いて窓越しに青空を見つめる。

 その顔がいつもの仏頂面よりも幾分が柔らかい物になっていたのはこっそりと巧の顔を見ていた松田と元浜の見間違えではないだろう。

 

 

 

『イッセー、先ほどは言わなかったけど、今日の部活は家になったわ。 詳しい理由はついてからするから、まずは家に向かって』

 

 放課後の巧に掛かってきたリアスからの電話。

 その内容は今日のオカルト研究部としての定例会議だった。この部は普段はオカルトについて調べ、その結果を文化祭やイベントの際に報告するのが表向きの仕事。

 けれど裏では悪魔の契約を取るという仕事を持っている。

 その報告を行うのが、今日のやる事と聞いている。

 巧は教室を見渡し、アーシアがまだこの教室にいるかどうかを探し、その姿を見つけたが声をかけるのを躊躇った。

 理由は、アーシアと話を楽しんでいる女子がいるからだ。

 するとその女子と巧の目が合う。

 

「アーシア……あんたの彼氏が私に嫉妬してるよ?」

「ききき、桐生さん、何を言ってるんですか!?」

 

 アーシアの友人──桐生藍華は巧とアーシアの関係を茶化すような事を耳元でつぶやく。アーシアもそれに反応し、顔を真っ赤に染める。

 面白い反応をするアーシアを見て、更に藍華は微笑む。

 

「ほら兵藤。 アーシア、返すね。 というか、兵藤も気をつけてあげないとアーシア可愛いから変な男に狙われないようにしなきゃ。そのうち取られちゃうよ」

 

 アーシアの背中を押して、巧の側まで寄せる。

 巧もその早さにすこし驚いたが、避けるわけにもいかないのでその場で動かずに二人を待つ。

 藍華の茶化しとも忠告とも取れる言葉に、一応の反応を見せる。

 確かにアーシアは正に美少女と言える容姿を誇る。加えて優しそうな雰囲気と癒されるオーラから既に多くの男子から絶大な人気を誇っている。

 そんなアーシアの近くには巧がいる事が多い。その為、二人は恋人なのでは? という噂が飛び交うほどだった。

 巧からしてみればどうでもいい噂であったが、巧に好意を抱くアーシアからすれば嬉しいような恥ずかしい噂だ。

 こうして二人は今日も隣に並んで歩き、帰宅していく……。

 

 

 

 

「可愛いですね、イッセーさん」

「ええ、まだ素直な感じがありますわ」

「でも、その頃からかしら? おっぱい、おっぱい言い始めたのって」

「今のイッセー君からは想像もできないね」

「……変態の目覚め」

 

「随分な言われようね」

「うっせ」

 

 巧はリアスの茶化しにそっぽを向き、反応を見せる。

 今、この家には兵藤一誠の母──涼子とオカルト研究部の皆が巧の部屋に集結し、アルバム鑑賞会を行っていた。

 その理由は……本日は旧校舎の改築工事を行い、部室を使えなくなるのでという理由であった。

 巧、ひいては一誠の記憶を戻す為としてアルバムを鑑賞していると、アーシアや朱乃や祐斗や小猫としてはほのぼのとしたものであり、涼子からしてみれば自分の息子の懐かしい日々に触れる時間であった。

 

「……」

「懐かし、そうね」

 

 一つ一つの写真を愛おしそうに見つめる涼子に対し、巧は心の中で真実を伝えるべきか迷いそうになる。

 そんな巧の心中を悟ってたか、隣に座るリアスが巧に声を掛ける。

 申し訳なさそうに顔を俯ける巧の手に自分の手をそっと重ねる。

 普段ならこういった接触をすればすぐさま離れようとする巧であったが、不思議と今日はそんな気持ちになれず、リアスの暖かい手の温もりを感じていた。

 

 ──私が巧さんを支えてあげなきゃ、彼は私の大切な人だから。

 

 リアスも自分が重ねた手から伝わる巧の存在に頰を赤に染めつつも、この暖かさが消えてしまわないよう──などと考えてしまっていた。

 二人の手が重なり合って数分経つと、二人の様子を見てアーシアが迫る。

 

「部長さんだけずるいです!! わ、私も!!」

「ちょっと、アーシア何をっ!?」

「あらあら、私もイッセー君と触れ合いたいですわ」

「お前ら何やってんだよ離れろ、暑苦しいっ!」

 

 アーシアは真正面から巧の体にしがみつき、首に両手を回し、巧の体を抱きしめる。

 そのシーンを見たリアスが真横から巧に体を寄せる。

 二人に当てられた朱乃がリアスとは反対方向から迫り来る。

 三人の美少女たちに囲まれ、普通の男子なら卒倒ものであるが、人が三人もくっついていたことによる熱の発生の方が巧にしてみれば辛い。巧の声で三人はしゅんとした態度を見せ、残念……などと口にして、巧から離れる。

 小猫と涼子はその様子をお煎餅を口にしながら楽しみに見ていた。

 自分がこの場にいてはまたまた面倒なことになると嫌なので、この部屋から出ようとする巧。

 立ち上がり、顔を前に向けると不意に、一枚の写真を手に取りそれを見つめる祐斗が目に入る。

 その際に見えた祐斗の顔を見て、体の動きが一瞬停止し、視線は一点に集中。

 その時の悠斗の顔は巧が幾度か見たことのある想いを持った者のする顔だった。

 

 

 ──ー復讐

 

 

『貴様……死にたいんだってな。俺は木場とは違う。望み通りにしてやるっ!!!!』

 

 真理と自分をオルフェノクによって殺された過去を持つ草加雅人はオルフェノクに対し必要以上の怒りを燃やしていた

 

 

 

 

 巧は拭いきれない不安感が募る中、何も語らずに部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の夜、巧は初めて悪魔として呼び出された以来ぶりに召喚をされた。

 その人物の願いは引っ越しでの荷物の整理だった。

 グレモリー眷属の力持ちというのは小猫と決まっており、男である祐斗も戦車である小猫に力という部分では負けていた。

 けれど、その小猫は既に別の依頼で召喚先に向かっているために代わりとして巧が召喚に応じた。

 生憎、召喚者の願いが荷物の整理のため、多くのコミュニケーションをとる必要もないから巧でも大丈夫だろうというのがリアスの判断だった。

 

 巧を呼び出した召喚者は何処にでもいるような普通の男性、年齢も四十代前半である事が伺える。

 

「君が悪魔君?」

「……まぁ」

 

 相変わらずのコミュニケーション能力の低さに序盤から会話の進まない事を予感していた巧だった。

 

「ええと、私と名前は澤田冬樹。 短い時間かもしれないが、よろしく頼むよ」

「兵藤……です」

 

 男性の自己紹介の名前に眉がピクリと反応を見せたが、一瞬の間が空いた後に自分の名前を名乗る。

 巧の初めての悪魔として仕事が始まった。

 

 

 

 互いに何も語らずに黙々と仕事をこなす。

 頼まれた仕事は澤田の部屋に置かれた段ボールの荷物を既に配置されたタンスや収納に入れ、重い荷物を巧が担当し、運びこむ形で仕事を行う。

 二人が無言であったのも理由の一端であったのか、仕事自体は一時間と掛からずに仕上がった。

 

「ほら、麦茶だよ」

「あぁ……どうも」

 

 静かになったリビングで澤田の住むアパートの窓から見える月を眺めていた巧の後ろから麦茶を差し出し、労りの笑顔を浮かべる澤田。

 猫舌である巧からしてみればありがたい事この上ないが、何故か澤田が持つ湯呑みには自分と同じ麦茶ではなく、熱々のお茶が注がれていた。

 

「はぁ……一人というのは寂しいものだね」

 

 湯呑みに口を添え、少しほど喉を鳴らした澤田は巧に問いかける。

 どう答えるべきが答えに迷うが、答えない巧をみて、答えを出すのを待っている澤田を見て、言葉を返す。

 

「まぁ……悪い訳でもないですけど」

 

 結局、口を突いて出たのはすこしばかり反抗じみた言葉。

 その答えを聞いて、澤田はふふっと笑みをこぼし、巧に朗らかな目を向ける。

 

「確かに……寂しいが悪い訳ではないね。 若いうちは一人が好きという時があるかもしれない。けれど歳を重ねると家族が一緒にいる事がとても、とても嬉しく思えるんだよ」

「……それは分かります」

 

 澤田の言葉に今度は肯定的な言葉を返す。

 巧にとって家族に値するのは真理や啓太郎。

 一年間という時間ではあったが、彼らといた時間は巧にとってもとても濃く、幸せな時間と言える。

 だからこそ、目の前の男性の言葉に頷けた。

 

「今、私は単身赴任をしててね。どうしてと片付けなければならない仕事がある。早く片付けて家族に会いたいものだよ」

 

 巧の隣で月を見上げる澤田の目には意志が込められ、彼に託された仕事が何なのか聞きたい気持ちをこらえ、麦茶を喉に流し込む。

 窓の隙間から風が入り、部屋干しにしてある洗濯物たちが少しだけ風にたなびく。

 

 ──アイロン掛けもまともに出来ない奴にロクな奴は居ない、だったか? 啓太郎

 

 巧はその場で立ち上がり、澤田に目を向ける。

 

「アイロン台とアイロン……借りるぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとう兵藤一誠君。 部屋の整理だけでなく、アイロン掛けまでしてもらって。君とはまた会えると思いたいよ」

 

 別れ際、澤田の言葉に少しだけ嬉しい気持ちが生まれ、巧は行きと同様に魔法陣により、部室へ転移された。

 

 転移され、戻ってきた巧は一息ついて、近くのソファーにどさりと座り込む。

 すると数秒の間にそれなりの温度を持つ紅茶を朱乃が差し出す。

 カップを手に取り、フーフーせずにそれを口にする。

 芳醇な香りが口の中に広がり、仕事終わりとあって格段と美味しく感じる。

 

「イッセー、お疲れ様……と言いたいけど、これじゃあ、ただのお手伝いさんよ。召喚者から対価を貰ってなかったり、契約もしてこなかった……確かに良いことはしたけど悪魔としてはダメじゃない」

 

 帰ってきた巧を待っていたのはリアスのお説教であったが……。

 リアスの元に届いたのは再び召喚者からの召喚。

 それを見て、リアスは巧に目を向ける。

 

「イッセー、今度こそ契約をきちんと取って来ること。良いわね?」

「んなの知るかよ」

「期待してるわ、イッセー」

 

 巧のいつも通りの返答を聞いて、笑みを浮かべたリアスは再び巧を召喚者の元に転移させた。

 

 

「ほぉ? 、お前さんが悪魔なのかい?」

「いや、まぁ……」

 

 二度目の召喚をしたのは一人の男性。

 黒と金の混ざった髪、顔立ちは整っており、俳優といっても通じるほどだ。

 年齢は三十代といったところで、呼び出された部屋は高層マンションの屋上に近く、部屋も先ほど澤田の部屋と比べてしまうととても広く感じる。

 そんなマンションに一人で住んでいると思われる男性は巧の周囲をぐるぐると歩きながらその姿を観察している。

 

「なんだよ、人の事ジロジロ見て」

「いや、悪いね。 悪魔を想像していたら、君のような普通の高校生が出てくるとは思わなくてね」

 

 巧のきつい一言に流石に男性も申し訳ないと感じたのか、一言の謝罪が入る。

 ここで巧はこの男性の願いをリアスから聞くのを忘れた事に気がつく。

 

「……あんたの願いは何だ。 それと対価を貰う」

 

 巧にできる初対面の人間との最大のコミュニケーション。

 それをぶつけ、男性は大きく笑いだす。

 

「いや、ようやく悪魔っぽくなってきたと思ってな。願いっていうか俺の話し相手になって貰えれば良いが……、それも無理そうだしな。 まぁ俺の愚痴でも聞いてくれ」

 

 どうやらこの男性はこの短時間で、巧の人間関係構成の下手さに気づいたようだ。軽く馬鹿にされ事でムッとしたが、それをなんとかこらえて、男性の座った柔らかいソファーの対面に位置する場所に巧も座り、グラスに注がれた氷水で喉を潤し、男性の話に耳を傾けた。

 

 

 喧嘩の大好きな息子がいる、生真面目すぎて面倒な部下、娘と絶縁中の部下、研究が大好き過ぎる部下、ドSすぎてドMな社員に人気のある部下。

 などと男性の口からは話の話題がこれやこれやと溢れ出し、そのほとんどは巧の左耳に入り、右耳を通過する。

 男性は酒が入った為、少々口を滑らせている。

 

「……たくっ、ヴァーリの奴は少し目を話すと暴れるし……どいつもこいつも俺が未婚だからって馬鹿にしてよ……。ガキの頃に考えた武器の名前で弄ったりしやがって……畜生が!!」

 

 巧は半ば呆れながら男性の話に付き合っていた……。

 こうして巧は二件目でも契約を結ぶ事はできず、この部屋から逃げ出すようにして部室へと転移した。

 その際に対価としては部屋の冷蔵庫においてあった飲み物を持ち帰った。

 勿論、男性の許可を得て……。

 

 

 

 

 

 

 再び部室に帰ってきた巧は、リアスの机にこんな置き手紙が置いてある事に気がついた。

 

『お疲れ様、イッセー。 二回目の召喚に関しては契約が取れなくもしょうがないわ。私達ははぐれ悪魔の討伐に向かってるわ。何かあったらファイズのケータイに電話します』

 

 置き手紙を見て、急いで懐のファイズフォンを取り出し、連絡が来ていないかの確認をする。

 その結果、リアスからの連絡は無く、現れたはぐれ悪魔の討伐に成功した事を意味していた。

 ここで巧はリアスの手紙に続きがある事に気がついた。

 

『PS. 私達だけで討伐を終えた場合は、連絡がないのでそのままバジンで先に帰ってね。それじゃあ、おやすみなさい……イッセーへ』

 

 この文面に目を通し、巧はオカルト研究部を後にして、オートバジンに乗って、自宅への帰宅していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──何をしているんだ、僕は……。 こんな風な幸せが何時までも続くなんてありえないこと……わかっていたはずだ。

 

 祐斗は、雨が降る街の中を彷徨っていた。

 自分の心が乱れたのはあの写真……幼き日の一誠とその友人がゲームをしている後ろの壁に飾られていた聖剣が写っているのを見たからだ。

 聖剣、イメージとしては正義の英雄が持つに相応しい剣と思う者もいるが、この剣を握られるのは数少ない一部の人間のみ。

 聖剣に適合できる因子をという細胞にも似た物を持つ物だけだった。

 

「みんな……」

 

 暗雲立ち込める中、空を仰ぎ見て、自分の仲間を思う。

 蘇る記憶。嘗て聖剣を扱えるようになる為に集められた子供達、辛い実験を耐え抜いてきた自分たちを待っていたのは死というゴールだった。

 しかもそれは実験の一部でもあった。

 狂気の計画──聖剣計画の唯一の生き残り、木場祐斗にとってエクスカリバーは仲間の命を未来を……そして『夢』を奪い去った元凶そのもの。許す事など出来はしない。

 

「 お前が……消えろっ!!!」

 

 祐斗の耳に届いたのは何処かで聞いた事のあるような声。

 けれど嘗ての物とはどこか違う。

 音源は自分がいる道を十メートルほど進んだところを右に曲がった角である事を察知し、ナイトのスピードを持って一秒ほどで角を曲がる。

 そこで目にしたのは……一人の青年と一つの屍体。

 雨の中で血だまりが生まれ、水面に映る白い髪の青年。

 

「フリード・セルゼンっ!!」

「君は……あぐぁぁぁっっ!! 邪魔だよぉぉぉ!! 今いいところなんだ!! 出てくんなアレンッ!!!」

 

 祐斗は自分の神器である魔剣創造の能力で一瞬で魔剣を創造し終えるが、フリードの目は以前と違い狂った様子など見せずにいた。しかし、その一秒後にはフリードの頭に激痛が走ったかの様に頭を抑える。それを見て祐斗の動きが止まる。

 激しい頭痛に見舞われたフリードだったが、目の前には祐斗しかいないのにも関わらず、もう一人誰かがいるように声を荒げ、誰かの名を叫ぶ。

 この奇行に首をかしげる祐斗であったが、そんな物は次の瞬間に吹き飛ぶ。

 目の前にいるフリードの手には黄金色に淡く光る剣が握られていた。

 

 ──忘れる筈ない。 あれは……あの剣は……!! 

 

「エクスカリバー」

 

 今、木場祐斗の復讐が動き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フゥ、久々の日本ね!」

「そうか、イリナは日本に幼馴染がいると言っていたな。

 久々に会いに行くのかい?」

「うん! 勿論、イッセー君、私の事見て驚くかな! 幼馴染といえばゼノヴィアにもいるんだよね? 男の子の幼馴染が」

「ああ……もう、会えないけどね」

 

 ──君は今何処にいるんだ、アレン。




さぁさぁ、少しづつ原作をブレイク!していきます。

…皆さんって、たっくんの声でこの作品のイッセーをイメージしてますか?ふつうに梶さん?
個人的にはたっくんボイスのイメージがつよいです。

そのうちキャラクター説明とか作ろうかなぁ。

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