ハイスクールFaiz〜赤い閃光の救世主〜   作:シグナル!

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次回からバトル回だなぁ…。たっ君は大変だなぁ…。


駒王会談、開始。

 三大勢力の会談当日の夜。

 開催地の駒王学園の片隅、旧校舎にオカルト研究部の全員が集合していた。

 リアス達は、先日のコカビエルとの戦いが議題の一つとして挙がる為に、その証人として、ソーナらと共に参加することになっていた。

 

「それじゃ、ギャスパー。まだ力の制御が完璧ではない貴方を会談に出席はさせられないの。だから会談が終わるまでは、ここにいて頂戴。でも、安心して。イッセーも付いててくれるから」

「は、はいっ!」

 

 女装少年ーーギャスパーが、リアスからの忠告に素直に頷く姿はまるで姉妹に見える。部屋の中心で、何故か段ボールに座るギャスパーを巧は椅子に座りながら眺めていた。

 

 力の調整のための修行を始めたとはいえ、その成果は芳しくなく、まだ不安の残るギャスパーを部室に待機。同時に、部員で唯一ギャスパーの停止が効かない巧を保護者として待機させることに決めたのはリアスだった。まぁ、実際には他にも理由はあるのだが…。

 

「イッセー。会談がめんどくさいって理由でここに残るのだから、ギャスパーの事をしっかりと見ておいて」

「分かってるから、何度も言うなよ」

 

 巧が、この会談への参加を拒否したのだ。コカビエルを実質的には討伐したファイズーー巧は出席すべきなのだが、本人がそういった注目されるのを拒み、ここでの待機を望んだ。

 

「会談が終わったらイッセー君の電話に連絡を入れますので、そしたらお願いします」

「おう」

 

 ふと、朱乃が思い出したかのように、巧に連絡事項を。昨日、天使の代表のミカエルと約束を果たす為だ。これは珍しく、巧からミカエルに合う姿勢を見せた。朱乃も驚きはしたが、ミカエルとの仲介を引き受けてくれた。

 

「ギャー君、ここのお菓子とかはすきにしていいよ」

「あ、ありがとう!小猫ちゃん」

 

 小猫はいつも部室で食べているお菓子の山を指差していた。ギャスパーも早速、その中の一つを手に取り、つまんでいた。小猫も一つを口に運び、微笑を浮かべる。

 その様子を見た巧は、一先ずは安心の気持ちが持てた。周りを見ると、アーシアやゼノヴィアは各勢力のトップとの邂逅ともあって緊張があるのか、二人とも深呼吸をしていたりと日常の風景に見えた。

 

「イッセー君は、凄いよ」

「はぁ…?」

 

 突然、隣の椅子に腰掛けた裕斗は開口一番にそう言い放つ。突然の賞賛に巧は背中が痒くなる。何いってんだよ、そんな視線を受けて、裕斗は優しい笑みを溢す。

 

「君が、居たからこの景色がある。君が居たからだよ」

「いきなりなんだよ」

 

 何秒かの沈黙の後、巧と裕斗は同時に軽く笑う。

 

「木場…」

「裕斗、でいいよ。君とは対等でいたいんだ」

 

 

 いつか、君を追い抜く。

 

 

 その言葉は、彼の背中ではなく、隣で戦う事を決めた戦士の眼。その眼を受けて、巧は軽く笑うだけ。

 

「そうか…好きにしろ、裕斗」

 

 

 

 こうして、彼らの会談までの時間は緩やかに過ぎて行くーー。

 

 

 

 

 

 

 目の前の扉が遠く感じる。

 

 私、リアス・グレモリーは、今までに感じたことの無い緊張に見舞われていた。これから自分の担う役目を考えると、そうなってしまうもの無理ない筈…、と解をつける。

 

「リアス、緊張してるのですか?」

「そういう貴方も、でしょ?」

 

 とある部屋の扉の前で、隣を歩く親友のソーナはそう尋ねた。とは言え、その彼女の服の端々が微かに揺れてる事から彼女も私と同じなんだと不思議と安心した。

 私は一瞬、背後にいる私の眷属たちを見つめる。皆、私を見て笑顔を浮かべてくれる。

 

 ふっと、体を縛り付けていた緊張は消え去る。私はドアの扉に手を添えて、ゆっくりと開く。

 

 向こうの部屋からの光が、私の目に届いてきたーー。

 

 

 

 

「彼女たちは、私の妹とその眷属だ」

「その隣にいるのが、妹のソーナちゃんよ☆」

 

 部屋の中心に設置された円卓と椅子に座っていたのは、四人。その中の二人は、私も知る魔王様の二人。お兄様ーーサーゼクス様の後ろには、グレイフィア。残りの椅子には、天使の代表ーーミカエルと、堕天使の総督ーーアザゼルが座していた。

 アザゼルとミカエルの二人は、それぞれ自身の背後に部下を待機させていた。

 ミカエルの背後には、一人の女性天使。アザゼルの背後には、見覚えのある銀髪の青年。

 

「彼女たちは、先日のコカビエルの事件において活躍した」

「彼女たち…じゃなくて、ファイズだろ。活躍したのは」

 

 アザゼルの茶化すような発言に会場が静まり返る。けれども、私は彼の一言に納得していた。それは勿論、私以外の皆も…。

 沈黙の中で、アザゼルの後ろで静かに笑いに耐える青年に目が留まる。

 彼は、先日私達の前に現れた。巧さんとの会話からして、彼が堕天使の組織に属する者である事は分かってはいたが、この会議に出席出来るほどの人物とは想定していなかった。

 

 

「んじゃ、まぁ…会談を始めようか」

 

 この空気を作り出した張本人からの提案で、この世界も巻き込むであろう会談は密かに始まった。

 

 

 

 

 

 部屋の壁際に立って、私たちは会談を見守る。今は、各勢力が他の二つの勢力に対する見解を述べる時間。三番手の天界の番が終わり、ここから議論が展開される。

 ルシファー様や、レビィアタン様が言葉を吟味した上で、発言していく中で、時折アザゼルは空気も読まない発言を敢えて行う。

 

「はぁ〜。そんな堅苦しいのは、ごめんだ」

「堅苦しいなど、そんな事を言ってるのではなく…」

 

 型破りな発言の後で、笑うのもその行動がわざとである事を物語る。内心、私はいつこの会談が破談になるでは、と不安になる。ふと、部屋に取り付けられた時計を見ると、既に開始から1時間が経過した事に気づく。

 

 巧さん、ギャスパー。

 

 私は、今この場には居ない二人の事を考える。私の力が及ばないばかりに、旧校舎に残すという選択肢しかないギャスパーとそんなギャスパーの為に、敢えて面倒くさいなどと理由をつけて残ってくれた巧さん。

 

 二人が、仲良くなってくれれば…なんて事を考えていると、隣にいた朱乃がこちらを見つめていた。朱乃に見つめられ、私も会談の際中である事を思い出す。

 咄嗟に背筋を伸ばし、頬が赤くなるのを自覚しながら体勢を直す。

 

「…二人の事ですか?」

 

 右隣の裕斗がボソリと少し距離を詰めて呟く。その小さな声に、私は静かに頷いて答える。すると裕斗は少し笑って、言葉を返す。

 

「大丈夫ですよ。ギャスパー君も、イッセー君も」

「えぇ…そうね」

 

 そこで会話を切り上げ、視線と集中を会議に戻す。

 私が聞いていない間に、私とソーナの役目が高くなる事に気づく。互いにその事に気づき、私は持っていたプリントを取り出す。これは、先日のコカビエルとの戦いの詳細をまとめた物。これを元に、私とソーナは報告を行う。

 

「では、ここで議題を変えましょう。ここからは、先日のコカビエルの一件についてです」

「分かった。では、この街の統治者であるリアスからの報告を。悪魔から見た報告であるため、同じくこの街に住まうソーナ君を証人に務めてもらう」

 

「「はい」」

 

 私達の声が重なり、同時に一歩前へ。

 

 一呼吸おいて、私はプリントに目を通しながら報告を始める。

 

 

 

 

 

 

「以上が私、リアス・グレモリーが関与した事件の報告です」

 

 最後に、ソーナも自身の名前の告げることで証人の役目を果たす。報告を終え、余裕の生まれた私は代表者たちの様子を漸く見れた。

 

「…なるほど、ですが問題はあります。コカビエルの動機です。憎しみだけではないとはいえ、彼は再び戦を求めていた。コレは由々しき事態なのでは?」

「それについて、堕天使総督はどのようなお考えで?」

 

 私達も含めて、その場にいた全員がアザゼルを見つめていた。ここが一番の山場、不思議と私はそう感じ、見逃す事が出来ない。

 

「…奴にもうその意識はない。未来に目を向けるガキどもに負けて、今は俺たちの領地で静かに囚われてるよ…自分の意思でな」

「自分の意思…で?」

「あぁ。圧倒的なまでの実力差を覆した若者に気付かされた……らしい」

 

 そう、コカビエルはあの戦いの後で悪魔側から堕天使側に引き渡され、その身は毎回の堕天使の領地で刑に服してる。彼を変えたのは、間違いなく巧さんだ。あの戦いを見れば、誰だってその事に気付いたはず。

 

「…ともかく、俺らに他所に戦争を吹っかけるつもりはねぇ。んな、事してる余裕があるなら、神器の研究を優先するさ」

神器(セイクリッド・ギア)。最初、あなたがその少年、【白い龍】(バニシング・ドラゴン)を戦力に引き入れたと聞いた時は肝を冷やしましたからね」

 

 その時、私たちに動揺が走る。

 彼が、伝説のドラゴンを宿す存在であることに。

 

 白い龍、そしてその龍と双璧をなすのが、赤い龍。

 この二匹は、下段の三大勢力の過去の対戦の際に、ドラゴン同士の喧嘩という理由だけで、戦場をかき乱し…その果てに、神器にその魂を封印されたという逸話がある。

 

 その伝説とも言える存在を、目の当たりにして動揺が無いわけがなかった。しかし、この状況的に驚けない。

 

「信じねぇだろうが、俺は神器の研究を戦争の為にしてたんじゃねぇ。……もう面倒なのはゴメンだ」

 

 

 

 さっさと和平を、結んじまおうぜ

 

 

 アザゼルの何気ない一言は、大きく歴史を変えた。その現場に居合わせた私たちは、そんな一幕をただ見てる事しかできなかった。

 私達が動揺に包まれる中で、二人の魔王様やミカエルには動揺は見られなかった。

 

「たしかに、戦争の中心たる神と魔王は既に亡くなった。今の膠着状態は我々にとっても芳しくない。取るべき手段は、手を取り合い、互いの力を強くする事ですね」

「私もその意見には異論は無いわ。私達に取れる手は、少ないのだから」

「では、…そういう事でいいかな」

「漸く終わったな。…これでいい、例え神がいなくても、世界は回る。いや、回り続けないとならない。俺たちは、ようやく前に進めるって訳だ」

 

 アザゼルの言葉はこの会談の終わりを意味する。代表者の四人がフッと肩の力を抜いたのが分かる。それはつまり、この会談の山場を無事に越えた事を意味する。朱乃達も同様の反応を見せており、私もなんとか一段落出来たと安心した。

 

「では、姫島朱乃さん。兵藤一誠君をこちらにお呼びしてもらえませんか?」

「はい、かしこまりました」

 

 朱乃は、そう言って携帯を取り出して、巧さんへ連絡を取る。

 

「それじゃ、主役が来る前に…ヴァーリ。お前、和平が結ぶことについてどう思う?」

「…特に何も。俺の目的は変わらない。戦争があろうとなかろうと」

 

 アザゼルは、自身の背後にいた青年ーーヴァーリに、声をかける。けれど何処か上の空な態度と、冷たさのある答えに私は背中が強張るのを感じた。

 その感覚と同時に、裕斗が彼に初見で危機感を抱いた事にも納得できた。

 

「そうかいそうかい。まぁ、悪くはないな。次は…」

「イッセー君に話を聞くのかい?」

「まぁな。アイツは面白い。例え、世界に影響を与える存在でなくてもな。お前もそうなんだろ、ミカエル」

「えぇ…。彼とは少し話をする約束になってますので」

 

「リアス…。イッセー君と、連絡が取れないのだけれど…」

 

 朱乃が、私の元に近寄って静かに呟く。ここで私の中で嫌な予感がする。言葉にはし難いナニカが、これから私達に襲いかかろうとしているのではないだろうか。

 

 その瞬間、私達の感覚が止まる。

 

 

 これは、ギャスパーの瞳の効果…………。

 

 

 

 

 

 その部屋にいた一部のものを除き、この会談に関わる多くの者達の時間は静止した。

 

 

 

 

 

 

 

 時間は少しばかり遡る。

 リアス達が、会談に参加していたのと同時刻。場所は旧校舎のオカルト研究部。

 

「よしっ…うん。…次は…」

 

 部室のソファーの上で、段ボールに体を入れながら携帯ゲーム機を操作するギャスパー。

 傍目から見れば違和感の塊だが、この景色に既に慣れていた巧は何も言わずに朱乃が入れてくれた冷めた紅茶を味わう。猫舌の自分のために適度に温度を下げられた紅茶は、それでも尚美味い。朱乃に内心感謝して近くにあったクッキーを摘み、口に運ぶ。

 

 

 ーーうぅ、何か話した方がいいのかなぁ…。

 

 ゲーム画面に意識を向けながらも、時折自身の前方のソファーに座る巧に目を向ける。この沈黙をどうすればいいのか、コミュニケーション能力の低い為に判断に迷う。

 それは巧とて同じ。先程からのギャスパーの視線には気づくものの、不快感はない為に文句の一つも言わない。

 けれども、目の前でこうもチラチラと見られては、言い分はしないのも事実。しびれを切らし、巧は口を開く。

 

「俺に、なんか言いたいことでもあるのか?」

「な、な、なんでもありません!!!」

「さっきから何でこっちを見てんだ」

 

 尋ねる巧に、驚くギャスパー。まるで会話になりそうにない雰囲気だったものの、少しばかりの勇気を取り出し、ギャスパーは俯きながら呟いた。

 

「…イッセー先輩は、僕が怖くありませんか?」

「怖い訳ねぇだろ。お前なんて」

「そうですよね…。先輩は、強い人ですから。だから、オルフェノクって言う敵とも戦えるんですよね」

「リアスから、聞いてたのか?」

「はい。それに、フェニックスとのレーティングゲームも僕はここから見ていました」

 

 次に来るのは、巧の罵声。少なからず、ギャスパーはそう想定していた。自分は、あの時にリアス達の不利を知りながらも、ここで試合を見ていただけの部外者に成り下がっていた。そんな自分は、怖がらずとも、責めるられるだけの事をした自覚はある。

 

 そんなギャスパーの内心を裏切る様に、巧は間を少しばかり空ける。

 

「別に…お前が思うほど強くなんかねぇよ」

「えっ」

 

 現実として、乾巧は周囲が思う程に強いわけではない。何度か、ファイズの資格を捨てようとしたこともあった。戦線を離脱し、抜け殻に成りかけたこともあった。仲間に殺される事を願ったこともあった。それら全ての壁をなんとか壊し続けてこれたから、今がある。けれどもその壁も、一人では壊せる筈もなかった。

 

「俺も、お前と同じだ。一人じゃ、ダメだった」

「僕と…同じ?本当ですか…?僕も、僕も強くなれますか…」

 

 巧は、一度だけ微かに笑いながら、応えた。

 

「成れるさ」

「は、はいーーイ、イッセー先輩?」

 

 優しさの残る表情からの一変。巧の顔付きが険しいものに。その変化にギャスパーも反応し、声をかける。

 

 何か、来てる…。これは…。

 

 巧の鋭い感覚は、既に【敵】を感知。それも、相手が一人ではなくん複数であることも。彼らの目的地が、ここである事も察していた。

 ならばと、巧は即座に行動に移る。リアスのテーブルの上に置いてあるナップザックに手に取り、中にしまってあるファイズギアを取り出す。

 

「わっ!」

「それ持って後ろにいろ」

 

 勢いよくナップザックをギャスパーにパス。巧の指示に従い、ギャスパーは後ろに下がる。自身の後方に、ギャスパーが居ることを確認。巧はファイズフォンを取り出し、この会談の後で連絡を取り合うことを約束した朱乃に電話を掛けるべくファイズフォンを開く。

 

 番号ボタンに指が触れた瞬間。部室の扉を吹き飛ばす程の爆発が発生。それにより、壊された扉や木材が部屋の中心にいた二人へ向かう。

 

「下がれぇ!」

「は、いぃ!!」

 

 咄嗟に頭を抱え、地面に倒れこむギャスパーを担ぎ、部屋の隅へ。巧の回避により二人とも無傷では済んだものの、敵の侵入を許す。

 

 

『部室には不審者が入ってこれない様に魔力を掛けて置くわ。用心のためにね』

 

 会談前のリアスの発言を思い出す。この状況を鑑みて、朱乃とリアスが施したそれを破壊できる敵が侵入して来たのだ。この部室、いやそれだけではなくトップ会談が行われているであろう部屋にもーー。

 

 

「あらあら、まだ臭い息が二つもござんすね。…おやおや、お留守番をしてるのは例のヴァンパイヤと、イケメン君かあのおチビさんかと思ってましたがね…」

 

 爆弾により部室に漂う煙から姿を現したのは、巧が見知った人物。勿論、味方としてではなく敵として。彼が着慣れた神父の服ではなく、黒いコートと黒いズボン。コートに下に白いシャツを着ていた。但し、その狂った様な笑みに変わりはない…いや、寧ろ以前よりも攻撃性の増した様な笑顔。

 

「おっ久しぶり!やぁ、やぁ、ようやくシャバに出て暴れられますったく…最近は実験やら他の被験体しか会ってませんからねぇ〜」

「おまえっ…」

「どうやら、僕ちんのこと忘れてないみたいだなぁ〜。みんな大好き、フリード・セルゼンだよぉ!!」

 

 軽快な動きと、人を馬鹿にした様な笑みを浮かべるフリード。その後ろには二十人以上は配下と思われる者がいた。その中には、スーツを着た者。ローブを羽織り、表情の伺えない者などがいたがそこまで気にする余裕は巧には無かった。

 

「何の用だ。洗濯物なら、受け付けねえぞ」

「いや、イッセー君の隣にいるそこのクソハーフヴァンパイヤに用があるんで、退いて…って、そうは問屋がおろさないってね」

 

 フリードが要求を伝えるよりも前に、巧はフリードに殺気を向ける。退く気はない、と意志を伝える。そんな巧の態度に、フリードは笑ってみせた。

 

「ヒャハッハッハッ!!いいね、いいよ。サイコーですねぇ、イッセー君。これだから、面白いんだよ!」

 

 そう言ってフリードは、そこから魔法陣を展開し、手を突っ込む。そこから何かを取り出す様な仕草を見せて、一気に魔法陣から手を引き抜く。

 

 

「…っっ!?」

「…ベルト…?」

 

 フリードが取り出した物を見て、巧は驚き、ギャスパーは首を傾げる。それと同時に巧の持つ物と、それを見比べる。

 

「イッセー先輩のに、似てる…」

 

 ギャスパーの指摘は、ほぼ間違いない。

 巧の持つベルトと、フリードの取り出したモノーーベルトは、似ていて当然なのだ。

 同じ目的のために作られているのだから。

 

「変………」

 

 フリードは、取り出したベルトを勢いよく腰に叩きつける様にして装着。右手に持っていた銃のグリップの物ーーデルタフォンを右頬に近づけ、

 

「……身」

『Standying ByーーーーComplete』

 

 部屋に響く様に流れる待機音と共に、デルタフォンを右脇腹の部分に取り付けてあるビデオカメラーーデルタムーバーに換装。

 フリードの体を、ファイズとは異なり白いフォトンストリームが走る。

 

 

「デルタ…」

 

 巧は、目の前の戦士の名前を小さく呟く。巧の焦りを見て、フリードは変わらずに壊れた笑顔と声を高らかに上がるだけだった。




いつものことながら、感想を…お願いします!!

遂にデルタが登場。いやぁ〜、ここまで来たなぁ。

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