久しぶりにバトルを描いて疲れました…。
素直な感想を貰えると助かります。
ーーアーシアッ!
「イッセー、さん?」
私の名前を呼ぶイッセーさんの声が聞こえた様な気がします。
ゆっくりと目を開けるとその先には、イッセーさんでも木場さんでもない別の男性が私を見ていました。
「目が覚めた様だね、アーシア」
「ディオドラ、さん…?」
どうしてこの人がここに?
確か気を失う前の私は知らない女の人に急にーー。
「あぁ、悪いけど少し拘束させてもらったよ。君に是非、見てもらいたい物があってね」
私を襲った女性がオルフェノクであったことと、この人が冥界を裏切り『禍の団』の方々と繋がった人であるを思い出します。
この場から逃げるために力を込めますが、私の力ではとても振り解けない魔力による拘束をされている事に気付きました。
「どうしてこんなに酷い事を、冥界を裏切ったりしたのですか…?」
「………」
逃げられない私は思わずディオドラさんに訊ねてしまいました。
大きな戦いを引き起こしては誰かを、多くの人を傷つけてしまいかねないのに。
「すべては、君を僕のモノにするためさ」
「あぁ、君の心を堕としたいのさ。その為にーー」
突然、私の前に大きな画面の様な物が現れて、何かが画面に映ります。
その先にいたのは、私の大切な人達。
「これから彼らは君のために、君を救わんと死ぬんだ」
「イッセー、さん。部長さん…」
画面には変身したイッセーさんにソックリな方が二人、そしてその人達と戦うイッセーさん達の姿が映し出されていました。
「共に見届けようじゃないか、アーシア。彼らの最期を」
ディオドラさんの声なんか聞こえないくらいに。
私は、イッセーさん達の無事を祈ることに決めました。
それが今の私にできる精一杯だから。
「ひゃはははは!!」
フリードの狂った笑みと共に振り上げられたハイキックを腕を立てて受け止める。
受け止めた衝撃で踏み込んだ大地に軽くヒビを入れる。
ファイズの視界から、距離を詰めるサイガの拳が無防備な仮面に叩き込まれる。
「…ぐっ」
その一撃で数十メートルは弾き飛ばされたファイズは、仮面の下で苦しげに声を漏らす。
追い討ちをかけるように、二人の戦士は距離を詰めるべく突貫。
ファイズはなんとか立ち上がり、二人を迎え撃つべく姿勢を低く保つ。
サイガが地面を強く蹴り、走り幅跳びの要領で突撃。
「…!」
「悪いけど、君の相手はイッセー君だけじゃない」
ファイズに向かうサイガを地面から花のように咲いた剣が襲う。剣は主人が敵の前に立ったのを認識すると光となり、その場から消えた。
剣の主人、木場祐斗は聖魔剣を構えながらサイガを見据える。
「なによそ見してるんです…!」
「デュランダル!!」
今度はファイズの背後から攻撃を仕掛けるデルタに、強い光を纏ったデュランダルを操るゼノヴィアが上空からの振り下ろしを見舞う。
直撃こそしないものの、避けられた一撃はデルタがいた場所の地面を変形させている。
「あらあら、折角のパーチーをお邪魔するの?」
「何度でも、邪魔をするさ!」
ゼノヴィアが青い髪を揺らしながら、振りかぶる一撃、横薙ぎの一撃と連撃を続けるもののそれらは全て空を切るだけ。
危なげなく避け続けるデルタは、ため息を一つ溢してドライバー側面に取り付けられたデルタフォンを取り外す。
「Fire」
『Burst Mode』
音声機能付きのデルタファンを顔に寄せ、モード変更の音声が響く。
機械音が響いた後、デルタは照準をゼノヴィアに合わせるとその引き金を引く。
「くっ!」
デルタの動作とこれまでファイズの戦いを見てきた経験から、デュランダルの刀身を盾にしてフォトンブラッドの光弾を防ぐ。
防御に達するゼノヴィアの隣を、猫又化した小猫が駆け抜ける。
『戦車』の特性を遺憾なく発揮した掌底の一撃をデルタの胸元に放つものの、横薙ぎの拳が到達を防ぐ。ならば、と言わんばかりに足元を狙ったローキックを見舞う。
「わるぅござんす。そんな蹴りじゃダメージ入らんのですよ」
「ならこれっ!」
以前の姉である黒歌が放った妖力を放出する一撃。
それを真似て、青い光を纏った拳をデルタへ。
「今のは効くねぇ…おチビさん」
「チビじゃ、ありません」
大ダメージとまではいかないもののこれまでのおちゃらけた態度とは違い、明らかに小猫への殺意向けていることから少なからずなダメージは入った模様。
「よそ見を、するなぁ!!!!」
完全にデルタの意識外にいたゼノヴィアが開幕の一撃よりも更に鋭く強い光を刀身に纏わせた一発をデルタに向けて振り下ろす。
その一撃はデルタの胸元を鋭く駆け抜け、強い火花を発生させる。
後ろに二、三歩ほど後退したデルタは無言のまま、その場から消えた。
「勘違いしてんじゃねえぞ…クソ悪魔共がぁ!!」
二人の背後に回り込み小猫に裏拳を、ゼノヴィアには脇腹目掛けてハイキックを叩き込む。
ノーガードの一撃に二人とも勢いよく吹き飛ばされる。
「小猫!ゼノヴィア!」
二人の危機にリアスも堪らずに駆け寄ろうとするも、その先にサイガが立ち塞がる。
それでも構うものかと、滅びの魔力をサイガに対して放つ。
「悪いですけど、貴方達じゃ勝てない」
「それならこれはどうかしら!」
サイガは涼しげな声と共にリアスの放つ滅びの魔力を拳一つで掻き消してみせる。
焦る様子を見せることもなくリアスの隣に、朱乃が並び同時に魔力を放つ。滅びと雷光の魔力は、最短距離でサイガに到達するも前方に突き出した掌がそれを容易に受け止める。
「コカビエル如きに効かなかった技が、僕に通用するでも?」
感情の昂りを全く感じない、冷たさすら感じる声と共にゆっくりとリアス達との距離を詰め始めるサイガの前に、今度はファイズが拳を振りかぶりながら現れる。
「お前ら、あっち頼む!!」
「イッセー!」
不意をついた一撃を難なく躱すサイガに舌を打つものの、その相手を引き受けてゼノヴィア達のカバーにリアス達を向かわせる事が出来たファイズは改めて眼前の敵を見据える。
「気になりますか、仲間が。…アーシア・アルジェントさんが」
「だったらなんだよ」
「それなら急いだ方がいいですよ、あの男は危険ですし」
「くっくっくっ…そうだよ、そうなんですよ!」
サイガの同情した気持ちを窺わせる声に反応し、ファイズからは距離の離れたデルタの笑い声が聞こえた。
戦いの最中だというのに、その声は皆の視線を集める。
「だぁ〜い好きなシスター集めがあのディオドラ坊ちゃんのご趣味なんですわ」
そういった語り口で、デルタはーーフリードはまるで読み聞かせを始める様に語り始めた。
曰く、ディオドラは神を信仰する聖女が大好きだ。そんな彼女達の信仰心を砕き、自分の物にする事を愉しみにしている。
そんなある日、自分が物にしてきた少女達よりも誰よりも好みの聖女様を見つけたと。
その聖女を物にする為に敢えて自分を治療させて、教会に追放させた。
聖女の名前こそがーー。
「黙れ」
『Exceed Charge』
「おおっと!いきなり必殺技なんて、あれあれ?イッセー君怒っちゃった?」
これ以上聞くに耐えない話を終わらせる為に、デルタの前にファイズショットを構えたファイズが躍り出る。
ファイズインパクトが放たれるよりも前に体を前に運ぶ。必殺の拳を封じる為に膝を掴みその動きを止める。
両者共に全力を注いでいる為、均衡状態が生まれる。
「退け!今からアーシアの所に行く!!邪魔するなら…!」
その言葉を紡ぎ切ることなく、ファイズは拳を振り抜く。
初めて戦った時とは異なり、単純なガードだけではなくファイズショットが届く前に後ろへのバックステップで威力を軽減させる。
後方に下りはしたものの、以前ほどのダメージではないデルタはケロッとした態度でファイズと向き合う。
「悪いけど、そいつは難しいってのが分かってる?」
ファイズとリアス達の前後からデルタとサイガが立つ状況。
アーシアがいる神殿はすぐ前方に見えるがこの二人がそれを許さない。
最早切り札がどうだとか言ってる場合ではない。この状況を打破するべくファイズアクセルに指を添えるファイズを祐斗が制止する。
「イッセー君、まだそれは使わない方がいいかもしれない」
「ならいつ使えってんだよ」
「少なくともまだ敵が、あのオルフェノクが居るはずだよ」
巧の頭に、影山冴子の不適な笑みが浮かぶ。
ファイズのパワーアップツールでもあるファイズアクセルには一回の使用で10秒間のみという制約の他にも一日の使用頻度は一回までとなっている。
ファイズアクセルはファイズの体を流れるエネルギー、フォトンブラットの質を一時的に急上昇させる。その力にファイズ自体が耐えられるのが10秒間のみ、仮に変身したままで35秒間と短い時間制約が付けられている。
仮にこの場で使ったら影山冴子との再戦では使用不可になる。
「おやおや、作戦会議はもういいですか!?」
「あぁ、んなもんいらねぇよ!!」
フリードの煽りに反応する様に、ファイズとゼノヴィアが同時に飛び出す。祐斗と小猫はその後に続く様に駆け抜ける。
「アンタも懲りないねぇ、ゼノヴィアちゃん!」
「折れないことが、私の取り柄なんでな!!」
何度目かのゼノヴィアの突撃に呆れた様な声を出しつつも、デュランダルの剣戟を躱しつづける。
当たれば決してダメージが無いわけではないが、当たらないのであれば問題はないと言わんばかりの回避を見せつける。
「なら、これならどうだい?」
余裕綽々のデルタの背後に回った祐斗の聖魔剣が迫る。
「問題ねぇて、言っただろ…色男」
振り向いたデルタは聖魔剣を難なく掴み取る。その早業に祐斗は目を見開き、カウンターの回し蹴りを右半身に見舞われる。
祐斗から奪った聖魔剣を、クルクルと回しながらゼノヴィアに剣を振るう。
「オラオラ、避けないと死んじゃうよ〜」
「舐めるなぁ!!」
デルタの振り下ろしを横に倒したデュランダルで受け止めて、屈んだ姿勢からの前蹴りを放つ。
軽く下がるデルタとの距離を詰める為に先方に軽く飛びながら剣を振り下ろす!!
ゼノヴィアとデルタの距離がゼロになるその最中、画面の下にある幼馴染の顔を思い出し、そして彼を助ける事を誓ったゼノヴィアの思いが最大限に高まった。
「これで終わりだ、フリードっ!!」
「ーーーっ!!?」
ゼノヴィアの声に呼応するデュランダルが強いオーラを纏う。
聖魔剣とぶつかり合ったその瞬間、聖魔剣を真っ二つに斬り裂きそのままデルタの体を通り過ぎていく。
攻撃を喰らい、何秒間か体がふらつくデルタ。少しするとその体は平衡感覚を取り戻した様に真っ直ぐに立ち尽くす。
『Error』
機械音が、ゼノヴィアに届いた時には変身の際の光が再度発生してデルタの体を幼馴染のそれへと戻す。その体は力なく崩れ落ちていく。
即座に幼馴染のーーアレンの元に駆け寄り、その体を支える。
「…あらあら、この俺がこんな所で、か」
「今のお前は、どっちなんだ」
「さぁねぇ、ただ『アレン』なんてもう…い、ない……」
そう言ったアレンは、静かに目を閉じる。
けれどその鼓動は止まっていない事から意識を失っただけである事は確信できる。
「ようやく…か」
そう呟いたゼノヴィアは、まだ戦う仲間の元へ向かうべく立ち上がる。彼女の視線の先には、赤と青が交錯し続けていた。
「…えい!」
小猫の放った妖気の込められた一撃を、球技でもするかの様に蹴り返すサイガ。その狙いの先には攻撃を放った小猫が。
「小猫ちゃん!,…ってえぇ!」
『Burst Mode』
「ギャスパー君!私の後ろに!」
小猫に向かう一発を、自身の力で停止させてみせるギャスパー。
彼女を守れた安堵するのも束の間、今度はフォトンブラットの光弾がギャスパーへ。
逃げ遅れたギャスパーを守るべく朱乃が前に立ち魔力障壁を展開。
「よせっ!」
容赦なく朱乃に対するフォトンブラットを浴びせ続ける。ファイズはサイガファンを握る右手を掴み上げて、その方向を逸らす。
サイガも距離を詰めたファイズの体を軽く持ち上げて、ボールを投げるかの様に投げ飛ばす。
「イッセー!」
名前こそ呼ぶものの、投げ飛ばされたファイズが綺麗に着地して見せたのを確認したら安堵の表情を浮かべる。ファイズがそのまま駆け出したのを確認し、同時に飛び出すと怪我をした面々の元へ駆け寄る。再度確認した時、ファイズは再び拳を大きく振りかぶっていた。
ファイズとサイガが互いの間合いに到達する直前、サイガが変身を解除した。
「何の真似だ」
「事情が変わりました。…貴方達の相手はここまでです」
ファイズに対して、無防備なまでに背中を晒すサイガーー天城。
何処かファイズがこの状況で手を出すことないだろうと信頼している様にも見えるが…。
「早く行かないと、まずいんじゃないんですか?」
そう言い残して、天城の体が転移の光に包まれた。
後にはなにも残らず、風がファイズの仮面を静かに撫でるだけ。
「ここから先は、私とイッセーと祐斗とギャスパーで行くわ」
リアスは今のメンバーの体の状態を鑑みた上での判断を伝える。
ゼノヴィアと小猫はデルタとの戦闘でダメージ的に今後の戦闘は難しいと判断。朱乃はその二人と護衛と捕縛したフリードの見張りとして残す事に決めた。
既にアザゼルに連絡し、少ししたら応援が来る手筈になる。
因みにシトリー眷属とロスヴァイセ達はビートルオルフェノク達との戦闘を終えたとの連絡も取れた。
杞憂はもうない。後はーー。
「アーシアを助けるわ、今度こそディオドラを吹き飛ばし、この騒動にケリをつけるわ!!」
おう!と皆が答える。
巧達は、アーシアがいる神殿に向けて駆け出し始めた。
「待ってろ、アーシア。必ず迎えに行く」
次回で六章最終回になります!!
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