ハイスクールFaiz〜赤い閃光の救世主〜   作:シグナル!

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お世話になります。
久しぶりの投稿になります!
これから月に三話は投稿したいと思います!
どうか感想や評価をよろしくお願いします!!!


放課後のシビルウォー
再始動


夜の駒王町、何処にでもある地方都市。

けれどもそんな街とは縁遠い筈の異形の影が街を駆け抜ける。

 

「はぁ…はぁ、なんだってんだよちくしょう!!」

 

灰色の体を持った異形ーーオルフェノクは息を荒げながら逃げ惑う。

先程までは自分が最近思わぬ形で得ることになった【力】を振るうために夜の街に繰り出していた。

その力で、罪もない人間を殺す事を目的として。

 

「…ここまで来ればいいか」

 

走り続けて数分。先程仕事を終えて帰宅しようとしたサラリーマンの男性を襲った場所から10キロ以上は離れたであろう事を確認して立ち止まる。

少し呼吸を整えてから、新たな目標を探そうと周囲を観察するオルフェノクの前に、それは現れた。

 

「!!?」

 

駒王町にある駒王学園の制服を着ている、バイクに跨る青年。

被っていたヘルメットを外してオルフェノクを見据える。慣れた手つきでバックの後部座席からカチャカチャと金属音を立てながらベルトのような物を取り出す。

 

「お前…、【仮面ライダー】か!!」

 

オルフェノクは、最近巷で耳にした都市伝説の名前を叫ぶ。

 

 

仮面ライダー

時折、この駒王町や他の地方都市で名前が知られてる謎の戦士。

夜な夜な現れる異形の存在と戦う仮面を纏うライダー。街によってはその存在が眉唾物とされる街もあるが一方で存在を公認されたなどと話が飛び交っている。

そんな噂の存在が、自身の目の前に居る可能性に気付いたオルフェノクは、声に確かな恐怖を染み込ませていた。

 

 

『Standing By』

 

「変身!」

 

『Complete』

 

青年は取り出したベルトに、携帯電話を装填。

すると青年の体は赤い光と共に文字通り【変身】を果たす。

オルフェノクはその眩い光に一瞬目を細める。光が収まった後、自身の懸念が正解である事を悟った。

 

 

「へへ、お前を倒せば俺の名前も広まるってもんだよなぁぁぁ!!」

 

 

猛りと共に突撃してくるオルフェノクを前に仮面の騎士いや、仮面ライダーファイズはいつも通りの手首のスナップを響かせる。

それが開戦の合図となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ、そっちの方はどうだ」

「えぇ無事よ。イッセーのおかげで怪我人も居なかったわ」

「分かった」

 

ファイズフォンにてリアスと連絡を取り、先程斃したオルフェノクに襲われた男性の無事を確認して乾巧は小さく息を吐く。

 

いつもと同じように駒王学園に登校し、オカルト研究部の面々と帰宅をしている所男性の悲鳴が聞こえて現場に急行。

そこでオルフェノクに襲われそうになった男性を見つけた、というのが事の顛末だった。

 

 

「そうだ、さっき部室でも言ったのだけれど見せたい物があるから出来るだけ早く戻ってね」

「なんだよ、見せたい物って」

「それは、見てのお楽しみよ。待ってるわ」

 

そう言ったリアスから通話が切れる。

現在、巧の家に下宿しているリアスやアーシアのみならず、オカルト研究部や生徒会の面々といった仲間達全員に総集合させる程に見せたいとは何なのだろうか、そんな疑問はあったものの帰宅すれば分かるためそこまで深く考えずに巧は帰宅するために愛機のエンジンをかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだこりゃ……」

 

帰宅した巧は自室に置かれたテレビを前にそう呟くことしか出来ない。

いつものオカルト研究部や生徒会の面々にアザゼルが巧の自室に集まる中で皆の視線は部屋に置かれたテレビに集中した。

 

『ちょっとあなた怪我してるじゃない。ほらこっちに来て』

『これくらい別に気にすんな』

 

テレビに流れるのは、巧とリアスの2人によく似た男女の会話劇。

そこから話は進んでいきーー。

 

「こいつが今後冥界のメディアで流される番組、【仮面ライダーファイズ】。まぁ、タイトルとかは変更されるかもしれないけどな」

「なんの真似だよ、これ」

 

自慢げに話すアザゼルに呆れと怒りを込めた言葉を放つ。そんな巧を他所にアザゼルは画面で流れるドラマに夢中な面々に大してこう続けた。

 

 

「話としては、冥界の名家の次期当主のお嬢様が記憶を失い1人で旅を続けた若い悪魔と出会い、冥界に現れた謎の怪人や支配者たちとの戦いに身を投じるって特撮物の予定だ」

「それにしても随分と手が込んでるんですね…さらにお話もすごく面白いです」

 

オカルト研究部の中でもアニメなどを見るギャスパーが感心した様子で呟く。

主役の2人は言わずもがな、そんな2人の仲間としてオカルト研究部の面々や生徒会メンバーなどがモデルであろうキャラたちが続々と登場する。

 

「まぁ、企画は俺で脚本はサーゼクス。基本的なスポンサーにはグレモリー家でシトリー家も一枚噛んでる。まぁ、今若手の中でも人気のあるお前たちをモチーフにしてるからな既に予告編は冥界でも話題なんだぜ」

 

鼻が伸びたのでは錯覚する程に自慢げなアザゼルを他所にリアスが補足を加える為に静かに立ち上がる。

 

「私もさっき知ったのよ。お父様とお母様からみんなの許可を得てから本編を冥界でも放送したいってお話をもらってね。…どうかしら?」

 

生徒会の面々も、オカルト研究部も首を縦に振る。

その後、とある1人に視線が集中するが…。

 

「なんだよ」

 

無愛想な言葉からは本人の不機嫌さが滲み出ていて、この作品の放送に納得をしているとは到底思えない態度をする巧。

リアスとて巧がこういった形で注目を浴びるのを望まないのも分かってはいた。それでもこの番組が放送されれば巧の、ひいてはファイズの評判改善に繋がるのではと考えての行動でもあった。

 

 

「俺は、こんなに持ち上げられる様な奴じゃねぇよ。悪いけどな」

 

 

画面の中に映る自分によく似た主人公。

ヒロインの少女を守る為、正義の為に悪と立ち向かおうとする主人公。

巧から見れば、自分が正義の味方と考えた事は一度もなかった。

無論、リアス達が自分の冥界での立場を慮り行動してくれた事は分かる。

だからこそ無碍に出来ない。

 

「……悪ぃ」

 

 

そう短く呟くと巧は静かに部屋を出た。

残った面々は一旦動画を停止させる。皆が何も言えない中、ふと白髪の青年ーーフリードが沈黙を破った。

 

「まぁ、無理ねぇんじゃないっすか?…イッセー君も目立つのが好きってタイプでもないっすから」

「それもそうね。…私からもう一度話をしてみるわ」

 

リアスの一言で取り敢えずその場は一旦解散となり【仮面ライダーファイズ】の公開は一旦持ち越しとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、巧さん。髪伸びたわね?」

「さぁな」

 

部屋を人口密度の多かった部屋を出た巧は皆が帰宅するのを見送った後、リアスに誘われて二人で散歩に出掛けていた。

ビデオ会での巧の表情を見たリアスが堪らず声をかけて,二人で家を出た。

夏が過ぎ、秋に差し掛かった夜の気温は少し前の唸るような暑さから少し肌寒さも感じるほどとなった。

 

「出会った頃から一回も髪の毛切ってないじゃない」

「そうかもな」

 

兵藤一誠に憑依してからの期間一度も手入れされていない髪の毛は大いに伸びており、その髪型はかつての自分、乾巧の頃にも近くなっていた。

元々、長髪だった事もあり鬱陶しさを感じていなかったために特に散髪という選択肢を入れていないと自己完結する巧。

それに加えて、髪を切るのは決まって彼女だった。

 

「確かに、あいつが切らなきゃ伸ばしっぱなしだったからな…」

 

最後に巧の髪を切ったのは美容師を目指してバイト先の美容院に受かった真里だった。

彼女の練習も兼ねた実験台となった日々を思い出して、小さく笑う巧を隣で見つめるリアス。

 

「髪を切っていたのって…真里さん?」

「なんで」

 

知ってるのか、そう言いたげな巧の顔を見てリアスはポツポツと語り出す。

 

「巧さんが前にその人の名前を言ってたのを思い出したのよ。…やっぱり会いたいの?」

「あぁ」

 

巧のいつもながら短い返答ではあったが、その表情にはリアスには分かれない程の思いがある事を感じさせる。

恋人ではないが、巧にとって仲間の一言では片付けられない大切な女性。

今の自分が真里の代わりになれるーーなどと考えはせずに自分なりの在り方で巧の力になると決めたリアスは再度巧に問う。

 

「ねぇ、巧さん。さっきの話なんだけど、やっぱりあれを放送は嫌…かしら?」

 

あれ、とは先程アザゼルが持ってきた【仮面ライダーファイズ】の事。

巧自身、あの作品で自分に立っている悪評を相殺したしようとアザゼルをはじめとした周囲の面々の好意は感じている。

どちらかといえば、自分はあの様な賞賛される事をやってきたつもりはないと巧なりの気持ちがある故に表立って喜べなかった。

 

「柄じゃねえ…そう言ったろ」

「あら、そんな事ないわ。…ファイズは闇を切り裂き光を齎す。そんな気がしたから私もあの作品作りを協力したのよ」

「つーかなんだよそのフレーズ。言ってて恥ずかしくねぇか?」

「私なりのキャッチフレーズよ。巧さんのおかげで私の眷属は増えて,オカルト研究部だけじゃない繋がりを持てた子達もいる。少なくとも貴方は私たちにとっての救世主よ。正義のヒーローさん?」

 

強く言い切ってみせたリアスは美しく微笑む。紅の髪が夜空に照らされて絵画じみた美しさを引き立たせていた。

学園一の美少女。

そんなキャッチフレーズを以前松田と元浜がリアスに付けていたと巧は思い出した。

 

「別に放送すんなって言った覚えはねえよ。…まぁ、好きにしてくれ」

 

軽く頭を掻いてから巧は恥ずかしさを誤魔化す為に少し歩く速度を早める。リアスはそんな巧を逃すまいと追いつく為に歩く速度を早めた。

 

 

 

 

 

この夜から何週間後、冥界で放送された【仮面ライダー555】は冥界・天界を中心に爆発的なヒットを飛ばし、グレモリー家の誇る豪華な名産品とは別の形での大きな収入源となったのはまた別のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「修学…」

「旅行の班?」

 

リアスとの散歩の翌日。

教室でいつもの面々で囲んで食べる巧は突如かけられた声に橋を止める。

その正面では鼻息を荒くした松田と元浜が強く訴えかける。

 

「そうだとも!この後の授業は修学旅行の班決めだ!!イッセー、お前は勿論俺たちと組むよな!?」

「むしろ組まなかったらゆ、る、ざ、ん!!」

「……お前らが組みたいのは俺じゃなくて」

 

同じ班になろうと懇願された巧はふと視線を彼女たちに向ける。

その先には、同じ場所で昼食を取っている彼女たちーーオカルト研究部と桐生がいる。

 

「どうしたのイッセー君?」

 

巧の視線を受けて、女子メンバーを代表するようにイリナが声を掛ける。

そう、松田と元浜の目的は自分ではなくこの美少女たちだ。

 

因みに巧のクラスは転入生の人数の関係で、一つの班のみ男子四人と女子四人の合計八名の班が作られる事となっていた。

そして、その女子はクラス…いや、学年でも評判のアーシア、ゼノヴィア、イリナの3人と桐生の四人。

対して男子面々は巧、松田、元浜に加えて後一人は…。

 

 

「おうおう、俺っちも混ぜてくれよ」

「なんだよ急に」

 

突如現れ、巧の肩に肘を置いた白髪の青年ーーフリードだ。

 

「おぉ、フリードお前からも言ってやってくれ!」

「そうだそうだ、イッセーと俺たちの仲を気づかせてやってくれ!」

「あいあいさ〜」

 

砕けた様子で声を掛ける松田と元浜に軽く手を振るフリード。

そう、彼がもっとも新しくこのクラスに転入した生徒であった。

 

学園の王子の名をほしいままにしてきた裕斗にも勝るとも劣らないルックス。それに加えて王子様然としている裕斗とはことなりのらりくらりとした性格は女子よりも男子たちとのノリがあったようだ。

特に松田と元浜とは馬が合うようで最近はフリードも加えた男子四人で過ごす事が多い。

比較的騒がしいメンバーではあるが、この面々ならきっと修学旅行も悪くない。

そんな予感を持ちつつ巧はフリードの肘を軽く叩いた。

 

 

「あぁ、いいぜ」

「おっ、イッセー君にしてはやけに素直じゃん。なに、変なもんでも食ったの?」

「前言撤回だ」

 

 

そう言うとフリードを含めた男子3人から再度班になるのを求められ、表情こそ渋々ではあったが巧は修学旅行の班を決めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ならアーシア先輩たちの修学旅行の班は決まったんですね」

「はい!今から凄く楽しみです!」

「ふむ、お土産は事前に言ってくれればなんでも買ってくるよ」

「そうね、やっぱり京都だから八ツ橋は必須よ!」

「たくさんお願いします」

 

その日の放課後。

いつも通りオカルト研究部では本日決まった修学旅行の班について、アーシアたち3人と1年生組が盛り上がっていた。

そんな彼らの隣で、巧と裕斗はそれぞれ朱乃が入れた紅茶を飲んでいる。

 

 

「そういう内容なら僕達とまで合流できそうだね」

「まぁ、その時好きにすればいいだろ」

 

事前に共有された行動予定を確認して、合流出来る時間帯があるのであれば合流したい裕斗に巧も軽く言葉を返す。

フリードは紅茶こそ飲んでいないものの、配布された資料に軽く目を通してから机に置く。

 

「まぁ、俺らは有事の際に備えて一緒にいた方が都合いいってこったな」

「なんだよ有事って」

「イッセー君は知らねぇ…って、そりゃそうだわな。一応京都ってのは悪魔でも天使でもねぇ連中の縄張りってことになってる。だろ、イケメン君?」

「あぁ、…妖怪。彼らが京都を中心に息づいている。もちろん,僕達のような他の種族が入り込む事を禁止してるわけじゃない。むしろ,許可さえ取れば問題なく立ち入りは出来るはずだよ」

京都の裏事情を軽く知っていたフリードと裕斗は少し真剣な面持ちで巧にその情報を伝える。

悪魔や堕天使といった種族の知識が薄い巧でも京都と妖怪が結びつくのに時間は掛からなかった。

 

「むしろ今、三大勢力は他の神話体系との友好を進めようとしています」

 

ふと巧の後ろからおかわりの紅茶とフリード用のコーヒーを用意した朱乃が裕斗とフリードさえも知らない情報を呟きながら現れる。

3人は即座に振り返ると、一瞬不機嫌さを浮かべた朱乃がいつもの笑みを浮かべて巧に少し冷ました紅茶を差し出した。

 

「その第一歩として、日本神話との交流を持とうとしています。…その最初の会談場所が京都となり、その場所には北欧の神も同席するそうです」

「そんな話まで…。やっぱりオーフィスやテロリストたちの影響があるんでしょうか?」

「えぇ、その可能性は高いかもしれません」

「ちゅーか、なんで副部長さんはそんな機密情報知ってるの?」

 

フリードの質問に、朱乃はさぁ?と人差し指を唇に添える仕草を見せて女子メンバーのトークに混ざり出した。

軽くかわされたフリードはったく、と拍子抜けな表情を見せる。

巧は朱乃が一瞬見せた表情を忘れる事が出来ずにいた。

 

巧たちがおかわりのコーヒーを飲み干した頃、リアスが遅れて現れていつも通りの部活の時間は過ぎていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

同日、駒王町某所にて。

 

「たく、訪問を早めるならお前から言っといてくれよバラキエル」

「申し訳ない総督。しかし主神どのを止める事は…」

「部下を責めてやるな、アザゼル坊。儂がロキを沈めたのを助力した上で疲れ切っていたからのぅ。まぁ、儂が会いたい若者達がいるからと無理に来させたんじゃ」

「全くオーディン様は…。総督、お疲れ様です」

 

 

北欧神話のオーディンが駒王町に舞い降りた。

 




章タイトルから分かるように7巻はオリジナル要素が強めです。
基本的には7巻の要素は少なめですが、よろしくお願いします!
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