ハイスクールFaiz〜赤い閃光の救世主〜   作:シグナル!

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お久しぶりです。


天を統べる力

「こいつ、街中でやらかす気かよ!」

「みたいっすねぇ。そんな気持ちあったら元々テロリストなんてやってねぇつうの」

 

目の前で相対するサイガを視界に捉えながら、匙とフリードは警戒心と僅かな恐怖心に駆られる。

 

「なぁ、あんた。そんなゴツイ武器背負ってましたっけ?」

 

おちゃらけた、けれど緊張感を持った問いにサイガは沈黙を貫く。

そう、今2人の前に立つサイガの背にはこれまで見たことのない装備…いや武器が取り付けられていた。

 

「帝王のベルトが一本、天のベルト。それがこのベルトに冠された名前。そしてお前達を屠る力だ」

 

言い切った直後、サイガは背中に背負ったバックパッカー型の飛行装置ーーフライングアタッカーを起動させる。

戦闘状態に入った2人に反応すらさせないほどの速度で2人との間合いを詰める。その証拠に響き渡る加速音と飛行機雲を発生させる。

 

「Fire!!」

『Burst Mode』

 

ドライバーからデルタファンを取り外し、至近距離でフォトンブラットを見舞うも低空飛行するサイガが舞うように攻撃を避ける。

デルタの攻撃を避けた直後、サイガの死角へ踏み込んだ匙が全力の蹴りを放つものの肘を立てて受け止める。

巨木を蹴った感覚に見舞われた匙の腹部にカウンターのストレートを。さらに続けて胸部に前蹴りが続けざまに放たれた。

 

「っっ!!!」

 

サイガの連撃に小さく乱れた呼吸をするしかない匙は住宅街の中にあった公園まで吹き飛ばされる。意識が飛びかかる中,なんとか歯を食いしばりながらも立ち上がる。

自身が軽く数十メートルは吹き飛ばされた事を確認しつつ、仮に人間であったならば既にこの世にはいない事を実感し、背中に冷たい物が走る。

大きく首を横に振り、自分を飲み込む大きな恐怖を噛み殺す。

 

「俺を、ソーナ・シトリー様の眷属なめんじゃねぇ!!」

 

自らの中の悪魔の駒と神器の力を最大限高めて、匙は再びサイガに向けて駆け出した。

 

 

 

 

 

「まずは一人…原型は留めているか。次はお前の番だから」

「はっ、あんな2発でやられるようなタマじゃねえよ」

 

吹き飛ばした匙の姿を確認しつつ、その首を刎ねるために歩き出したサイガの前にデルタが立ち塞がる。

駒王町の住宅街に異世界から齎されたベルトの戦士達が向かい合う。

 

 

数秒間、視線が交錯する中でサイガはフライングアタッカーの引金と操縦桿でもある持ち手をデルタへ向ける。

 

ーーやべぇ!!!

 

これまでの悪魔や様々な存在との戦闘経験に基づいた直感に従い、体を真横に倒す。

その直後フォトンブラットの雨がデルタのいた場所を貫く。その背後にあった住宅をも破壊して、煙を上げる。勿論、中にいた住民は突然の爆音として自宅の破壊に悲鳴をあげるしかない。

悲鳴を前に、デルタは咄嗟に救助の為に意識を住宅に向けたがその隙を狙うかのようにサイガの攻撃が放たれる。

 

「くそがぁ!!」

 

再びのフォトンブラットによる射撃ーー弾幕がデルタを襲う。

自身が回避すれば街と住民に被害が出る。その可能性はデルタから回避の選択肢を奪ってしまう。

腕を交差させて防御の姿勢を見せるも長く持つわけではない。

後何秒かすれば意識さえも飛びそうになるも仮面の下で大きく歯を食いしばりながら、デルタは体を前に運ぶ。

 

 

「やめやがれぇぇぇ!!!」

 

冷酷なまでに攻撃を続けるサイガの背中を、黒い龍脈のラインが絡めとる。眼中になかった妨害に苛つきを隠さずにラインを振り払う。

匙の黒い龍脈は本来,ラインに巻き付いた相手の力を吸い取る能力を持つがベルトを持った相手には行使できない。

それでも相手の動きを止めたり,その妨害をする事は可能。

 

「食らえやぁ!!」

 

サイガが振り払ったラインは再びその腕に巻きつき、その動きを一瞬止める。それ見た匙は一気に距離を詰めて、ドロップキックを放つ。

放たれた蹴りを前に裏拳を使ったパリィに攻撃を逸らされる。着地した匙はそのまま『戦車』の力を解放。懐に入り込み拳を何度も放つもののその全てを躱すか逸らされてしまい、不発に終わる。

 

「これで終わりか?」

「舐めんなよ…なぁ、二号ライダー!!」

 

諦めを促すサイガの上空から踵落としを放つデルタの姿を捉える。その一撃を腕を頭の上で交差させて受け止める。攻撃の余波は受け止めたサイガの足元のコンクリートがひび割れる形で現れる。

 

「こんちくしょうがぁぁぁ!!」

 

叫び、いや文字通り龍の咆哮のような怒号がサイガに届く。その声の主である匙が黒い龍脈を纏った右手でサイガの胸元は全力の一撃を放つ。

匙の魔力、悪魔の駒、彼の中にいる五大龍王の一角ブリトラの力を顕現させた最高の一撃はサイガを僅かならか後退させるが、勝負を決する一撃にはならなかった。

 

 

 

 

 

 

むしろ,彼を本気にさせる一撃となってしまった。

 

 

 

 

 

「なるほど,ファイズ、デルタですらない悪魔にここまでの一撃が放てるとは」

 

小さな呟きの後に、匙に対してフォトンブラットの雨を放つ。

青いフォトンブラットは匙の体を貫通。その体は地面へと力無く倒れる。

 

 

「ここで殺しておくか」

「てめぇ!!!」

 

サイガがトドメの一撃を放つ寸前、蹴りを放つデルタにより攻撃は中止するものの余裕のある態度は崩れない。

デルタは自身の背後に倒れる匙を一暼し、まだ意識がある事を確認。

 

 

「フリー、ド。勝って、くれ」

 

紡がれた小さな言葉にあぁ、と小さく答えたデルタは自身もデルタフォンからフォトンブラットによる射撃を行う。

放たれた光弾をフライングアタッカーを背負っているとは思えないほどに軽快な動きで回避するものの、間合いを詰めたデルタの拳は避けきれない。

放たれたストレートの一撃はサイガの顔面を捉える。

軽く後退するサイガを追うように駆け出すデルタの視界からサイガは煙をあげながら消える。

周囲への警戒、そして死角から襲撃に備えたデルタの正面に黒い翼ーーフライングアタッカーを背負ったサイガが現れる。

 

「ーーっっ!!」

「貴様はここで終わる」

 

伸びた手がデルタの喉元に届いた瞬間、脳への酸素の供給が停止。

微かな息の漏れを認識したデルタの体がサイガの腕一本で宙に浮かぶ。

拘束を解こうにも首を絞められたままでは大した反撃は繰り出せない。

ならばと、腰のホルスターに収めていたデルタファンをサイガの胸の中心へ当てがう。

 

「…っ!!」

 

放たれたゼロ距離からのフォトンブラットは流石に効いたのか、デルタの首を絞める力が微かに弱まる。

一瞬の隙を見逃さず、すかさず蹴りを見舞ったデルタが地面を転がるようにして距離を取る。数秒の後にゆっくりと立ち上がり、眼前の敵を見据えたデルタは即座に地面を蹴った。

 

「ハナッから、俺はまともにテメェの相手なんざするかってぇの!」

 

地面を低く滑走するかのように駆けるデルタはサッカーのディフェンダーが相手からボールを刈り取る様に自身の足を、サイガの足へ絡める。

腰を強く捻りながら、両手を地面に付ける。その勢いを利用して体を起こし、サイガの体を地面へ叩きつける。

コンクリートを粉砕した一撃をもってしても,大したダメージにはならない。何事もなかったかのように立ち上がるサイガに舌を鳴らす。

 

 

「あぁ、そうかい。なら、チマチマ細え手は無しだ。すぐにケリつけますか」

「やれるものならやってみろ」

「Check」『Exceed Charge』

 

デルタは口元にデルタファンを寄せて、呟く。

直後、ドライバーから両手で構えたデルタファンに向けてフォトンブラットが集約された。

 

「喰らえやぁぁ!!!」

 

雄叫びと共に繰り出されるのは、デルタ唯一の必殺技ーールシファーズハンマー。集約されたフォトンブラットが相手の体を拘束し、そこはキックを叩き込む。ファイズのクリムゾンスマッシュよりも高い破壊力を誇るその一撃をデルタはサイガへと放った。

奇しくもこの世界に住まう魔王の名を冠した一撃を前にしても、サイガに動揺は見られない。

 

『Exceed Charge』

 

拘束された状態で、サイガは必殺技を発動。

デルタ同様にフォトンブラットが一点に集約され、敵を穿つ技を放つ。

二人のライダーの必殺技を衝突し、鬩ぎ合う。

 

その攻防を制したのはーーサイガだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「く、そ…っ!」

 

変身が解除され、激しい痛みを抑えながらも立ち上がったフリード。

彼の視線の先には、ダメージこそ負ったものの変身は解除されていないサイガの姿があった。

再び変身をするために自身の近くに転がったデルタドライバーを手にするのと同時に、巧達の姿が目に入った。

 

「一旦、選手…こーたい」

 

ーー後は任せたぜ、ヒーロー

 

フリードはもう一人の仮面ライダーに声援を送りながら意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リアス,裕斗。あいつらを頼む」

 

凄まじい戦闘により荒れた駒王町の中、巧は意識を手放しているフリードと匙の介抱を二人に任せる。

巧の頼みに即座に頷いた二人は彼らの元に向かう。各々が役目を持って動く中、状況についていけない虎徹の視線はサイガに向かう。

 

「おい、奏!!!」

 

呼びかける声にサイガからの返事はない。いや、微かに反応こそして見せたものの返事をする必要が無いと判断したのだろう。その視線は自分を呼んだ男には向かない。

 

「次はファイズか」

 

呟いた言葉は酷く冷たいものだった。

巧は自分を見据える眼前の戦士が、一度拳を交えた敵だとは思えない。

けれども現実は容赦なく巧達を襲う。

 

「おいあんた、さっさと離れてろ」

 

動く事が出来ない虎徹の意識を覚ます様に、この場からの退却を促す巧。

その腰には既にファイズドライバーが巻かれていて臨戦体制である事を示していた。

 

「変身」

『Standing By』

『Complete』

 

巧の呟いた声と、変身を告げる赤い光が視界に映る事で漸く体を動かす虎徹。既に彼の視界にはぶつかり合う二人の戦士がいた。

 

 

 

 

「部長、二人を一旦任せてもいいですか!」

 

匙君とフリード、二人の無事を確認した裕斗は私に向けてかつて無いほどに逼迫した様子で問いかけた。

その理由は問うまでもなく明白。

 

「えぇ。私もアーシア達が到着次第すぐに向かうから。裕斗、イッセーをお願い」

 

私の指示に力強く頷いた裕斗は、即座に聖魔剣を一振り創造。そのまま勢いよくその場から駆け出す。向かう先は当然、巧さんの元へ。

私の足元には意識はないもののアーシアが現着すれば命に別状はないであろうフリードと匙君が。

恐らく二人が居なければ、あのサイガが学園で暴れていたのは想像に難くないだろう。

 

「部長!!」

 

振り返ると転移の魔法陣からアーシアとソーナが現れた。

私はすぐに二人に駆け寄り現場を伝える。

 

「アーシア、二人の治療をお願い。ソーナ、他のみんなは?」

「子供達二人は、残りのメンバーとアザゼル総督達に付いてもらってます。ここは私が三人を護りますから貴方は彼らを」

「えぇ!」

 

アーシアが治療した事を確認して私は、翼を広げて巧さん達の元へと向かう。

 

 

「裕斗、合わせろ!」

「あぁ!」

 

降り頻るフォトンブラットの中、ファイズと裕斗は並び立ちながら共に剣を振るう。ファイズの手には裕斗と同じ聖魔剣が握られていた。オートバジンがこの場にいないための応急処置としては充分だろう。

 

「…このままじゃ崩される!!」

 

攻撃を受け続ける劣勢に裕斗も焦りを感じざるをえない。

フライングバックパッカーからの攻撃を続けるサイガは、30メートルは離れた距離にいる。

 

「ここは俺が凌ぐ…お前が仕掛けろ」

「あぁ!」

 

珍しいファイズからの頼みに、即座に応えた裕斗は防御に向けていた意識を回避と視覚からの奇襲へと切り替える。ファイズは剣を大きく振るう事で裕斗の道を切り開く。たった一瞬を持って、裕斗はサイガの射線から外れた。駆け抜ける最中、地面や崩れた土砂を蹴り立てサイガの背後へと向かう。狙うは最大の人体急所ーー首。

 

ーー喰らえ!!!

 

自身の最大の強みである速度を最大限発揮した聖魔剣の一撃を、サイガに向けて振るう。

背中に背負ったフライングバックパッカーを見事に避けつつ、その一撃は首筋を捉える直前に弾かれた。

他でもないサイガによる防御によって。

 

「っ!!」

 

塞がれた一撃を認識するやカウンターに備える裕斗の眼前にはサイガのハイキックが迫る。

かつて無いほどに研ぎ澄まされた神経が、なんとか回避を成功させる。

体を仰反る形で回避した裕斗ではあるが、一人の戦士としての予感が次なる危険に警鐘を鳴らす。

 

「よく避けたな」

 

無感情な声と共に、サイガのキックが再び迫る。体が仰反っていた為防御の体制を取ることしか出来ない裕斗を容赦なく蹴りが迫る。

咄嗟に構えた聖魔剣とサイガの踵が触れ合い、その場を中心に衝撃が発生。当然ではあるが、裕斗の体でサイガの攻撃を受け止める事は出来ない。へし折られた聖魔剣の刃と共に裕斗の体も地面を転がる。

 

「裕斗っ!」

 

空を舞うリアスは急降下を試みて、裕斗の元へ。地面を転がる裕斗に受け止めたリアスは、自身達に迫るサイガに向けて滅びの魔力弾を牽制も兼ねて放つ。

 

「この程度では足止めにもならないぞ、リアス・グレモリー」

「えぇ、準備運動だもの。せっかくだし一緒に踊ってくれるかしら?」

 

挑発的な笑みを浮かべ、両手に滅びの魔力を纏わせるリアス。

先ほど放った物とは異なり,文字通り滅ぼすための魔力弾を形成。

両手で形成したそれを容赦無く敵へ放つ。

リアスも分かってはいたが,サイガはそれらを腕で払い退けるだけで防ぎ切る。

 

「まだまだ行くわよ!」

 

街中ということもあるため多少は威力を抑えてはいたが,サイガにダメージが見受けられない事から更に質と魔力を込められた滅びの魔力を両手から解き放つ。

 

「なるほど、これが滅びの魔力か。確かに魔王サーゼクスの物であれば俺の命は無かっただろうな」

「あら、言ってくれるわね!」

 

何処かリアスも感じていたことを指摘され、学園でも評判の美貌を怒りを滲ませる。そのまま滅びの魔力を操作し続け、その矛先をサイガへ。

先程から全て弾かれた魔力弾は進行方向こそ変わったが、以前としてリアスには操作可能。

 

「喰らいなさい!!」

 

突き出した右の手のひらを勢いよく握りしめる。

その瞬間、四方八方に散らばったサイガが防いだ魔力弾が一斉にサイガヘと向かい始める。

 

『Exceed Charge』

 

リアスの一撃は確実にサイガヘ向かう筈だったのだが、衝突の瞬間に青いフォトンブラットが強く光る。

攻撃を仕掛けたリアスは何が起きたのか理解できずにいたが,サイガの背負ったフライングバックパッカーから煙が出ていたことから、自身の攻撃が防がれた事を察した。

その後に何事もなかったようにサイガは歩みをリアスへ進める。

 

二人の距離が5メートルを切った瞬間、サイガの意識が自分からリアスへ比重を変えた瞬間。

ファイズがまるで弾かれたボールのように勢いよく飛翔。

 

「Exceed Charge』

 

サイガの研ぎ澄まされた聴覚がその電子音を捉えたときは既に時遅く。

振り向き様にファイズのグランインパクトがその胸を捉えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「イッセー!」

「悪い」

 

リアスはファイズの必殺技でサイガが吹き飛ばされた事を確認。そのまま綺麗な着地を見せたファイズはすぐにリアスと裕斗の元へ。

 

「貴方どうやって…」

 

突然射出された事に質問をすると、ファイズは応える事なくその視線を自身が飛んできた方向へ。

その先にはソーナの隣で、怪我をしたフリードと匙を抱えるバジンと朱乃の姿があった。

どうやら,巧達の劣勢を聞いたのか助っ人にきたのだろう。

 

「まだ気を抜くな。…アイツはこの程度じゃない」

「えぇ、分かってるわ。けど…」

 

一瞬和やかな空気になりつつあったが、ファイズの一言で気を引き締められたリアスはサイガが飛ばされた方向へ視線を向ける。

しかしながら,その先には誰も居ない。静かに戦いの余波を受けた街の姿がリアスには映っていた。

 

「居ないのかしら。…逃げられた、いえ取り敢えずはこの場では見逃してもらえた、と言った方がいいかしら」

「あぁ、かもな。…アイツら以外の怪我人はどうする」

 

どうやら本当に退散したらしい。ファイズは変身を解除して、周囲を見渡しながら怪我人がいない事を願いながら呟く。

 

「えぇ、それはこちらでなんとかするわ。今私たちも一旦ここから離れましょう」

 

リアスの言葉に巧も短く、そうだなと返答。気絶している裕斗を背負いながらリアスと共にソーナ達の元へと向かった。

 

 

 

 

 




本当に久しぶりです。
また不定期になりそうですがなんとか更新していきます。
感想や評価などよろしくお願いします致します。
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