変わらず感想などお待ちしてます、かなり励みになります!!
サイガの襲来から6時間経過後。
巧達はオカルト研究部室にて、怪我人の回復を待っていた。
「私の力が足りなくて…申し訳ございません!」
そんな現状にアーシアの謝罪の言葉が部室に響く。
「アルジェントさんの癒しの力が無ければ、あの二人は命が無かった可能性もあったと医師の報告が有りました。むしろこちらからお礼を言わせていただきたいくらいです。気落ちしない下さい」
静かで、それでいて相手を落ち着かせる言葉と共にソーナは軽くアーシアの肩に手を置く。
部室中で沈黙が続く中,ガチャリと扉が開く音が響く。
「待たせたな…お前ら」
入ってきたのはアザゼル、そしてその後に続くように虎徹が部屋へと入る。その表情は沈んだ物でその理由は明白であった。
「どうやらサイガは本格的にあのガキどもの身柄を狙ってる。…俺の配下が追跡を狙ったが全員返り討ちの上で撒かれた。死人が出なかったのはバラキエルのお陰だ」
「…怪我人の具合は?」
「まぁ、数日もあれば動ける程度だ。アーシア、明日奴らの具合を見てやって欲しい…頼めるか?」
「えぇ!任せてください!」
アーシアの返答に短く、助かると返したアザゼルの表情はなおも重たい。
どうやらそれ以外にも何か理由があると察した巧。
「サイガの襲来と同時に冥界でも英雄派の動きがあってな。正直に言えばここ以上の被害が多数報告された」
アザゼルの報告に全員の顔色が濁っていく。今回の襲撃で駒王町にも少なくない被害は出ている。死人が出なかったのは最初にフリードも匙という仲間内でも強いメンバーで対処出来たからだ。
図らずも自身の指示が功を奏した事が喜びたいが、今なお意識の戻らない二人を思うとそのような気持ちが消えてしまうリアス。
「それで、英雄派の目的は?」
「恐らくではあるが、戦力の増強。…新たなる
腰掛けた椅子の背もたれに体を預けつつ、息を吐くアザゼル。その隣で悔しさを滲ませな虎徹は静かに立ち上がると巧とリアスの前で膝をついた。
「こんな事頼める立場じゃないけど、頼む!!アイツを…奏を止めてやってくれ!アイツは…アイツは!」
勢いよく額を地面に擦り付けた虎徹は自身の無力さを感じながらも今の自分にできるのは、彼に…巧に頼ることだけだと痛感していた。
その言葉を受けた巧は、ふと数時間前に部室の奥で朱乃やゼノヴィア達に見守られながら眠りについた兄妹を思い出した。
ーー奏にいちゃんはね…!すごく優しいよ!
ーー更にすごく強いし!あとあと黒歌おねえちゃんの事が大好きみたい。
楽しいそうに彼の事を語る二人は、キラキラした笑顔を浮かべていた。
自分もできる事なら彼らの笑顔を翳らせる様な事はしたくない。
「別にあんたに頼まれなくてもアイツを止める」
呟いた言葉を聞き,虎徹は溢れる涙を堪える事が難しかったのか涙ながらに土下座の体勢から立ち上がり巧の両手を握り締める。
思わぬ行動に呆気を取られた巧だったが、即座にその手を振り解きつつ、部室を後にした。
そんな巧の態度に仲間達もいつもの事ながらも、苦笑を浮かべていた。
「はぁ…」
部室を出た巧は深い息を溢す。
夏が終わり、秋を迎え始める夜風が小さく吹く。
ふと、先程のサイガとの戦闘を思い出す。一度戦った時とは段違いの強さ、そしてこれまでの敵とは別格だった。
影山冴子やヴァーリ以上とも感じられた相手を前に、自身が勝つーー勝たなければならない事を覚悟する。
彼にこれ以上誰も傷つけさせない為に。
「今度は勝てそうか?兵藤一誠」
「お前」
楽しげな声が背後から聞こえる。巧が振り返ると、先程まで思い浮かべていた強敵の一人ーーヴァーリが何処か余裕を感じさせる様子で巧を見据える。
「アザゼルから話は聞いていたがどうやら相当やるみたいだな、天城は」
「ならお前は奴に勝てんのかよ」
さぁ、と肩をすくめるヴァーリは質問をヒラリとかわす。
その人を小馬鹿にしたような態度に巧はカチンと来そうになるのを堪える。
本来、テロリストであるヴァーリがこの場にいるのはアザゼルも認知した上での特別待遇であった。
昼間のショッピングモールでの提案を、匙とフリードの治療している最中に皆にリアスから共有がされた。この際にアザゼルが責任を持つ形でサーゼクスや天界のミカエルに承諾を得た上で同盟が締結された。
その内容としては、サイガーー天城奏の対処が完了となるまでの巧達への情報提供。そして今回の同盟を公表はしないという2点。
現状、
そんな形で今回限りの協力体制を取ることとなる為、無駄な争いはしないほうがいいと巧とヴァーリの対応をなんとか飲み込む。
「それにしてもここで君といると、あの時の続きがしたくなるな。…君はどうだ?」
空に浮かぶ夜空と街を照らす大きな月を見つめたヴァーリは、誘うような同意を求めるような声で巧に問いかける。
「興味ねぇよ。…そんなにいいのかよ、戦う事が」
ヴァーリの心中など理解できないと言わんばかりの態度ですかさず言葉を返す巧。その言葉には本当に戦いに興味がない意志が込められていた。
「あぁ。俺にとってのライバルである君に勝ち、そしていつか
宣言するように自身の夢を語るヴァーリは物騒な点以外は匙やかつての仲間達のように真っ直ぐさを感じられる表情だ。
そうなってしまうと、自分を倒す事以外は特に否定する気にはなれない巧。
「…勝手に人を巻き込むなっての」
「そこは容赦してくれ。…けど、いつか君との勝負をもう一度、相応しい時に申し込ませてもらうよ、仮面ライダーファイズ」
自身の予定はもう済んだ、そう言わんばかりにヴァーリは転移の魔法陣を使って、夜の駒王学園から姿を消した。
翌日の放課後、生徒会に呼び出された。内容はフリード達が目を覚ました点とサイガの対策及び通達事項との事だ。
「連絡があったと思うが、あの二人が目を覚ました。…まだ病み上がりなんで数日は戦線を離れてもらうことにはなるが。そして、本題だがあのチビ達と虎徹を冥界に移送する事にした。サイガへの対応と本格的な保護を兼ねたものだ」
「保護…ですか」
告げられた内容に朱乃が小さな声を漏らす。あの兄妹と最も親しくなった一人であるためか二人の今後を案じているのだろう。
「そうだ。堕天使の領土で保護する事、虎徹に関しては堕天使監視のもと処分を決めていく。まぁ、死刑とかそういうのにはならねえ様に俺が口添えをしていく。…ここまではいいか?」
皆がその言葉に同意する。
その様子にアザゼルが作戦を皆に伝えていく。
「冥界にはグレモリー家の列車を使って向かう。そのタイミングをヴァーリからオルフェノク派や英雄派に伝えてもらう様に話は付けた。奴らは必ずそこでハナを奪還しようと行動するはずだ。…逆にそこをこちらから反撃に出る」
その内容に全員の表情が引き締まる。恐らく次回の戦いは今回以上に敵が戦力を割いてくる事は容易に想像できる。誰かの唾を飲み込む音が生徒会室に響く。
「当日は、お前らに加えてバラキエルとロスヴァイセも作戦に加わる。俺はサーゼクスとオーディンの爺さん一緒に日本神話の面々と会談の予定になる。勿論,俺は作戦が開始してすぐにお前らの元へ向かう手筈だ」
敵が警戒する戦力のアザゼルやオーディンの不在を装う事で、作戦の成功率を高める為の最善策を打った事を伝える。
数秒間、言葉すら発せられない空気を打ち消すようにアザゼルは息を吐く。
「作戦開始は4日後の18時…覚悟を決めておけ。恐らくお前らにとっては最大の戦いになる。必ず勝つぞ!!!」
『はい!!』
アザゼルの檄に、みんなが力強く応える。
その声にアザゼルは、自信に満ちた笑みを浮かべた。
「俺らが寝てる間にそんな話になってたとは…」
「まぁ、それが作戦なら俺らは全力で着いてくのみ、ってちゅー訳ね」
作戦の3日前、匙とフリードはソーナが駒王町に用意した別荘兼自宅の一室にいた。その部屋には家主のソーナの他にゼノヴィアやイリナ、椿姫達生徒会役員が揃っていた。
「あぁ、…アザゼル顧問曰く、私達にとって最大の戦いらしい。それなりに修羅場を乗り越えてきた私も今すでに武者震いがしているよ」
ゼノヴィアがいつもの勝気な様子とは裏腹な不安を隠さない態度に親友とも相棒とも言える関係のイリナも驚いていた。
「まぁ、安心してよゼノヴィア!!このミカエル様の
不安気な親友を安心させる様に、背中から純白な天使の花を生やしたイリナは必要以上に高らかな声を響かせる。
その様子に彼女を除いた全員が苦笑を浮かべざるを得ない様子だ。
「間抜け天使さんは放置して、あのテロリストさんには今度こそ借りを返させていただきますか。なぁ、書記くん?」
「まぁ、その意見には賛成だ。2号ライダー」
何よー!と暴れるイリナをどうどう、と落ち着かせるゼノヴィア。そんなコントじみた空気の中、生徒会メンバーの一人ーー花戒桃が匙へと歩み寄る。
「元ちゃん、そんな状態なのに…」
「でも、今は一人でも戦力が欠けるわけにいかない…ですよね、副会長」
「…えぇ、ですが無理はしない。それが条件です」
無理をして、相手に討たれる。そんな最悪だけは避けなければならない。
自分達の主人の夢はこんな所で潰えて良いはずがない。だから、こそ。
「分かってます。俺は…俺たちは一人もかける事なく、あの子達を守る」
呟いた言葉は、匙の確かな覚悟を如実に示していた。
それでもと、不安の拭えない桃達を安心させる様にフリードがあっけらかんとした様子で笑みを浮かべる。
「まぁ、安心しなさいな。俺っちも全開で戦うし、そんで何より、アイツがーーイッセー君がいるんだからさ」
その名前を出すと、皆の中にある不安が少しずつではあるが消え去っていく。ここまでくると悔しいくらいだ、と心中で呟きながらフリードはケラケラといつもと同じ様に振る舞い続けるのだった。
「どーすればおじさんくらい背が大きくなるの??」
「…好き嫌いをせず、家族と仲良くする。そうすれば大きくなる」
「ねぇーねぇー!朱乃おねえちゃんと一緒の髪型にして!」
「分かったわ。なら、そこに座って」
ソラ君とハナちゃんはそれぞれ,バラキエルさんと朱乃さんに相手してもらっている。バラキエルさんは自分を見上げる少年に、慣れない様子で声を掛ける。それとは対照的に朱乃さんは既に慣れた様子で、ハナちゃんの髪を自分と同じ髪型へとリボンを使って整える。
「すっかり懐かれたみたいね」
良かったわ、と優し気な笑みを浮かべる部長の隣で僕ーー木場裕斗は頷いた。放課後の部室にはこの四人に加えて、小猫ちゃんとギャスパー君とアーシアさんとイッセー君がそれぞれの時間を過ごしている。
ギャスパー君はいつも通りダンボールに体を納めながら、小猫ちゃんと通信ゲームを楽しむ。アーシアさんは、朱乃さんの代わりにみんなの分の紅茶を入れてくれていた。
そしてイッセー君はーー
「なんだよ」
何をしているのか気になった僕の視線に気づいた彼は,いつも通りのぶっきらぼうな口調だ。愛想笑いを浮かべながら隣に座った僕へ何も言わない為,怒ってはないみたい。
「いや、なんか楽しそうにしてるなって思って」
「…そんな顔してたか?」
自分でも気づいていなかった様子のイッセー君は、口元に僅かな笑みを浮かべたままだ。
その視線に映るのは、楽しそうに笑う眷属やバラキエルさん達だ。
「あぁ、なんかすごく良い笑顔だよ」
「てか、人の笑顔なんて見てどうするんだよ」
照れ隠しのやつに放たれた言葉には、態度な口調以上に彼の優しさが込められている気がする。
そこには彼の、本当は戦いを嫌悪する人柄が現れている気がする。
だからこそーー
「絶対に、護ろう。あの二人を」
「あぁ」
いつの間にか溢れていた言葉に、イッセー君は短かな言葉で頷いた。
「よくやく寝たみたいですわね」
「今日も楽しそうで何よりね」
朱乃さんと部長は、寝静まるソラ君とハナちゃんを小猫ちゃんとギャスパー君とアーシアさんが二人のために用意した部屋へ送っていくのを優し気な目をして見つめていた。
それは二人だけじゃない。アーシアさんもギャスパー君も小猫ちゃんもイッセー君。そしてきっとこの人もーー。
「朱乃。俺はーー」
「言わないで、何も。…もう全部遅いのよ。お母様が亡くなった日から」
人が少なくなり、僕と部長、イッセー君、朱乃さんとバラキエルさんの五人になった部室。
腰掛けていた椅子から立ち上がったバラキエルさんは、何かを伝えようとした矢先にその言葉を遮られた。一番何かを伝えたい本人に。
「でも、今日あなたがこの子達に接する態度を見て思い出したの。あの頃ーー私は大好きだった。お母さまと…あなたを、おとうさまを」
その言葉の後、朱乃さんの瞳から涙が溢れた。いつものみんなにとって頼れるお姉様然した姿とは全く違う、年相応の女の子の姿だ。
「どうして…、どうしてあの時、いっしょに…いてくれなかったの?」
辿々しく紡がれる言葉は、まるで小さな女の子の独白の様に、ずっと言えなかった気持ちを吐露しているみたいだ。
膝から崩れる様に座り込んだ朱乃さんを、誰よりも早く駆けつけて支えたのは一番距離の開いた場所にいたバラキエルさん。
「すまない。…全て,全ては俺の責任だ。俺はお前の全てを受け止めたい。怒りも、悲しみも全てだ。だから、お前の近くに居させてくれ」
屈強な体躯を縮こませて、娘を抱きしめるその姿はどこにでもいる普通のお父さんの様で,不器用なまでに娘への愛で満ちたその言葉は、ようやく本当の気持ちを言えた朱乃さんを包み込むようだ。
「行くぞ」
不意に、グイッと制服の裾を掴まれる。振り向くとイッセー君が既に部長の手と僕の制服の裾を掴んでいた。
僕と部長は彼なりの気遣いへ便乗する形で同意することにして、部室を親子二人にすることで後にした。
旧校舎を出ると、入り口の付近の壁に背をつけながら、タバコを咥えたアザゼル先生が寂しさと後悔を滲ませた様子で佇んでいた。
「よぅ、その様子じゃうまくいった感じか、イッセー?」
「うまくも何も、元々の形に戻っただけさ」
「えぇ、そうね。ようやく…元の形になったのよ」
イッセー君と部長の返答に、先生はそうかとだけ呟いて、吸いかけのタバコを吸い殻入れに落とす。
「俺があいつら親子を、壊したんだ。俺があの日、バラキエルを招集しちまった。…そのせいで」
溢れた言葉には、取り返しのつかない後悔が込められていた。普段,見せない様な顔をした先生がそこにいた。
「でも、まだ生きてる。確かに死んじまった奴は生き返らない。でも、生きてる家族がいるなら、生きててほしい家族がいるなら、それを大切にすればいいだろ」
先生の後悔や懺悔を否定する様に、イッセー君は伝えた。その言葉に先生も何処かハッとした表情を浮かべた後、いつも通りの笑みを浮かべる。
「そうか、それもそうだな。…バラキエルにも朱乃にも家族がいる。それは何者にも変えられない真実だ。…サンキューなイッセー、まさか口下手なお前に救われるとはな」
「ほっとけ」
少しだけ怒った様子でイッセー君はそのまま旧校舎を後にする。
彼が去った後、部長は困った笑みを浮かべていた。
「またイッセーに頼っちゃったわ。…悔しいけど、なんだかんだで頼りになる人なのよね」
「えぇ。ほんとにその通りですね」
「まぁ確かに。けどな今のこの奇妙な同盟や駒王町の戦力は元を辿るとアイツとお前の縁から繋がってるみたいな物だ、リアス」
先生の言葉に静かにうなづく部長、その表情は先ほどまでとは打って変わり覚悟を示していた。
その瞬間、少しだけ強い風が吹いた。
その冷たい風は僕の体を軽く震わせる物で、この後に起きる戦いへの警鐘を鳴らす様に感じられた。
ソラちゃんとハナちゃんを虎徹さんのいる部屋まで送り届けた後、僕たちは一緒にイッセー先輩やみんなを呼んで夕飯を食べることにした。もちろん会場はイッセー先輩たちの家。既にアーシア先輩が連絡をしてくれたらしく、あとは向かうのみ。
そんな中で不意に。
「本当にもう一度戦わないといけないのかなぁ」
数日後に控えた大きな戦いを前に、弱音をこぼしたのは僕ーーギャスパー・ヴラディ。
「きっと起きる。けど、みんなで勝つ…きっと」
「そうです!イッセーさんも、木場さんも、フリードさんも居ます!」
僕の両隣を歩く小猫ちゃんとアーシア先輩が、僕を励ます様に言葉を掛けてくれた。うぅ…女の子に慰められるなんて。いや、今回は僕が活躍するくらいの気持ちでいないと!
「そ、そうですよね!それに僕だってグレモリー眷属の男ですし、イッセー先輩たちと一緒に戦わなきゃですね!」
自分を騙す様に勇ましい言葉と、イッセー先輩みたいに手首をスナップして見せる。すると小猫ちゃんは静かに笑顔を、アーシア先輩は優しさ満点な笑顔を浮かべてくれた。
よかっと安心した僕たちの前に、一人の女性が現れた。
「あらあら、随分と楽しそうなのね…白音」
「姉様、何の用ですか?」
見覚えのある女性、小猫ちゃんに似た顔立ち、着物、長い黒髪。一度僕たちの前に敵として立ちはだかった小猫ちゃんのお姉さん…黒歌さん。
「大きな戦いでそっち側に死人が出る前に一応誘いに来たのよ。…私達の所に来る気はない?」
前に戦った時と同じ誘い文句、けどその様子は前回とは違う感じがした。
なんというか…優しい、心配をしているように僕には見えた。両隣の小猫ちゃんとアーシア先輩をチラリと視線を向ける。
「前回も言いましたが、私は…グレモリー眷属の塔城小猫です。だから行きません」
小猫ちゃんの意思は全く変わらずに、お姉さんを拒む。その様子に黒歌は俯きながらもそっか、そっかと呟いた。
本当に小猫ちゃんを心配だけしている様な、そんな感じ。
「お姉様は
「どうしてそう思うのかにゃ?」
「そうですね、一応家族の勘というやつです」
実の妹である小猫ちゃんはこの前とは違うお姉さんの様子を掴んでいるみたいで、今回の遭遇の目的まで分かってるみたい。
「…あの子たちはどうなるの?」
投げかけられた質問は、短いながらも不安気を必死で隠そうとした儚気な物だった。
僕も,小猫ちゃんも少し返答に迷う。今回限りの協力体制。そしてあの二人とも親交のある黒歌さんにはどこまで伝えていいものかと迷う僕らを他所にアーシア先輩が一歩前へ。
「私たちが、必ずあの三人を守り抜きます。だから安心して下さいね」
普段の穏やかなアーシア先輩からは出そうとない程に強い言葉。僕と小猫ちゃんが呆気に取られる中,更に一歩前に進むと。
「そしてまた皆さんが笑顔で会える様にしてみせます!」
黒歌さんの手を取り、宣言したアーシア先輩はいつもと同じ笑顔を浮かべた。その笑顔に流石に黒歌さんも戦意や警戒を解いたのか、微笑を見せる。
「なら、その言葉一応信用するにゃ。じゃあね〜白音、吸血鬼くん、あとファイズの彼女さ〜ん!」
アイドルみたいに人を魅了する笑顔を見せて、黒歌さんは夜の街に消えていった。
その後、別れ際の黒歌さんの言葉に顔を真っ赤にしたアーシア先輩を僕と小猫ちゃんは全力で冷やすことになってしまった…。
小猫達と別れた黒歌はヴァーリ達から許可得て行動していた為、一度合流地点へと向かっていた。
アザゼルから一時的に許可された駒王町の滞在。
僅かな休息の時間中で、不意に自分が思いを寄せる彼の名を呼ぶ。
「奏…」
現在、英雄派及び影山冴子により意思をなくした恋人未満の想い人。
「ハナ、ソラ」
「一応、虎徹」
何処かで、おいっ!とツッコミが入る最中、黒歌は彼らとの出会いを思い出す。
最初は、強い遺伝子を持つドラゴンの子供を産みたいという女としての本能からヴァーリに声をかけるもあえなく玉砕。
ならばと同じ勢力の中で気に入った異性を探す最中であったのがオルフェノク派に属する奏だった。そこからは彼らの仲間と共に時間を過ごすようになった。ヴァーリはそう言ったことに口を挟まず、むしろ文句を言っていた旧魔王派などの者たちを黙らせていた。
「いつか…必ず。みんなで」
浮かぶのは、その4人と再会を果たして笑顔を浮かべる姿。
黒歌はそんな思いを胸にしまいつつ、改めてヴァーリたちとの合流地点へと向かい始めた。
そろそろ決戦を描けたらいいなと思う。
よろしくお願いします!!
観察や評価をお待ちしております。
後、キャラクターの呼び方など久しぶりのため間違っていたら教えていただけると助かります。