ハイスクールFaiz〜赤い閃光の救世主〜   作:シグナル!

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お気に入りの数が増えてきたので嬉しい限りです。
なんとかお話も進めていきたいです。

感想や評価をお待ちしてます!!


第2章 戦闘校舎のフェニックス
新たなる問題


『君は生きるんだ…! 乾君っっ!!!』

 

『木場!!』

 

そこは人間の世界ではなく、正に冥界、地獄。

そんな名前で呼ばれて正解と言えるような場所。

街中にいくつも立ち並ぶ、高層ビルに似た建物は崩壊し、世紀末を予感させる風景となっていた。

そんな荒廃した世界の中で巧は自分の仲間である青年の名前を叫ぶ。

青年は穏やかな笑みを浮かべて、体からは力が徐々に抜けつつある事にその体に触れて気付く。

 

巧は体から青い炎を上げている青年に近寄り、彼の体を支える。

その時には青年の体を支えている巧の両手からは灰がこぼれ落ちる。

パラパラを地面に散ってゆく灰。

それはオルフェノクにとっては体の崩壊。

つまりは命の危機を知らせるものであった。

それを見ても、巧は自分の事を気にも留めずに青年の体を揺さぶる。

 

『おい木場、木場ぁ!!』

 

『…君と短い時間でも一緒に戦えて嬉しいよ…。

けれど僕はここまでみたいだ…乾…君。君に大きな役目を任せてしまいけど…よろしく頼むよ。奴を討ってくれ…』

 

体を揺さぶられた青年は体を炎に包まれている事を気にせずに口を開く。そこから聞こえる最期になるであろう言葉を一文字も聞き漏らす事ないように神経を集中させて耳を澄ませる。

 

『ああ…。 お前の理想も夢も俺が継ぐ』

 

青年の願いを受け止め、彼の持っていた夢を受け継ぐ事を覚悟した巧はうなづく形で答えを青年に届ける。

すると巧の両腕にかかっていた重さが一瞬にしてなくなった。

先ほどまで巧の両腕を支えとしていた青年の体は青い炎によって燃え尽き、その体は灰と化していた。

その事実を巧の足元に積もっていた灰が示していた。

 

ーー木場っ…。 俺は…俺はっっ!!

 

手のひらを握りしめ、両足に力を込めて、ゆっくりと立ち上がる。

荒ぶる呼吸をなんとか抑えて、真っ直ぐと目の前にいる倒すべき敵を見据える。

 

『……』

 

灰色の体を持ち、何処かファイズやカイザやデルタと言ったライダー達と似たような体で首元にはスカーフを巻いている異形。

その名もアークオルフェノク。

オルフェノクの王。

巧は自らがオルフェノクである事を目の前の王と向き合うことによって認識する。

けれど退く訳にはいかない。

この王を倒さなければ…先ほどの青年のような者が増えるだけだから…それを止めるのはこの青年の願いだから。

 

ーー木場、一緒に行こうぜッ!

 

 

『Standing By』

 

「変身っっ!!!」

 

『Complete』

 

勢いよく地を蹴り、土埃が舞う。

咆哮とも叫びともとれる巧の声。

ファイズフォンを胸の前まで持って行き、腰に巻きつけていたファイズドライバーに換装し、変身を完了させたその時だった…。巧の腹部に衝撃が走ったのは…。

 

 

 

 

 

 

「イッセー、起きなさい。 もう朝よ」

 

寝起き一番に見えたのは自分の事を起こそうとしているリアスだった。

巧は瞬きを幾度となく行い、数秒かけて自分の腹部に視線を向けるとその上には自分の愛用している枕が乗っていることに気がついた。

つまりはリアスがこの枕を自分の腹に乗せたのだ、それなりに勢いをつけて…。

 

「……」

 

「もしかして怒ってる、イッセー?」

 

リアスは不機嫌そうな巧の顔を見て、下から覗き込むように自分の顔と巧の顔を近づける。

巧もいきなり距離を詰めてきたリアスに驚いて後ろに後ずさろうとするが足を後ろに下げると先ほどまで自分の寝ていたベットにぶつかり体をベットに打ち付ける。

ギシギシとベット内部のスプリングが働く音が耳に入り、すぐに体を起こす。

 

「さぁ、朝食にしましょうイッセー?」

 

「…なんでお前ここにいんの?」

 

巧の質問に対する答えはなく、リアスはそのまま一階に向かう。

そんなリアスに少しばかり苛立ちが生まれ、彼女の後を追うようにして巧は自室の扉のドアノブを握りしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぁぁ?、眠い…」

 

「大丈夫ですか?イッセーさん」

 

駒王学園の教室にて少し欠伸をする。

巧は今朝からのリアスの態度に違和感を覚えてならなかった。今朝のリアスは何か変だった。

何かに焦るようで何かから逃げるようで何かを恐れているようだった。

そんな恐怖心を感じ取ったが態度には全く見せずにいた。

だからこそ気になってしょうがない。

が、彼女にそこまで踏み込んで良いのかわからない。

彼女と自分の距離感に悩み、思考することに意識を集中させている為か自分の肩を叩いていたアーシアの存在に気づくのに少しばかり時間を有した。

 

「なんだアーシア」

「松田さんと元浜さんが先ほどからずっと声をかけていましたよ?」

 

アーシアに言われ、体を前に向ける。

巧の机の正面にはワイシャツを噛み締め、涙を流して巧に視線をぶつける松田と元浜がいた。

 

「…なんだよお前ら。 あっち行け」

 

「イッセーぇぇ!! 貴様ぁぁぁ!!なぜ朝からリアス先輩とアーシアちゃんの美少女二人と登校をしているんだぁぁぁ!!」

「ああっ! すでに二人のファンクラブはお前の追跡、撲滅を行おうとしてるぞ!!」

 

二人は巧の机を手のひらで勢いよく叩く。

バン!バン!と音が響き、その音で顔を背けて不機嫌さをあらわにしている巧。

 

「そんなのしるかよ。アーシアは知ってるだろうけとな、リアスのやつはあいつが勝手に居たんだ。俺に文句を言うな」

 

巧の不機嫌さとぶっきらぼうさが合わさった言葉を聞いて二人は絶句した。

リアスはこの学園では知る人ぞ知る有名人。

そんな彼女と一緒に登校出来た事は一生の思い出となるだろう。

記念の様な出来事を一蹴する巧に二人は勿論の事だがこの教室にいた全員が松田や元浜と同じ状況になっていた。

ただ一人、アーシアを除いては…。

巧は今朝からのリアスの見せる何処か何かを恐れているのを無理やり隠す笑顔が頭から消えずにそのまま頭の中に残り続ける事を意識していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…くそっ、逃げろよ…おいっ!」

 

「頑張ってください、イッセーさん!」

 

「キュー♪」

 

夜、巧とアーシアは巧の部屋にてテレビゲームを行っていた。

元々男子高校生であった一誠の部屋には複数のソフトとそれに対応するゲーム機が置いてあった。その為夜ご飯を食べ、風呂も入り終えた二人はテレビゲームを行う事にした。

 

「…よし。いいぞ…そのまま行け」

 

巧自身はあまりこういったゲームをやっていた記憶が乾巧としての時からなく、こういった物をやるのはなんと今日が初めてだった。

やり始めた最初はくだらないだろう。

そんな気持ちでやっていたが、何回かゲームで負けたりすると巧の負けず嫌いが発揮され、今ではこのゲームに熱中している。

 

「気をつけてください、後ろから恐竜さんが来てます!」

 

「キュー!?キュー!!」

 

アーシアは両腕で抱き抱えたラッセーと共に巧がゲームを行う様子を眺めていた。

このゲームは主人公が様々な時間に行って冒険をするゲームでアーシアは主人公に迫り来る敵を見てリアクションをつけながら巧に知らせていた。

ラッセーもアーシアの両腕に包まれながらも巧のゲームプレイを見て驚いた声を出す。

 

「このっ!! 逃げ切れ!」

「あっ…ゴールしました!!」

 

<Nice Drive!!!!>

 

ようやく巧がこのステージをクリアし、テレビからゴールを祝う音声が流れる。

当初は時間つぶしにやっていたこのゲームも二時間近く行っていた。

時計を見て、そろそろ11時を回り眠くなり始めているアーシア。

ラッセーも少しばかりの欠伸をしていた。

そんな二人を見て、巧も眠気を誘われた様で目を擦る。

 

「おい…お前ら。 そろそろ寝るぞ。 部屋に戻れよ」

 

「ふぁい…イッセーさぁん」

 

「キュ?」

 

欠伸をしながらラッセーとアーシアは部屋を出ようとするが…。

突如、部屋の入り口近くに魔法陣が展開され始め、誰かがこの部屋に転移してくるのを察知し、部屋に戻ろうとしていたアーシアの手を後ろから引っ張り、自分の元に寄せる。

 

「えっ?? どうしたんですか…?イッセーさん」

 

いきなり手を引っ張られて、思ったよりも巧の顔が近くにあった為か、アーシアの顔はほんのりと赤みを帯び始める。

対する巧は自分の部屋に現れた魔法陣から見える服装が駒王学園の物だと気付き、体に込めてきた力を抜いて脱力をする。

 

少ししてからこの部屋に現れた来客ーーリアスは巧とアーシアを見据えた。

二人までの距離を長い足を全開に伸ばしつつ接近し、お互いに近づいていたアーシアと巧の二人の体を掴む。

 

「イッセー、今から私の事を抱いてちょうだい。勿論、アーシアを混じって三人でも構わないわ」

 

「はっ??」

 

ーーいきなり何を言ってんだこの女?

 

リアスのいきなりの願いを心中で一蹴する巧。

ちなみにアーシアはなんの事??と言わんばかり頭の上にクエスチョンマークが浮かんでいた。

 

 

「あら、アーシアはしないの? まぁ取り敢えずは…私の処女を貰って頂戴、イッセー」

 

いきなりのリアスの願い。

それは巧にとってはメガトン級の重さを持つ願いだった。

 

「ふぇぇぇ!?? 部長さん、どうしたんですか?」

 

「そうね…イッセーには素質があるのよ。貴方となら文句は言われないと思うの。アーシア、一緒に気持ちよくなりましょう?」

 

リアスはその美しい目でアーシアを打ち抜いた。

アーシアもこれまでの会話でリアスの願いとこれから行われるであろう行為を頭の中で考えてしまい顔を真っ赤に染める。

それは先ほど巧と接近した時の赤みとは比にならないほどでそういう行為をする巧と自分を思って顔を赤くする。

 

「…ばっ、お前何言ってんの!? 頭大丈夫かよ!??」

 

求められている巧も顔を赤くしてリアスから距離を置く。

普段の静かな様子から年上と思われがちだった巧だがリアスと同年代と認識できるような態度を見せ、少しばかり嬉しそうな笑みを浮かべているリアス。

 

「ええ…頭は大丈夫。 不思議と怖くないの。それに私、貴方の事…大切だと思ってるもの」

 

リアスは制服のスカートのチャックを外す。

リアスの腰回りを隠していたそれは重力によりパサリと地面に落ちる。

次に手をかけたのは駒王学園の制服のワイシャツのボタンだ。

普段から脱いだり着たりを繰り返した影響か、慣れた手つきでボタンを一つ一つ外していく。

ボタンを外していく程にワイシャツは開いていき、リアスの柔らかく、白くきめ細やかな肌が露わになっていく。

 

ワイシャツのボタン全てを外し終えて下着だけのリアスは、今だに慌てている巧とアーシアを立ち上がった場所から見つめ、その目で捉える。

アーシアはこれから巧とそういった行為を行う事に恐怖はなかったが、いきなりやりましょうと言われて出来るつもりもなかった。

 

「さぁ…早く済ませましょう。 …邪魔が入る前に」

「ちょっ…待てっ! 何すんだよお前っ!!」

 

背中についてあるブラジャーのホックを両手を後ろに回して外そうとするリアスを止めるべく、思わず立ち上がり彼女の服を纏っていない体に触れる事を一瞬、躊躇したがこのままではまずいと判断し、彼女を止めるべくその体に触れようとするが…。

 

「きゃっ!……随分と大胆なのね」

 

いきなり自分の体に伸びてくる巧の手を見て、思わず後ろに下がってしまい、ベットに背中から倒れこむ。

巧は狼狽し、彼女を押し倒してしまった上に今は彼女の顔の直ぐ近くについてある両手を引っ込め、そのまま部屋の壁際まで下がる。

 

「イッセーさん、わ、私…私も!!」

 

先程までリアスと巧のイチャラブーーアーシアから見たらそう見えてしまった物ーーを見た為か、少しばかりの焦りがある声でアーシアは力の入った声を出す。

勇気を出すんだ。

指を胸の前で組んで、目を閉じる。

正にシスターが神に祈りを捧げる際の行為と同じである事にアーシアは今になって気がつく。その直後に激しい頭痛に見舞われる。

ここで巧は自分がどうするべきかを考えていた。

 

ーー誰でもいいからこの状況をなんとかしろっっ!!

 

言葉にせずとも全力でまだ見ぬこの場を収める救世主が欲しいと心から願う。

目を閉じて自分の願いを心中で叫ぶ。

 

「そこまでです。 お嬢様」

 

巧の耳に聞こえた凜とした声。

その声と同時に巧の部屋に出現する、見た事もない魔法陣。

その魔法陣から現れたのは一人の女性。

銀色の髪、整った顔、美しいスタイルを持つメイド服姿の女性がこの部屋に現れた。

巧の部屋はさほど大きい部屋ではない為かメイド服姿の女性がいると場違いと思えるがこの状況では巧にとっては彼女は救世主と呼べる存在であることに変わりはない。

 

「グレイフィア…。 もう来たのね」

 

リアスは現れた女性をグレイフィアと呼んだ。

アーシアはいきなり現れたグレイフィアに驚き、何も言えずにいた。

巧はグレイフィアが来たことでリアスの暴走が止まり、一息ついてその場で座り込む。




もう1話投稿します!
今日中にしますよ。

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