結城友奈は勇者である〜無限の造花〜   作:タンスの人

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前作読んでるとわかりやすいかも


3話 襲来

 

  犬吠埼風は自分たちは勇者候補に選ばれただけと思っている。しかし、

 

 ──授業中なのに周囲はまるで絵画のように。

 

 実際は『候補に選ばれた』ではなくて、

 

 ──書く音、捲る音、呼吸が止まった空間で。

 

『勇者に選ばれた』のだ。

 

 ──鳴り止まぬ樹海化を知らせるアラーム。

 

 犬吠埼風はそれ身に染みるほど理解した。

 

  教室を飛び出した。目的地は。

 

(よりによって私たちが選ばれるなんてッ!早くみんなと合流しなきゃ!まず樹!)

 

 1年の教室、に間に合うより先に視界は花びらで覆われて世界は2年ぶりにまた塗り変わる。

 

 ─────────────────────

 

 

 世界は右後ろから聞こえるアラームがなると同時に停止した。映画のワンシーンを抜き出したような写真のような空間で。

 

 ───何年ぶりだろうか、この感覚。

 

 結城士郎は極めて冷静だった。

 自身の内部で何かが停止させる何かを弾いたようだった。防水加工された紙が水を弾くような感覚。

  後ろで廊下に出てきた友奈と東郷が慌てふためいている。

  だから2人のことを思考の隅に追いやって、自らの行動方針を立てる。

 

(んなもん決まってる。樹海になれば俺は空気椅子状態で固まってる愉快なオブジェだ。周りが消えてる中、俺だけがこんなだと明らかに目立つ。怪しさ爆発、警戒されてしまう。だからさっさと魔術回路を起動して距離を取る。答えは簡単だ。だが問題はあいつらだ。まだ近距離にいる以上多少マナの揺らぎを東郷に感じ取られるかもしれない。何より動けるのに止まっている振りは到底できそうにねぇ・・・・・・。そうだ世界が塗りつぶされる瞬間に動くじかないか。あまりやりたくねぇ・・・。)

 

 そして世界は花びらに覆われる。

 

 

 

 ─────────────────────

 

 

 

 

  樹海化において神樹が世界を停める理由は、世界を止めることによってより樹海化をスムーズに行うためである。(動画より写真の方が加工しやすいのと同じである)そして人も動物も世界の一部として塗りつぶす。

  また勇者は、持っている精霊が目印となり世界の一部と神樹にカウントされないため塗りつぶされず、樹海化時に座標を最適なところに移してくれる。

  ではなぜこの男は樹海に入れるのか。

  それは彼が樹海とも世界とも異なるルールを

 持つ『世界』を持っているから。だからなのか神樹の影響を受けづらい。それは神樹の統治する四国においてかなりのハンデをもたらす。特に樹海化の時は。例えば、ほら。

 

(なんでさ・・・・、最悪すぎだろ)

 

 士郎は予定通りに回路を起動されせようとしてすぐその違和感に気づいた。足元が不安定、いや何も無い。

 

(なんでこんな微妙な高さで空気椅子してんだ・・・。)

 

 神秘的な空間で空中──真下の足場とは約3mほど離れているか──で空気椅子する愉快なオブジェ(男子中学生)が在る。シュールすぎる光景がそこにはあった。

  無論、神樹の影響を受けにくいのもあるが、そもそもこの世界にバグそのものみたいな方法でら入ってきたのだ。正規で受けられる座標調整の恩恵が受けられなかったために起きたのが今回のような悲劇だ。

  意外かもしれないが、これはまだマシな方である。座標が調整してもらえないということは、根や地面にめり込んでいたり、遥か上空からの無課金スカイダイビングを決行させられていたかもしれない。そんななか、これは僥倖と言えよう。

  だが不幸中の幸いならぬ、不幸中の幸い中の不幸が起こった。最悪と思ったのはこれのことだ。そう合流してしまったいたのだ。彼の右斜め下に。この光景を一番見られたくない連中が。

 

 

 

 勇者部全員が。

 

 

 

 3mの高さで空気椅子状態で固まってる愉快なオブジェ(男子中学生)は必死に思考する。

 

(どうするどうするどうするどうする、今動けば確実にバレる!回路起動して落下中にフードと仮面を投影するか?いや無理!投影の音で速効でバレて顔を見られる!てかなんで中途半端な高さで俺は静止してんだ!せめて5メートルくらいよこせや!ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイなんも思いつかねぇ、ていうかこうしてる間にも気づかれないとも限らねぇってのに!この状態で気づかれたら、絶対笑われてしまうわ・・・、主に部長と友奈辺りに。東郷は笑いはするが後で冷静になって警戒MAXになるな、樹ちゃんは・・・固まるな、うん・・・ってそうじゃない!なんかねぇのか・・・。

 あれ?なんでみんな外側ガン見して・・・、

 ───あぁ、来たのか)

 

 初めて来た樹海に戸惑っているはずなのに見渡す様子もなく前だけ見ていると思ったらどうやら来てしまったようだ。バーデックスが。敵の実体を少しでもよく見ようと移動し、死角に入る

  これは好機。今のうちに─────

 

「───、はい。東郷さんを連れて逃げます!」

 

 逃げれない。こっちに方向転換してくるてかバレ

 

 その時衝撃音。攻撃が開始されたようだ。皮肉なことに勇者部の注意がバーデックスに逸れて、隙が生まれる。

 

(皮肉なものだが、チャンス!)

 

 回路を起動して、肉体の位相を樹海に合わせ自由を取り戻す。そして着地、脚を強化し即座に離脱。勇者たちの戦いを見守ることに専念する。

 

(戦況が悪くならねぇと俺は手出しできない、そーゆ契約をしたからな。取り敢えず、満開するような事態なれば出るけど)

 

 そう祈りながら、彼は全速で後退する。

 

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  目の前で起こったことが信じられない。

 

  勇者にク〇ガ式変身をしたと思ったら、色々すっ飛ばしてワンパンでバーデックスを沈めやがった。結城友奈が。

  基本バーデックスはこうも一撃で殺れる相手ではない。今のアップデートにおいて鎮魂の儀を行って、御霊を引きずり出して、破壊する、という手順を踏むのがセオリーである。

  満開時ではあればその限りではないが。

 

  成程、だから監視役として自分が選ばれ、派遣されたのか。

 

(もし、もしだ。アレが大赦に反抗することになるよう事態が起きれば、例えお嬢が出てくれても苦戦は避けられなさそうだな)

 

 勇者部の戦闘をみて思わず、もし彼女たちが大赦に反旗を翻したら、なんて縁起でもない有り得そうな事態が頭に浮かぶ。

 

(というか、俺としては最悪勇者部+お嬢を相手するということも視野に入れなくてはならないのか。やだなぁ、勝てる気しねぇや)

 

 そして最悪の事態の想定も。

 

 

  だが、彼は失念していた。この世界に入ったときの悲劇を。

  思考を巡らせていて、周囲の変化に気づけなかった。花びらが風に吹かれどこかへ行くように、世界が元に戻っていく事に。

  神樹は端末を目印にして、彼女たちを勇者を判断し、樹海化の際の座標を調整している。

 そして戻る時も。

 

 

  だからバグそのものである士郎はめちゃくちゃな座標に飛ばされる。

 

 

 

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 四国:某所 上空5000メートル

 

 

 

 

 

(神世紀以来、バラエティでも行われることのなくなった絶叫系アクティビティを不幸にも、行なうという貧乏くじを、引いた少年がいた。神のイタズラかそれは唐突に行われた。本来それはやるとしてもインストラクターがいなくてはならない。説明もクソも知らない素人が1人で装備無しスカイダイビングとか、自殺志願者か何かで?そもそも神世紀以降インストラクターを出来るような人はいなくなった。つまりその技術は断絶し、従ってこのアクティビティは絶滅したと言っていい。何で知ってるって?多少は記憶も受け継がれてきたのさ、初代から続くこの魔術刻印(全ての元凶)のおかげでな!そしていま落ちながら絶叫してる少年がいる・・・。

 

 ──────────────てか俺だった)

 

「なぁァァァァあんでさああああああああ」

 

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